第11回漫画大賞終了

第11回漫画大賞

選考概要

今回、編集部内で大賞候補作としたのは、「創造の救世主」「青色の遺産」「落とし子と従者の物語」「BREMEN-KLASSE」「紅弁慶の幽鬼殺し」「異世界チートとゾンビヒロイン」「オリオン運送」「俺の女房役になってくれ!」「ボクのロボット」「アフター・ヒーロー」「最強の姫騎士と白バラ」「Lizard man」「ガラム - コリアンダーの竜」「終の額縁」「RED DESERTER」の15作品。

どの候補作も、それぞれに魅力を持った力作揃いだったが、「大賞」としては一歩及ばずという意見が多く、大賞は「該当作なし」という結論に至った。

続く各賞の選考において、評価が特に高かった「創造の救世主」「青色の遺産」に優秀賞(賞金30万円)を設け授与。「落とし子と従者の物語」「BREMEN KLASSE」「紅弁慶の幽鬼殺し」の3作を、今後の飛躍に期待を込めて特別賞(賞金10万円)に選出した。

「創造の救世主」は、空想の世界に入り込み、人類滅亡の危機を救うために主人公達が奮闘する異世界バトルファンタジー。王道ながらも引きのあるストーリー展開がしっかり作れており、読者を惹きつける力を十分に持った作品だと感じた。

「青色の遺産」は、素朴な街娘であるヒロインが勇者とともに旅に出る冒険ファンタジー。笑いもふんだんに織り交ぜられた個性豊かなキャラクターに加え、長編ながらしっかりと伏線が張られた見事なストーリー構成に賞賛が相次いだ。

「落とし子と従者の物語」は、美しき主と、彼に拾われた仮面の従者が繰り広げるファンタジーBL作品。女性受けをしっかりと意識したレベルの高い画力もさることながら、繊細な心情描写で切ない恋愛ストーリーがつむぎ出せている。

「BREMEN-KLASSE」は、グリム童話のブレーメンの音楽隊をモチーフにした、退魔物ファンタジー。多くの女性の心を掴むであろうヒーロー描写や、大胆で華やかな漫画表現など、とにかく画面の完成度が高く、期待値の高い逸材だと票を集めた。

「紅弁慶の幽鬼殺し」は、幽鬼と呼ばれる怪物との戦いを軸とした和風バトルファンタジー。バトルシーンの迫力は他と一線を画しており、また幽鬼を取り巻く人間関係も遜色なく描かれ、完成度の高さを感じさせてくれた。

また、惜しくも受賞を逃した10作品もそれぞれに見所があり、実力を感じる作品ばかりだった。

「異世界チートとゾンビヒロイン」は、引きのあるタイトルとオリジナリティのあるキャラクター設定にセンスを感じる個性派作品。これからの展開に期待が高まりつつも、構図の切り方や背景描写、トーン使いなどを改善し、原稿としてのクオリティを今一歩上げられるといいだろう。

「オリオン運送」は、宇宙空間を漂流していた冷凍睡眠カプセルに眠っていた少女が、救ってくれたオリオン号で織りなす人間模様を描く。宇宙空間の描写が目をひき、独自の世界観をしっかり作り出せている一方で、ストーリーの比重が恋愛に置かれすぎており、ロボットの活躍など宇宙空間という設定を活かしたダイナミックさが物足りないと感じられた。

「俺の女房役になってくれ!」は、主人公が野球のバッテリー役に幼馴染の女の子を選ぶという斬新なラブコメディ。ストーリー展開は秀逸で、ギャグもシリアスもバランスが取れていて面白い。しかしながら、野球のダイナミックさが演出できておらず、読者層を狭めないためにも、4コマ漫画にするのかストーリーものにするかは検討の余地がある。

「ボクのロボット」は、感情をなくした父親とその子供の家族愛を描いた4コマ作品。能天気なロボットが哀愁を漂わせ、可愛らしい絵柄でありながら、萌え漫画に止まらないメッセージ性をしっかり包括している。しかしながらシンプルな絵柄で、読者の好き嫌いの差が激しく出る可能性があることが懸念材料となった。

「アフター・ヒーロー」はスーパーマンたちが活躍し過ぎたゆえに弊害が起き、能力を制限されてしまうというアメコミ風作品。斬新な設定やしっかりと練られたストーリー構成、画風のインパクトへの評価は非常に高かったものの、セリフやモノローグで説明しすぎている部分や吹き出しの形の読みづらさなどがマイナスとなった。

「最強の姫騎士と白バラ」は、最強の剣士であるヒロインと庭師との恋を描いたラブコメディ。画力は申し分ないものの、想定読者をどこに設定するかが課題となる。素直になれない姫騎士の恋心は、女性が感情移入しやすいと思われるが、絵柄は線が強く男性向け。このあたりの狙いをしっかりと定める必要がある。

「Lizard man」は、ロンドンの郊外で刑事として働く主人公が、ギャングの悪事を明らかにするために奮闘する長編シリアス作品。華のある画力と構成力が目を引き、キャラクターの魅力も引き出せている。一方で、ストーリーにはやや情報を詰め込みすぎていたため、読みやすさ、わかりやすさを意識したストーリー構築が課題だ。

