ねこまんまときみどりのことり

ねこまんまときみどりのことり

アルファポリス作品が読みたくて、登録しました。細々と小説も書いています。読んで頂けると嬉しいです。
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児童書・童話 連載中 短編
「ごめんね、チェルシー。私の体が弱いせいで……。でも貴女には、貴女にだけは幸せになって欲しいの。だから私からの最後の祝福は、心を守る魔法……よ…………」 「あ、お母様、イヤァー、死なないで!!!」  その日、長く患っていたジゼルお母様が亡くなった。  私を授かったことが奇跡だと言われたが、マシューお父様は出産でさらに弱くなったお母様を見て、「子供などいらなかったのに」と、泣いていたそうだ。  ある国で生まれた、母と娘の物語です。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
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小説 4,186 位 / 212,642件 児童書・童話 7 位 / 4,037件
文字数 10,595 最終更新日 2025.12.13 登録日 2025.12.11
ファンタジー 完結 短編
「もう我慢できない! あんたなんて、出ておいき!」 「なんだい、なんだい。後から入ってきた女が、息巻いてみっともないよ。ちょっとは我慢も覚えな」 「出てけー!!!」  あらら、追い出されちまったよ。  わたしの母さんが死んで、すぐ家に入って来た女、モアールの性格が悪いのなんの。顔は可愛いし声も高いけれど、化粧はケバいし香水付けすぎだ。くしゃみが出るよ。 まあ女らしい体つきは、大抵の男が喜びそうだけどね。  父さんが居ない間に出かけては、服やら宝石やらを買ってくるし、時々一緒に連れてきた従者? とよろしくやってるし酷いんだよ。  まあそれなら、100歩譲ってギリギリ我慢もできる(父さんの目利きが失敗しただけだ)が、使用人に手を出されたら無理さね。だから言ってやったんだよ。  ちょっとは我慢しなと。  ここは、お貴族様の屋敷じゃないんだよと。  そう言ったら、キレやがったんだよ。  ずいぶんと辛抱が足りないよ、大人なのに。  父さんが貿易に行っていない間に追い出されたわたしは、ここの商家の娘でレノアさ。まだまだピチピチの5才だ。  使用人達が慌ててついて来ようとしたが、悪いけども戻って貰ったんだ。だって今のわたしには金がないからね。 給金が出せないんだよ。  みんな家族がいて、生活しなきゃならないしね。  と言うことで、一人で家を出たのさ。  キレるとどこかの喧嘩師のように、何かが乗り移ったように口汚く叫ぶレノア。その時のことをレノアは、よく覚えていない。ただ猛烈に怒ったと言う以外は。 ◇◇◇ 「うーっ、うーっ」  テクテク歩いて行くと、森の入り口で大きな灰色の犬が苦しげに唸って踞っているから、手持ちの薬を振りかけたんだよ。  そうしたら途端に元気になって、わたしの後をついてきた。 「わん、わんっ」  わたしの周りを元気にクルクルとまわっている。 「悪いけど、餌なんてないんだよ」  そう言うんだが、言葉の壁が邪魔をして通じない。  はーっ、はーっ言ってついてくる。  まあ、腹が減れば行っちまうだろう。  こうして1人と1匹旅が始まったんだ。  という感じで始まった、レノアの小さな冒険です。 小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
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小説 13,191 位 / 212,642件 ファンタジー 2,010 位 / 49,572件
文字数 18,176 最終更新日 2025.12.08 登録日 2025.12.08
ファンタジー 完結 短編
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」 言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。 「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」 「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」 先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。 彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。 だけど顔は普通。 10人に1人くらいは見かける顔である。 そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。 前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。 そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。 「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」 彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。 (漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう) この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。  カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
