「想」の検索結果
全体で23,164件見つかりました。
「真田対徳川なら絶対に徳川が勝つに決まってるから真田は見限る。でも徳川軍の一員として戦場に出て痛い思いをするのはまっぴら御免。だから『徳川に味方する宣言』だけしておいて、終戦まで主戦場から離れた山城に引きこもる作戦」
を実行に移した杉原四郎兵衛。
ところが、戦から半月ほど経過したのに「勝ったはずの徳川」からの使者が来ない。
それもそのはず。実は徳川軍はあっさり負けてしまっていたのだ!
やがて、四郎兵衛たちの籠もる山城に、真田の若殿が率いる一軍が迫り来る。
兵糧もやる気も尽きた四郎兵衛たちの運命や如何に。
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※今作は、旧作【子檀嶺城戦記】をリライトしたものとなります。
旧作をお読みいただいた皆様も、改めてご一読いただければ幸いです。
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真田昌幸が「占拠」する信州上田城へ向かって、徳川軍が攻め寄せる。
上州沼田の領有権争いから持ち上がった真田と徳川(&北条)の闘争は、真田の本拠地での大規模戦闘に発展した。
昌幸の嫡男・源三郎信幸は、父に命じられた通りに伏兵部隊を率いて支城へ詰めた。
同じ頃、二十名ほどの男たちが、主戦場から遠く離れた子檀嶺(こまゆみ)岳の古城に入った。塩田平の地侍・杉原四郎兵衛の一党である。
真田と徳川の圧倒的戦力差から徳川軍が勝つと予想した四郎兵衛は、
「徳川に身方する」
と吹聴しつつも古城からは一歩たりとも出ず、
「勝利するであろう徳川軍からの勧誘」
を待つという消極的策戦を取ったのだった。
しかし半月が過ぎても、徳川からの迎えは現れない。
それもそのはずで、真田勢に敗れた徳川勢は、すでに東信濃から撤退済みだった!
廃城で孤立し、事態を知る手段もなく、不安に苛まれる四郎兵衛に耳に、銃声が聞こえた――。
天正十三年(1585)閏八月。
後の世に、第一次上田合戦と呼ばれる戦の裏側で起きた、ほんの数日間の「反乱」の顛末。
文字数 59,349
最終更新日 2021.06.27
登録日 2015.02.07
昭和二十年、東京。
大空襲の夜、看護婦の小夜が運び込まれた負傷兵を見た瞬間、手が止まった。
度重なる空襲で焼け野原となった街で、若い看護婦・小夜は、崩れかけた病院の一室で負傷兵たちの手当を続けていた。
包帯は足りず、薬もない。水も灯りも十分ではない。それでも彼女は、目の前の命を救おうと手を動かす。
かつて想いをよせあっていた寄せ合っていた青年・龍之介は出征し、それきり消息が途絶えていた。生きているのか、もうこの世にいないのか、それすら分からない。
ある夜、重傷の兵士が運び込まれる。
顔は煤と血で判別がつかず、意識もない。名も告げられぬまま、彼女はいつも通り処置を施す。
包帯を替え、傷口を洗い、弱くなる呼吸を必死に繋ぎ止めようとする。
兵士は目を開けることなく、そのまま息を引き取る。
後処理のために認識票を確認した瞬間、彼女の手は止まる。
そこに刻まれていたのは——かつて愛した男の名前だった。
焼け跡に立つ彼女の手には、返されることのない彼の認識票が残されている。
戦火の中で、2人はなぜ出会い、愛し合ったのか。
いま、生きていることが当たり前ではない。
どうか沢山の方に届いて欲しい2人の純愛ラブストーリーです。
文字数 38,405
最終更新日 2026.06.13
登録日 2026.03.03
二度の世界大戦を無事戦勝国として過ごすことに成功した大日本帝国。同盟国であるはずのドイツ第三帝国が敗北していることを考えたらそのさじ加減は奇跡的といえた。後に行われた国際裁判において白人種が今でも「復讐裁判」となじるそれは、その実白人種のみが断罪されたわけではないのだが、白人種に下った有罪判決が大多数に上ったことからそうなじる者が多いのだろう。だが、それはクリストバル・コロンからの歴史的経緯を考えれば自業自得といえた。
昭和十九年四月二日。ある人物が連合艦隊司令長官に着任した。その人物は、時の皇帝の弟であり、階級だけを見れば抜擢人事であったのだが誰も異を唱えることはなく、むしろその采配に感嘆の声をもらした。
