「胸」の検索結果
全体で5,070件見つかりました。
「俺、もっと速く投げる。茉莉に見ていてほしいから」
高校2年生の久保田龍太郎は、野球部のエースで4番を務める天才選手。
最速138kmだったストレートに加え、フォーク、スライダー、カーブを操る本格派右腕。そして、龍太郎だけが投げられる必殺の魔球――ジャイロナックルカーブ125km。
そんな龍太郎の可能性を誰よりも信じているのが、野球部マネージャーの石田茉莉だった。
幼い頃から龍太郎を知る茉莉は、練習後のケアから試合のスコア管理、体調管理まで、いつも彼のすぐそばにいる。
「龍太郎、無理しすぎたらダメだからね」
「大丈夫。茉莉がいるから」
何気ない会話。
いつもの放課後。
グラウンドに響く金属バットの音。
二人にとって当たり前だった毎日が、龍太郎の球速が一気に伸び始めたことで少しずつ変わっていく。
138km――。
145km――。
155km――。
そしてついには、誰も想像しなかった172kmへ。
一躍、全国から注目される「怪物」となった龍太郎。
しかし、彼がどれだけ有名になっても、茉莉にとっては昔から変わらない「龍太郎」のまま。
一方、茉莉の胸の中にも、ずっと言えずにいる想いがあった。
「私は、野球選手としての龍太郎じゃなくて……龍太郎自身が好き」
甲子園を目指す熱い夏。
夢を追いかけるエースと、その背中を追いかけるマネージャー。
172kmの豪速球より速く、二人の恋は加速していく――。
これは、野球に青春を捧げた少年と、彼を誰より近くで支えた少女が紡ぐ、汗と涙と恋の青春物語。
文字数 50,743
最終更新日 2026.08.29
登録日 2026.08.22
1通の手紙から、幼馴染4人組の同棲生活が唐突にはじまった。いやなんでだよ!と思いつつも、密かに気になっていた義弟との再会に胸は踊っていたがーー、まさかまさかの全員その義弟に片想いってどんな偶然!?しかも義弟は自分への好意には引くほど鈍感な朴念仁な奴なうえに、なにやら訳ありで……。
基本攻めの視点ですすみます。
一見陽キャで俺様キャラだが本当は慎重で人を好きになるということがよくわかってない兄と、
王子様良い子わんこ系年下(童貞ウブ)と、
威圧感あるが本当は一番優しいブラコンが、
無口無愛想恋愛どうでもいい男に対して全員矢印を向けているという、
幼馴染がいずれ4Pを目指す物語です!
文字数 83,507
最終更新日 2021.11.22
登録日 2021.10.13
ドS建築家(アルファ) × 平凡サラリーマン(オメガ)
※こちらは『黒十字』のスピンオフ作品となります。こちらスタートでも分かるとは思いますが、本編を先に読んでから読まれることをオススメします。
⚫あらすじ⚫
笑顔は地顔。自他ともにそう認める笑い上戸の松崎留丸《まつざきとまる》は、決して軽くはない過去を抱えながらも恩人である山王寺至《さんのうじいたる》に報いるべく『ダブダブ』というオメガのために作られた会社で働く一社員。社長である至に憧れを抱いてはいたがその想いを打ち明けるつもりはなく、傍に居られさえすればそれでいい、と胸に秘めていた。
そんなある日、躍進を続ける『ダブダブ』の事務所を新しくする計画が持ち上がり、その内装一切を請け負う男、山王寺透《さんのうじとおる》が現れて──
⚫登場人物⚫ストーリー同年4月現在
◎松崎留丸◎
3月3日生まれ うお座 オメガ
24歳 O型
165センチ 54キロ
黒髪くせ毛
黒い瞳(丸っこい目)
