「象」の検索結果

全体で3,797件見つかりました。
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高校生の名璃子は学校帰りに寄ったいつもの公園で、突然、不思議な現象に襲われる。 ひどい耳鳴りに目を閉じると、誰かが自分の名を呼んだ。そこにはほとんど交流のない同級生、湖西の姿があった。 代わりに目の前の何もかもが消えて、世界は足元までの浅い水に覆われた。 名璃子と湖西は高台に運良く残っていた学校まで歩くことを決める。(エブリスタ版の改定版)
大賞ポイント 2,058pt
文字数 102,260 最終更新日 2024.05.23 登録日 2024.04.30
 中学三年生のとき、同じクラスになった近海は、奇妙に大人びていて、印象的な存在感を漂わせる男子だった。  私は、彼ばかり見つめていたが、恋をしているとは絶対に認めなかった。  そんな日々の、記憶と記録。
大賞ポイント 1,212pt
文字数 17,204 最終更新日 2024.05.23 登録日 2024.04.30
職場のモラハラに苦しみ、退職を決意した高野真由美はアパートの一室で謎の日記を手に入れた。日記に名前を書くと、未来のできごとが記され、実際に起こる現象に驚いたが、それを利用して日々のストレスを回避しながら仕事を続けることにした。やがて、日記の関係者や過去の持ち主が分かり、真由美は自身の問題解決と持ち主の無念を晴らすために行動を起こす。そして──
大賞ポイント 1,145pt
文字数 42,297 最終更新日 2024.05.24 登録日 2024.04.21
ライト文芸 連載中 長編 R15
国際刑事警察機構の本部に勤務する若槻は、常に相棒である犬養の行動に突っ込みを入れている。 今日も今日とてリヨンやパリの町を走り回りつつ、相棒に突っ込みを入れていた。 本来は国外逃亡被疑者や行方不明者、盗難美術品などの発見、身元不明死体の身元確認などに努める「国際手配制度」や、国際犯罪および国際犯罪者に関する情報のデータベース化とフィードバックをするのが仕事のはずが、なぜか銀行強盗や宝石泥棒、麻薬のバイヤーを追いかけるなどの事件に巻き込まれ、警察官と変わらない働きをしている。 もちろん、本来の仕事もこなしてもいる。 フランスも悪くはないが、本部勤務になってかれこれ五年。そろそろ日本に帰国したい。日本食を食べたい。のだが、移動許可申請をしてもなかなか許可が出ない。 そんなある日、日本に帰国できることになった。が、それと同時になぜか護衛依頼が発生。 「それ、僕たちの仕事じゃないよね?」 いつもはボケまくる相棒が、珍しく突っ込みを入れる。 とはいえ、護衛対象はお偉いさんの娘だか孫だかで、理由は不明ながらも犯罪組織に狙われている。 彼女を無事に日本に送り届けることができるのか!? ドラーズコンビと呼ばれる若槻 龍太郎(ドラゴン)と、犬養 翔馬(ペガーズ)の、巻き込まれ系日常話である。 ★三人称を練習するための習作です。読みにくいかと思いますが、ご理解ください。 ★フランス語 → 『 』、英語 → < >、日本語 → 「 」で表現。 ★この物語はフィクションです。実在の団体、地名及び登場人物とは一切関係ありません。
大賞ポイント 1,111pt
文字数 18,673 最終更新日 2023.05.20 登録日 2023.04.22
 日々を楽しく生きる。  望にとって、それはなによりも大切なこと。  大げさな夢も、大それた目標も、無くたって人生の価値が下がるわけではない。  それでも、心の奥に燻る思いには気が付いていた。  向かうべき場所。  到着したい場所。  そこに向かって懸命に突き進んでいる者。  得るべきもの。  手に入れたいもの。  それに向かって必死に手を伸ばしている者。  全部自分の都合じゃん。  全部自分の欲得じゃん。  などと嘯いてはみても、やっぱりそういうひとたちの努力は美しかった。  そういう対象がある者が羨ましかった。  望みを持たない望が、望みを得ていく物語。
大賞ポイント 574pt
文字数 46,257 最終更新日 2024.05.22 登録日 2024.03.01
大学生・みちるの周りでは頻繁に物がなくなる。 心配した彼氏・凛介によって紹介されたのは、凛介のバイト先である『うらおもて』という小さな民宿だった。気は進まないながらも相談に向かうと、店の女主人はみちるにこう言った。 「それは〝あやかし〟の仕業だよ」  怪奇現象を鎮めるためにおもてなしをしてもらったみちるは、その対価として店でアルバイトをすることになる。けれど店に訪れる客はごく稀に……というにはいささか多すぎる頻度で怪奇現象を引き起こすのだった――?
