第2回ライト文芸大賞終了

第2回ライト文芸大賞

選考概要

第1回を大きく上回る応募数となった今回は、大切な人との切ない別れを描いた物語や、家族の在り方を主軸としたもの、瑞々しい青春を描いた小説など、幅広いテーマの作品が集まった。社会問題や主人公の抱える悩みを描きつつも重い雰囲気になりすぎず、ラストでは希望や救いを見出すような、読後感のよい作品が多かった。


多数の応募の中から、編集部内で大賞候補作としたのは、「命のバトンは未来へ繋がる ~The Last 100 day~」「『私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの』」「力士かと思ったら僕のカノジョだったよ」「未来からの小説、過去からの恋」「余命5分の恋人 ~死神にあらがうために、僕と君は恋をする~」「さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド」「八月の魔女」「ハナサクカフェ」「アパートの一室」「サマーエンディングストーリー」の10作品。


それぞれ個性的で異なる魅力があったが、いずれも大賞には一歩及ばなかったため、新たに優秀賞を設けて編集部内での評価を集めた「八月の魔女」を選出した。また、テーマ別の賞として、甘酸っぱい恋心を描いた「さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド」を青春賞、恋人との未来をつかもうとする「余命5分の恋人 ~死神にあらがうために、僕と君は恋をする~」を切ない別れ賞、主人公の懸命な姿を描いた「命のバトンは未来へ繋がる ~The Last 100 day~」を命の輝き賞、子育てをテーマとした「ハナサクカフェ」を家族愛賞とした。
さらに、これらの作品にわずかに及ばずながらも優れた作品であった「『私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの』」「サマーエンディングストーリー」の2作品を特別賞に選出した。
また、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。


「八月の魔女」は、魔女の力を受け継ぐ高校生の主人公が、自分の将来について悩みながら祖母の家でひと夏を過ごし、成長する物語。ハーブやまじないの言葉を使って日々を丁寧に過ごす様子や、作品に流れる優しい雰囲気が心地よく、物語に緩急がある点も高く評価された。

「さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド」は、雨の日だけ幽霊が見える主人公が、記憶喪失の幽霊と出会って恋に落ちるというストーリー。幽霊に恋心を抱いてしまった主人公の苦悩や心の揺らぎが繊細なタッチで描かれ、構成力・筆力の高さがうかがえた。

「余命5分の恋人 ~死神にあらがうために、僕と君は恋をする~」は、“死神チェック”により余命を宣告された主人公が、同じ境遇の少女と恋人になり、未来を覆そうとする物語。恋愛模様に加え近未来的な設定が目を引き、インパクトのある作品だった。

「命のバトンは未来へ繋がる ~The Last 100 day~」は、命を救われた主人公が救命士となり、救命現場で奮闘する姿を描いたもの。主人公の生き様から伝わる信念や「命」というテーマが明確で、読者へのメッセージ性を強く感じられた。

「ハナサクカフェ」は、子育てに悩む客の視点で、赤ちゃん・乳児専用カフェでの出来事を語った作品。育児の悩みがリアルに描かれつつも、店員の温もりや苦悩を打ち明けて前に進もうとする親から希望が感じられ、読後感のよい作品だった。

「『私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの』」は、主人公の家に親戚の女の子が突然訪ねてきたことから始まるストーリー。前半は軽い筆致でありながらも、終盤は雰囲気が一変して謎が提示されるという、意外性を狙った構成が巧みだった。

「サマーエンディングストーリー」は、故郷に戻った主人公が幼馴染や家族との繋がりを改めて考え直す物語。物語全体に漂う夏を感じさせる空気感や、どこかノスタルジックな趣のある情景描写が巧みで、筆力の高さがうかがえた。

応募総数833作品 開催期間2019年04月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。キャラクター達が生き生きと表現されており、読んでいるこちらまで元気になるほどのエネルギーを感じました。日常と非日常を魅せる舞台設定が巧みで、その場に自分がいるかのように思わせる世界観が、多くの読者をひきつけたのではないかと思います。


編集部より

祖母の家へ帰省した夏の、穏やかに流れる時間や暮らしの風景が丁寧に描かれている作品でした。主人公をはじめ、登場人物たちが各々の抱える苦難を乗り越えて成長していく様子なども、繊細に表現されていると思います。魔女や妖精というファンタジー要素も日常の中に違和感なく溶け込んでいて、非常に魅力的でした。

さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド


編集部より

雨の日だけ幽霊が見えるという主人公の設定に加え、幽霊の正体に関する伏線が巧みでした。顔の見えない幽霊に恋心を抱き、いつしか雨の日を待ち遠しく思う主人公の心情が丁寧に描かれていて、爽やかさと共に切なさが伝わってきます。感情移入せずにはいられない、最後まで目が離せない作品でした。


編集部より

AIが予測した未来に抗おうとする少年少女の懸命な姿が瑞々しいタッチで描かれていて、別れの予感に切なさを覚えつつも、読後には爽やかな気持ちになれます。SFや青春、恋愛といった要素が物語にうまく絡んでおり、十代に限らず、上の年齢層にも支持される作品だと感じました。


編集部より

主人公が救命の現場で苦悩しながら、救助者の命を繋ごうと懸命にひた走る姿が印象的でした。主人公はもちろん、一見、飄々としているように見える貝塚医師や、医師として命を懸けた神谷など、キャラクターひとり一人の「生」に対する信念が描かれており、読み応えのある作品だと思います。


編集部より

悩みを抱えながらも子供に愛情を注ぐ親の姿が、リアルに描かれた作品でした。それぞれの親の視点で語られることで、キャラクターの感情がうまく表現されています。また、親たちに寄り添う店員たちの優しく温かい雰囲気も心地よく、こんなカフェが身近にあったらと思わせる魅力的な物語でした。


編集部より

キャッチーなタイトルと導入に加えて、読者の裏をかく展開が巧みでした。また登場人物に人間味があり、メリーのために諦めず必死になる主人公と、彼を心から助けてくれる周囲のキャラクターの姿に、思わず胸が熱くなりました。切ないけれど最後には心温まる作品だと思います。


編集部より

「ひと夏の物語」を感じさせる空気感や懐かしさの漂う情景描写が、物語の主題と合っていました。悩みを抱えながらも強く生きる幼馴染や、幼い頃に亡くなった父との邂逅を経て、自分を見つめ直していく主人公にも好感が持てます。じんわりと心に沁みる味わい深い作品でした。

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