桜の朽木に虫の這うこと

「人間って、何だろう?」

十六歳の少年ウツロは、山奥の隠れ里でそんなことばかり考えていた。

彼は親に捨てられ、同じ境遇・年齢の少年アクタとともに、殺し屋・似嵐鏡月(にがらし きょうげつ)の手で育てられ、厳しくも楽しい日々を送っていた。

しかしある夜、謎の凶賊たちが里を襲い、似嵐鏡月とアクタは身を呈してウツロを逃がす。

だが彼は、この世とあの世の境に咲くという異界の支配者・魔王桜(まおうざくら)に出会い、「アルトラ」と呼ばれる異能力を植えつけられてしまう。

目を覚ましたウツロは、とある洋館風アパートの一室で、四人の少年少女と出会う。

心やさしい真田龍子(さなだ りょうこ)、気の強い星川雅(ほしかわ みやび)、気性の荒い南柾樹(みなみ まさき)、そして龍子の実弟で考え癖のある真田虎太郎(さなだ こたろう)。

彼らはみな「アルトラ使い」であり、ウツロはアルトラ使いを管理・監督する組織によって保護されていたのだ。

ウツロは彼らとの交流を通して、ときに救われ、ときに傷つき、自分の進むべき道を見出そうとする――

<作者から>

この小説には表現上、必要最低限の残酷描写・暴力描写・性描写・グロテスク描写などが含まれています。
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