大賞ポイント 535pt
文字数 69,124 最終更新日 2024.05.23 登録日 2024.04.28
世界を覆う感染症が広がる日本の地方都市で、派遣切りにあい、困窮してきている朝倉了二の前に、陶磁器売りの行商人のじいさんが現れ、「招き猫」の置物を売りつけられる。「招き猫」の代金を払うと、財布がカラになった了二だが、その直後から、昔話「わらしべ長者」のように不思議な現象が起こり始め、お金が入って来はじめる…
大賞ポイント 510pt
文字数 68,035 最終更新日 2024.04.12 登録日 2024.03.11
「あなたの祖父が続けてきた仕事を引き継いでほしい」 就職浪人中の飛鳥馬見介(あすまけんすけ)にとって、その提案は願ってもない話だった。 その祖父の仕事とは——いわゆる探偵業。しかし調査対象は人ではなく、意志を持ったモノ「付喪神」による案件を専門とした特殊の中でも特殊な仕事であった。 そして、この仕事を行う上で重要となのは、必ずバディと共に行動しなければならないということ。見介のバディとは、祖父が20年前に買い与えてくれたぬいぐるみであった。 「改めてよろしくな、相棒!」 突然会話ができるようになったレッサーパンダのぬいぐるみ、みっけと共に、見介の探偵稼業が始まる。
大賞ポイント 506pt
文字数 2,939 最終更新日 2024.04.30 登録日 2024.04.30
心霊現象が毎日のように起こる、私立境山高等学校。そんな学校で「俺」は幽霊として目を覚ましたが、生前の記憶を全て失っていた。このままでは成仏できない「俺」は、学校公認の霊能力者である朝陰月陽と協力関係を結び、彼女の手伝いをしながら、記憶を探すこととした。音楽室の幽霊、死神、土地神問題、校内を徘徊する幽霊、悪霊……様々な心霊現象と遭遇しながら、果たして「俺」は記憶を取り戻すことができるのか。
大賞ポイント 27pt
文字数 120,941 最終更新日 2024.03.31 登録日 2024.02.29
白い世界で気がついた『ボク』。途中で出会った仲間とともに、象徴(シンボル)の謎を解きながら、不可思議な世界から脱出する。 世界とは何か、生きるとは何か、人生とは何か、自分とは何かを追求する、哲学ファンタジー。
大賞ポイント 26pt
文字数 123,662 最終更新日 2024.04.17 登録日 2023.08.11
小説家志望の〈私〉は療養のためにある島に滞在し、オランダ人とのクオーターの少年、ケンと出逢う。創作に行き詰まり、脱色された現実に悩まされた〈私〉において、ケンは新たな空想の太陽、世界を彩色する象徴のようであった。やがて〈私〉はケンに惹かれ、ケンは視野狭窄にかかった少女小百合に恋をする。空想と現実、肉体と精神、生と死、それらが深く交差し、混濁した島で〈私〉にはひとつの野望が芽生えはじめる。……
大賞ポイント 26pt
文字数 15,079 最終更新日 2024.05.08 登録日 2024.04.30
三十歳を過ぎた年代になり、結婚を意識するようになった芦沢丈晴は、会社の同期である時田耕作の複雑な恋愛関係に関わり、自分自身の恋愛も真剣に考えるようになる。 耕作と本間良子の社内恋愛は、複雑な様相を呈していた。 耕作との交友を通して知らされる内容は、恋愛経験の少ない丈晴を混乱させる。 本社営業本部長が率いる新組織のメンバーは、全国の優秀な主任クラスから選抜され、芦沢丈晴と時田耕作もそのメンバーに選ばれる。 新組織の営業本部窓口には、社内でも才媛と呼ばれ、華やかな恋愛経歴を持つ梅木友香が担当することに決まっていた。 丈晴の新組織加入メンバー発表と同時に、梅木友香から社内便ではなく、郵便で自筆の封書が届いた。 友香は、以前は総務部で管理者教育担当をしていた。 全社内の初級管理者から上位管理者まで、知らない者はいない。 高校、大学をアメリカで過ごした帰国子女の友香は、ピンヒールのハイヒールを履き、スーツ姿で颯爽と歩く。その姿に目を奪われる者は多い。