「ガラム - コリアンダーの竜」は、“竜の石”を巡って領主の姫と主人公が心を通わせるファンタジードラマ。背景や竜など細部まで描き込まれた緻密な表現力は、脱帽もの。ストーリーも読み応えがあり、しっかり練られていた。しかし、画面全体が白くメリハリが足りないため、トーンを使用することでより作品の完成度を上げて欲しい。

「終の額縁」は、絵画に命を吹き込み、実体化できる主人公が、役目が終わった絵を額縁に再び封印するという人間ドラマ。画風・ストーリーともに独自の世界観をしっかりと目指せており、完成度の高い作品だ。対象読者をしっかりと定めるという意味でも、BL要素をどこまでストーリーに組み込むかが課題となるだろう。

「RED DESERTER」は、脱走兵として使命手配された主人公たちが、平和に生きられる未来を目指して奮闘する少年漫画。登場人物達のやり取りが面白く、スピード感のある展開が素晴らしい。画力も荒削りながら、好まれやすいキャラクターが作れている。よりオリジナリティのあるストーリー作りを目指せれば、さらに多くの読者を獲得できるだろう。

「第11回漫画大賞」は473作品という多くの応募があり、ジャンルも幅広く、レベルも非常に高い力作が参加してくれていた。残念ながら大賞は出なかったが、早くも次回の漫画大賞に期待が持てるラインナップとなった。来年こそ、大賞に輝く作品が現れることを心待ちにしている。

応募総数472作品 開催期間2018年03月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。魔王になるべく異世界に召喚された主人公が、魔界の仲間たちに翻弄されながらも、次第に心を開いていく物語です。個性が際立ったキャラクター達は、ビジュアルも可愛らしく、賑やかなやり取りも面白く、キャラを活かしたテンポのよいギャグ展開が作れていました。また、シリアスに読ませる箇所もうまく演出できており、高いストーリー力も感じられました。今後、主人公が魔王になった後、どう魔界を守っていくのか、読者が読みたいであろうストーリー展開をしっかりと目指せるといいでしょう。


編集部より

表情豊かでいきいきとしたキャラクター描写と、読みやすくスピード感のある構成が魅力的で、テンポ良く読み進めることができました。また、ストーリーは王道ながらオリジナリティのある展開が繰り広げられ、冒頭の物語の世界への転移をフリにしたどんでん返しのアイデアは、最も評価に値するポイントでした。最大の課題は画力です。人物描写の不安定さ、男女のキャラクターの描き分け、および画一的な感情表現などはまだまだ改善の余地があると感じたので、画力を磨いてワンランク上の作品作りを目指してください。


編集部より

王道のファンタジーながら、古臭さを感じさせないストーリー構成や個性豊かなキャラクター設定が目を引く作品です。ストーリーの伏線や各キャラクターの役割など、しっかりとした構成に基づいた物語は読み応えがあり、続きが気になるものでした。また画力についても、人物・背景描写がしっかりとできており、世界観が余すことなく伝わります。作品としての総合力は文句なしに高く、さらに回を重ねるごとに画力も向上していることから、今後の発展も期待できると編集部でも高い評価を集めました。ギャグ描写が物語を止めてしまっている部分があるため、扱い方を考慮すれば、より幅広い層に受け入れられるでしょう。


編集部より

登場人物のビジュアルがとても繊細で魅力的であり、背景描写も含めて画力のレベルの高さを感じました。また、ストーリー構成も盛り上がりを意識できており、心情描写も丁寧で、ユリウスとクスターの関係性に引き込まれます。画面構成も巧みで、感情の細やかな動きを表現できていました。物語はまだ序盤ですが、続きが読みたいと思わせる要素を多く含んだ作品です。今後、ユリウスとクスターの関係性がどう動いていくのかが腕の見せどころでしょう。


編集部より

とにかく画力の高さが光っており、キャラクターの華やかさ、背景や効果線の緻密さなど、どこを見ても惚れ惚れしてしまう出来栄えでした。さらにはバトルシーンの迫力ある構図など、漫画としての完成度が非常に高いと感じました。一方で、ストーリーとしては説明不足な部分が多く、読者に疑問を持たせてしまう流れが見受けられました。ブレーメンの音楽隊である4人のキャラクターを存分に活かすためにも、ストーリーの流れの中で世界観、およびキャラクターの説明を入れ込んで、より読者に受け入れられやすい作品を目指してみてください。


編集部より

幽鬼のインパクトや迫力あるバトルシーンなど、画力の高さが票を集めました。さらには人物の心情描写がとても丁寧で、キャラクターに感情移入したまま、最後まで一気に読ませる力を持った作品でした。しかし、短いページでまとめているがゆえ要素が非常に多く、コマ割りも細かく、全体的に詰め込みすぎだという声も上がりました。今後はページ配分や構図の見せ方が課題となるでしょう。せっかく綿密に練られたストーリーを、より効果的な見せ方で漫画に落とし込めれば、もっと読者の心に残る作品になるでしょう。

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