「肉」の検索結果
全体で4,107件見つかりました。
17
件
明治。死んだはずの新選組十番隊長・原田左之助は、大陸の租界・上海にいた。
その傍らには、京都新選組時代の諜報に利用し、奇怪な家伝の秘薬の副作用で、あたかも妖のような幼い子供の姿となってしまった、異能の元新選組監察・山崎烝。
二人は偽りの「実業家 松山誠親子」として暮らしながら、大陸の租界を彷徨い、謎を追う──
洋装で槍を振るいつつ【坂本龍馬殺害】の濡れ衣に追われる原田。
大人の意識を保ち、手には異能の武器「鍼」、推理に鋭い頭脳を働かながら、肉体が少しずつ幼くなっていく恐怖に怯える山崎。
租界都市・上海からサイゴン、漢口。
そして天津での「ラスボス対決」へ。
果たして彼等2人を追うラスボスとはいったい誰なのか?
過去の史実エピソードやアクション、ミステリー要素を含めた新選組の生き残りたちが辿る、歴史伝奇冒険譚!
永倉新八、土方歳三も登場。
19世紀 異文化グルメも!
完結済。
文字数 134,567
最終更新日 2026.05.30
登録日 2026.05.30
〜義経と弁慶の関係は、普通の主従ではなかった〜
この物語は英雄義経の軍記ではありません。
父代わりの存在に愛されながら、兄の情愛を求め続けた主と、その危うさをそばで見つめ続けた従者の記録です。
♦︎ ♦︎ ♦︎
五条の大橋で牛若に完敗した荒法師の武蔵坊弁慶は、命果てるその時まで彼を守ると誓う。
だが、主君となった牛若――源義経が求めていたのは、家来の忠義ではなかった。
幼くして父を失い、孤児同然に育った義経は、自分を愛してくれる肉親の幻影を、戦乱の世で探し続けていた。
奥州では藤原秀衡に。 鎌倉では実兄の源頼朝に。
宇治川、一ノ谷、屋島、壇ノ浦――義経の無垢な輝きは戦場を突き抜け、平家を追いつめ、同時に鎌倉の秩序を静かに揺るがしていく。
伊勢三郎、佐藤兄弟、梶原景季、畠山重忠――周りの男たちが次々と義経の輝きに魅入られ、我欲を忘れて身を投じていく。彼らの熱狂は、もはや忠義というより、信仰に近かった。
戦場で命を投げ出す突撃を繰り返す義経。それは兄に振り向いてもらうために、自らの命を供物として差し出し続ける行為でもあった。
そばにいる弁慶の方は振り向かず、義経は愛を求め続ける。
その姿を見守るうちに、弁慶の忠誠は、いつしか別のものへと姿を変えていく。
源平の戦乱を駆け抜けた、愛を求める者と、その影となった者の物語。
♦︎ ♦︎ ♦︎
弁慶の目に映る世界だけを描いた、新しい形の義経ものがたりです。
一ノ谷の奇襲、屋島の暴風渡海、腰越状、任官問題――義経にまつわる有名な出来事を、史料の隙間から新しい光を当てて描いています。
第12回歴史・時代小説大賞に応募中です。
文字数 372,464
最終更新日 2026.06.17
登録日 2026.01.19
ワルシャワ蜂起に参加した日本人がいたことをご存知だろうか。
これは、歴史に埋もれ、わずかな記録しか残っていない一人の日本人の話である。
1944年、ドイツ占領下のフランス、パリ。
平凡な一人の日本人青年が、戦争という大きな時代の波に呑み込まれていく。
彼はただ、この曇り空の時代が静かに終わることだけを待ち望むような男だった。
しかし、愛国心あふれる者たちとの交流を深めるうちに、自身の隠れていた部分に気づき始める。
斜に構えた皮肉屋でしかなかったはずの男が、スウェーデン、ポーランド、ソ連、シベリアでの流転や苦難の中でも祖国日本を目指し、長い旅を生き抜こうとする。
文字数 25,209
最終更新日 2023.01.22
登録日 2023.01.22
後漢末期、乱世の風雲児・曹操孟徳の傍らには、常に算盤と双頭戟を携えた一人の女がいた。名は、李司。
「天下の英雄? いいえ、すべて私の優良資産(夫)です」
董卓、袁紹、曹操、呂布という天下の猛将たちを「夫コレクション」として徹底的に調教&筋肉改造した彼女の前に、ついに「反董卓連合軍」が立ちはだかる!
