ご当地小説小説一覧
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私の名は伊勢圭介。京都北山の山奥に居を構えるしがない古美術鑑定士である。
とは言っても、積み重ねて来た知識と経験が物を言うこの世界で、私はまだまだ駆け出しの部類と言ってもいい。
非情にゆっくりと更新予定です。
しかしである。
こと真贋の鑑定に関してはおそらくこの世界中何処を探しても私の右に出るものは居るまい。
何故なら、私には嘘が通じないちょっとした秘密があるのである。オカルトと笑われるかも知らないが、何を隠そう私は『物』に残された死者の残留思念を見る事が出来るのである……。
※この小説は、以前投稿していた小説『古美術鑑定士のオカルト事情』を一人称視点で読みやすくしたものです。
さて
夏の終わり。8月もあと残り数日という、ある暑い日のこと。
伊勢が住む山奥の古民家に向かって、一台の黒塗りの外車が登ってくる。極端に道幅が狭い為にその運転はいかにも危なっかしい。
車から降りてきたのは、伊勢にいつも仕事を依頼してくる古美術商の吉岡。ダンディな見た目とは裏腹にコテコテの関西弁を使うこの男。彼は伊勢の特殊な能力を知る数少ない人物の一人であった。
しかし、普段なら両手に抱え切れないほどの骨董を伊勢に持ち込む吉岡が手ぶらである。不審に思った伊勢はいぶかしげに吉岡の話を聞いて見れば、なんとその日の鑑定依頼は一人の若い女性だという。
そして、吉岡が私に引き合わせた女性は……
なんと、首にべっとりとついた手形の残留思念が、いままさに彼女の首を締めようとした姿でこびりついていたのだった。
文字数 5,576
最終更新日 2024.04.20
登録日 2024.04.20
尾道 神様の隠れ家レストラン
レンタル有り旧題:尾道神様のレストラン〜神様の料理人と探しモノ〜
「大事な思い出」を探す者だけが辿り着ける、広島・尾道の神社の中にある不思議なレストラン「招き猫」。
なんとそこは”神様と契約した一族”が営むレストランで、「魔法のメニュー」があるという――。
祖母の実家があった尾道に久しぶりに舞い戻ってきた野一色彩梅は、大学生になる直前の春休み、ひょんなことからそのレストランを訪れることになる。
人間でありながら神様でもある、若きイケメン店主の園山神威と実はあやかしな店員たち。そして訪れるお客様は人だけでなく、あやかしたちもだった!?
不思議な縁が織りなす、美味しい「探しもの」の旅をどうぞ。
※第3章で出てくる「千光寺の宝玉伝説」は実在する伝説です。なお、宝玉が海に沈んだ後からの話は私の創作になります。
あらかじめ、ご了承ください。
文字数 300,089
最終更新日 2022.02.21
登録日 2019.12.01
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