「互い」の検索結果
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千夏の家の門札には「お江戸を指南所」とおどけた字で書いてある。
千夏はお父様とお母様の三人家族だ。お母様のほうのお祖父様はおみやげを持ってよく遊びに来る。
そのお祖父様はお父様のことを得体の知れない表六玉と呼んでいて、お母様は失礼ね。人の旦那様のことをと言って笑っている。
そんな千夏の家の隣りに、「坊ちゃん」と呼ばれる青年が引っ越して来た。
お父様は最近、盗賊が出るからお隣りに人が来てよかったと喜こぶが、千夏は「坊ちゃん」はたいして頼りにならないと思っている。
そんなある日、友達のキヨちゃんが行儀見習いに行くことが決まり、二人は久しぶりに会った。
二人はお互いの成長を感じた。それは嬉しくてちょっと寂しいことだった。
そして千夏は「坊ちゃん」と親しくなって行く。
文字数 4,826
最終更新日 2024.06.01
登録日 2024.05.30
五つ子に生まれた安倍晴足(あべはるたり)は、怪異を祓ってはその手柄を長男の安倍晴明のものとし盛り立てていた。
だが、自分だけが日陰にいることを安倍家に恨みを持つ法師陰陽師に指摘され、晴足は初めて自分の立場に疑問を覚える。そして晴足は、晴明に自分の足で立てるように指導することになる――
文字数 8,768
最終更新日 2023.09.09
登録日 2023.09.08
「俺はお前に見合う男になって必ず帰ってくる。それまで待っていてくれ」
身分という壁に阻まれながらも自らその壁を越えようと抗う。
たとえ一緒にいられる“時間”を犠牲にしたとしても――
「いつまでも傍で、従者として貴方を見守っていく事を約束します」
ただ傍にいられる事を願う。たとえそれが“気持ち”を犠牲にする事になるとしても――
時は今から1000年前の平安時代。
ある貴族の姫に恋をした二人の義兄弟がいた。
姫を思う気持ちは同じ。
ただ、愛し方が違うだけ。
ただ、それだけだったのに……
「どうして……どうしてお主達が争わねばならぬのだ?」
最初はただ純粋に、守りたいものの為、己が信じ選んだ道を真っ直ぐに進んでいた3人だったが、彼等に定められた運命の糸は複雑に絡み合い、いつしか抗えない歴史の渦へと飲み込まれて行く事に。
互いの信じた道の先に待ち受けるのは――?
これは後に「平将門の乱」と呼ばれる歴史的事件を題材に、その裏に隠された男女3人の恋と友情、そして絆を描く物語。
文字数 428,190
最終更新日 2024.05.22
登録日 2022.12.18
「狐に幸運、人に仇」の続編。
親戚同士で幼馴染の久尾屋の娘、千陽(ちはる)と、天野 夏以(なつい)は仲が良く初恋同士でもあった。
しかし、恋心が芽生える前から結婚はできないからね、とお互いの両親から言われ続けて年頃を迎える。
薬師見習いとして久尾屋に奉公に上がった夏以は、恋焦がれる千陽に婚約者がいる事を知る。
婚約者の遠原 和葉(とおはら かずは)、本名を天野 桂樹(あまの けいじゅ)。そして入れ替わったもうひとりの人物。
関わる者の過去、繋がりにより急展開していく四人の人生。(狐憑き)の呪いは続くのか。
遠原 和葉目線、天野 桂樹目線、祥庵目線(他、人物目線)と、様々な人物のストーリーが交錯していきます。
伏線回収系ストーリー
36話完結。
(※二十歳以下の登場人物の年齢に三歳足すと現代の感覚に近くなると思います。)
文字数 108,235
最終更新日 2021.11.08
登録日 2021.10.01