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小説 453 位 / 212,642件 ファンタジー 82 位 / 49,572件
文字数 25,827 最終更新日 2025.12.06 登録日 2025.12.04
ファンタジー 完結 短編
 政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。  私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。  ククルス公爵家の一人娘。  父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。  複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。 (カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)
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小説 2,256 位 / 212,642件 ファンタジー 352 位 / 49,572件
文字数 16,300 最終更新日 2025.11.28 登録日 2025.11.27
恋愛 連載中 短編
婚約者の私マイナリーより、義妹が好きだと言う婚約者ハーディー。陰で私の悪口さえ言う彼には、もう幻滅だ。  婚約者の生家、アルベローニ侯爵家は子爵位と男爵位も保有しているが、伯爵位が継げるならと、ハーディーが家に婿入りする話が進んでいた。 侯爵家は息子の爵位の為に、家(うち)は侯爵家の事業に絡む為にと互いに利がある政略だった。 二転三転しますが、最後はわりと幸せになっています。 (小説家になろうさんとカクヨムさんにも載せています)
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小説 3,380 位 / 212,642件 恋愛 1,782 位 / 61,684件
文字数 73,364 最終更新日 2025.11.25 登録日 2025.05.02
ファンタジー 完結 短編 R15
愛人の子であるリンダは、先妻が亡くなったことで母親が後妻に入り侯爵令嬢となった。  特に家族との確執もないが、幼い時に受けた心の傷はリンダの歩みを決めさせる。 「貴族なんて自分には無理!」  そんな彼女の周囲の様子は、護衛に聞いた噂とは違うことが次々に分かっていく。  真実を知った彼女は、やっぱり逃げだすのだろうか? (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 17,755 位 / 212,642件 ファンタジー 2,577 位 / 49,572件
文字数 109,003 最終更新日 2025.11.11 登録日 2025.07.08
ファンタジー 完結 短編
 私は生家の侯爵家を追い出され、乗り合い馬車で隣国に行く途中である。 「ああ、良い天気。空が青いわ」  ゴトゴトと揺れる馬車に、子供連れのご婦人はお尻が痛いと呟くが、子供は景色を見ながら元気いっぱいに歌っている。  それを見る私も、初めての乗り合い馬車の振動に驚いているが、気持ちはスッキリしている為か楽しんでいる。風も暖かく頬を撫でる。  ハチキナ侯爵邸の物置部屋で、使用人に交じって掃除をしていた時とは雲泥の差である。たくさんの使用人もいるのに、私にもそれを強いていたのだ。 「お義姉さま、まだ此処の床汚れてましてよ。これじゃあ夕食をあげられないわよ」  わざとバケツを蹴飛ばして、掃除後を汚す義妹のギルモア。 「本当屑ねえ。チャチャと遣ってちょうだい。旦那様が戻るわよ!」  見ていた癖に嫌みを言う義母ユネジュー。  私の名前は、サフラン・ハチキナ。  母が亡くなってから、父の愛人家族が侯爵家に乗り込んできた。 (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 14,059 位 / 212,642件 ファンタジー 2,108 位 / 49,572件
文字数 20,038 最終更新日 2025.11.07 登録日 2025.07.06
歴史・時代 連載中 短編 R15
