「店」の検索結果
全体で6,969件見つかりました。
標高1,000メートル。
スイッチバック駅のホームに,小さなパン屋がある。
店の名前は『こもれび』。
古い待合室を改装した,天窓から光が差し込むだけの,ささやかな場所。
停車時間は,わずか5分間。
急勾配を登る列車が,進行方向を逆転させるために,ここで一度だけ息を止める。
その5分間だけが,乗客と店主が触れ合える,唯一の時間だ。
店主の麦は,元・都内有名店のパン職人だった。
完璧な層を折り込み,完璧な発酵を管理し,完璧なパンだけを世に出そうとした。
そうやって追い求めた果てに,自分自身が「過発酵」を起こして,崩れた。
逃げるように辿り着いたこの駅で,麦は毎朝パンを焼く。
高原バターのクロワッサン。
ミルクたっぷりの白パン。
ドライフルーツのカンパーニュ。
やって来るのは,どこかに欠けたものを抱えた人たちだ。
挫折を押し込めたまま出張へ向かうサラリーマン。
育児の孤独の中で,自分の輪郭を見失いかけている若い母親。
「正解」を探して,地図にない場所へ来てしまった少年。
麦は多くを語らない。
ただ,その人が手を伸ばしたパンを,丁寧に袋に包む。
人の「心の欠落」は,その人が選ぶパンの種類に,静かに滲み出る——麦はそう知っている。
5分間が終われば,列車は山を下りていく。
麦にできることは,焼きたての熱が手のひらに残るほんの一瞬に,何かを手渡すことだけ。
それでいい,と今の麦は思っている。
かつての自分が,過発酵で崩れた生地のように,修復できないものもあると知ったから。
ここは終点ではなく,折り返しの場所。
後退することが,次のルートへの転換になる——スイッチバックが,そう教えてくれている。
痛みを知る大人のための,山の上の,5分間の物語。
文字数 92,511
最終更新日 2026.06.10
登録日 2026.03.27
万引きGメンのリサさんは、キレイなおねえさん。
万引き犯をしょっ引いてシメてやろうと、今日も目をギラギラさせています!
そんなリサさんに、俺は…。
[2024年10月19日脱稿]
【解説】
タイトルは、The Beatles の楽曲『ラヴリー・リタ』の歌詞の一部のもじり。原曲の歌詞の「リタ」はパーキングメーター係の女性ですが、実際には作者のポール・マッカートニーに駐車違反の反則切符を切った女性警官だとか。「ちょっと一緒にお茶でもどう?」というフレーズも出てきますが、その部分はポールの歌い方が皮肉たっぷりで最高です。
Gメンを不審客と間違えて…という最初のエピソードは、20年くらい前、私がホームセンターの店員をしていた時に実際にあったことです(先輩からの伝聞)。当時を思い出すと、万引きGメンの人はほとんどが女性で、カッコいい人が多かった。そういう人たちをモデルに、リサを生み出しました。
文字数 6,230
最終更新日 2026.08.29
登録日 2026.08.29
『修羅場好きとしましては』の、店長・東雲結と某組織若頭の仙道の話。全三話完結。
店長の結の耳に、仙道が結婚するらしいと話が舞い込んだ。ずっと仙道を見てきた結には信じられない。大学から長い付き合いの仙道は強固な結婚否定派として有名な男だったからだ。
関連作品
『修羅場好きとしましては。』
『恋人はメリーさん』『繚乱ロンド』など。
文字数 6,590
最終更新日 2021.11.27
登録日 2021.11.27
謎解きクイズをご覧頂きありがとうございます。回答編は6/10金曜日の昼12時に公開予定です。謎が解けたら感想にコメントください。ヒント希望のコメントも歓迎です。お待ちしてます!
文字数 317
最終更新日 2022.06.10
登録日 2022.06.09
これは、成人しても童貞を捨てられなかった童顔系無垢サラリーマン水瀬美樹が、酒の勢いでヤンデレ外国人、ロンサムとの箱詰めセックスに興じる話。
大都会の一角で、男として一皮剥けるつもりが嵌められた!?
