春の終わり、ソウタとユウトは、林の中で小さな黒い箱を見つけた。
不思議な模様が彫られたその箱には、なにかが封じられている気配があった。
「これ、ふたりの宝物にしよう」
でも、ソウタは“なんとなく”その手を引っ込めてしまう――。
それからユウトは、少しずつ変わっていった。
声を聞き、光にふれ、やがて姿を消す。
ソウタは彼を救うため、異世界へと足を踏み入れるが、そこは“なにもかもがきれいで、なにもかもがこわい場所”だった。
ぼくらは、なにを選ぶ?
本当の友だちって、なんだろう?
友情と恐怖が交差する、クトゥルフ風味の児童文学。
文字数 9,245
最終更新日 2025.06.20
登録日 2025.06.14
——この世とあの世の境を、踏み越えたのは“まだ死んでいない”青年だった。
京都・六道の辻。
地獄の釜の蓋が開くと言われる八月朔日、民俗学に興味のある彼は友人達と現地を訪れていた。その途中、突如として冥府へと迷い込む。
行き場を失った生者は、常世の戸籍に名前のない“異端”として冥府庁に保護され、冷静沈着な調査官・黒野アイリの補佐役として働きはじめる。
冥府庁に残るための試験、黒野の厳しい指導、そして自らの“存在がなかったことにされた”現世での記憶の空白——
忘れられた者として、それでも歩き続けるしかなかった彼が選んだ道は?
今、冥府の扉が再び開く。
そこに記されるのは——名前すら残らなかった《神崎イサナ》の、もう一つの記録。
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《更新について》
毎週水・土曜に更新予定です
本編や他の冥府庁異聞シリーズもぜひお楽しみください♪
文字数 46,349
最終更新日 2025.05.17
登録日 2025.04.20
春の訪れとともに、吉野の山に“奇妙な眠り”の噂が広がっていた。
夜桜を見に訪れた人々が、翌朝目を覚まさない——。
発見された彼らはまるで深い夢に囚われたように静かに眠り続け、
七日後、目覚めた者たちは決まってこう言うのだ。
「……なにも、覚えていません」と。
冥府庁・調査課の神崎イサナと黒野アイリは、この不可解な現象を調査するため、
奈良・吉野の山奥へと向かう。
そこで彼らが辿り着いたのは、地図にも記されていない場所——
誰にも気づかれず、誰かを待ち続ける一本の桜の木だった。
春の風、桜の香り、胸の奥を締めつけるような懐かしさ。
そして、神崎の中にある“消えかけた記憶”が、静かに目を覚まし始める。
これは、春に取り残された小さな約束と、ひとつの優しい別れの物語。
文字数 11,372
最終更新日 2025.04.24
登録日 2025.04.18
「あの世(冥府)」には、現世で起こる不可解な死亡事件を調査する機関がある。
冥府庁・調査課の職員たちは、二人一組のバディを組み、日本各地で起きている怪異事件や神秘現象など、あらゆる異変の真相を追う。
⸻
生者でありながら冥府庁の一員となった、異端の新人調査員・神崎イサナ。 冷徹な先輩の調査官・黒野アイリ。
二人は共に、日本各地に残る怪異や神秘、そして迷える魂の調査に挑む——
見た目も性格も正反対の凸凹コンビは、今日も新たな事件へと挑もうとしていた。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
文字数 25,845
最終更新日 2025.03.22
登録日 2025.03.13
文字数 1,632
最終更新日 2025.03.09
登録日 2025.03.09
文字数 2,200
最終更新日 2025.03.08
登録日 2025.03.08
文字数 8,406
最終更新日 2024.06.12
登録日 2024.06.12
旅の傭兵ウォルフと少年ユータは、迫害を逃れてヴィズグリフという隠れ里にたどり着く。
そこで、ウォルフは旅の途中で命を助けてくれた恩人ヘスヴィルに会いたいと願うが、その屋敷の門番であるシーズに追い返されてしまう。
ユータは里の子どもたちと遊び、明るさを取り戻していく。ウォルフは自分の役割を考え、不安に苛まれる中、新たな道を模索する。
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「Moon Crisis」 序章後〜本編までの間の物語。
番外編の読み切り作品です。
時系列としては「いつか見た空」の数年後、「Moon Crisis」本編(1章〜)よりも数年前の出来事になります。
「Discord Destiny」とも少しリンクしているので、ぜひ併せてお楽しみください。
文字数 13,912
最終更新日 2024.06.11
登録日 2024.06.11
東の空が赤く染まるとき、王都に妖魔の影が忍び寄る。
王城への登用願いに王都を訪れた旅人ウォルフが出会ったのは、黒髪の少年ユータとその母サラだった。
二人に危険が迫っている事を知り、何とか助けようと立ち向かうウォルフだが……。
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「Moon Crisis」序章の裏側で起きた、もう一つの事件。
番外編の読み切り作品ですが、時系列としては本編前の出来事になります。
「Discord Destiny」とも少しリンクしているので、気に入ってくださった方はぜひ、そちらも併せてお楽しみください。
文字数 9,927
最終更新日 2024.06.10
登録日 2024.06.10
古の龍族の血を引く王族が治めているという小さな島国があった。
旅の傭兵ファイン・スレーブは、とある人物の依頼を受けて王城へと向かう途中だった。
城下町にある酒場で、不思議な王子の噂を耳にしたファイン。魔法や伝説の類いを信じない彼は、どうせ作り話だろうと思いながらも興味を惹かれる。
その後、王城へとたどり着いたファインが依頼されたのは、その不思議な力を持つオルタード王子の暗殺だった。
まだ幼さの残る少年の暗殺に気が乗らないファインだが、部屋に忍び込んだ際に信じられない光景を目の当たりにする。そこには、龍の化身とも呼べる不思議な姿をもつ少年がいた。
文字数 31,557
最終更新日 2024.06.02
登録日 2024.06.01
お通りなさいませ、江戸を往くは《灯火三人衆》
江戸の町を、闇から守るは――提灯ひとつ、心三つ。
夜の江戸を照らす「灯火三人衆」は、町人育ちの色男・柏木源太郎、元盗賊の無口な巨漢・熊吉、そしてすばしっこい弟分・伊助の三人組。
北の旦那こと北条奉行から密命を受けながら、夜の町に渦巻く陰謀「夜霞」と向き合い、人情、恋、友情を抱えながら、ひとつの町を守り続ける――。
粋で哀しく、あたたかく。
命を灯す、江戸青春活劇ここに開幕!
登録日 2025.07.02
免許取りたての大隈が、幼なじみの理依奈に連れ出されたのは、かつて合宿で訪れた海辺の町。 そこでたまたま再会したのは、高校時代の同級生・料理男子の林、怪談好きの小泉。懐かしい空気の中で理依奈とはしゃぐはずが、空回りとすれ違いで、まさかのケンカ別れ!? そのとき小泉が口にしたのは――「海辺の未練は、よくないモノを呼び寄せる」なんて、不気味すぎる言い伝え。ほんとか嘘か、どうでもいい。でも、今だけはちゃんと伝えなきゃ。 置き去りの想いと、割れないスイカと、夏の終わりのちょっと切ない青春デート。
登録日 2025.07.02