その人物の名は宣仁、高松宮という雅号で知られる彼は皇室が最終兵器としてとっておいたといっても過言ではない秘蔵の人物であった。着任前の階級こそ大佐であったが、事実上の日本のトップ2である。誰が反対できようものか。
そして、まもなく史実は回天する。悪のはびこり今なお不正が当たり前のようにまかり通る一人種や少数の金持ちによる腐敗の世ではなく、神聖不可侵である善君達が差配しながらも、なお公平公正である、善が悪と罵られない、誰もに報いがある清く正しく美しい理想郷へと。
そう、すなわちアメリカ合衆国という傲慢不遜にして善を僭称する古今未曾有の悪徳企業ではなく、神聖不可侵な皇室を主軸に回る、正義そのものを体現しつつも奥ゆかしくそれを主張しない大日本帝国という国家が勝った世界へと。
……少々前説が過ぎたが、本作品ではそこに至るまでの、すなわち大日本帝国がいかにして勝利したかを記したいと思う。
それでは。
とざいとーざい、語り手はそれがし、神前成潔、底本は大東亜戦記。
どなた様も何卒、ご堪能あれー……
ああ、草々。現在大規模な増補改訂を行っております。やっぱり、今のままでは文字数が余り多くはありませんし、第一書籍化する際には華の十万文字は越える必要があるようですからね。その際、此方にかぶせる形で公開するか別個枠を作って「改二」として公開するか、それとも同人誌などの自費出版という形で発表するかは、まだ未定では御座いますが。
→ひとまず、「改二」としてカクヨムに公開。向こうで試し刷りをしつつ、此方も近いうちに改訂を考えておきます。
→現在、前枠以外の呂宋沖殲滅戦までの編集を完了。前枠の二話分や「ソビエト、参戦」以降につきましては、ひとまずまた近いうちに編集し直します。宜しく候!
文字数 83,970
最終更新日 2024.11.28
登録日 2022.05.15
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※本作は「倒叙構成」を採用しています。
第1話が物語の結末となります。
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最後までお読みいただいた後、もう一度第1話をお読みいただくと、新たな発見があるでしょう。
——桃から生まれた英雄が、鬼を退治した。
誰もが知る桃太郎伝説。
しかし、もしこの物語の「本当の主人公」が、桃太郎ではなかったら?
戦乱の世、人々は飢えに苦しみ、生きるために奪い合い、やがて「鬼」と呼ばれる存在へと堕ちていった。
そんな絶望の時代に、一人の赤子が桃と共に川を流される。
光と名付けられたその子は、やがて「桃太郎」と呼ばれることになる。
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これは、桃太郎の物語ではない。
彼と共に生きた、もう一人の女の物語である。
彼女の名は時雨。
八歳で家族を殺され、復讐だけを糧に生きてきたくノ一。
彼女が桃太郎と出会い、きび団子を口にした時、凍てついた心が初めて溶け出す。
「この味を、次の世代に——」
彼女の願いは、やがて「時雨の焼印」として、未来へと受け継がれていく。
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これは、『桃太郎』の裏側に隠された、もう一つの真実。
飢饉が生んだ「鬼」の正体。
英雄の影で戦い続けた男たち。
母から子へ、兄から弟へ、そして未来へと託された、たった一つの想い。
全23話、14万文字超え。
伏線は100以上。
読み終えた時、あなたはもう一度、最初のページを開きたくなる——。
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「観る小説」と呼ぶにふさわしい、映像的な描写。
心情はすべて「行動」で表現され、読者の想像力に委ねられる。
何度でも読み返したくなる、仕掛けが随所に散りばめられている。
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今、ここに——歴史の表舞台から消え去った、もう一つの物語が幕を開ける。
あなたは、真実を知る覚悟はありますか?