謎の美形外国人、ロンサムとの出会いが、美樹の価値観を一新する。
初めてのナイトクラブ、頭に乗っかるおっぱい、そして現れた刺青の男。
バニーガール女の尻を追いかけて迷い込んだのは爛れたナイトワンダーランド!
『頼む、許可をくれ、僕に酷いことをさせないで…』
泣きそうな顔で懇願された。え、もしかしてこのイケメンの主導権って俺が握ってんの?
Twitterで安易にお題を回して出てきてしまったネタに軽い気持ちで取り組んだら、恐ろしいほどの文章量になりました。
スピンオフですが、そんなこと言うのも烏滸がましいほどのチラリと出ている旭くんが主役のBL小説は【改稿版】これは百貨店で働く俺の話なんだけど。から読めます。(宣伝)
だいきちが贈る、サクッと読める執着攻め✖️無自覚天然マゾ受け
相変わらず大人の尊厳とは…?な内容になっていますが、これがきっかけで拙作に興味を持ってくれたら嬉しいです。
長篇字書きが贈る拗らせた男達のぶつかり稽古ラブ(やめろ)
オリジナル短編では一番長いですが、ぜひご賞味あれ!
文字数 28,524
最終更新日 2022.10.15
登録日 2022.10.14
千葉彰久は完璧超人だ。
ほりが深くて鼻筋の通った美しい顔をしている。高校二年生ながらにして全国大会への進出を決めたほどの空手の達人でもある。子供の頃から憧れている幼馴染のお姉さん、鏑木真理の手伝いをしていたから料理や家事が得意であり、期末テストでは学年3位の成績を取ってしまったほどに頭がいい。
そんな完全無欠な彼にも悩みがあった。
自分は老舗の酒屋の息子であるが、空手を生かした生計を立てるためにプロの格闘家になりたい、という夢を持っているということだ。酒屋を継ぐという責任と、自分の夢。どちらを選択するのかということと。
そしてもう一つは、思春期の少年らしく恋の悩みだ。
彰久は鏑木空手道場に通っている。彰久の家である千葉酒店と鏑木空手道場はどちらも明治時代から続く老舗であり、家族同然の関係を築いている。彰久の幼馴染千里。彼女は幼いころに母親の死を間近で見ており、たまに精神不安を起こしてしまう。そのため彰久は千里を大切な妹分として面倒を見ているのだが、その姉である真理にあこがれを抱いている。
果たして彰久は本当の自分の気持ちに気が付いて、本当に自分が進むべき道を見つけられるのか。
将来への不安を抱えた少年少女の物語、開幕します。
文字数 142,311
最終更新日 2023.09.11
登録日 2023.07.17
両親はパティシエで手作りの洋菓子をおやつとして食べてきた2人の兄妹。
数年後、兄はプロのパティシエになり、妹はパティ シエを目指すために製菓関係の学校に通いながら自 宅の洋菓子店を手伝っていた。
ある日、材料の買い出しに出かけた2人。その帰り道にいつも通っているトンネルをくぐると、見慣れない街並みが飛び込んできた。元きた道に戻ろうと するが、トンネルどころか今まできた道が消滅していたのだ……
「元いたところに帰れない……」 「そうだ、ここで洋菓子店を始めちゃおうか」
ここ異世界で洋菓子店を始める2人の物語。甘い洋 菓子で異世界人の心を掴むことができるのか?
※最初の2~3話は異世界に行きません
登録日 2015.02.27
呪いの因果、断ち斬ります!