 私は菊。源お父ちゃんの養女だ。お父ちゃんは同心で、浅賀清次郎さんに雇われて、岡っ引きをしている。いつも仕事終わりに夜回りと言って、呑んで帰ってくるから心配なの。  南町奉行所のあるこの町は平和だったけれど、最近子供が居なくなる事件が発生している。お父ちゃん、何とかして!  家名については、フィクションとしています。実在の方とは別と思って下さいね。   (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 212,642 位 / 212,642件 歴史・時代 2,865 位 / 2,865件
文字数 56,261 最終更新日 2025.10.23 登録日 2025.05.28
ファンタジー 連載中 短編
 魔力がないと決めつけられ、乳母アズメロウと共に彼女の嫁ぎ先に捨てられたラミュレン。だが乳母の夫は、想像以上の嫌な奴だった。  乳母の息子であるリュミアンもまた、実母のことを知らず、父とその愛人のいる冷たい家庭で生きていた。  そんなに邪魔なら、お望み通りに消えましょう。   (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)  
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小説 5,200 位 / 212,642件 ファンタジー 818 位 / 49,572件
文字数 144,059 最終更新日 2025.10.14 登録日 2025.06.21
ファンタジー 連載中 短編
「もう我慢ならん。お前との婚約は解消する!」  見目麗しい紫の髪の伯爵令息は、婚約者カルーラ・ドンマインを自宅に呼びつけて、婚約解消を告げた。 「わかりましたサム様。今までありがとうございました」  深々と礼をして去っていくカルーラは、悲壮感の欠片もなく慎み深い微笑みだけを浮かべていた。 「なんでだよ、カルーラ。簡単に納得するなんて!」  婚約解消を言い渡した伯爵令息サム・ロンベサールは、悔しげにその後ろ姿を脱力して眺めた。  その背後では母親のマリンが、うんうんと頷きながら近づき彼の両肩に手を置いた。  マリンはこの婚約に反対だったのだ。 「やったー! 婚約解消できた。マジぎりだった」  カルーラは、婚約解消を心から喜んでいた。  だって私達は知っていた。  これは映画で見た《愛と悲しみのカルーラ》に似ていたから。  それも家族揃って、役柄も一緒だ。  でも実体はあるし不思議。  何だか、別の世界にいるような感じなのだ。 (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 36,993 位 / 212,642件 ファンタジー 5,403 位 / 49,572件
文字数 141,539 最終更新日 2025.09.22 登録日 2025.07.25
恋愛 連載中 短編 R15
「もう、いつもそれだ。お前は俺の母親か? もう聞き飽きたぞ。口を閉じろ! それにか弱いガーベラを睨むなと、何度言ったら覚えるんだ! お前の顔は怖いんだよ!」 「ですが、殿下」 「ええい、うるさい。もう去れ」 「………はい、失礼します」  私は第一王子の婚約者、ベロニカ・コールデンと申します。  先程怒っていたのがその第一王子、ウィルデンガー・ゲインスト様です。  何やら私の言い方が良くないのか、最近すぐに怒られてしまいます。  その上必要以上に距離の近い女生徒がいて、それは良くないことだとお諌めしていたのですが、4日程前に2人の仲睦まじい様子を見て、考えを改めました。  彼女の微笑みに目を細められる殿下の姿は、私には向けられないものです。  彼女もまた目を輝かせて殿下を見つめていました。   そして私を目に入れた彼女はニヤリと微笑み、殿下の胸に顔を埋めました。  その後に殿下は私を睨み付けたのです。  私の雇う隠密の話によると、殿下は彼女の言うままに贈り物をし、彼女も殿下を喜ばせようと菓子を焼き贈っているそうです。  これぞ相思相愛。  相互の意見を受け入れ尊重し、幸せに戯れて語る。  ああこれは、邪魔なのは私ですわ。  彼女が殿下をお諌めすれば、きっと殿下は良い方向に動けるのではないかしら?  そう思えるようになったのは、私の好きな小説『微笑むリトルフラワーは、僕の最愛』を読んだからですわ。  内容は弱小貴族である、男爵令嬢と王太子との身分を超えた愛。  国王や婚約者の妨害を乗り越えて、懸命な努力をし立派に成長した2人は、周囲を説得して結婚するのですわ。  もう涙が止まりませんわ。  愛ですわ。  そんな訳で私は傍観者に徹しようと思いますの。  小説によると私の立場と同じ公爵令嬢は、女生徒の持ち物や本人に危害を加えるのですが、そんなことは出来ませんわ。  だって男爵令嬢は未来の国母になる方ですもの。  私はそっと身を潜め、彼らの目に入らないように致しましょう。  幸い王太子妃教育は終了しておりますので、登城することもありません。  出来る限りエンカウントするのは避けて、隠密からの報告を楽しみに待ちましょう。  楽しくなって来ましたわ! (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 16,275 位 / 212,642件 恋愛 7,436 位 / 61,684件