そんな彼女からの手紙である。 入社以来、仕事一筋でやって来た丈晴は、友香からの手紙の意味を理解できずにいた。 丈晴は、行き付けのスタンドバー、ブーメランのオーナー兼マスターの竹中光雄に助言を求める。 竹中光雄は医師免許を持ち、嘗ては医薬品会社でMR(MR=medical representative=医療情報担当≒医薬品営業担当)として活躍し、のちに役員となった。 役員を早々に勇退して、第二の人生としてスタンドバー.ブーメランを開いた。 企業や会社に関することから、企業内組織や社内の人間関係、人事関係、社会人としての一般常識など、多くの分野に博識で、人生の機微を知り尽くした人物である。 丈晴は、仕事のことから恋愛事情まで、自分で迷っているときや、ヒントを得たい時などには、何時も竹中に聞いてもらっていた。 ブーメランには、マスターの友人の娘で、薬剤師の篠宮碧がアルバイトで店に来ていた。 碧は丈晴に恋心を抱いているが、丈晴には伝わらない。 丈晴に見合い話が来ていた。丈晴が「釣り書き」を見る前に、相手には好きなひとがあると分かり、話はなかったことになったと母から聞かされる。 後日、その相手が篠宮碧だったと知った丈晴は、複雑な思いで居た。 丈晴の恋愛観には、初対面の時、一瞬で感じ取る第一印象の良し悪しと、違和感の有る無しで、その後の関係の良否が決まると云う自論があった。 初恋の相手に感じた想いこそが、自分の理想の女性を意味していると……。 友香と碧、丈晴には、ふたりとも、第一印象好ましいものだったが……。 恋人選びに迷う丈晴に決心を促したのは、竹中のアドバイスと、中学生の頃、初めて心をときめかせた女性の存在だった……。全19話(全てフィクションです。)
大賞ポイント 13pt
文字数 80,834 最終更新日 2024.03.01 登録日 2024.03.01
ーこれは、君へと紡ぐ物語。 ※本作はフィクションです。実在の地名・人物とは一切関係ありません。 ※「カクヨム」にて連載中です。 超能力は、実在する。 世界がそれを認めて数十年経つが、得の一つもありゃしない。少なくとも、俺にとっては。 ……なんて思って腐れていたのは、きっと俺だけじゃない。そう、信じたい。 実際、大多数の人間にとってはそうだ。しかし、例外のない事象は基本的には存在しない。 だからきっと、これも例外だったんだ。 俺が今から紡ぐ、この物語も。
大賞ポイント 12pt
文字数 125,505 最終更新日 2024.04.28 登録日 2024.04.28
【完結、できました!およ?表紙はお母さんの佳奈子さん?!】 ※ライト文芸大賞 ※挿し絵少し増えました( *´艸`) ※ゼロ話目にほのかと葛(かずら)のイメージ画像あります(仮) AIイラストアプリ様、ありがとうございます! 【登場人物紹介】 ※あらすじ(初期設定)はゼロ話目に移動しました! 段落がめちゃくちゃズレまくるか箇条書きでしか表示されない為m(__)m 修行が足りませんヾ(≧▽≦)ノ←絶叫 ● ①有本優也(ありもと ゆうや) 大学ニ年生。 テニスサークルに所属している。 整った顔立ちに二重瞼で切れ長の瞳が印象的。 その顔立ちと優しい性格でモテてもおかしくないが、生来の生真面目さと時折迸る、ほぼ理解できない単語(ファンタジーのテンプレなど)や部活の延長と考えている等の理由で浮いており、黙っていても声を発しても今や一部以外からはサークル内で地蔵扱いされている。 幼なじみ姉妹の夕凪家とは家族ぐるみの付き合い。 夕凪家のほのかと葛の姉妹を、妹のように思っている。 実家から遠くないマンションで一人暮らし。 趣味はゲーム一般、電子書籍の読み漁り、テニス。 特技は、怒りなどの負の感情をリセットできる深呼吸。 なお、ムラムラは別。 能書き系草食男子。 身長 175センチ 体重 65キロ。 ②夕凪ほのか(ゆうなぎ ほのか) 優也の幼なじみ姉妹の姉。 高校二年生。 優也突貫ほのぼの娘さん。 ③夕凪葛(ゆうなぎ かずら)       優也の幼なじみで高校一年生。 姉のほのかとは別の学校に通っている。 優也大好きツンデレさん。
