瑞凰国では次期皇帝となる皇太子・黄龍淵《こう・りゅうえん》の正妃を選ぶため、国を支える四神を奉じる四大名家から一人ずつ姫が召し上げられた。
青龍を奉じる東陵家の姫・碧瑶《とうりょう・へきよう》
朱雀を奉じる南宮家の姫・紅玉《なんぐう・こうぎょく》
白虎を奉じる西門家の姫・白玲《せいもん・びゃくれい》
玄武を奉じる北辰家の姫・雪蘭《ほくしん・せつらん》
しかし、北辰家から参加した姫は、本物の雪蘭《せつらん》ではなかった。
出立直前に倒れた姉に代わり、存在を隠されてきた双子の妹・宵月《しょうげつ》が、雪蘭になりすましていたのだ。
宵月《しょうげつ》には、人がその瞬間に抱く最も強い感情が、一文字の漢字――「心字」として見えるという、特殊な能力があった。
后選びが始まった翌朝。
東陵家の姫・碧瑶《へきよう》が、皇太子妃だけに許された鳳天衣をまとい、密室となった鳳凰殿で発見される。
文字数 5,167
最終更新日 2026.08.21
登録日 2026.06.30
人と魔法の境界にある〈宵境の森〉には、千年を生きる大魔法使いシルヴェインが住んでいる。
月光のような銀髪と紫の瞳を持つ彼は、その素顔を見た者すべてを狂おしい恋慕へ陥れる、この世で最も美しい魔法使いだった。
彼の姿を見た者は、正気ではいられない。
男も女も、王も聖職者も、人ならざる妖精さえも、彼の素顔を見れば心を奪われる。
彼を手に入れようと争いが生まれ、彼に拒まれたものは絶望し、時には命さえ投げ出してしまう。
ゆえに、シルヴェインは銀糸のヴェールで顔を隠し、森の奥で孤独に生きていた。
ある冬の日、シルヴェインは王都の奴隷市場で、美しさゆえに家族も故郷も失った十歳の少年リュカと出会う。
誰もが心を奪われるシルヴェインの素顔を見ても、リュカだけは魅了されなかった。
リュカには、魔法や呪いに隠された本質を見抜く〈真貌の眼〉があったのだ。
シルヴェインは彼を、ただひとりの弟子として迎えることに。
不思議なものたちと暮らし、魔法にまつわる事件を解決するうち、孤独だった二人はかけがえのない存在となっていくのだが、リュカの眼に秘められた力を知った者たちが、リュカの眼を奪うために動き始めーー。
世界で最も美しい魔法使いと、ただひとりの弟子の師弟という言葉だけでは言い表せない絆の物語。
文字数 14,235
最終更新日 2026.08.16
登録日 2026.06.30
元パワハラ部長の黒瀬真人は、愛犬ハクを庇って事故死し、異世界の貴族の息子レオンに転生した。
だが、前世譲りの気性の荒さと高圧的な態度のせいで、今世でも周囲から疎まれる日々を送っていた。
そんなある日、貴族の子どもが従魔を得る召喚の儀式で、レオンは伝説の神獣、白銀神狼を召喚する。
その正体は、前世で唯一自分を愛してくれた犬、ハクだった。
神獣を召喚した途端、周囲の態度は一変する。
だが、レオンはその手のひら返しに嫌気が差し、ハクとともに屋敷を出ることを決める。
嫌われ者の元パワハラ部長と、白もふ神獣になった愛犬。
一人と一匹の、不器用な異世界やり直し旅が始まる。
文字数 11,342
最終更新日 2026.08.03
登録日 2026.04.24
伯爵令嬢セラフィーナ・ヴァレンティアの専属侍女ミラは、八年間、主人にすべてを捧げてきた。
セラフィーナは、誰からも愛される清廉な令嬢で、やがて聖女に選ばれるだろうと、王都中が彼女を称えていた。 ミラも、誰より近くで主人を慕っていた。
セラフィーナは、平民の自分を伯爵家へ引き取り、病気の弟に薬を与え、読み書きまで教えてくれた恩人。
けれど、それはすべて偽りだった。
王国では、神や精霊から与えられる特殊な力を《祝福》と呼ぶのだが、祝福を持たなかったセレフィナは、聖女になるため、孤児や奴隷から祝福を奪う禁術を繰り返していたのだ。
そして、ミラの弟もその犠牲者の一人だった。
禁術の発覚を恐れたセラフィーナは、すべてをミラの犯行に偽装する。
ミラは、セラフィーナのスケープゴートだったのだ。
ミラは、十二人の子供を殺した魔女として捕らえられ、火炙りの刑に処される。
――次に目を覚ました時、彼女は十年前のヴァレンティア伯爵邸にいた。
その身体は、病によって六歳で死んだはずの伯爵家の次女、リリア・ヴァレンティアーーセラフィーナの異母妹だった。
まだ、誰一人殺されていない。
前世では手の届かなかった者たちを味方につけ、ミアはリリアとしてセラフィーナの計画を一つずつ先回りして潰していくことに。
「ずっと、仲のよい姉妹でいましょうね」
「もちろんです、お姉様」
――あなたがすべてを失う、その日まで。
文字数 5,531
最終更新日 2026.08.03