しかし、地獄の筋肉オールスターズを前に孫堅軍は瞬殺され、武神・関羽は自慢の「美髭」を「不潔なバグ」として物理的に刈り取られて大号泣するハメに……。
常識も歴史も木端微塵! 利益至上主義のヒロインが三国志をぶっ壊す、超・算術的ハイテンションギャグファンタジー!
文字数 474,608
最終更新日 2026.06.06
登録日 2026.03.11
一話に付き最低一枚絵を冒頭に挟んでます、ダウンロード容量にはお気を付けを。
追記:ごめん、私の容量が足りんかった。十一話以降の絵は遅れる。
庶民から成り上がり、いつしか先王の愛人となっていた女──アデル。
ある日、彼女は冷徹な高等法官レイモンを見初め、「恋人に」と誘う。
だが、その男の正体は国家公認の処刑人だった。
これを“侮辱”と受け取ったアデルは、革命裁判所に彼を起訴する。
しかし、時代はすでに革命の渦中。
裁判費用の捜査を通じて、アデルによる亡命貴族への金品輸送が発覚。
彼女自身が死刑宣告を受けることになる。
命乞いすら惨めとされる中、処刑を任されたのは皮肉にもレイモンだった。
だが彼は、幾千の命を奪い続けてきた過去に疲弊していた。
その隙を突き、アデルは彼を人質に逃亡。
共に逃げる中、二人は互いの罪と傷を詫び、感謝し、
やがて――奇妙な共犯関係として新たな旅路へと踏み出す。
「私は祖国と財産を取り返す。」「……今まで殺した人間と、処刑予定だった三千人以上を助ける。」
──捕まれば即、断頭台。
交錯する赦しと野望、血と魂の逃亡劇が今、始まる。
史実では処刑されている人物がモデルなのともう少し後の時代のネタが使いたいのでその関係でフィクション寄りとしていますが最後の方で解説を一応挟ませてもらいます。
文字数 985,686
最終更新日 2026.06.18
登録日 2025.07.22
細身ながら筋肉質な身体つきで男前。そんな良治《よしじ》は汚穢屋、いわゆる江戸時代の汲み取り業をなりわいとする。イメージと違って結構稼げる一方、他人の見る目はそれぞれで、公平に接する者もいれば、文字通り鼻つまみ物扱いしてくれる輩もいる。同業の完吉や、小さい頃からの友人で受験生の真之助らと賑やかに過ごす日々のまにまに、良治は以前手柄を立てた縁のせいで、同心や岡っ引きから当てにされることも。犯罪に関して良治の鼻はバカにならない、汚穢屋事件帳。
※参考文献
1.『江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実』(古川愛哲 講談社+α新書)
2.『鬼滅の刃をもっと楽しむための大正時代便覧』(大正はいから同人会 辰巳出版)
文字数 22,607
最終更新日 2026.06.24
登録日 2026.05.31
文字数 581,062
最終更新日 2022.03.28
登録日 2021.11.29
賽の目こそ、我が命。勝てば人質、負ければ贄。肌は太鼓の皮となる。
紀元前六世紀、春秋時代。山西省に晋という国があった。
晋の有力貴族の若き令息、荀罃(じゅん/おう)は楚との戦争で虜囚となった。
虜囚となった荀罃に、楚王は言い放つ。
「古来からの取り決めにより、贄とし、汝を祖霊に捧げる。その皮を以て鼓を作り、その血を以て鼓の彩りとしよう。骨は廟に捧げられ、肉は宴に捧げられる」
しかし、しかし
「我が臣がそちらの虜囚になっていることもある。汝を贄にするか、質にするか、遊戯で占おうではないか」
運任せの盤上遊戯で、荀罃は己の運命を切り開けるか。
文字数 39,115
最終更新日 2025.06.16
登録日 2025.05.22
時は北宋、愚帝のもとに奸臣がはびこる中、侵略の足音が遠くに聞こえる乱世。
義に篤く、忠を重んじながらも正道から外れて生きざるを得ない百八人の好漢たちが、天に替わって正しい道を行うため梁山泊に集う。
おおいに笑い、肉を食らい、酒を飲み、義の道を行く彼らに待つ結末とは――
滝沢馬琴が愛し、歌川国芳が描き、横山光輝や北方謙三が魅せられ、ジャイアントロボも、幻想水滸伝も、すべてはここから始まった!
