「西」の検索結果
全体で4,196件見つかりました。
慶応四年三月。桜には早く、しかし名残の雪が江戸の空を淡く舞う。薩摩藩邸、田町。灰色の空の下、西郷隆盛は黙して待つ。頬に残る薩摩の陽射しは、ここでは通じぬ。彼はこの地で、幕臣・勝海舟を迎えようとしていた。
勝は、どこか滑稽なほど急いでいた。懐に忍ばせた書簡は、徳川慶喜の意思を綴ったもの。「江戸を守りたい」と書かれたその筆跡に、勝はかつて見た将軍の瞳を思い出していた。栄華を捨て、命を捨て、それでもなお人々の暮らしを想う男。その影を背負いながら、勝は雪を踏みしめる。
会談は、言葉少なに始まった。
西郷は軍略を持つ男であり、血を流すことに慣れた男である。それでも、その大きな掌は震えていた。江戸に火を放てば、十万の命が消える。それは敵ではない。女や子ども、老いたる町人、彼らの炊事場、火鉢、布団、書物――ただの日常が、黒煙に包まれる。
「おいは……江戸を焼きたくはない」
そう語った西郷の声は、低く、確かだった。勝はそこで初めて、この男が真に恐れているのは戦の勝敗ではなく、人心の断絶であると知る。幕が下り、新たな時代が来る。そのことは避けられぬ。だが、西郷もまた未来を見ていた。武ではなく、誠意で国を結び直す覚悟が、彼の背にあった。
ふたりは語る。
江戸という町の美しさを。
人々が炊き立てた飯の匂いを。
火消しの纏が立つ火の見櫓を。
明日も、明後日も、生きていく人々の鼓動を。
「戦に勝つことと、この国を守ることは、別の話でごわす」
西郷が言ったとき、勝は静かにうなずいた。
そして春雪の中、ふたりの男は、歴史に残る選択をする。
それは、刀を抜かずして成された、もっとも激しい戦い。
己の名を捨てる覚悟と、時代を超えて語り継がれる、沈黙の勝利だった。
文字数 16,482
最終更新日 2025.05.31
登録日 2025.05.31
年老いた西口さんは、かつては家族が賑やかに暮していた家に、今では老犬のタロと共に静かに過ごしていた。関わりのある人間も少ないが、そういった暮らしを受け入れて疑うことはなかった。そんなある日、家に空き巣に入られた事がきっかけで……
ストーリーは2元的に進みます。
文字数 24,444
最終更新日 2015.07.15
登録日 2015.06.29
兵庫県、西宮。再開発の重機が街を喰らう足音が迫る中、古びた商店街の片隅で、一軒の理髪店が静かにサインポールを回し続けている。
店主・白川寅三が振るうのは、亡き父から受け継いだ一丁の「本ハガネ」のカミソリと、客の頭蓋を直接打ち据える熱き「咆哮する水」。
土地を狙う冷徹な地上げ屋、効率を説く若き天才理容師、そして理容界を支配する巨大な闇・大門――。
押し寄せる時代の荒波を前に、寅三は客の産毛だけでなく、魂にこびりついた「迷い」をも削ぎ落としていく。それは、失われゆく街の記憶を守り、父が遺した錆びたカミソリに隠された「真実」へと辿り着くための、孤独な戦いだった。
圧倒的熱量で描かれる、職人の矜持と男たちの交錯。
今、人生を切り拓くための「銀の境界線」が引かれる。
文字数 36,682
最終更新日 2026.03.30
登録日 2026.03.19
単発五回目。今回は短めです。毎日一個投稿してますがそろそろ中断になると思われます。期間は空くかもですがちょくちょく出しているはずなので良ければご覧ください。では。
文字数 181
最終更新日 2019.02.08
登録日 2019.02.08
西暦二十一世紀。
世界最悪の街『ディストピア』では、人類の知恵と努力の結晶、対怪物への最終決定、驕りと愚かさの象徴、『超能力』が具現化し蔓延していた。
