恋愛 ラジオ 小説一覧
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1
深夜ラジオの構成作家である私が選んだ「妻と別れて恋人を選びたい」という相談――差出人は、私の夫でした
「妻は、人の言葉にはいくらでも答えを作れるのに、僕の言葉には返事をしてくれません」
深夜ラジオの人生相談に届いた、その一文を書いたのは私の夫だった。
佐伯真帆、三十三歳。番組の構成作家。他人の気持ちを、その人が使えなかった言葉に直すのが仕事だ。
夫は妻に打ち明ける前に、顔も知らない他人へ「あなたは悪くない」と言わせようとしていた。その番組を妻が作っていることは、忘れたまま。
真帆は三つだけ条件を課して、そのメールを生放送に乗せる。個人情報は明かさない。書かれていない事実は足さない。罵倒だけの投稿は選ばない。
殺到したメールから三通を選び、パーソナリティーへ渡す最後の一行を書いた。
「あなたが欲しいのは助言ではなく、許可です」
「あなたには恋人を選ぶ自由があります。けれど奥様にも、あなたを許さず、あなたのいない人生を選ぶ自由があります」
放送は終わった。けれど、妻からの回答はまだ残っている。
これは、十年間ずっと他人の言葉を整えてきた女が、自分の気持ちを初めて自分で書き、自分の声で話すまでの物語。
2
深夜二時のラジオから、君の嘘が聞こえる
「私たちはきっと、同じ夜の、違うスピードの電車に乗っていた——」
橘 葵(たちばな あおい)、27歳。
地元・京都から上京して4年。文具メーカーで働く彼女の日常は、東京のスピードに必死についていくことで精一杯だった。
遠距離恋愛の末、2年前に別れた元カレ・瀬尾 航平(せお こうへい)への未練を、都会の喧騒に隠しながら。
午前二時、静まり返ったワンルームマンション。
孤独に耐えかねて点けた古いラジカセのノイズの向こうから、聞き覚えのある不器用な声が流れてくる。
それは、地元で音声エディターとして働く、航平の声だった。
深夜ラジオの電波に乗って、突然語られ始めた「二人の過去」。
そして彼の口から飛び出したのは、上京する直前、最後に二人で引いたあの懐かしい**『一禅堂の恋みくじ』**の名前だった——。
【言葉を惜しめば縁は解け、本音を語れば絆は深まる】
2年間の沈黙を破り、深夜の電波が明かしていく、お互いを思いやるあまりについていた「二つの嘘」。
東京と京都、深夜二時に繋がる15分間の奇跡。
忘れたはずの恋の痛みが、優しい涙に変わる、大人のための再生と純愛の物語。
(※読了時間:約15分。静かな夜に、そっとラジオを聴くような感覚でお楽しみください)
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