「ン」の検索結果
全体で120,127件見つかりました。
三つの名前を持つ少女がいる。
マリア,梅,美玲。
ポルトガル人の父と,日本人の母の間に生まれ,寧波で育ち,今は平戸の商家に身を寄せている。十八歳。どの国にも,どの旗にも,属さない。
言語は武器だ。日本語,中国語,ポルトガル語を操り,港で通訳として生きている。しかし言葉を運ぶ者は,荷を持てない。どの言葉も完全に自分のものではなく,どの岸にも根を張れない。孤独と自負が,同じ形をして,胸の内に住んでいる。
ある夜,かつて父の仲間だった海商の配下が接触してくる。石見銀のマカオへの輸送,その橋になれ,という申し出。断る理由は,ない。受ける理由も,まだ,ない。
三日,考えた。
海を見た。波が来て,砕けて,返るのを,見た。
受けた。
その選択が,六年間消息を絶っていた父との再会へ,そして自分がこの海に存在することの意味へと,マリアを引っ張っていく。
父は,生きていた。南の海の,どこかに。
父が残したアストロラーベには,途中で終わった目盛りがある。続きを,お前が刻けばいい,と父は言った。
橋は,二点を繋ぐ。しかし結び目は,複数を繋ぎ続ける。
どこにも属さないことは,欠損ではない。どこへでも行けることだ,とマリアは,この航海で,少しだけ,信じ始める。
16世紀の東アジア海域。銀が動き,言語が混ざり,国家の枠組みが意味をなさない「海民のネットワーク」の中で,一人の少女が,自分の地図を刻き始める物語。
文字数 83,450
最終更新日 2026.05.07
登録日 2026.04.15
明治4年、旧会津藩士に仕える馬丁の娘であった少女が、貧困のため身売り覚悟で上京。
そこで若く美しい華族の青年と運命的に出会い、その馭者(ぎょしゃ:馬車の運転手)となる。
怒涛のような勢いで世が変わりゆく明治初頭。その中で一歩ずつ大人の女性へと成長していく少女「ゆき」
そして美貌の青年華族との身分違いの恋に揺れる乙女心を描いた明治浪漫恋愛ファンタジー。
登場人物
◎ゆき
15歳 女性
茶色い髪 茶色い瞳
旧会津藩家老佐川官兵衛に仕えていた馬
丁の一人娘
馬と心を通わせることが出来る
◎銀鏡 晴近 (しろみ はるちか)
22歳男性
長身 細身に見えるが筋肉質
黒髪の長髪 黒い瞳 驚く程の美青年
華族 従三位中納言
◎粂吉 (くめきち)
歿年50歳 男性
会津藩士 佐川官兵衛の馬丁
ゆきの父
会津戦争の折、官軍の銃撃により戦死
◎みつ
女性 ゆきの母
ゆきを出産した後、まもなく死去
元は佐川家の給仕女
◎佐川官兵衛(直清)
39歳 男性
旧会津藩家老
粂吉、ゆき父子の主君
戊辰戦争で活躍 鬼官兵衛の異名を持つ
熱い心を持った人情家
◎たけ
17歳 女性
ゆきが仕えた佐川家の向かいの西川家に下働
きの女中として仕えていた
二歳年下のゆきと仲が良かった
八戸の遊女斡旋屋「多志南美屋」にて遊女と
して稼働している(源氏名:竹鶴)
◎せつ
29歳 女性
八戸の遊女斡旋屋「多志南美屋」において稼
働している遊女(源氏名:藤松)
かつて江戸(東京)吉原の大見世遊郭「扇松屋」
において「格子」の位にあった元上級遊女
自分が果たせなかった花魁になる夢をゆきに
託し、ゆきを江戸(東京)に向かわせる
文字数 54,078
最終更新日 2026.05.10
登録日 2025.09.23
1670年ごろの桑名藩。
片瀬景三郎は、父が切腹した理由を知るため家を出たが、一年の間ならず者のような暮らしをしていた。ある日、かぶき者に絡まれている町娘を助けたことから運命が動き出す。
連れて行かれた家老の屋敷で、前藩主松平定良のご落胤だと聞かされる。家老の久松はその血を受け継いでいる景三郎を取り込み、お家騒動を起こすつもりだった。
反発する景三郎は、家老屋敷を抜け出すが、かぶき者につかまってしまう。
蟠龍(ばんりゅう)とは、うずくまった龍のことで、桑名には、唯一復元された蟠龍櫓があります。タイトルは、この桑名城を象徴する櫓にちなんだものです。