108人の個性豊かな好漢、108の熱き人生、熱き想いが、滅びゆく北宋の世を彩る痛快エンターテイメント小説『水滸伝』を、施耐庵の編集に忠実に沿いながらもあらたな解釈をまじえ読みやすく。
※原作の表現を尊重し、一部差別的表現や人肉食・流血等残酷な描写をそのまま含んでおります。御注意ください。
※以前別名義でイベントでの販売等をしていた同タイトル作品の改訂・再投稿です。
文字数 357,868
最終更新日 2026.06.23
登録日 2025.09.22
三国志を知っている人なら誰もが一度は考える、
『もし、呂布が良い人だったら』
そんな三国志演義をベースにした、独自解釈込みの
三国志演義です。
三国志を読んだ事が無い人も、興味はあるけどと思っている人も、
触れてみて下さい。
文字数 808,706
最終更新日 2021.08.18
登録日 2021.05.26
江戸の裏長屋の入り口にぽつんと佇む小さな煮売屋『春亭(はるてい)』。十七歳の看板娘・おはるは、半年前に亡くなった父の跡を継ぎ、たった一人で店を切り盛りしている。
しかし、肉体労働で汗を流す江戸の職人たちが好む「ガツンと濃い甘辛味」をどうしても再現できず、喧嘩っ早いが情に厚い常連客の大工・辰次からは「味が薄え!」と文句を言われる毎日。父の味を守るべきか、己が信じる出汁を活かした新しい味に挑むべきか、おはるは思い悩んでいた。
そんなある日の昼下がり。店の隅で酒を飲んでいた初老の客・源兵衛が、ぼそりと一言「大根の面取りが甘い。冷める時に味を含ませろ」と呟く。そのたった一つの助言に従っただけで、おはるの大根の煮付けは驚くほど深く、澄み渡った極上の味へと変化した。
凄まじい舌と料理の知識を持つ源兵衛は、一体何者なのか?
正体を明かさない彼からの、そっけなくも的確な「料理指南」を受けながら、おはるは料理人としての才能を少しずつ開花させていく。食欲の落ちた長屋の女将さんや、喧嘩した丁稚たち……ワケありの客たちの悩みをおはるの作る「人情めし」が温かく解きほぐし、店は次第に活気を取り戻していく。
だが、そんなおはるの前に、やがて『春亭』と彼女自身の料理人としての矜持を揺るがす、思いがけない試練が立ちはだかる――。
一杯の汁、一皿の惣菜に込められた真心が胸を打つ。読めば必ずお腹がすき、明日への元気が湧いてくる絶品のお仕事時代。
文字数 37,822
最終更新日 2026.06.14
登録日 2026.05.31
天正二年、長島。
雨が止んだ。それは、織田の鉄砲が再び「火」を噴く合図だった。
周囲を囲むのは、美しくさえある鉄と逆茂木の檻。逃げ場はない。
泥濘が兵の足を呪いのように掴み、死臭が混じった風が水路を撫でる。
坊官は、その絶望を冷徹な数字に置き換えていた。
残存兵力、食糧、矢じりの数。そして、これから失われる命の「割合」。
「私は、勝つと思っていない」
ふなは血に染まった水路を漕ぎ、重蔵は熱を失った炉で矢を打ち、かわは絶望に狂いゆく民を観察する。
英雄もいなければ、救済もない。あるのは、巨大な暴力に摩耗されていく肉の音だけだ。
歴史が「根切り」と呼んだ、凄惨な消耗戦の記録。
その最深部で、坊官はひとり筆を執る。
包囲網を、呪わしき理で解体するために。
泥濘の聖域外伝
カクヨム:長島異聞録 ―― あるいは、泥濘の流路
https://kakuyomu.jp/works/2912051600145715300
文字数 66,985