平凡な顔立ち、平凡な体型、お腹がまるい。ヒート軽め、匂い薄め。笑い上戸。よく気が付いて優しく世話好きだが、要領が悪く手先が不器用。
三人兄妹の真ん中。
過去、不当で過酷な職場で働いていたが、至にスカウトされて人生が大きく変わった。
◎山王寺透◎
11月10日生まれ さそり座 アルファ
23歳 A型
185センチ 73キロ
明るめの髪色、短髪
至と同じ茶色の目
スタイリッシュな眼鏡
山王寺家の次男坊。頭が切れて口が立つ食わせ者だが、実は意外と繊細な面もあり人をよく見ている。器用でなんでもそつなくこなす。美的センスに優れる建築家。
決して外には感じさせないが、父に認められている兄の至にコンプレックスを抱いている。
文字数 178,620
最終更新日 2023.04.22
登録日 2023.04.05
佐伯陽菜、16歳、高校1年生。新聞部員の彼女は、好奇心旺盛でクラスの「スクープ」を追い求める日々。ある日、完璧な美貌とクールな雰囲気で「氷の王子」と呼ばれるクラスメイト・霧島怜の秘密に気づく。中学時代、太っていて女子にバカにされていた過去! 怜のドジっ子な一面—ペンを落とし「…ふぁ!」と赤面する姿に、陽菜の心はドキドキ! 「めっちゃ可愛い!」と観察日記を書きつつ、怜のギャップにハマっていく。女生徒の「キャー!」な熱狂、西川玲奈の嫉妬による嫌がらせを跳ね除け、陽菜は怜との距離を縮める。怜の「…陽菜、変なやつ」と呟く笑顔に、陽菜の胸キュンは止まらない! 秘密を知る特別感とコメディタッチのドタバタで、恋の芽生えを描く青春ラブストーリー!
文字数 58,662
最終更新日 2025.11.08
登録日 2025.08.30
ヤンデレ少年夢早見 矢鱈(むやみ やたら)は幼馴染みの川合 日和(かわい ひより)が大好き。
後をつけ回したり監禁しようとしたりと周りがドン引きするような欲望を胸に秘めて生活しています。
一方の日和はそんな矢鱈をかわいいの一言で済ませる始末。
後をついてこれば「横には並べないんだね。恥ずかしいのかな?かわい~!」監禁しようとされれば「養ってくれるの?もしかして後先考えてなかった?かわい~!」等々……一体狂っているのはどちらだろうか?
文字数 14,288
最終更新日 2025.09.01
登録日 2025.08.13
小学生っていいよね。あ、お巡りさん私です。好きなんですよ。好きって言うと語弊があるけど、あの「言葉にできないことが多すぎて、とりあえず走る」感じが好きなんですよ。でも書くのは難しい。小学生じゃないから。
小学生らしさってなんだ?
テレビの下のガラス戸を、爪先でカン、って開け閉めするやつ? あれ、みんなやりますよね。怒られるまでがセット。怒られると、なんか世界が“ちゃんと”する。でもまたやる。そういう生態。
魔法少女っていいよね。あ、現実逃避。
好きなんですよ。でも書けない。魔法少女じゃないから。魔法少女な人いません? 取材させてください。防犯ブザーとか持ってません?(ない)
――というわけで、この話。
放課後の公園。小学三年生の春野ユウトは、知らないスーツのお兄さんに声をかけられる。
反射で鳴らした防犯ブザー。
次の瞬間、光。背が伸びる。体が軽くなる。
そしてなぜか、フリフリ衣装。
「契約、成立しちゃったので……」
名乗ったお兄さん――桜井さんは、事務的にオドオドしながら言う。
ネガモンスター? 本部? 規定? 倫理? 知らん。
でも夕方から夜だけ、街に出て怪物を殴れ、と。
変身すると速い。跳べる。強い。恥ずかしい。ちょっと楽しい。