登録日 2026.06.30
天界で一番の堕落者は誰かと問えば、誰もが武神・李華《リファ》の名を挙げる。
かつては戦勝と栄光を司る大神として、地上に千を超える神殿を持っていた。
しかし人間たちの身勝手な祈りに嫌気が差し、百年間、神殿に引きこもって酒と惰眠に明け暮れていた。
そんな李華の怠慢に堪忍袋の緒を切らした天帝は、彼から神力と不死性を奪い、人間界へ堕とすことに。
李華が天上へ戻るために課された試練は、三つ。
一つ、神の力を使わず、百人の命を救うこと。
一つ、嘘偽りのない、心からの祈りを捧げられること。
一つ、天へ還る日、別れを心から悲しみ、涙を流す人間をつくること。
「造作もないことだ」そう高を括っていた李華だったが、神力を失った彼は、空を飛ぶことも、火を起こすことも、傷を治すこともできない。
そんな李華が下界で最初に出会ったのは、山奥の廃神殿で一人暮らす十八歳の少年、藍雨《ランユー》だった。
文字数 11,010
最終更新日 2026.08.01
登録日 2026.06.30
小惑星群〈銀の雨〉によって文明が崩壊してから1年。
人類の大半は宇宙移民船で火星や月へ逃れ、地上に残ったのは、脱出に間に合わなかった者、そして機械たちだけだった。
人類の大半は宇宙移民船で星の外へ逃れ、地上に残ったのは、脱出に間に合わなかった者、行く場所を選ばなかった者、そしてーー機械たちだけだった。
十七歳の少年・百瀬柊は淡々と終わりの日を待っていた。
そんなある朝、彼は食パンをくわえた少女に、曲がり角で盛大に衝突される。
「おめでとうございます。これで、あなたは本日より終末ラブコメ部の部員です!」
少女は、人類の歴史や文化を記録するために造られた観測用アンドロイドだった。
でもなぜか彼女の記録活動は青春と恋愛に焦点を当てているようでーー。
つまり、青春。
つまり、友情。
つまり、恋。
滅びゆく星の片隅で、少年と機械の少女が始める、物悲しくもほのぼのした、地球最後のラブコメ部活動記録。
文字数 5,004
最終更新日 2026.07.31
登録日 2026.06.30
仮想空間恋愛リアリティショー『リアリティ・ラヴァーズ』。
最新フルダイブ技術によって作られた仮想リゾート《ラヴァーズ・ガーデン》に集められた男女十人は、八日間の共同生活を送り、最終日に“真実の恋人”を選ぶ――はずだった。
だが初日の夜ーー公式マスコットAI・ラヴィの一言で、番組は突如としてデスゲームへ変貌する。
「これより、恋愛裁判を開廷するラヴィ!」
ログアウト不可。ステータス強制公開。
毎晩二十一時、視聴者投票による《恋愛裁判》開廷。
有罪になれば、仮想空間内で処刑される。
そしてその死は、現実の肉体にも反映される。
生き残る方法は、ただひとつ。
恋をし、視聴者に応援されること。
そして最終日まで、誰かに選ばれ続けること。
文字数 2,274
最終更新日 2026.07.31
登録日 2026.06.30
高校二年生の一ノ瀬愛羅は、明るい金髪とギラギラのネイルがトレードマークのギャル。
派手な見た目のせいで恋愛経験豊富だと思われているが、実際は彼氏いない歴イコール年齢。
そんな愛羅が人生で初めて好きになったのは、人気急上昇中のアイドルユニットNØVAのセンター・千年に一人の顔面国宝と言われるREIだった。
穏やかな声と完璧な笑顔を持ち、ファンサ多めで、最後列の観客にまで手を振る理想の王子様。
REIは、愛羅にとって毎日を少しだけ明るくしてくれる、初めての”推し”だった。
――ライブ会場の関係者通路で、血を流して倒れている男と、その傍らに立つREIを見るまでは。
文字数 9,272
最終更新日 2026.07.31
登録日 2026.06.30
かつて、大陸の空にはたくさんの竜が飛んでいた。
山脈を越え、嵐を裂き、戦場を抜け、人々の手紙や荷物を届ける竜便士たち。
空を渡る竜の背に手紙や荷物を積み、山脈も海峡も戦場も越えて届ける竜便士たちは、人々にとって憧れの職業だった。
ーーだが時代は変わった。
魔導鉄道が大陸を結ぶようになり、遅く、危険で、維持費のかかる竜便は急速に廃れていった。
かつて誇り高く空を駆けた竜たちは「役目を終えた遺物」とされ、処分場へ送られることになった。
ベル・クライン、六十歳。
かつて「銀翼のベル」と呼ばれた伝説の竜便士も、今では廃止寸前の竜便局で管理人同然の落ちぶれた日々を送っていた。
腰は痛み、夜目は利かず、魔導端末の使い方もろくにわからない。
六年前に妻を亡くし、残ったのは腰痛とかつて共に大陸を駆けた老竜テラだけ。
そんなある日、正式に竜便局の廃止が決まり、その整理作業の最中、ベルは地下倉庫で古い木箱を見つける。