最終更新日 2026.06.25
登録日 2026.05.12
明治4年、旧会津藩士に仕える馬丁の娘であった少女が、貧困のため身売り覚悟で上京。
そこで若く美しい華族の青年と運命的に出会い、その馭者(ぎょしゃ:馬車の運転手)となる。
怒涛のような勢いで世が変わりゆく明治初頭。その中で一歩ずつ大人の女性へと成長していく少女「ゆき」
そして美貌の青年華族との身分違いの恋に揺れる乙女心を描いた明治浪漫恋愛ファンタジー。
登場人物
◎ゆき
15歳 女性
茶色い髪 茶色い瞳
旧会津藩家老佐川官兵衛に仕えていた馬
丁の一人娘
馬と心を通わせることが出来る
◎銀鏡 晴近 (しろみ はるちか)
22歳男性
長身 細身に見えるが筋肉質
黒髪の長髪 黒い瞳 驚く程の美青年
華族 従三位中納言
◎粂吉 (くめきち)
歿年50歳 男性
会津藩士 佐川官兵衛の馬丁
ゆきの父
会津戦争の折、官軍の銃撃により戦死
◎みつ
女性 ゆきの母
ゆきを出産した後、まもなく死去
元は佐川家の給仕女
◎佐川官兵衛(直清)
39歳 男性
旧会津藩家老
粂吉、ゆき父子の主君
戊辰戦争で活躍 鬼官兵衛の異名を持つ
熱い心を持った人情家
◎たけ
17歳 女性
ゆきが仕えた佐川家の向かいの西川家に下働
きの女中として仕えていた
二歳年下のゆきと仲が良かった
八戸の遊女斡旋屋「多志南美屋」にて遊女と
して稼働している(源氏名:竹鶴)
◎せつ
29歳 女性
八戸の遊女斡旋屋「多志南美屋」において稼
働している遊女(源氏名:藤松)
かつて江戸(東京)吉原の大見世遊郭「扇松屋」
において「格子」の位にあった元上級遊女
自分が果たせなかった花魁になる夢をゆきに
託し、ゆきを江戸(東京)に向かわせる
文字数 54,078
最終更新日 2026.05.10
登録日 2025.09.23
深川の八幡宮で宮司見習いを務める九条と、幼き日の神輿蔵火災のトラウマから、天才的な将棋の才能を心に封印してしまった美少女・菊。孤立無援の二人のもとに、向島の豪商・覆面魔王と自称する人物から、黄金五百両を賭けた盤上勝負の招待状が届く。
嵐の吹き荒れる隅田川を渡り、巴屋の豪華絢爛たる下屋敷「漣翠荘」へと足を踏み入れた二人を待ち受けていたのは、金と欲の泥に塗れた、尋常ならざる訳ありの男女たちだった。
極貧に喘ぐ武士夫婦、博打で身を持ち崩した彫金師とその妹、借財に追われる浪人とその可憐な許嫁。九条を除いた彼らは全員、あの忌まわしい火災の夜の記憶を共有する、同じ寺子屋で、ほんの数日将棋学校に通う者たちであった。さらにその座には、男女の業をねっとりとした視線で見つめ、画帳に炭を走らせる謎の天才絵師・東洲斎写楽の姿もあった。
屋敷の特別室には覆面の主催者が「誰にも邪魔されぬ敗者のための完璧な部屋」と呼んで不敵に笑う。将棋大会の勝者には大金が与えられ、敗者には、特別室で浮世絵の題材になることが科せられる。ただの浮世絵の題材ではなくその特別室は危な絵が描かれていたのだ。
日本刀で自らの腹を召した淒惨な男の骸。そして、その男の目の前で、この世のものとは思えぬ秘薬と道具によって陵辱し尽くされ、絶頂の果てに吊るされた女の骸。
天井裏の狭い隙間に身を潜め、血生臭い地獄の嬌声と肉体の交わりを五感で知ってしまった九条と菊は、恐怖のなかで底なしの背徳的快楽へと突き動かされていく。謎深き巴屋の真の狙いとは、そして写楽が隠し持つ妖艶な秘密とは何か。盤上の駒のように狂わされていく人間たちの、血と淫靡に染まった歴史時代小説。