家には秘密。お母さんには言えない。言えないから、胸の奥に説明できないものが溜まっていく。
やがて現れる相棒、キュアライトニング。
鈴の音みたいに明るい彼女と、短い夜を駆け回るうちに――
“最後の戦い”は、思ったより早くやってくる。
小学生の、言語化できない気持ち。
魔法少女の、言語化したくない事情。
防犯ブザーの、言語化不要の爆音。
これは、ショタが「変身」して、そして「戻る」までの話。
たぶん、世界は今日も平和です。……たぶんね。
文字数 15,928
最終更新日 2026.01.13
登録日 2026.01.13
幼い頃からいつも一緒で仲良しの、総領の嫡男と同い年の従妹の姫。 互いの胸の内で密やかに育ててきた想いを認め合った時、ふたりの恋は終わりを告げた。
彼の元服と同時に、彼女は生涯独身の斎姫の任に就く。
一族と総領の護り姫として、一族を率いて戦に臨み必ず勝つという彼の夢を、護るために。
宮江一族に伝えられてきた悲劇の伝説の、ふたりの真実の物語。
登場人物、場所、出来事等は全てフィクション。悲恋物です。
登録日 2014.07.04
ドラキュラ伯爵に杭を打ち込んだ男、ヴァンパイアハンターのヴァン・ヘルシングには妻がいた。その妻がアンデッドになっていたら?! ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」にはこうある。「そして私は、私にとっては死んでいるけれど、しかし教会法では生きていることになっている、もう心もない妻」。小説原典にはこれについてそれ以上の説明はない。死んでいるのに生きている。死んでいるのに葬ることができない存在、はっきりと死んだ状態にない存在。死んでいるように見えるが死んでいない。生きているように見えるが死んでいる。彼の妻は不死者ではないのか?ヴァンパイアハンターであるヴァン・ヘルシングは、本来ならば不死者に対しては躊躇いなく胸に杭を打ち込む。だが、それが愛する妻ならば、杭を握る手に、槌を振るう手に、力を込められただろうか?思い出して欲しい。ヴァン・ヘルシングは小説「ドラキュラ」でヴァンパイア化したルーシーに杭を打ち込む役を誰に任せたかを。ルーシーの婚約者であるアーサー・ホルムウッドだった。あれは苦い自戒ではなかったのか?自らの躊躇いゆえの過ちを若い世代に繰り返させないための非情の決断だったのではないか。いまかつての妻は幽閉されていた結界の牢獄を脱出した。彼女はヴァンパイアクイーンとして何をしようとするのか?
文字数 70,466
最終更新日 2026.09.19
登録日 2026.09.19
「絵の具が売ってたんだ『RAINBOW』とかいう、胡散臭い名前の色。そんな色なんかありゃしないのにさ」
空から降る雨はいつからか猛毒になり、世界は『地上』と『地下』で分かたれた。法と秩序で守られた『地上』と奴隷制度を設けた独自の文化を持つ『地下』。その世界が交わるとすれば『地上』から『地下』への片道切符だった。
地上の大学に通う学生、珠女(たまめ)クリフが目覚めるとそこは高級奴隷市場だった。クリフを一目見て気に入った明嵐 幸樹(みあらし こうき)は彼を高額で即決する。奴隷を従順な犬のように手懐ける『調教師』を生業とする幸樹は地上に帰りたがるクリフを壊そうとする。
※ほとんど濡れ場で構成されたR18要素しかないBL小説です。序盤は凌辱ばかりの胸糞展開なので、読む際はご注意ください。最後はハッピーエンドになるのでその旨だけご安心頂ければ幸いです!(5章あたりから甘くなってきます)※