都心の片隅に佇むアンティーク店『時の雫』。その店主は、長い黒髪をなびかせ、黒いドレスを纏う神秘的な美女だ。彼女は骨董品の販売の傍ら、人知れず「呪物」の解呪を引き受けている。
呪物によって人生を狂わされた人々は、まるで運命に導かれるかのように『時の雫』を訪れる。店主は、客と持ち込まれた品物の来歴を丁寧に聞き出し、呪物化の原因となった「断つべき因果のキーワード」を突き止める。
キーワードが顕現すると、呪物は見るもおぞましいモンスターへと変貌を遂げる。その瞬間、店主は優雅な黒いドレスを翻し、異次元へと続く扉を開く。
そして、その奥で彼女は変身する――。金色の髪と碧い瞳を持つ、白銀の甲冑に身を包んだ「姫騎士」へと。手には聖剣アロンダイトを携え、白銀に光る両刃の剣で、呪いの根源たるモンスターを鮮やかに断ち切るのだ。
これは、美しき店主が、人々の「因果」と向き合い、呪いから解放する物語である。
文字数 13,534
最終更新日 2026.08.26
登録日 2026.08.26
2038年。天才科学者〈桜吹雪〉はこれまでなし得なかった夢と現実の相互作用技術を開発し、夢の記録・再現・世界との共有を始めとする多様な機能を搭載する「夢コン」を発生み出した。現実に物足りなさを感じていた〈星月裕也〉は偶然出くわした〈桜吹雪〉から「夢コン」を手渡される。困惑しつつも彼の友人である〈遠藤実也〉や〈海川愛〉との夢での交流を通じて、夢の世界への興味を持ち始めた。そして初の夢コン対応ゲームである「ドリーム・クロスコネクト」を朝一番から並んで購入することに成功する。サービス開始初日の夜、剣士〈ユウヤ〉としてドリームワールドへのログインを済ませ、〈商店街〉で冒険の準備をしていると、剣士〈サクヤ〉に声をかけられる。2人は〈始まりの森〉にてモンスターの討伐の練習と武器を揃えるのに必要な通貨〈コイン〉を集めていた。夢からなかなか覚めないことに疑問を感じ始めた頃、〈夢広場〉に強制テレポートさせられた。そこに現れた〈桜吹雪〉は全プレイヤーに対して、ドリームワールドは現実世界と完全に切り離され異世界となったことを告げる。現実世界に帰るための条件はただ一つ、このゲームをプレイヤー同士で協力して生きて完全クリアすることだった。HPの減少度が各プレイヤーの心理状況である〈マインドカラー〉に影響されることとHPがゼロになることは両世界での死を意味することを伝えると、〈桜吹雪〉はその場から姿を消した。自分がデス・ゲームに囚われていることに愕然とするプレイヤーたち。〈ユウヤ〉は〈サクヤ〉にソロで自身を強化したあとにパーティを組むと約束して、始めの一歩を踏み出した。
文字数 9,892
最終更新日 2018.08.08
登録日 2018.08.03
とあるレトロなカフェに、二人の美男美女が向かい合って座っていた。
二人は、無言で珈琲を嗜んでいる。
マスターは注文以外に一言も会話をしない貴族の男女を、奇異なものを見るように観察していた。
しかし、珈琲を飲み終わり、女が会計を済ませて店を出て、二人がそれぞれの方向に帰路に着くまで、会話はなかった。
しかし。
これから二人の波乱万丈な恋が始まることなど、誰が予想できただろうか?
文字数 216
最終更新日 2019.03.03
登録日 2019.03.03
01:溺れる
暖かい部屋には、物腰が柔らかそうな男が立っていた。
02:美しいもの
──ああ今日も、溜め息が出るほど美しい
私と彼だけの空間で、彼を愛でる為に一つ一つ丁寧に磨いていく。
03:やわやわ
「てめぇ……いい加減離せよ。毎日毎日……尻ばっか触りやがって」
奴の尻に惚れ込み、今日も最高の癒しの為にマッサージをする。尻というのはバランスだ。尻だけに情熱を注いでも、それだけでは完璧ではないのだ。
04:夜の空に落ちるシャツは、羽ばたく鳥のようだった
必死に階段を駆け上る。苦しい。でも、それでも行かなければならない──お前がここから飛び降りたら、またあの日に戻るから。
05:たゆたう
体は暖かい水の中に浮かんでいるように気持ちいい。
波に揺られているのか、少しだけ体が左右に動くだけで、それ以外は何もなかった。
06:これがあの例の部屋ですか
──例の部屋。それだけ言えば、分かる人には全て伝わります。
興奮するオタクの横で、例の部屋とやらの実験に付き合わされる俺。ずっと過ごしていると段々こいつが格好良く見えてくるなんて……ことは錯覚に違いない。
07:じゃあこんな部屋はどうですか
三種類のエンディングから選べ
08:信者死んじゃう信じ合う
歓楽街に突如現れた『楽園』──このホストクラブには神がいる
花屋である俺は信者であることを隠しながら、店に配達しに行く。そこで見た彼は、いつもの神とは様子が違っていた。
「恋と信仰に大きな違いなんてある? 君は初めて会ったあの日から、俺に惚れてるんだよ」
09:君を手に入れる方法
本音を見せない執事に痺れを切らして、催眠術に手を出してみた。彼の本心が知りたいのに、なかなか上手くいかない。
「貴方は、私という存在により狂ってしまったのですよ」
10:刻
分からない。分からない、分からない……。
どうしてこの男を殴っているのか、どうしてこんなに憎たらしいのか。
どうしてこんなに、死にたいのか。
──汚い体だ。細かい傷。昔からある傷。俺が付けた傷。昨日にはなかった傷。今から付ける傷。
11:すくう
暖かい部屋で、優しい人が隣にいる。
何も求められないし、何もしなくていい。ただただこの部屋は静かで、平和だった。
00:こんな出会いとか、好きですか?