文字数 7,561
最終更新日 2026.05.26
登録日 2026.05.24
|下克上《げこくじょう》は、日本史に於ける下位の者が上位の者を政治的・軍事的に打倒して
身分秩序(上下関係)を侵し、権力を奪取する行為を指す言葉である。
有史以来、確実に下剋上と言える事例も多々存在する。例えば斎藤道三の美濃の国盗りは、典型的な下剋上の例である。しかしこの下克上は、旧・守護|土岐氏《ときし》の家臣たちの反感を招き、後に嫡男・義龍と敵対した際に、殆どの家臣が義龍の側につくという結果を招いた。
戦国時代の下剋上の最大の成功例は、織田信長によるものである。
信長は主君の下尾張守護代・織田信友を討滅し、続いて自ら擁立した尾張守護・斯波義銀を追放し、更には将軍・足利義昭も追放して、事実上その地位を奪っている。だが、信長自身も最後は下剋上で討たれ、そうした信長の姿勢は皮肉にも家臣の豊臣秀吉に継承されたのである。
ただし、下剋上が遍く日本列島全域に存在していた訳ではなく、東北地方は「下剋上のない社会」と言われるように地域偏差が存在したのも事実である。
実際に文禄・慶長の役のため肥前国名護屋城に駐留した陸奥国の戦国大名、南部信直は上方の武士から下剋上についてレクチャーを受けているのだ。
しかし、この風潮は徳川家康の下克上によって終止符を打たれた。
この小説は史実に基づく下克上を美濃国道三、尾張国信長、関白秀吉、そして関ヶ原の覇者家康までの長きにわたる戦国乱世の物語である。
現代もなお、斎藤道三を偲ぶ祭りがある。
『道三まつり』である。
現代に至ると、岐阜のまちづくりの基礎を成した道三の遺徳を偲び、昭和47年(1972年)から岐阜市にて毎年4月上旬に道三まつりが開催されている。
私は道三という人物像に触れ、歴史の重みを感じたのであった。
文字数 30,099
最終更新日 2026.05.04
登録日 2026.05.01
【あらすじ】
中国・北宋の末期、旧法党と新法党の党争という、国を割らんばかりの争いは極致に達し、時の皇帝・徽宗(きそう)の宰相、蔡京(さいけい)は新法党を称し、旧法党の弾圧を強行した。
その極致が「元祐党石碑(げんゆうとうせきひ)」であり、これは蔡京が旧法党と「みなした」人々の名が刻印されており、この「石碑」に名が載った者は放逐され、また過去の人物であるならばその子孫は冷遇され、科挙(役人になる試験)を受けることが許されなかった。
だがこの「石碑」に載っているのは、単に旧法党にとどまらず、蔡京に反対する者、気に入らない者も含まれていた……旧法党に属しながらも、旧法の欠点を指摘していた蘇軾(そしょく)のような人物も。
ところがある日、その「石碑」を倒した者がいた――その男、名を高俅(こうきゅう)という。
彼の見せた「意地」とは――
【登場人物】
蔡京(さいけい):北宋の太師(宰相)。新法党を称し、旧法党弾圧の名を借りて、反対派を弾圧し、己が権勢を高めるのに腐心している。
徽宗(きそう):北宋末期の皇帝。文化人・芸術家としては秀でていたが、政治面では能力はなく、宰相の蔡京に依存している。蹴鞠が好き。
童貫(どうかん):宦官。兵法、武を極め、国軍の太尉(司令官)を務める。蔡京と共に、徽宗の政治への無関心に乗じて、国政を壟断する。
高俅(こうきゅう):禁軍(皇帝近衛軍)の太尉(司令官)。棒術、相撲等多彩な才能を持ち、中でも蹴鞠が得意。若い頃は不遇であったが、左遷先の黄州での「出会い」が彼を変える。
