雨は、祈りであり、力であり、呪いでもあった。
古来より雨を呼び、人々の暮らしと心を潤してきた「雨降師(アメフラシ)」。その末裔の少女シューヴァは、祖父とともに干ばつに苦しむ村へ赴く。しかし彼女を待っていたのは、恵みを乞う祈りではなく、飢えと欲望が渦巻く陰謀だった。
人々は雨を救済と信じながらも、その力を奪い合い、血を流す。シューヴァの目の前で繰り広げられる裏切り、惨劇、狂気。泥に沈む死体や雨に溶ける悲鳴の中で、彼女は恐怖と同時に得体の知れぬ昂ぶりを覚えていく。
祈りの力は、人を癒すのか、狂わせるのか。
生と死の境で揺れる少女の視線を通して、「信仰」と「暴力」、「希望」と「奈落」の交錯を描き出す。
ひとりの雨降師が辿る成長と堕落、その先にある“雨の正体”を問う物語である。
文字数 24,588
最終更新日 2025.08.21
登録日 2025.08.21
勇者殺しの真相は、アイツの中にある。
かつて魔王が滅び、世界は“静かな余韻”の中にあった。
東の国の勇者は謎の死を遂げ、その死因さえ、誰も知らないままだった。
一方、魔王の庇護を失って弱体化した魔物たちを狩る、弱小パーティーがあった。
その中の一人、戦士ライオット・ウェルは、信じがたいほどマヌケな事故で命を落とす——。
仲間たちは禁呪「蘇生魔法エイム・リバウム」を使い、彼を蘇らせる。
だが、そこで起きた“たったひとつのミス”が、すべてを狂わせた。
蘇ったライオットの中には、死んだはずの「勇者の魂」が——。
一人の身体に二つの意思。
誰が勇者を殺したのか? なぜ魂はここにあるのか?
すべての答えは、“この世界の終わり方”に繋がっている。
※本作はフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 88,506
最終更新日 2025.06.20
登録日 2025.01.07
時間法が制定され、過去への旅行が可能になった時代。
過去への干渉はご法度とされ、ただちに処刑される。
処刑を執行するのが、執行官。
三年前に起きた、自動車事故。
歩いていた女の子はかすり傷だった。
この事件をなかったことにしようと
最初に干渉したのは「タイムチェンジャー」という過去干渉を生業とする業者だった。
不思議なことに、この業者を処刑した執行官が今度は
自らタイムリープし、干渉をはじめたのだ。
事故がおこらないようにと立ち振る舞う。
この交通事故の六回目の過去干渉、
俺は執行官として派遣された。
皆が命をかけてまで
事故を阻止しようとし続けた理由がようやく
わかる。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 4,822
最終更新日 2025.02.01
登録日 2025.02.01
地獄誘致課に勤務する山形と晴元。休日出勤し、翌日の会議資料を作成していた。税収を増やすために、何をすればいいか議論するふたり。ヒントは先日行われた「地獄マラソン大会」。天国からの参加も受け付けるこの一大イベントで山形はあることを思いだした。血の池をぐるっと一周まわって気づいた、A3区画のこと。それは強姦魔たちが送られる区画だった。天国からの参加者たちの目的は?地獄への税収アップの方法は?日常を地獄という設定に切り替えて見える、人間の悪意のようなものを書きました。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 3,016
最終更新日 2025.01.06
登録日 2025.01.06
近くで戦闘勝利があるだけで経験値吸収。戦わずして最強になる見習い僧侶ジャンヌの成長物語。
オーガーやタイタン、サイクロプロス、ヘカトンケイレスなど巨人が治める隣国。その隣国と戦闘が絶えないウッドバルト王国に住むジャンヌ。まだ見習い僧兵としての彼は、祖父から譲り受けた「エクスペリエンスの指輪」により、100メートル以内で起こった戦闘勝利の経験値を吸収できるようになる。戦わずして、最強になるジャンヌ。いじめられっ子の彼が強さを手に入れていく。力をつけていくジャンヌ、誰もが無意識に使っている魔法、なかでも蘇生魔法や即死魔法と呼ばれる生死を司る魔法があるのはなぜか。何気なく認めていた魔法の世界は、二章から崩れていく。
全28話・二章立てのハイファンタジー・SFミステリーです。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 110,048
最終更新日 2025.01.06
登録日 2024.10.28
手に蜘蛛の巣のタトゥーが入ったテロリストを追う、呪現言語師たちの戦い
立木陵介の妻、菜緒が失踪した。誘拐されているかもしれない。おそらく殺されている、菜緒を誘拐した方が。
菜緒は、日本国・諜報部・武威裁定Q課、通称ブサイクに所属する捜査員。あらゆる点において大きく権限委譲された組織であり、オカルト・サイコパス・テロあらゆる面倒な事案を解決することを目的としている。
銃の取り扱い、鍛え上げられた肉体、性別を超えた圧倒的な格闘術、犯罪者を察知する嗅覚、そして非情にして無情な残虐性。陵介の知らない菜緒が次々と明らかになっていく。
失踪したその日、神保町駅ビルでテロが発生。瓦礫の中に菜緒の左手が見つかる。その左手には、蜘蛛の巣のタトゥ―が。
菜緒とはいったい誰なのか?蜘蛛の巣のタトゥーが入った左手は?