そんな中、圧倒的な力によって人類に恐怖を与え続ける『怪物』クレバーとその仲間たちもまた、『ディストピア』に越してきていた。
時として狡猾で時として滑稽な人間と『怪物』は、己の夢と野望を成就させるために戦いに挑む。
文字数 32,793
最終更新日 2019.06.12
登録日 2019.06.04
水乃町のパン屋『ルーブル』。
そこがあたし、水城桜乃(みずき さくの)のお家。
あたしの……大事な場所。
お父さんお母さんが、頑張ってパンを作って。たくさんのお客さん達に売っている場所。
あたしが七歳になって、お母さんが男の子を産んだの。大事な赤ちゃんだけど……お母さんがあたしに構ってくれないのが、だんだんと悲しくなって。
ある日、大っきなケンカをしちゃって。謝るのも嫌で……蔵に行ったら、出会ったの。
あたしが、保育園の時に遊んでいた……ままごとキッチン。
それが光って出会えたのが、『つくもがみ』の美濃さん。
関西弁って話し方をする女の人の見た目だけど、人間じゃないんだって。
あたしに……お父さん達ががんばって作っている『パン』がどれくらい大変なのかを……ままごとキッチンを使って教えてくれることになったの!!
文字数 134,357
最終更新日 2024.04.12
登録日 2023.11.30
◆1行あらすじ
『関西お嬢さま連合』vs『九州お嬢さま連合』、西日本のお嬢さまの覇権をかけた財力バトル。
◆あらすじ
時は令和。
社会の平等化が進むにつれて「お嬢さま」という、いと尊き存在が減少しつつあるお嬢さま不遇の時代。
そんな時代にありながら、関西のお嬢さま方を存分にまとめあげていた『関西お嬢さま連合』筆頭お嬢さま・西園寺桜子さまのもとに、『九州お嬢さま連合』より『比べ合い』の矢文が届けられました。
挑まれた『比べ合い』は受けるのがお嬢さまの嗜み。
これは西日本の覇権をかけた、お嬢さま方の戦いの記録にございます。
文字数 10,112
最終更新日 2022.08.23
登録日 2022.08.19
私は自分の欲望に忠実な男である。たった一度の人生、素直にならなければ大いに損であろう。
東に金髪碧眼の乙女がいれば、その髪の毛を売ってくれと言い。
南に物思いに耽る寡黙な聖女がいれば、ともに性について語り合おうと言い。
西に片想いの少女がいれば、そんなことより私の筋肉を見ろと言い。
北にへヴィーな女がいれば、焼き豚にしてやるとガソリンを浴びせた。
そうして気が付けば、私は国一番の変態主義者として名を馳せていた。
完全に夜のテンションに任せて書いた。後悔はしてない。気が向けば続き書くかも。
文字数 2,184
最終更新日 2017.01.11
登録日 2017.01.11
森の近くに住む腕はいいが口が悪い薬草の調剤士、通称「薬師(くすし)」の老婆アルマの養い子のクロエは薬草の勉強をしている。
ある日アルマの知恵を借りようと、都から役人のマリウスがやってきて、アルマとともにクロエは都に向かうことになった。
今まで出会ったことがない人たちと出会いながら、事件を解決していくことに?
コメディ要素が強い西洋風ファンタジー時代小説です。
*魔法は出てきません。
このお話はあくまでフィクションです。設定は緩いので専門的知識等は実際と違いますのでご容赦ください。
登録日 2019.08.30
鍛冶屋のアンガス。
彼は人生を鍛冶屋に捧げたドワーフ。
そのアンガスが人生の最後に渾身のジョークで笑いを取ろうとする。
彼は最後に弟子達の笑いを取る事は出来るのか!?