大賞ポイント 7pt
文字数 82,189 最終更新日 2023.05.31 登録日 2023.02.12
アカウント変更しました。 学園ものになっています。 普段あまり本を読まない人にも気楽に読んでもらえて、かつ「ワールド」に引き込めるような作品にしたいと思っています。 シンプルな文章で、複雑な内容を。 どうぞよろしくお願いします。 ~追記~ この作品は、「普段あまり小説を読まない」、「どちらかといえばアニメや漫画派」といった、「長い文字列を見ると疲れる、続きを読む気力がなくなる」という現象がよく見受けられる若者世代に焦点を当てて、「少しでも多くの人に本の楽しさを感じてほしい」という想いから創作が始まったものなので、会話文を多用し漫画やアニメを模した形式で展開を進める、作品になっています。 「句読点の打ち方」や「漢字、カタカナ、ひらがなの使い分け」などにも配慮しているので、気になった方は、ぜひ注目して読んでみて下さい。
大賞ポイント 7pt
文字数 26,700 最終更新日 2024.04.22 登録日 2022.04.21
桜が世界を滅ぼす。 唐突に判明した不可思議な事象により、世界中の桜は伐採されることになった。 主人公である「僕」が住む町の桜もまた切り倒されることになる。 伐採作業が行われた日、「僕」はつぼみのまま切られてしまった桜の枝を持ち帰った。 翌朝「僕」は、桜の花の上で眠る小さな少女を見つける。 たとえ世界が滅ぶことになったとしても、彼女の側にいたい。そう決めた僕は、彼女を自宅に匿うことにして……。 寂しがりやな「僕」と無垢な「さくら」が織り成す恋物語。 扉絵は、あっきコタロウさまのフリーイラストをお借りしております。 この作品は、エブリスタ及び小説家になろうにも投稿しております。
大賞ポイント 7pt
文字数 4,298 最終更新日 2021.03.14 登録日 2021.03.14
 文明崩壊後。地下に逃れ生き残った者達は、再び地上の太陽の下で暮らせる日を願って研究を始めた。もう人間同士の争いが起きない文明でなければ、広がるべきではないし、もう二度と大地を汚してはならない。そこでそのための方法として二つの理論が提唱されている。それは地上に残り文明が退化した人類の思考を制限し悪意を封じる『制限理論』と、間違った行いをしたらその人類が属する文明を滅ぼす『リセット理論』である。これは、制限理論の代表である樫鞍と、リセット理論の代表である水折の話で、時々研究対象が出てくる作品です。
大賞ポイント 6pt
文字数 8,547 最終更新日 2024.04.11 登録日 2024.04.06
※最終話2023年2月18日投稿。(完結済) ※この作品には女性同士の恋愛描写(GL、百合描写)が含まれます。 苦手な方はご遠慮下さい。 人は接する者によって、態度を変えている。 それは、多かれ少なかれ、皆そのはずだ。 どんな聖人君子でも、絶対の平等などありえない。 多かれ少なかれ、二面性があり、それが共存して一つの人格となっている。 それは皆が持っているものだ。 そのはずなのだ。 周囲の視線。 それが一変した。 尊敬や羨望の眼差し。 それが嘲笑や蔑視へ変わった。 人間とは、身勝手な生き物で、自身の抱いたイメージとかけ離れた者を見るとそれを否定する。 完璧主義の押し付け。 二面性を認めず、皆は彼女に完璧を求めた。 たとえそれが本人の嫌がる行為であっても善意の押しつけでそれを行うのだ。 君はそんな子じゃない。 あなたには似合わない。 背が高く、大人びた見た目の海部江翔子。 背が低く、幼い印象の雨枝真優。 これは、そんな二人の少女の凸凹な物語。 ※この話はフィクションであり、実在する団体や人物等とは一切関係ありません。 誤字脱字等ありましたら、お手数かと存じますが、近況ボードの『誤字脱字等について』のページに記載して頂けると幸いです。 毎週土曜日更新予定です。 ※また、タイトルの読み方は『あまえじょうずなあまえさん。』です。