文字数 49,668
最終更新日 2025.01.06
登録日 2024.11.05
【敵討ち法】が施行された世界。被害者遺族は加害者に、合法的に敵討ちができるようになった。そんな世界で、一人の少年が殺害された。祖父の耕一郎は裁判ではなく、【敵討ち法】で復讐による裁きを選ぶ。【敵討ち法】で加害者を殺害しても罪には問われないが、地獄行きは確定する。
【敵討ち法】の主管部署は地獄局。地獄局より、耕一郎に送られた被害事件の全容。それは被害者であるはずの我が孫に関する、イジメの実態だった。イジメの加害者だった我が孫。
この事件を俯瞰で見るサクラ。サクラの登場から、この物語のテーマ「自分のなかにも、あらゆる悪意がいる」が見えてくる。そんなヒューマンドラマです。
二重箱形式の物語です。メタ化しています。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 6,310
最終更新日 2024.12.25
登録日 2024.12.25
主人公は落語「死神」が好きな男。飲む打つ買うの三拍子の揃ったクズ男に付き従う妻。ある日酒屋で角打ちしていると、奥から店主の婆さんがチンチロで飲み代をタダにしてやると言う。条件はゾロ目の1が出れば、男の勝ち。それ以外は負け。ゾロ目の1が出て勝てば、この不思議な長財布をくれてやるというものだった。この長財布、空っぽの状態でポンポンと叩けば五十万もの札束が溜まるっていうものだった。
勝てばもらえるこんな好条件、負けても飲み代を払うだけ。
ならばと、欲をかいた男は勝負をする。ゾロ目がでるのか?長財布の正体は?といった落語小説的ホラーです。名作落語「死神」から派生させたオリジナル落語小説。お楽しみください。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 9,781
最終更新日 2024.12.10
登録日 2024.12.10
勉強フツウ・運動神経フツウ・顔面フツウ、どこからどう切り取ってもフツーで冴えない高校生、柊ハヤト。
取柄が何もないと友人からも言われているハヤトにとって、唯一フツウではない特技はゲーム。といってもすべてのゲームというわけではなく、
オープンタイプのRPG『ストレイト・スキル・スレイヤーズ』、通称S3ではハイレベルの達人だった。
通常のプレイヤーが100レベル程度であるのに対して、ハヤトのレベルは2000を越えていた。どうしてそこまでハイレベルになれたのか?
それは徹底した「ドラゴン狩り」による経験値獲得だった。
ゲーム内のドラゴンを狩りつくすほどの勢いのハヤト。
そして、ある日ハヤトの左手は「ドラゴンの頭」になっていた。
龍の呪いがかかった左手、隣の家に住む幼馴染の葉山ユウ以外には見えなかった。
龍の呪い、冒険者たちの傍若無人な虐殺、龍による殺戮、そして物語のキーは羊の復讐。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 13,033
最終更新日 2024.12.07
登録日 2024.12.07
長谷川修平の妻、裕子が行方不明となって二日後、遺体が発見された。首だけが近くの雑木林に放置されていた。その後、同じ場所に若い二人の男の首が遺棄される。そして、再び雑木林に首が。四人目の首、それは長谷川修平だった。
長谷川の友人、楠夫妻は事件の参考人として警察に任意で取り調べをうけたことで、地元住民から犯人扱いされる。定食屋「くすのき」も閉店せざるを得なくなった。
長谷川夫妻の死、若い男二人の死、四つの首が遺棄された雑木林。
楠夫妻の長男、真一は五年後自分の子供にもふりかかる汚名を
ぬぐうため、当時の所轄刑事相模とともに真犯人を探す。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 7,024
最終更新日 2024.12.07
登録日 2024.12.07
会社勤めの殺し屋、神崎スガル。頭の上に死にそうな人のサイン、「死亡フラグ」が見える。その死亡フラグが大好物の死神デュークが相棒だ。もちろんデュークが見えるのは相棒の神崎スガルだけ。
デュークの大好物死亡フラグ。死にそうな人には旗が頭の上にヒョコッと立っている。生きているうちにデュークが食べてしまえば、死を回避できる。味は落ちるが、死んでから死亡フラグを食べることもできる。
会社勤めの殺し屋を辞め、フリーランスの殺し屋で独立すると決めた神崎スガル。死神デュークとともに、死亡フラグの立った人と交わるコメディ・アクションな人情噺!
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 23,381
最終更新日 2024.11.05
登録日 2024.10.08