凶幻獣戦域ラージャーラ

ラージャーラ…それは天響神エグメドなる絶対者が支配する異空間であり、現在は諸勢力が入り乱れる戦乱状態にあった。目下の最強陣営は「天響神の意思の執行者」を自認する『鏡の教聖』を名乗る仮面の魔人が率いる<神牙教軍>なる武装教団であるが、その覇権を覆すかのように、当のエグメドによって反対勢力が準備されたーしかもその主体となったのは啓示を受けた三次元人たちであったのだ!彼らのために用意された「武器」は、ラージャーラに生息する魔獣たちがより戦闘力を増強され、特殊な訓練を施された<操獣師>なる地上人と意志を通わせる能力を得た『絆獣』というモンスターの群れと、『錬装磁甲』という恐るべき破壊力を秘めた鎧を自在に装着できる超戦士<錬装者>たちである。彼らは<絆獣聖団>と名乗り、全国各地に散在する約ニ百名の人々は居住するエリアによって支部を形成していた。
 ‘‘中国エリア・岡山支部’’においては、県中央部に位置する「早潟町」のエスニックカフェ<リンデンバウム>がグループの拠点であり、〃天才操獣師〃として数々の武勲を挙げ、現在は後進の指導も行う萩邑りさら、錬装者である大学生の息子・恭作と格闘戦を得意とする人型の絆獣を操る高校生の娘・弓葉の父である資産家の那崎将介、弓葉とペアを組む飛行型絆獣の使い手である女子中学生・真悠花の養父であるカフェ店主・佐原紘明が中心となって戦いを続けていた。
 ラージャーラにおける神牙教軍と絆獣聖団の戦いは日々熾烈を極めており、天響神の恩恵か、うら若き女性が主たる構成の操獣師たちは一戦闘毎に地上への帰還が許されていたが、個としての戦闘力が桁違いの錬装者たちは長期にわたる遠征を強いられ、那崎恭作に限っても戦場での滞在は一年に及ばんとしていた…。だが、異世界に限定されていた両軍の争いを地上に飛び火させようと企む勢力が存在していた。鏡の教聖に激しいライバル意識を燃やす妖術鬼・シャザラは密かに日本に出現し、教軍側の錬装者である金剛剣帥なる怪人を操って地上侵攻の準備を急いでいたが、その中核を成すのが、練達の操獣者が有する恐るべき精神エネルギーを独自に開発した増幅装置を用いて実体・兵器化した『念撃獣』である。その威力を最大化するために白羽の矢を立てられたのが真悠花の母・支倉未弥子であり、彼女は愛娘出産直後にシャザラに拉致され、‘‘念撃獣発生機’’『拡脳波轟装置』に十数年もの間接続されていたのであった…。そして一応の完成に達した超兵器だが、悪魔の野望を察知した聖団はその発動を阻止すべく総力を結集して決戦を挑む!一方、異空戦域においても更なる異変が生じつつあった。
聖団が送り込んだ錬装者たちが使命に反する行動を取り始めていたのだ!

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