「斜面」の検索結果
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四月になると、公園に人が増える。正確には、カメラを持った人間が増える。
桜前線が北上するニュースの翌日、インフルエンサーたちがやってくる。構図を決めて、撮って、去る。その動画は五万回再生され、コメント欄には「綺麗」と並ぶ。三十年この公園を管理してきた男には、その「綺麗」が、どこか遠い言葉に聞こえた。
公園の奥の斜面に、樹齢百年の山桜がある。写真映えはしない。誰も足を止めない。
今年の三月、管理人は入り口に柵を立てた。看板には「整備中」と書いた。
染井吉野が散り、桜前線のニュースが止み、インフルエンサーたちが次の話題へ去った五月——山桜は、誰も知らないまま満開になった。
見た、ということで十分だと思った。
文字数 1,091
最終更新日 2026.05.09
登録日 2026.05.09
大学生の伊織は何故か命を狙われ、逃げる途中で斜面を転がり落ちて気を失っていた。そこに通りかかった男が伊織を助けてかくまうが、伊織は何にも覚えていなかった!?。
鍛え上げた体で命がけで護ってくれて、しかも家事全般オールマイティな拓馬。家業を継ぐ才能に溢れ、小さい頃から大事に育てられすぎて運動も家事もまるでダメな伊織。
どこも相容れない二人は出会うべくして出会ったのか?
いたらいいのにな♡と世の女性が思う攻と不器用さが可愛い受のいちゃラブストーリー。
文字数 51,016
最終更新日 2022.02.25
登録日 2022.01.30
六十代を迎え、派遣の家庭教師として細々と生計を立てている主人公。気分転換も兼ね、秩父の低山に登ることを思い立つ。
標高550メートルの山頂に立ったあと、舗装された林道を歩いて下山していた彼は、ふと雑木林にアナグマの姿を見つける。
斜面を慎重に下って近づくが、アナグマはすでにいなかった。仕方なく林道へ戻ろうと登り始めたとき、足を滑らせて穴に落ち、頭を打って気を失ってしまう。
目を覚ますと、そこは貉(むじな)たちの宴の場だった。貉とはアナグマのことである。
彼らは主人公に「見たい夢を見せてやろう」と告げ、主人公はそのまま眠りにつく。
再び目を覚ますと、彼はさっきの林道に立っていた。
気を取り直して下山を始めた彼は、若い女性登山者と出会う。彼女は、大学時代に付き合っていた恋人にそっくりだった。しかも彼女は、自分こそがその恋人だと言う。
訝しみながらも共に下山するふたりは、途中の無人小屋で休憩を取ることになる。
小屋の中で、ふたりは、会えなかった年月を埋めるように語り合い、そして、かつてのように抱き合った。
・・・数年後、山奥の空き家で白骨死体が発見される。
文字数 45,565
最終更新日 2025.08.06
登録日 2025.08.05
季節は夏。若き修行僧の行命(ぎょうめい)はいつものように、山中の中にある滝壺で滝行を行なっていた。
そして、滝行を終えたその帰り道に、急斜面の樹木の間に張られた蜘蛛の巣に、黒アゲハ(蝶)が捕まっているのを見つけてしまった。
行命は生きようと蜘蛛の巣の中で踠いている蝶に手を伸ばして救い出そうとするが、急斜面の所為で上手くは出来なかった。
危険を覚悟で不安定な足場に、もう一歩だけ足を伸ばした瞬間——行命は急斜面を転げ落ちて行ってしまった。
文字数 8,699
最終更新日 2021.06.01
登録日 2021.05.31
「僕」は海と空以外に何もない海岸近くの小高い丘にいた。「僕」は、なぜ自分がそこにいるのかも、何者なのかもわからないまま、ただぼんやりと、目の前青い風景を。その中に溶け込みそうなくらいに見つめていたのっだった。だが、「僕」がふと思い立ち、丘の斜面を降り始めた時に聞こえてきた、謎の「声」。「僕」は、その声の予言のような「君は君に会う」と言う言葉に導かれ、砂浜を放浪するうちに、「思い出す」のであった。
それは、学生と転勤者の多く住むある地方都市の、九十年代半ばの頃のことだった。バブルが終わり、果てしなき不況の中に落ちて行く日本で、それでも落ちて行く者なりの浮遊感を楽しめた最後の時代。毎日毎日が、思い返せば特別で、濃密で、しかし飛ぶように過ぎていった日々。そんな毎日の中で、大学生ユウは、大音量のダンスミュージックに満ちたクラブSで、気のおけない友人や、気になる二人の女性、マイとサキに翻弄されながらも楽しく過ごしていたのだった。
しかし、そんな日々がしだいに終わって行く、そんなすべてを「僕」は思い出していくのだった……
文字数 92,887
最終更新日 2018.07.31
登録日 2017.08.19
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