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文字数 223,307
最終更新日 2026.04.20
登録日 2026.03.26
【あらすじ】
(第一章 太陽の音を忘れない ~神戸信孝一代記~)
神戸信孝は織田信長の三男として知られる。彼は、庶子でありながら、嫡出である信忠・信雄についだ格付けを得るまでにのし上がっていた。
その最たるものが四国征伐であり、信孝はその将として、今、まさに四国への渡海を目前としており、その成功は約束されていた――本能寺の変が、起こるまでは。
(第二章 月を飛ぶ蝶のように ~有楽~)
織田有楽、あるいは織田有楽斎として知られる人物は、織田信長の弟として生まれた。信行という兄の死を知り、信忠という甥と死に別れ、そして淀君という姪の最期を……晩年に京にしつらえた茶室、如庵にて有楽は何を想い、感じるのか。それはさながら月を飛ぶ蝶のような、己の生涯か。
【表紙画像】
歌川国芳, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 16,008
最終更新日 2024.06.06
登録日 2024.05.31
天下の趨勢が固まりつつあった戦国末期。
未だ群雄割拠の中にあった奥州に一人の英傑がいた。
その名は伊達藤次郎政宗!
己の野心を隠さず、あるがままに生きた漢。
これは峻烈でありながらも家族への愛が人一倍強かった一人の男の恋の話。
文字数 55,406
最終更新日 2017.06.26
登録日 2017.05.20
4000年前の縄文時代の日本、筋ジストロフィーに罹った少年と、同い年の主人公とその周りの人たちを描いた作品です。
北海道入江・高砂貝塚で発見された遺骨を元に、書きました。
何故、筋ジストロフィーに罹った彼は、生きる事を選んだのか。周りの人たちや主人公が身体的に発達していくのにもかかわらず、絶望せず、生き抜いたのか。
そして、村の人たちは何故、彼を村の一員として埋葬したのか。
歴史・病気・心理・哲学的思考を元に考えた、私の古代の誇大妄想です。
ですが、少しでも事実が含まれていたらうれしい。そんな物語です。
文字数 582,001
最終更新日 2023.02.21
登録日 2023.02.21
【あらすじ】
(第一章 夏が燻る ~ 源宛(みなもとのあつる)と平良文(たいらのよしふみ)と合戰(あひたたか)ふ語 ―「今昔物語集巻二十五第三」より― ~)
時は平安、坂東(ばんどう)――武蔵野がまだ未開の荒野であった時代、二人の兵(つわもの)がいた。
一人は、源宛(みなもとのあつる)。
一人は、平良文(たいらのよしふみ)。
二人の領地は接しており、郎等(ろうとう)たちの争いは絶えなかった。
ある夏の日。
燻ぶる郎等たちに押され、宛(あつる)と良文(よしふみ)は相見(まみ)える。
しかし――二人は、合戦(かっせん)ではなく、兵(つわもの)として合戦(あいたたか)う。
二人の対決は、坂東の地に、人と人との仲をつなぐ。
そしてその仲は――世代を越え、時代を越えて、語り継がれる。
(第二章 恋よりも恋に近しい ~京都祇園祭「保昌山(ほうしょうやま)」より~)
平安時代、御堂関白こと藤原道長が生きていた時代、道長四天王の一人、平井保昌はある想いを抱き、悩んでいた。宮中で見かけた和泉式部のことが気になって仕方なかったのだ。保昌は式部に「恋よりも恋に近しい」という文を書いた。そして、保昌以外の人たちは、保昌のために動き出す――「恋よりも恋に近しい」を成就させるために。
【表紙画像】
「ぐったりにゃんこのホームページ」様より
文字数 12,096
最終更新日 2024.06.08
登録日 2024.05.31