よろしければ、フォローやコメントをお願いします。
作者がもの凄く喜びます。d(´▽`*)
文字数 1,576
最終更新日 2022.08.21
登録日 2022.08.21
西洋風の男子校で、なぜかゾンビパニックが起きる話。
ホラー風味のトンチキ小説です。ゴア表現(ゾンビとのバトル)多め。
主人公男子二人のブロマンス要素が、うっすらですが含まれます。
※2026.4現在ほぼエタってます。いつか大幅修正をして完結させたいです。
文字数 6,595
最終更新日 2023.07.29
登録日 2023.07.26
地球は疲弊し、水・食料は、輸送され他国に商品として売買されている。経済効率を考えると海上輸送がもっともコストがかからない。しかし、貧困国から見れば、近海を航行する輸送船は宝の山だ。海賊行為を黙認する国も出てきている。そんな中、人類相手の詐欺師と呼称される西園寺公人は、未知の技術を駆使して海運業を守護する潜水艦隊を創設した。当然各国はその秘密と海洋覇権を取り戻そうと秘密裏に暗躍する。海洋冒険ロマンここに抜錨。
文字数 14,456
最終更新日 2023.11.08
登録日 2023.11.08
(注意)
1、架空国家、架空世界線
2、ガバガバ
3、作者がただのミリオタ被れ
説明
・第一次世界大戦風の戦争
・聖戦の鎮魂歌のおおよそ百年ぐらい前の話です(ただし多分あっちには絡まない)
大陸西部の内陸に位置するロレース王国、その北に位置するシュッツガリテ連合国は40年にわたり戦争をしていた。それは第三次欧大戦と呼ばれる近現代初の世界大戦をも巻き起こすこととなる。本編開始15年前ロレース王国は不足する人的資源を補うため孤児を少年兵、少女兵として投入、これは都市の子供達が大人になるまでの時間稼ぎであり同時に王政府への孤児たちによる反乱阻止を目論んだ口減らし政策だった。
文字数 8,546
最終更新日 2024.08.28
登録日 2024.01.01
影の勇者。かつてとある異世界にてそう呼ばれた男が居た。彼の名は、天音カイト。13歳にして地球からの転移者となった彼は一つの大きな戦いを終わらせると、その功績を認められて仲間達と共にある国で貴族として活動していた。
しかし彼はあまりに強すぎた己の影響力により、仲間達に後を託して地球への帰還を決める。そうして地球へと自力で帰還した彼は、たった一時間しか経過していなかった地球で元の学生としての身分で活動する事にする。
その彼の帰還から三年。東京都西部にあるとある企業が母体となった私立高校に進学していた彼は、地球でも様々な騒動に巻き込まれながらも学生として生活をしていた。
そんな、ある日。彼が通う学校上空の天が割れ、轟音が鳴り響いた。そうして彼は再び、そして今度は共に異世界に転移した学校を地球へと帰還させるため、三百年の時を経た異世界で冒険を再開させる事にするのだった。
登録日 2015.11.11
2035年、近未来日本。岐阜県と長野県の境にある標高2000メートルの開発実験都市を舞台に、自分の容姿にコンプレックスを持つ少女、佐倉小町とクラスメイト達はとんでもない事件に巻き込まれていく。
文字数 59,732
最終更新日 2020.05.31
登録日 2020.05.02
西暦2600年。
地球の資源は底を尽き、もはや地球では全ての生産がストップし経済も破綻していた。
あらゆる犯罪が横行し殺人が激増。また餓死者が続出、次いで病死者続出と全世界は一歩、また一歩と破滅へと近づいていた。
…
…
そんな絶望的な状況を打破しようと試行錯誤を繰り返すとある組織があった。『E(earth)R(rescue)e(eight)C(crew)』通称エレック。
1人のリーダーと7人の幹部からなり、その下には100名程の構成員が在籍している。
彼らは日々あらゆる方法を使い地球再生若しくは火星への移住など、人類の存続の可能性を模索していた。
これは滅亡寸前の星で必死に生を渇望する若者たちの物語である。
文字数 3,856
最終更新日 2021.08.11
登録日 2021.08.10