箱の中に入っていたのは、さまざまな理由によって届けられなかった「未配達便」だった。
ベルは処分場へ送られるはずだった老竜テラを連れ出し、未配達便を荷袋に詰め、大陸横断の旅に出ることに。
文字数 11,431
最終更新日 2026.07.31
登録日 2026.06.30
地下アイドルグループ<Holic Honey>、通称<ホリハニ>のギャルドル・天瀬璃々花は、いつか大きなステージに立つことを夢見る十七歳。
派手な見た目と強気なファンサで人気を伸ばす彼女には、デビュー当時から支えてくれている古参ファン<RINRI>がいた。
距離を詰めず、恋人気取りもせず、少し不思議なくらい理想的なファン。
けれどある日、親同士が決めた婚約者として現れた小鳥遊透夜こそが、その<RINRI>だったと判明する。
そんな透夜は、顔面国宝級で礼儀も完璧。
でも、実はーー。
ギャルドル×サイコ御曹司の危険で甘いラブコメ開幕。
文字数 6,911
最終更新日 2026.07.21
登録日 2026.07.21
百年続いた人間と魔族の戦争は、勇者レオニスと魔王ヴァルザークの一騎打ちによって終結した。
聖剣は折れ、魔王の角は砕け、両軍が固唾を呑んで見守るなか、二人は最後の一撃を放とうとしていた。
だが、聖剣の光と魔剣の闇がぶつかった瞬間、戦場の地下で眠っていた古代の封印が共鳴する。
それは、勇者の聖力と魔王の魔力――相反する二つの力を鍵として作られた封印だったが、勇者と魔王の全力の一撃が重なったことで、封印は限界を迎えたのだ。
封印の中から出てきたのは、小さな幼女。
古の預言で、世界を滅ぼすもの――《災厄の子》と呼ばれていた存在だった。
彼女は、百年の戦争で積み重なった憎しみ、嘆き、死者たちの怨嗟をその身に宿していた。
勇者レオニスと魔王ヴァルザークは知ってしまう。
彼女を鎮められるのは、勇者の聖力と魔王の魔力、その両方だけだと。
二人は互いを殺さず、停戦を選ぶことにする。
こうして結ばれたのが、歴史上初めて人間と魔族が共存を約束した《終戦協定》だった。
文字数 1,873
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.06.30
魔王を討った勇者ルカ・グレイヴは、凱旋の日、王都を滅ぼした。
七日七晩、白い炎が都を焼き、十万の民が灰になった。
世界を救ったはずの勇者は、その直後に世界を裏切ったのだ。
人々は彼を《白炎の勇者》と呼んだ。
泣く子を黙らせる怪物の名。
魔王よりも恐ろしい、人類最悪の災厄。
だが、ルカは死んでいなかった。
王都跡の大聖堂地下、《白炎牢》に十年間封印されている。
肉体は燃え続け、魂は眠らず、なおも白い炎を吐き出そうとしている。
彼を完全に殺すには、魔王討伐の瞬間に生まれた七つの遺物――《七つの葬具》を集めなければならない。
誰もが勇者を憎んでいる。
誰もが勇者の死を望んでいる。
だが葬列が進むほど、疑問が湧き出てきた。
勇者は本当に裏切り者だったのか。
そして王都を焼いた白い炎の中で、一体何が起きたのか。
文字数 1,992
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.06.30
ブラック企業で働き詰めの末、過労死した三十歳の会社員・榊原司。
次に目を覚ました彼は、魔法が存在するレイヴェルト王国の第五王子、アルト・レイヴェルトとして転生していた。
王位継承からは遠く、周囲からも大きな期待を寄せられていない立場。
それを知ったアルトは歓喜する。
今世こそは、絶対に働かない。
誰にも邪魔されず、気ままにダラダラ暮らしてやる――。
ところがアルトは、生まれつき規格外の魔力と才能を持っていた。
本来なら王宮中の注目を集める天賦の才。だが、天才だと知られれば教育も責任も仕事も増える。
そう悟ったアルトは、自らの力を隠し、怠惰で快適な暮らしのためだけに魔法を磨き始める。
やがて成長したアルトは、厄介払い同然に荒れ果てた辺境領を押しつけられるのだが、寒さも不便も面倒も大嫌いな彼は、自分が快適に暮らすためだけに魔法で環境を整え始める。
その怠惰生活のための工夫は、いつしか貧しい領地を豊かな土地へと変えていきーー。
ダラダラと怠惰な暮らしがしたいだけなのに、気づけば周囲からは名君扱い。
これは、絶対に働きたくない元社畜が、規格外の魔法と前世の経験を武器に、世界を変えてしまう異世界転生譚である。
文字数 33,059
最終更新日 2026.05.05
登録日 2026.04.24
文字数 17,427
最終更新日 2026.03.23
登録日 2026.02.05