古代史小説一覧
13
件
梗概
我が名、景戒と申す、諾樂右京藥師寺沙門にて僧位は傳燈住なり、常には紀伊國貴志村貴志寺に修行する沙弥行者にござる。
我前世に功徳の善為さず、その因果に依って、我受身唯有五尺餘矣。また我れ、背の低さのみならず、我が生活の困窮にはただただ慚愧憂愁に絶えぬ。この世に生きながら,生きる術を知らず、結愛の網に絡まり,煩惱に纏わりつかれ,貧と飢に苦しみただただ生と死の境を彷徨い,八方に食を乞いて生きる有り様にござる。
薬師寺沙門と云いながら諾樂右京とはかけ離れた紀州貴志村の俗家に住んで妻を持ち,その妻子を養う蓄えもなく,粗末な菜も鹽(塩)もない。子らに着せる服も無ければ、竈にくべる薪も無い、何も無い。このこと愁いて,心安らかならず。晝も夜も飢えと寒さに震えて眠れぬ有り様なり。
我景戒、善悪を語らんと思い、ここに物語を著す。そもそも、善悪とは、人に付いて離れぬ影のようなもの、善行には幸楽をもたらし、悪行には必ず苦を以って報いる。善行とは因果を知り信じて布施を行うを云い、悪行とは因果を知らず信じず三宝を敬わず、誹るを云う。
しかしながら、悪の影は闇に入れば消え、闇に生きる者には己の影を見ることも己の影に気付くこともなく、第三階末法の世、全て闇に覆い尽くされたこの地上に於いて、何れが善なるか、いずれが悪なるか見分けがつかず、今まさに我景戒が書こうとする、我が「霊異記」最終章に登場する人々の、闇の世に生きるこれら人々の、その業の深さ、その恨みの深さ、いずれが善かいずれが悪か、明らかにせんと欲す。
因果の理、果には必ず因がある、因には必ず端がある、端の起こりは欲である。欲こそ闇の正体、闇に棲むは鬼、鬼こそは悪、悪は恨、恨はひとの根源なり。恨あればこそひとは嘘を繕いて悪に染まる。人の世は恨みでのみ成り立つのでござる。我、茲に著すは、
「端」の章にて、真備、恨みに因って勢い失う様を、
「欲」の章にて、仲麿、恨みに因って勢いを得る様を、
「因」の章にて、仲麿、恨みに因って勢い失う様を、
「果」の章にて、道鏡、恨みに因って「黒足」踏み外す様を著し、
何れが善か、何れが悪か、世に問わんと欲す。
文字数 66,088
最終更新日 2024.05.03
登録日 2024.05.03
神武東征を扱った「東へ征(ゆ)け」の外伝です。歴史からこぼれたエピソードを綴っていきます。
文字数 14,721
最終更新日 2023.08.10
登録日 2023.07.16
文字数 285,930
最終更新日 2023.07.29
登録日 2018.03.04
日向の皇子・磐余彦(のちの神武天皇)は、出雲王の長髄彦からもらった弓矢を武器に人喰い熊の黒鬼を倒す。磐余彦は三人の兄と仲間とともに東の国ヤマトを目指して出航するが、上陸した河内で待ち構えていたのは、ヤマトの将軍となった長髄彦だった。激しい戦闘の末に長兄を喪い、熊野灘では嵐に遭遇して二人の兄も喪う。その後数々の苦難を乗り越え、ヤマト進撃を目前にした磐余彦は長髄彦と対面するが――。
『日本書紀』&『古事記』をベースにして日本の建国物語を紡ぎました。
※この作品はNOVEL DAYSとnoteでバージョン違いを公開しています。
文字数 163,434
最終更新日 2023.06.07
登録日 2023.05.21
文字数 4,393
最終更新日 2022.04.18
登録日 2022.04.18
──大海原の先で出会った赤鬼は、私と同じ遣唐使でした。
唐の官僚達に才能を嫉妬され、曰く付きの高楼の中に閉じ込められてしまった遣唐使・吉備真備。
為す術もなくやるせない気持ちに駆られる真備であったが、そんな彼の前に現れたのは同じ遣唐使・阿倍仲麻呂を名乗る一人の赤鬼であった。
『江談抄』そして『吉備大臣入唐絵巻』に描かれる、二人の遣唐使のちょっと不思議な友情物語をアレンジしました。
日本史・中国史に出てくるあの方々もチラホラと.....?
異国の風に吹かれながら、奇想天外な攻防戦をお楽しみください。
※リメイク版です。
文字数 174,342
最終更新日 2021.11.02
登録日 2019.03.29
王に仕える書記官が粘土板で撲殺された!
かつて無い忠臣を失った王は、すぐさま犯人の特定を急ぎ幾人かの容疑者を浮かび上がらせる事に成功はしたものの、肝心の証拠が揃っておらず断定する事まではできない。
待ちかねた王は、怪しい人間全員の処刑を命じようとしていた……。
一方で、そのような混乱期に長旅の休息地として立ち寄った一人の若き神官が、成り行きで事件解決の協力を迫られることとなり……
紀元前二千年の古代を舞台にしたクライムサスペンスが今、始まる!!
【主な登場人物】
サオシュヤント……今作の主人公。神官を名乗ってから月日は経つが経歴が無い為"若き神官"と呼ばれることがしばしば。二十九歳。長旅を繰り返している。
ガヨーマラタン……サオシュヤントが立ち寄った地域に住む部族の長。早い話が王である。臣下を亡くした事により事件の解決を命令する。
マツヤ……ハラズム族の集落にて偶然サオシュヤントと知り合って以来、意気投合する若者。
アンギラス……ガヨーマラタンに仕えていた書記官。王の書庫で撲殺されている所を発見される。南からやって来た民族との噂がある。
アルダーン……遠い異国から定期的にやって来る商人。珍しい香料を持つ。
アトラム……ガヨーマラタンの支配する地域に住む魚売り。アンギラスを嫌っている。
スィヤマク……ガヨーマラタンの息子。次期国王と目されている少年。
!!ATTENTION!!
この作品は年代ものを扱っておりますが資料が少ない為、進行につきましては完全オリジナルとさせていただきます。聞き慣れた地名、人名につきましては完全スルーでお願いします。
文字数 486
最終更新日 2021.09.19
登録日 2021.09.19
奴婢として、一生平凡に暮らしていくのだと思っていた………………上宮王家の奴婢として生まれた弟成だったが、時代がそれを許さなかった。上宮王家の滅亡、乙巳の変、白村江の戦………………推古天皇、山背大兄皇子、蘇我入鹿、中臣鎌足、中大兄皇子、大海人皇子、皇極天皇、孝徳天皇、有間皇子………………為政者たちの権力争いに巻き込まれていくのだが………………
正史の裏に隠れた奴婢たちの悲哀、そして権力者たちの愛憎劇、飛鳥を舞台にした大河小説がいまはじまる!!
文字数 421,835
最終更新日 2021.05.21
登録日 2021.05.03
宇音美大郎女のもとに急な知らせが入る ―― 夫である蘇我入鹿が亡くなったという。
それが、『女王への反逆』の罪で誅殺されたと聞き、大郎女は屋敷を飛び出し、夫の屋敷へと駆け付けるのだが………………
―― 645年、古代史上の大悪人である蘇我入鹿が、中大兄皇子と中臣鎌足によって誅殺され、大化改新の先駆けとなった。
だが、入鹿は本当に大悪人だったのか?
これは、敗れた者と、その家族の物語である………………
文字数 23,352
最終更新日 2021.01.18
登録日 2021.01.18
13
件