大賞ポイント 5pt
文字数 132,193 最終更新日 2023.02.18 登録日 2020.02.29
これは「人生詩集」と銘打った詩集です。少年・青年編、海外流浪編、壮年・老年編とセパレートしています。それぞれの編でまた内容紹介と云うか前文を置きますのでどうぞこのまま詩集へとお進みください。まずは少年・青春編からです。(以下同編前文) 見るもの、手に触れるもの、ものみななべて新鮮で、発見の連続という幼児にはとてもかないませんが、青春時における感受性というものにも、そこにはおのずから詩性というものがあるのだと思います。社会人としてなるべきものにまだなっていないがゆえに、その守備範囲も広い。逆に云えばまだ完成されていない未熟者なのですが、すでに各々の視点を完成させた我々が遠の昔に失った、未熟であるがゆえにこそ抱ける事象への直なる視点というものがそこにはあり、カオスに裸で立ち向かって行こうとする潔さがあります。成人して各々が業界人となりかつての青春時を思うなら、そこには甘酸っぱいような哀愁や切なさ、あるいは愛しさを感じるのはそこにその詩性を見ればこそのことだと思います。ですから、年に関係なく真の詩人というものは、またそのあるべき姿勢は、年輪とともに重ねた経験や知識に固まるのではなく、むしろそれをともなって感性を逆行すべきものと考えます。理想は幼児時期のそれまで。しかしまあ、とは云うものの、はたして疾風怒涛期だった青春時にさえ戻れるかどうか、詩の生命(いのち)で争えるかものかどうか、至って定かではありません。もしこの先もこの拙詩集をお読みいただけるならば、壮年・実年を経て老年に至ったわたしの詩群と見比べてみてください。
大賞ポイント 5pt
文字数 25,584 最終更新日 2021.07.05 登録日 2021.06.26
中学三年生の二月のある朝、川奈莉子の両親は消えた。叔母の曜子に引き取られて、大切に育てられるが、心に刻まれた深い傷は癒えない。そればかりか両親失踪事件をあざ笑う同級生によって、ネットに残酷な書きこみが連鎖し、対人恐怖症になって引きこもる。 やがて自分のなかに芽生える〝なにか〟に気づく莉子。かつては気持ちを満たす幸せの象徴だったそれが、不穏な負の象徴に変化しているのを自覚する。同時に両親が大好きだったビートルズの名曲『Something』を聴くことすらできなくなる。 春が訪れる。曜子の勧めで、独自の教育方針の私立高校に入学。修と咲南に出会い、音楽を通じてどこかに生きているはずの両親に想いを届けようと考えはじめる。 大学一年の夏、莉子は修と再会する。特別な歌声と特異の音域を持つ莉子の才能に気づいていた修の熱心な説得により、ふたたび歌うようになる。その後、修はネットの音楽配信サービスに楽曲をアップロードする。間もなく、二人の世界が動きはじめた。 大手レコード会社の新人発掘プロデューサー澤と出会い、修とともにライブに出演する。しかし、両親の失踪以来、莉子のなかに巣食う不穏な〝なにか〟が膨張し、大勢の観客を前にしてパニックに陥り、倒れてしまう。それでも奮起し、ぎりぎりのメンタルで歌いつづけるものの、さらに難題がのしかかる。音楽フェスのオープニングアクトの出演が決定した。直後、おぼろげに悟る両親の死によって希望を失いつつあった莉子は、プレッシャーからついに心が折れ、プロデビューを辞退するも、曜子から耳を疑う内容の電話を受ける。それは、両親が生きている、という信じがたい話だった。 歌えなくなった莉子は、葛藤や混乱と闘いながら――。
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文字数 156,285 最終更新日 2024.04.01 登録日 2024.04.01
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