白羽の檻、黒翼の導き

天界の至宝と謳われた高潔な天使・エルリエルは、反逆の罪に問われた親友・ベルフェゴールを救うため、自らの手で彼の翼を焼き、地獄へと突き落とした。それが彼に与えられる唯一の「慈悲」だと信じて。
数百年の時を経て、堕天使となったベルフェゴールが復讐のために帰還する。
再会した彼の手によって、エルリエルは翼を毟られ、霧に閉ざされた館へと監禁される。
「あんたを壊し、俺と同じ地獄へ引き摺り込んでやる」
冷酷な復讐者を演じるベルフェ。だがその執着の裏側には、独り残された地獄で抱き続けた、狂おしいほどの孤独と渇望が隠されていた。
一方、エルリエルもまた、己の犯した「慈悲という名の罪」を購うため、静かにその身を捧げていく。
憎しみと愛が溶け合い、魂が一つに縫い合わされていく果てに、二人が辿り着くのは救済か、それとも永遠の堕落か――。
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