流血、暴力シーン、男色表現があります。苦手な方はお気をつけください。
一年ぶりに大幅に改稿、更新しています。
文字数 39,380
最終更新日 2026.06.05
登録日 2024.02.26
【あらすじ】
「私」――矢代幸雄は、知己である松方幸次郎に連れられて、パリ郊外ジヴェルニーのクロード・モネ邸へとおもむく。松方幸次郎は、のちの西洋美術館の元となる、「松方コレクション」にモネの画を加えようと思っていた。
だが、最近のモネは高齢のためか、その描く色もあまり良くないという噂があった。
そしてモネが描くところを見た「私」は、やはりその色が「変」だと感じ、小さな勇気を出して、モネにそれを告げ……。
文字数 6,959
最終更新日 2025.06.30
登録日 2025.06.30
【あらすじ】
(第一章 芭蕉 ~旅の始まり~)
天和三年。天和の大火のため、甲斐谷村藩家老・高山繁文を頼って、松尾芭蕉は江戸から甲斐、谷村(やむら)に居を移していた。芭蕉は田舎暮らしに満足していながら、なにかたりないと感じていた。やがて芭蕉は江戸に戻り、かつての知己であった八百屋お七のことを機縁に、惣五郎という人物と出会う。惣五郎と、お七のことを話すうちに、芭蕉はある気づきを得る。その気づきとは、やりたいことがあれば、命懸けでやってみろ、という気づきだった。
(第二章 花が咲くまで初見月。)
松尾芭蕉と共に「おくの細道」の旅に出た曾良。彼は句作に悩んでいた。観念的に詠んでしまう自分の句を変えようと模索していた。芭蕉はそんな彼を見て――句を詠んだ。
(第三章 その言葉に意味を足したい ~蝉吟(せんぎん)~)
松尾芭蕉は、「おくのほそ道」の旅の途中、出羽の立石寺(山寺)に立ち寄った。その時、あまりの蝉の声に、弟子の曾良は苦言を呈す。だが、逆に芭蕉は何も言わず、回想に浸っていた。かつての主君であり友である藤堂良忠のことを。良忠は己を蝉にたとえ、その蝉の如き短い生涯を終えた。以来、蝉の鳴く声に、意味はあるのかという想いを抱く芭蕉。そして己の俳諧の「行き先」を求め、旅に出て、山寺に至り、蝉の声を聞いた芭蕉は――良忠に向けて、一句詠んだ。
【表紙画像】
Morikawa Kyoriku (1656-1715), Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 18,581
最終更新日 2024.06.07
登録日 2024.05.31
【あらすじ】
(第一章 太陽の音を忘れない ~神戸信孝一代記~)
神戸信孝は織田信長の三男として知られる。彼は、庶子でありながら、嫡出である信忠・信雄についだ格付けを得るまでにのし上がっていた。
その最たるものが四国征伐であり、信孝はその将として、今、まさに四国への渡海を目前としており、その成功は約束されていた――本能寺の変が、起こるまでは。
(第二章 月を飛ぶ蝶のように ~有楽~)
織田有楽、あるいは織田有楽斎として知られる人物は、織田信長の弟として生まれた。信行という兄の死を知り、信忠という甥と死に別れ、そして淀君という姪の最期を……晩年に京にしつらえた茶室、如庵にて有楽は何を想い、感じるのか。それはさながら月を飛ぶ蝶のような、己の生涯か。
【表紙画像】
歌川国芳, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 16,008
最終更新日 2024.06.06
登録日 2024.05.31
【あらすじ】
美濃の戦国大名、斎藤道三の娘・帰蝶(きちょう)は、隣国尾張の織田信長に嫁ぐことになった。信長の父・信秀、信長の傅役(もりやく)・平手政秀など、さまざまな人々と出会い、別れ……やがて信長と帰蝶は尾張の国盗りに成功する。しかし、道三は嫡男の義龍に殺され、義龍は「一色」と称して、織田の敵に回る。一方、三河の方からは、駿河の国主・今川義元が、大軍を率いて尾張へと向かって来ていた……。
【登場人物】