文字数 66,889 最終更新日 2025.09.09 登録日 2025.05.24
ファンタジー 連載中 短編
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文字数 22,930 最終更新日 2025.08.18 登録日 2025.08.12
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文字数 41,394 最終更新日 2025.07.20 登録日 2025.06.18
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文字数 11,898 最終更新日 2025.07.02 登録日 2025.07.02
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文字数 36,455 最終更新日 2025.06.28 登録日 2025.06.25
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小説 25,522 位 / 212,642件 ファンタジー 3,527 位 / 49,572件
文字数 7,542 最終更新日 2025.06.25 登録日 2025.06.25
SF 連載中 短編
本当にこれが、そう?」 「そうだ、たぶん」 「じゃあ、割るぞ、セーノッ」  刃物を当てた瞬間、パッカーンと何かが飛び出した。  なんと、可愛い女の子だ。 「ドワーッ、ちょっと、あんたら正気か? 普通、こんな金属に刃物で挑まないでしょ? どうなってるの、全くもう!」  なんか、怒って叫んでいる。  まあ切りどころが悪ければ、大量出血しただろうから仕方ないか。  女の子は怒っていた。 (お爺さんは川から流れてきたのが桃だと思ったから、実はタイムマシンでしたと言うオチ? でもさ、ドラム缶くらいでかくて桃色の球型だけど、桃に見えたのかな? 本当に? まあ、それはさておき) 「それより、何その刃物? このタイムマシンは宇宙船にも使われる素材よ。普通の包丁じゃ、絶対刃こぼれするはずよ。素材は何?」  お爺さんとお婆さんは、顔を見合わせてニヤッと笑った。  桃のような物から出てきたのは、可愛い女の子だった。 (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 25,522 位 / 212,642件 SF 191 位 / 6,133件
文字数 30,097 最終更新日 2025.06.14 登録日 2025.05.23
ファンタジー 完結 短編
貴方はもう、好きに生きると良いわ。鞄に入っているのは、これまでの慰謝料みたいなものよ。………遠慮せずに受け取って」 長年暮らした場所を僕、シューベルトは出ていく。 住みやすかったとは言えない、小さな別邸が僕の全てだった。 ◇◇◇ 僕の母親は、僕を産んで死んだ。 産まれたばかりの僕を残して。 僕の出産は、この家の奥様と同じ日だったらしい。 奥様は女の子を。 僕の母親は僕を産んだ。 僕の母親は愛人だったらしい。 このことは奥様と一部の使用人以外には秘密にされていたそうだ。 ◇◇◇ 「お前は私の跡取りだ。たった一人の男の子よ」 この家の伯爵様が幼い僕に言う。 それを見て、奥様の目が無意識につり上がる。 伯爵様はそれに気づき、ほくそ笑むのだ。 僕は愛人の子だけど、伯爵様と奥様の子として届け出が出されている。 奥様の子マルガリーテは、愛人の子として届けが出された。 血縁上の父親である伯爵のせいで、シューベルトの人生は大きく変わっていくのだ。 (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 22,137 位 / 212,642件 ファンタジー 3,058 位 / 49,572件
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ファンタジー 完結 短編 R15
「花は散るから、命を燃やして美しく咲き誇る。僕の好きな詩文の一節なんだ」 こんな陳腐な台詞が似合う、美しい顔の男は私の婚約者。 騎士団の副団長で、名前はランディス・グレイ。 金髪碧眼の高身長で、おまけに声も渋い。 何処だか伯爵の息子だ。 世間の噂では、“悲恋の王子様(プリンス)” らしい。 身分的にも王子様(プリンス)って、可笑しいだろうに。 そんな彼の4番目の婚約者となった、平民のメルト・サキラーバ。 彼と婚約した令嬢は、みんな1年以内に死んでいると言う。 ちょっと、縁起悪いんですけど、まったくもう。 (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
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小説 30,299 位 / 212,642件 ファンタジー 4,192 位 / 49,572件
文字数 13,689 最終更新日 2025.05.21 登録日 2025.05.21
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