あなたの心を知る方法


 十八歳のあの日、私は時間が止まったかのような錯覚に見舞われた。
 長身で細身なのに、無駄のない筋肉に覆われた完璧な肉体。
そしてこの国ではとても珍しい青みを帯びた艶やかな黒髪。けれどもっと珍しいのはその瞳だ。

 紫。

 私は、こんなにも美しい瞳の色を知らない。


 十年前。
 私が恋に落ちたのは、先の戦争を勝利に導いた男、フランツ・ロイスナー。

 けれど、この出会いは不幸の始まりだった。

 私ではなく、彼の──



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