帰蝶(きちょう):美濃の戦国大名、斎藤道三の娘。通称、濃姫(のうひめ)。
織田信長:尾張の戦国大名。父・信秀の跡を継いで、尾張を制した。通称、三郎(さぶろう)。
斎藤道三:下剋上(げこくじょう)により美濃の国主にのし上がった男。俗名、利政。
一色義龍:道三の息子。帰蝶の兄。道三を倒して、美濃の国主になる。幕府から、名門「一色家」を名乗る許しを得る。
今川義元:駿河の戦国大名。名門「今川家」の当主であるが、国盗りによって駿河の国主となり、「海道一の弓取り」の異名を持つ。
斯波義銀(しばよしかね):尾張の国主の家系、名門「斯波家」の当主。ただし、実力はなく、形だけの国主として、信長が「臣従」している。
【参考資料】
「国盗り物語」 司馬遼太郎 新潮社
「地図と読む 現代語訳 信長公記」 太田 牛一 (著) 中川太古 (翻訳) KADOKAWA
東浦町観光協会ホームページ
Wikipedia
【表紙画像】
歌川豊宣, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 330,779
最終更新日 2023.09.07
登録日 2023.05.31
【あらすじ】
文政三年。歌舞伎役者、三代目・坂東三津五郎(ばんどうみつごろう)は悩んでいた。演目「玉兎(たまうさぎ)」にて、兎、爺、婆、狸の四役の演じ分けをしなければならないからだ。二代目・坂東三津五郎に相談すると「――黒き鏡だ」という答えが返って来た。
思い余って「根岸のご隠居」こと絵師・酒井抱一(さかいほういつ)のいる根岸・雨華庵(うかあん)へと赴く。
幕府名門・酒井家出身の抱一との洒脱で含蓄のある会話から、三津五郎は「黒き鏡」の意味に思い当たり、「玉兎」の舞台へ向かう。
酒井抱一が観るその舞台にて、三代目・坂東三津五郎は「玉兎」を演じられるのか――。
【登場人物】
三代目・坂東三津五郎:歌舞伎役者。父の初代・坂東三津五郎の死の際に幼かったため、父の弟子が二代目・坂東三津五郎となるが、成長して三代目を襲名。その演技は、江戸随一と評判が高い。日本舞踊五大流派のひとつ「坂東流」の祖でもある。
酒井抱一:絵師。江戸幕府の名門・酒井家の出身。しかし世継ぎとなることはできず、出家して隠居する。出家前から芸術に志し、特に絵画に熱中し、出家後は江戸郊外・根岸に雨華庵という庵を結び、巨匠・尾形光琳の遺された作品から大いに学ぶ。のち、江戸琳派という、光琳の流れをくむ絵の流派の祖となる。
※文中の歌は、二代目・桜田治助の作詞によるものです。
【表紙画像】
初代歌川豐國 / Toyokuni Utagawa I, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 4,579
最終更新日 2023.05.31
登録日 2023.05.29
サクッと1分で読める、バカバカしいお笑いを一席。
三題噺「天下無双」「ダンス」「布団」
上記のテーマで、ショートショートを書いてみました。
文字数 1,090
最終更新日 2026.05.01
登録日 2026.05.01
8世紀中頃のボェの国(チベット)
御家争いを恐れ、田舎の館に引きこもっていたナナム・ゲルツェン・ラナンは、ある日突然訪ねて来た異母兄ティ・スムジェによってナナム家の家長に祭り上げられる。
都に上り尚論(高官)となったラナンは、25歳になるまで屋敷の外に出たこともなかったため、まともに人と接することが出来なかった。
甥である王(ツェンポ)ティソン・デツェンや兄マシャンの親友ルコンに助けられ、次第に成長し、東方元帥、そして大相(筆頭尚論)となるまでのナナム・ゲルツェン・ラナン(シャン・ゲルツェン:尚結賛)の半生を書きました。
参考文献はWebに掲載しています。
文字数 143,260
最終更新日 2021.05.02
登録日 2021.01.11
小説家になろうで連載中のものと同じです。
緊急ミッション、石田三成として市中引き回しを回避せよ!