蘇軾(そしょく):かつて旧法党として知られたが、新法といえども良法であれば活かすべきと主張する柔軟さを具える。能書家にして詩人、そして数々の料理を考案したことで知られる。
ウルツ・サハリ:モンゴル帝国の中書省の役人。髭が長い。詩が好き。妻は詩人の家系の生まれ。
【表紙画像】
「ぐったりにゃんこのホームページ」様より
文字数 10,985
最終更新日 2023.06.28
登録日 2023.06.24
題名『気違いに解釈』とは「気違い(キチガイ)に刃物」という意味である。
『精選版 日本国語大辞典』は「気違いに刃物」について、精神状態が尋常でない人が危険なものを持っていて、非常に危険に思われることのたとえ、と定義する。
建長二年(1250)平河良貞・師時兄弟の父師良が亡くなる。この代替わりによって、平河良貞が平河一族の惣領に就く。代替わりから一年が経とうとする時、肥後国求麻郡永吉庄に構えられていた、平河一族の本館であり、惣領・当主平河良貞の居館「地頭館」に、預所代官が領家発行の下知状を携え、来館した。
用件は、大江広元の預所職を引き継いだ外孫の近衛実春が、平河相伝の永吉庄地頭職を譲り受けたことを伝えるためだった。平河にとっては寝耳に水であり、預所のなした横領行為といえた。
さっそく平河の者たちによる衆議が開催された。一族内には自力による解決を主張する衆もいたが、平河惣領良貞は鎮西探題への提訴によって一所懸命の地である永吉庄の地頭職を取り戻すことを決める。
良貞たちは相論戦術会議を開き、御成敗式目を中心にした分析と検討を始める。その過程で、須恵尼狼藉を咎とした、幕府による永吉庄の南に隣接する須恵庄所領没収の一件および中求麻の地中に眠る、クヌサ国(狗奴国)の宝物が、今回の預所による永吉庄横領に関係があることに気づく。
――代官来館から十年が経った。
鎮西探題から対審の知らせが届く。平川家惣領良貞と住職良円、智次郎美高の三人は、肥後国求麻郡永吉庄地頭館から筑前国博多、鎮西探題へと出立した。
預所近衛実春による恣意的かつ理不尽な気違い解釈が、平河家の人々に対し、相論申し立てから裁決状を受け取るまで実に三十二年にわたる時間、費用、精神的心労を生じさせた。本迷惑千万事件は鎌倉時代に起きたわけであるが、七百年余りたった現在でも、被害者本人とその家族は肉体的、精神的に深い傷を負わされ、あるいは遺族として一生を苦しみ続けていかねばならない凄惨極まる事件が、世界中で起こり続けている。人皮畜生の類い以下である加害者どもに対して憤りを覚える私は、本題名を付けることにした。
史実としての預所側の主張は次のとおり。譲状にみえる荘園名「西村永吉」は、一円という意味で解釈すべきである。もし別々の荘園ならば、『西村幷(ならびに)永吉』と記されているはずである。よって永吉庄の地頭職も預所が譲得することになる。ただ、この気違い預所による解釈では分かりにくさを感じる。そこで本作品では、平河所領を横領した預所側の理不尽な主張の根拠について、「西村永吉」は西村(庄)の内にある地区「永吉(庄)」と解釈するのが自然と言える。よって、西村と永吉は別々の荘園ではなく、一円の荘園である、と現地の実態を調べず、荘園名表記を曲解した気違い預所による解釈に変更した。
文字数 73,794
最終更新日 2026.05.08
登録日 2025.11.09
17
件