「大丈夫。俺は、お前の身の潔白を、信じている。それに、eb je geen paard, gebruik dan een ezel.『馬がなければロバを使えばいい』。鉄杖、お前の嫌疑を晴らす方法は、いくらでもある」
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【苦労人&不愛想だが屈強な男】×【超自信家&寂しがり屋だけど弁の立つ美男】
屈強出島番士・鉄杖と、美男オランダ通詞・藤馬のバディ。
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出島の番士として、長崎で暮らす鉄杖は、持ち前の面倒見の良さで、悪いこともしていないのに、面倒ごとを押し付けられてばかり。
ある日、出島から遊女が失踪した。出島の門番を務める鉄杖は、監督不行き届きを理由に、蟄居を命じられてしまう。
蟄居で家に籠っていた鉄杖の下に、あまり話したこともない、阿蘭陀通事の藤馬がやって来て、言う。
「大丈夫。俺は、お前の身の潔白を、信じている。それに、eb je geen paard, gebruik dan een ezel.『馬がなければロバを使えばいい』。お前の嫌疑を晴らす方法は、いくらでもある」
鉄杖は、藤馬を怪しいと思いながらも、共に犯人を捜し始める。そこに、長崎の船競争、ペーロンも絡んできて――。
【キャラクター】
●鉄杖(てつじょう)
「だが、悪い奴ではない。確かに、少し考えの足りぬところはあるが」
出島で番士を勤める、二十三歳。背が高く、がっしりしている、無表情な男。幼少時の病気により、体や顔に痣がある。
やめればいいのに、何でもしょい込んでしまう、苦労人気質。
●藤馬(とうま)
「今日はなんだか、いつもと雰囲気が違うと思ってな」
「当たり前だ。寝巻だからな」
「いや、お前は役に立ってくれたぞ。頑強な人物が傍にいると、遺体から発せられる邪気を跳ね返してくれるような気がするしな」
「俺は、お守りか何かか? そんな効力はないぞ」
阿蘭陀通詞。二十二歳。垂れ目、釣り眉の美男。高飛車そうに見えるが、意外と気安い、と言われる。弁が立つ。
文字数 18,457
最終更新日 2025.01.07
登録日 2024.12.08
恋をして、焦がれれば焦がれる程に、離れなければならない。
どうかあなたがずっと、僕の想いに気付きませんように。
ようやく辿り着いた居場所に、突然現れた。
邪魔だと思った。妬ましいと思った。憎いとさえ思った。
これを恋と呼ぶには、劣情が過ぎる。
「……僕が、あなたを嫌いだということを、言わないでください。誰にも」
江戸時代後期、試衛館。幕府最後の砦である新選組の中核を成す男達が、その運命も知らず集う。後の新選組副長・土方歳三もその一人だ。バラガキと呼ばれた彼だが、近藤勇の最も信頼する同志として友として存在を大きくしていく。穏やかでしかし溌剌とした日々は過ぎ、やがて時代が、彼らを表舞台に引き上げる時が来る。
文字数 133,545
最終更新日 2025.07.25
登録日 2025.07.25
【あらすじ】
慶応四年。上野の山に立てこもる彰義隊に対し、新政府の司令官・大村益次郎は、ついに宣戦布告した。降りしきる雨の中、新政府軍は午前七時より攻撃開始。そして――その最も激しい戦闘が予想される上野の山――寛永寺の正門、黒門口の攻撃を任されたのは、薩摩藩兵であり、率いるは西郷吉之助(西郷隆盛)、中村半次郎(桐野利秋)である。
後世、己の像が立つことになる山王台からの砲撃をかいくぐり、西郷は、そして半次郎は――薩摩はどう攻めるのか。
そして――戦いの中、黒門へ斬り込む半次郎は、幕末の狼の生き残りと対峙する。
【登場人物】