報酬?――それは君の尊厳だ!!
日本史知識は教科書レベル、現代アメリカ連邦在主の研究者、三上正成二十七歳。
友人を庇って通り魔に刺された三上は、目を覚ますと戦国時代、石田佐吉と呼ばれる少年に!!
――いや佐吉って誰?!
もしかして……石田三成?!
あの、日本で三番目くらいに有名な敗者の!?
勘弁してくれ、歴史も古文も専門外!
関ヶ原と太閤検地くらいしか記憶に無い!!
だいたい天正って何?
西暦換算何年だ!
いや、もういい、そんなことはどうとでもなる、知らんけど。
関ヶ原で負けて死ぬ、のはいいけどひょっとして。市中引き回されたり……するんですね!?
それだけは嫌だ、断固拒否だっ!
目指せ市中引き回し回避っ!
かなりの不定期更新となります。
申し訳ございません。
文字数 18,618
最終更新日 2026.05.13
登録日 2025.11.04
ツンデレのデレがほぼない少年店主とわんこ系従業員兼用心棒兼家来の凸凹コンビが、花街の事件に挑む。
明治初期、東京府は赤坂の花街に、少年が店主の貸本屋がございました。彼には人に見えないモノが視えるという不思議な力がありまして、花街に起きる事件を次々と解決したそうな。
辻斬り事件、貸座敷の連続殺人、そして新選組。事件の裏側には、維新を不服とする侍の存在が見え隠れして、庶民らに広がる「維新の亡霊が出た」との噂――維新後間もない混沌とした東京の町が舞台の、ちょっとホラーテイストな事件に、小生意気な少年店主【朔太郎】と元家来の【三四郎】が挑む。もと新選組の斎藤一も加わって、大波乱の展開に。
*エブリスタで投稿していた小説の推敲作品です。
文字数 132,249
最終更新日 2024.05.21
登録日 2024.03.27
文字数 12,370
最終更新日 2026.05.30
登録日 2022.05.20
それは慶長十七年。
世に云う船島の決闘において、巌流小次郎敗れたり――。
しかし小次郎は生きていた。
武蔵の一撃に脳に深刻な損傷を受けた小次郎は、多くの記憶を失った。だがそれなのに、あるいはそれだからこそ、異能ともいえる異常な集中力をも会得した。
現代にいう〝ゾーン〟に自在に入る力を得た小次郎は、武蔵に復讐戦を挑むべく旅立つが、彼を追う謎の剣士たちの姿があった。
果たして彼らの目的とは――?
そして小次郎は、再び武蔵と相まみえることがでるのか。
これは「その後」の小次郎の物語である。
文字数 2,210
最終更新日 2026.05.31
登録日 2026.05.31
【あらすじ】
フランス王フィリップ二世は、イングランドとフランスの西半分を支配するプランタジネット朝から、フランスの西半分を獲得しようと画策していた。プランタジネット朝の王妃であるアリエノール・ダキテーヌは、かつて、フィリップの父のルイ七世の王妃だった。アリエノールの生んだリチャード獅子心王を、そしてジョン欠地王相手に謀略をめぐらし、ついにブーヴィーヌの地で決戦を挑み、フィリップは勝利と共に「尊厳王」と称せられるようになる。
【表紙画像および挿絵画像】
オラース・ヴェルネ, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 10,286
最終更新日 2024.06.04
登録日 2024.05.31