江戸の世に入って、しばらくが経った頃、とある老中のもとに、若い女子が呼び寄せられた。訝しげに見つめる老中だったが、その女子は高い実力を示す。それを目の当たりにした老中は女子に、日本各地に点在している、忌まわしきものの破壊工作を命じる。『藤花』という女子はそれを了承した。
出発の日の早朝、藤花の前に不思議な雰囲気の長身の男が立っていた。杖と盾しか持っていない男の名は『楽土』。自らが役目をこなせるかどうかの監視役かなにかであろうと思った藤花は、あえて楽土が同行することを許す。
藤花と楽土は互いの挨拶もそこそこに、江戸の町を出立する。
文字数 100,316
最終更新日 2023.12.27
登録日 2023.09.08
大坂西町奉行所の仮役与力、阿刀籐伍は芝居好きのまだ半人前の廻り方役人である。ある日、吟味方より奉行からの下命として大坂市中を騒がせる骨董品専門の盗賊「鬼没盗」の探索を命じられた。
籐伍は盗賊探索など全く初めてだったが、従兄弟の同心、真壁恭一郎や定町廻りの河原崎などの協力を得て、鬼没盗の足取りを追おうと苦闘する。そうしたときに、表で売買できない盗品の密売競市「閻魔の市」の情報を得る。籐伍は鬼没盗の次の押し込み先として閻魔の市に注目した。そして閻魔の市に潜入して探索し、鬼没盗に接敵することに成功した。市から逃げる男・巨勢渦彦と戦うことになってしまう。彼は賊一味ではなかったが、渦彦の追う死んだ父の仇も鬼没盗なのではなかと推察し、互いに協力しようと申し出たのだった。こうして渦彦と籐伍は互いの探索の相棒になったのである。
次の探索に行き詰まった籐伍は、父念十郎の親友、東町奉行所の与力・大塩平八郎より鬼没盗を誘う餌、「聖徳太子の未然記」と、囮策の助言をもらう。籐伍は渦彦の紹介で豪商鴻池家の御隠居に協力を要請し、鬼没盗を罠にかける囮一座を開始する。見事に鬼没盗を誘い出すことに成功したが、同時に渦彦は自分と同じ蹴速術を使う賊の首領を取り逃してしまう。
渦彦は一族の門外不出の蹴速術をなぜ使う者がいるのかを確かめる為に、師である叔父・椎根津の元に向かった。姿を消した渦彦を追って籐伍もまた大和に向かう。椎根津の元で二人はある事実を知る。椎根津の弟子であった古瀬稀人という男が蹴速術を学び、渦彦の実家徳陀子神社の秘薬・鬼変薬をも求めているらしいと。鬼変薬は肉体能力を鬼にまで高め、蹴速術を使うと無敵の鬼神術になるという。渦彦の父は鬼変薬譲渡を拒んだので殺されたらしい。鬼変薬入手に失敗した稀人は、薬再現のための記録を求めて歴史遺物を盗んでいるのではないかと想像された。鬼変薬は古代唐の渡来薬だった。全てを語り終えた椎根津は様々な責任を背負って自害した。
大和から戻った籐伍と渦彦は、鴻池の御隠居から噂を聞いた。賊の出現する夜の天保山に灘と行き来する船があらしい。籐伍は鬼没盗が船を足として移動していると考えた。灘で船の船屋を発見した籐伍は鬼没盗を一網打尽にすべく天保山と灘に捕り方を配置して捕縛を決行する。天保山に臨んだ籐伍と渦彦は蹴速術を使う複数の賊と戦い、稀人らを船に逃してしまった。だが二人は出航直前の船に乗り込み船上での決戦に挑んだ。渦彦と稀人は兄弟弟子になるが技は兄弟子稀人が上だった。渦彦は最後の助言「蹴速を忘れろ」を実行する。そして格上の稀人と相討ちに持ち込むことに成功した。そして籐伍も想像しなかった結末を迎えることになるのだった。
文字数 192,263
最終更新日 2024.05.30
登録日 2024.05.30
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