文字数 313,222
最終更新日 2020.11.04
登録日 2020.10.11
『夜の仮面:里奈の覚醒』は、高橋悠斗(28歳)が「山川里奈」として女装し、夜の街に初めて踏み出すことから始まる、感情的で複雑な心理を描いた小説です。幼少期のいじめや家族の拒絶によるトラウマを抱えながら、里奈として自分を表現することで自由と自己肯定を求める悠斗。しかし、その一歩は予期せぬ暴力と葛藤を引き起こします。
物語は、里奈が公園で男に襲われる30分間の出来事を通じて、恐怖と屈辱の中にも「本当の自分」を見出す過程を詳細に描写。男に触られる中で、嫌悪感が複雑な昂奮に変わる瞬間が、過去のトラウマと結びつき、里奈としてのアイデンティティを強烈に意識させます。男性であることがバレても行為を続ける男の冷酷さは、里奈の心に深い傷を残します。
その後、里奈はカウンセリングを通じて過去の傷と向き合い、トラウマを乗り越えて里奈として生きる決意を固めます。しかし、初回の襲撃者への嫌悪感と再び会いたい衝動に突き動かされ、公園に戻った彼女は、助けてくれたはずのランナーに再び襲われます。泥と涙でドロドロになった姿でアパートまで歩いて帰る里奈は、混乱と屈辱の中にも、里奈としての自分を受け入れる強さを見出します。
過去のトラウマ、暴力による心の揺れ、そして自己肯定への旅を通じて、里奈の葛藤と覚醒が鮮やかに描かれます。物語の最後では、新たな試練と未解決の感情が、里奈の次なる物語への期待感を残します。恐怖と希望が交錯するこの物語は、自己発見と再生の力強い一歩を、臨場感あふれるセリフと詳細な心理描写で綴ります。
次に期待させる要素:ドロドロの状態で帰路についた里奈が、恐怖と衝動の間で揺れながらも、里奈として生き続ける決意を胸に秘める姿は、彼女の新たな挑戦と向き合う未来を予感させます。未知の道で何が待っているのか、里奈の物語はまだ終わらない――。
文字数 5,591
最終更新日 2025.10.05
登録日 2025.10.05
隣国との国境に近い小さな漁村で生まれ育ったリーリアは、海と共に生きる、質実剛健で少し口下手な娘。美しく透き通るような銀色の髪と瞳を持つ彼女は、人魚姫のようだと村人からは恐れられ、孤立しがちでした。
そんなある日、激しい嵐が去った浜辺で、リーリアは瀕死の青年を助け出します。その青年は記憶を失っており、ただ「アンサンブル」という響きだけを微かに覚えていました。
身分を問わず献身的に介抱するリーリア。しかし、漁村暮らしには不釣り合いな彼の高貴な立ち振る舞いや、穏やかな微笑みに、リーリアの心は揺さぶられていきます。
やがて青年が隣国アンサンブルの第一王子、シリウスであると判明。記憶を取り戻し、迎えの船に乗って去る彼の背中を見送り、リーリアは「住む世界が違う」と自らの恋心を封じ込めました。
しかし、シリウス王子はリーリアの純粋さと、分け隔てなく接してくれた優しさを忘れられずにいました。命を救われた恩義、そして募る恋心を胸に、彼は国境を越え、身分も立場も超えてリーリアを迎えに来ます。
「私の命を救ったのは、あなたという一国の宝だ」
辺境の漁村育ちの娘と、次期国王。身分の差、隣国の思惑、王宮の陰謀。数々の困難が立ちはだかる中、溺愛を隠そうとしない王子と、戸惑いながらも一途な愛を育むリーリアの、心温まるロマンス。
文字数 26,390
最終更新日 2025.12.02
登録日 2025.12.02