中村半次郎:薩摩藩兵の将校、のちの桐野利秋
西郷吉之助:薩摩藩兵の指揮官、のちの西郷隆盛
篠原国幹:薩摩藩兵の将校、半次郎の副将
川路利良:薩摩藩兵の将校、半次郎の副官、のちの大警視(警視総監)
海江田信義:東海道先鋒総督参謀
大村益次郎:軍務官監判事、江戸府判事
江藤新平:軍監、佐賀藩兵を率いる
原田左之助:壬生浪(新撰組)の十番組隊長、槍の名手
文字数 4,502
最終更新日 2023.05.25
登録日 2023.05.22
戦国末期から江戸にかけての剣豪、柳生宗矩(やぎゅうむねのり)。彼の活躍を三つ、「三番勝負」ということでお送りします。
【一番 邂逅】
慶長5年10月1日、石田三成、斬首。
その首は三条河原に晒されていた……まるで「捨てられた」かのように。
やがて日が経ち、骨が見えるまでになったその首を弔わんと――あらわれた僧侶が二人。
その二人の僧侶――大徳寺住持・春屋宗園と弟子の宗彭――の前に、立ちふさがる剣士がいた。
柳生宗矩である。
【二番 鶚鷹(みさご)飛ぶ時 ~大坂夏の陣、岡山口の戦い~】
慶長20年5月。大坂の役(大坂の陣)の夏の陣が始まった。将軍家兵法指南役・柳生宗矩は、同じく警固役の「九州の鶚鷹(みさご)」 立花宗茂と共に、将軍・徳川秀忠につき従って岡山口に来ていた。徳川は大軍で、勝ちは見えていた――かのように思えたが、大坂方・大野治房の奮戦により、秀忠とその軍は強襲される。
そしてその隙を――十人の刺客が襲う。
宗矩は剣を抜いた。宗茂と共に。
【三番 ほろ酔い幻想記 ~柳生宗矩(やぎゅうむねのり)の或る正月~】
柳生宗矩は、幕府に逆らった禅僧・沢庵宗彭(たくあんそうほう)を許してもらうよう、徳川家光に歎願状(たんがんじょう)を出していた。
正月、いっこうに返事を寄越さない家光にしびれを切らした宗矩は、単独での謁見に望んだ。
家光は改めて歎願状を読むから、それまで待てと言い、宗矩は平伏して待った。
ところがその耳に、つま先立ちして歩く跫(あしおと)が聞こえ……。
文字数 12,559
最終更新日 2025.06.03
登録日 2025.05.31
【あらすじ】
(第一章 芭蕉 ~旅の始まり~)
天和三年。天和の大火のため、甲斐谷村藩家老・高山繁文を頼って、松尾芭蕉は江戸から甲斐、谷村(やむら)に居を移していた。芭蕉は田舎暮らしに満足していながら、なにかたりないと感じていた。やがて芭蕉は江戸に戻り、かつての知己であった八百屋お七のことを機縁に、惣五郎という人物と出会う。惣五郎と、お七のことを話すうちに、芭蕉はある気づきを得る。その気づきとは、やりたいことがあれば、命懸けでやってみろ、という気づきだった。
(第二章 花が咲くまで初見月。)
松尾芭蕉と共に「おくの細道」の旅に出た曾良。彼は句作に悩んでいた。観念的に詠んでしまう自分の句を変えようと模索していた。芭蕉はそんな彼を見て――句を詠んだ。
(第三章 その言葉に意味を足したい ~蝉吟(せんぎん)~)
松尾芭蕉は、「おくのほそ道」の旅の途中、出羽の立石寺(山寺)に立ち寄った。その時、あまりの蝉の声に、弟子の曾良は苦言を呈す。だが、逆に芭蕉は何も言わず、回想に浸っていた。かつての主君であり友である藤堂良忠のことを。良忠は己を蝉にたとえ、その蝉の如き短い生涯を終えた。以来、蝉の鳴く声に、意味はあるのかという想いを抱く芭蕉。そして己の俳諧の「行き先」を求め、旅に出て、山寺に至り、蝉の声を聞いた芭蕉は――良忠に向けて、一句詠んだ。
【表紙画像】
Morikawa Kyoriku (1656-1715), Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 18,581
最終更新日 2024.06.07
登録日 2024.05.31