玄奘遷化【その栄光と残照】
玄奘三蔵。中国四大奇書の一つ、「西遊記」で孫悟空の師匠として登場し、日本で実写ドラマ化された際には、夏目雅子さんや牧瀬里穂さんが演じたことで、眉目秀麗な青年僧というイメージが我が国では定着している。しかし、実際の彼は、国禁を冒し、幾度も死の淵をさまようような苦難を重ねて天竺に赴いた冒険家であると同時に、十六年もの後、大量の貴重な仏典を中国に持ち帰り、仏法の興隆に全精力を注いだ偉大なる宗教家でもあった。
玄奘の後半生は、持ち帰った経典を国家の庇護の下で漢訳し、仏法の精神を中国全土に定着させることで、「道先仏後」とされていた『唐』の宗教政策を覆すことに捧げられたが、そのために彼は、太宗や則天武后といった中国史上でも希有な政治家らと渡り合わざるを得ず、僧侶らしからぬ手法を用いることすらあった。そして、それほど仏法に尽くした玄奘に対して、身内であるべき仏教界も、決して味方とは言えなかった。
果たして、故国に戻ってからの玄奘の半生は、彼にとって幸せなものだったのだろうか。
玄奘の後半生は、持ち帰った経典を国家の庇護の下で漢訳し、仏法の精神を中国全土に定着させることで、「道先仏後」とされていた『唐』の宗教政策を覆すことに捧げられたが、そのために彼は、太宗や則天武后といった中国史上でも希有な政治家らと渡り合わざるを得ず、僧侶らしからぬ手法を用いることすらあった。そして、それほど仏法に尽くした玄奘に対して、身内であるべき仏教界も、決して味方とは言えなかった。
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