私立桜須学院高校。
“三大最強部活”と称される陸上部・水泳部・科学部には、それぞれ圧倒的な実力と信頼を兼ね備えた三人の部長がいる。
陸上部主将・川瀬涼賀(かわせ りょうが)
水泳部主将・渡邊拓海(わたなべ たくみ)
科学部部長・坂上大夢(さかがみ ひろむ)
彼らは長い時間を共に過ごしてきた幼馴染だった。
しかし現在、涼賀と拓海の間には、誰も触れようとしない距離がある。
同じ校舎にいながら、視線を合わせることもなく、言葉を交わすこともない二人。
その空白を、静かに見守り続けているのが大夢だった。
部活動、進路、卒業。
限られた時間の中で、それぞれが「最後の一年」を全力で駆け抜けていく日々。
笑い合う時間もあれば、胸にしまい込んだ想いが揺れる瞬間もある。
やがて少しずつ明らかになっていく、三人の過去と選択。
避け続けてきた関係と向き合う時、彼らが出す答えとは――。
これは、
同じ夢を見て、違う道を選び、それでも前に進もうとする三人の卒業までの物語
登場人物
川瀬涼賀
陸上部主将。温厚で面倒見がよく、後輩や仲間からの信頼も厚い。
小学4年生から陸上競技をはじめ、中学時代には100m、200mで全国大会に出場している。
幼馴染である大夢とはとても仲が良い。一方、拓海とは意図的に距離を置いており、校内でも顔を合わせないようにしている。
川瀬由嗣(かわせ よしつぐ)
涼賀の父、涼賀を男手ひとつで育ててきた父親。
仕事と子育てを両立しながら、息子の競技人生を静かに支えてきた。
多くを語らず、干渉もしないが、涼賀の変化には誰よりも敏感。
涼賀が小さい頃から面倒を見てくれている身内への感謝を忘れず、涼賀にもその姿勢を背中で伝えている。
坂上大夢
科学部部長。成績優秀である。
涼賀と拓海とは小学校からの幼馴染。
中学時代は陸上競技をやっており、100m、走幅跳をやっていた。
科学オリンピック県大会では1年生で2位、2年生で3位という実績を持つ。
涼賀と拓海の亀裂について全てを知っている。
渡邊拓海
水泳部主将。小学時代から水泳を続けてきた実力者で、常に自分に厳しい。
涼賀とは保育園からの、大夢とは小学校からの幼馴染である。
中学時代は体力づくりの一環として陸上にも励んだ。涼賀と共に全国大会に出場しており、陸上でも活躍していた。
水泳でも優秀な成績を収めており、中学時代は全国大会に入賞している。
練習中は感情を表に出さないが、部員一人ひとりのことをよく見ており、信頼も厚い。
涼賀とは現在ほとんど言葉を交わさず、互いに避け合う関係にある。
高校に入ってから、陸上と水泳どちらをやるかで悩み、悩んだ結果水泳をやることを決める。
文字数 63,745
最終更新日 2026.04.23
登録日 2026.01.16
クラスの人気者ギャル、ルナには誰にも言えない秘密がある。
それは、物静かなメガネ男子の三坂ユウのことが、ずっと好きだということ。
「ギャルが地味男子好きとか、ネタにされるだけ」
そう思って気持ちを隠していたある日、ルナの胸からピンク色の“ハート”が飛び出した。しかも、そのハートは教室中の誰にでも見え、なぜかユウにだけ一直線に命中する!
病院で告げられた病名は――突発性ハート射出症候群、通称ハトビョー。
治療法は未確立。しかも「想いは外に出ます。抑えると、なおさら」なんて告げられる。
否定するほど、ハートは増える。距離を取るほど、恋は膨らむ。
そしてユウは、ルナの“恋の攻撃”を受け止めるために、なぜかムキムキになって戻ってきて……?
笑って、甘くて、最後は学校ごとピンクに包まれる。
言えなかった「好き」が、世界を変えるラブコメ短編。
文字数 16,727
最終更新日 2026.02.04
登録日 2026.02.01
男は、黙秘していた。
取調室の白い壁は、彼の沈黙を反射するように無機質だった。
刑事専門弁護士。四十代半ば。目立つ経歴はない。顔つきも、どこにでもいる中年のそれだ。
ただ一つだけ、彼には“癖”があった。
時折、人を殺す。
それは衝動でも快楽でもなかった。仕事の合間に、予定表の余白へ書き込むような行為だった。これまで三十人。殴り、絞め、毒を盛り、事故に見せかけたこともある。どの事件も、証拠は残らなかった。
――今回を除いては。
被害者は、三十五歳の会社員と、その恋人。ナイフで心臓を一刺し。
凶器から、男の指紋が検出された。
初歩的すぎる失態。
それが、検察官である女の胸に、奇妙な違和感を残していた。
「たまたまだろ」
刑事はそう言った。
「今までが異常だっただけだ。今回は確実だろ? さっさと起訴してくれ」
彼女は頷いたが、心の中では納得していなかった。
男は“たまたま”ミスをする人間ではない。彼女はそう確信していた。
その夜、女は自宅の浴槽に沈みながら、天井を見上げていた。
湯の音が、思考をぼかす。
「……なぜ、今まで殺していたのか」
「……なぜ、今回だけ証拠を残したのか」
その二つが解けなければ、この事件は終わらない。
翌日、検察庁で女は資料の山を前にした。ここ二、三年で三十件。一年に十人。暇人か、狂人か。
女がさらに資料を洗っていく中で、奇妙な点がもう一つ浮かび上がった。過去三十件の被害者のうち、全員が暴力団の団員、前科持ちであった。今回の被害者を除いて。
「……なるほど」
女は息を吐いた。
その直後、警察から上がってきた報告が決定打となる。
男の自宅周辺で、不審な車両。
匿名で届いた「始末される」という情報。
数日後の取調室。
女は、今度は確信を持って男を見た。
「あなた、殺しを楽しんでなんかいない」
「あなたは“線を引いていた”。犯罪者だけを殺してきた」
男は、黙秘を続けた。
「でも、ヤクザに目をつけられた」
「あなたにとって初めて、自分が“処理される側”になった」
女は静かに告げる。
「だから今回は、わざと杜撰にやった」
「前科のない、無関係な無実の人間を殺し、証拠を残し、確実に逮捕されるように」
男の口が、わずかに開いた。
「刑務所に入れば、
警察の管理下に入れば、
ヤクザは簡単に手を出せない」
男の心臓の音だけが聞こえる。
「……起訴はしない」
その言葉は、救済ではなかった。
彼の表情は、安堵ではなく、完全な絶望に沈んだ。
数日後、彼は釈放された。
そして――
朝。
女はコーヒーを飲みながらテレビをつけていた。
〈昨夜未明、都内で男性の遺体が――〉
画面に映ったのは、見慣れた顔だった。
女は、何も言わずにカップを置き、支度を整え、家を出た。
家には静寂が残る。
文字数 1,116
最終更新日 2026.01.25
登録日 2026.01.25
投資ファンドを立ち上げる目標を持つ理系女子、金子稲穂には変えられない過去がある。彼女の記憶にはなくとも、その心は精神的外傷(トラウマ)という鎖に縛られ、光が当たることはないと思っていた。彼に、演劇部で脚本家を担当しているクラスメイトの文系男子、黒桐蒼葉の本当の姿を知るまでは。
その姿に惹かれた稲穂は、蒼葉との雑談を機に告白した。
「さっさと答えなさい。『YES』か『NO』か」
「その前に好きだとか言う男の胸ぐら掴み上げてんじゃねぇ」
この物語は、文系男子と理系女子によるよくあるかどうか分からない、ラブコメっぽい何かです。
・2020年06月02日 第一巻分完結、第二巻分鋭意執筆中
・2020年06月23日 第二巻分掲載開始
・2020年10月 更新休止(詳細は近況ボードに記載しております)
・2021年01月05日 第二巻分完結、第三巻分鋭意執筆中
・2021年01月11日 『アイホン』→『アップルフォン』修正済
文字数 186,706
最終更新日 2021.01.05
登録日 2019.12.31
切なく甘いストーリー。
警察官と一般人。しかも同性では、思うような恋愛は出来ない。
それでも溢れる想いを胸に抱え、ひとときの時間を共にする。
静かであまくにがい恋人の短編お話。
シリアス寄り。
好きな話で終わっていただいて構いません。暗い雰囲気ですが最終的なエンドは解釈に委ねられます。ハピエン〜死ネタバッドエンドまでご自由に好きに要所要所ご想像していただければ嬉しいです。
*1話のみ(1話読み切り)でしたら特に気にすることなく楽しめると思いますが、2話以降は話が重くなりますので、苦手要素等ある方はお勧めいたしません。お気をつけください。
(2話以降、2章3章)残酷描写、(1話)性描写ございます。
文字数 19,299
最終更新日 2026.01.08
登録日 2025.11.08