寂れた喫茶店で、今日も飲まれることのないコーヒーを作っている。
雨の日は特に期待値が低い。早めに店を閉めようかと思っていたら、派手な若者が入ってきた。当然こんな客を見るのは初めてだ。
どうしてなのか、どういう感情なのか自分でも分からないけど……彼のことが気になっていた。
0を超えた世界で
1、ごっこ遊び
2、角砂糖を一つ落として
文字数 135,156
最終更新日 2022.07.20
登録日 2022.07.17
傲慢な上級悪魔との出会い。
私が差し出した一杯のコーヒーが、彼と私の運命を変えた。私は、もう一度笑うことを選んだ。――これは、再生と恋の物語。
これは魔界でのお話。魔界のカフェで働く下級悪魔のエリィは、おっちょこちょいで見下されていてどの職場にいても長く続かなかなった。
でもそんな、エリィの淹れるコーヒーだけは絶品だった。
ある日、エリィの働くカフェに魔王サタンの右腕として知られるルシファーが来店する。
一杯のコーヒーを所望し、一口飲むと、屋敷のメイドにするといわれるが……。
長編バージョン、スタートです!
※「小説家になろう」様にも掲載しております。
文字数 61,961
最終更新日 2026.02.28
登録日 2025.07.27
昨年私は丸の内にある会社から、神田にある子会社に左遷された。
面倒な会社行事の帰りに寄った神保町の古本屋で、自分が所有していた本が売りに出されているのに気がついた。どうして売られているのか、その理由が思いつかずに、書店を後にするが、道端に表記されていた高浜虚子の俳句を見て思い出し、急ぎその本を買い戻した。
それは、大学二年の時に千鳥ヶ淵のボートの上で拾った定期券からの縁で知り合った女子高生が、翌年偶然私と同じ大学に入って来て、交際した慶子に貸した本だった。
古本屋から、本を持ち込んだとおぼしき慶子は近くの陶芸教室に通っていると聞きつけると、無性に慶子に会いたくなり、その教室に入会し、彼女を捜索する。
しかし、講座は週に色々な時間帯や曜日に二十コマあり、なかなか慶子に会えなかった。それどころか本当に慶子がそこに通っているのかと疑念を抱いた。
そんな時、各自が焼き上げた陶器を出品し合う作品展が開かれた。そこで、慶子の新姓である珍しい当野という名で出されている作品を確認した。さらに、辛抱強く出席していない日時のコマを潰して行くと、ある日、当野さんという呼び声がした。逆光ではあったが、そこに見えるのは間違いなく慶子の姿だった。帰路彼女に後ろから声をかけると、振り向いてはくれたものの、彼女は首を傾げた。
何と彼女は慶子の娘だった。
一卵性母娘か、姿、形はそっくりであった。
娘からは、その直前に慶子がガンで亡くなっていたことを告げられた。
外は桜が満開であったが、季節外れの雪が降り出し、桜の花に降り積もっていた。
娘と別れ際、地下鉄の同じホームに立った。しかし、それぞれに反対の方向に乗車して、別れて行った。
文字数 30,744
最終更新日 2026.06.15
登録日 2026.06.15
仮想の時代、大正参拾余年。
その世界では、鉱石は薬として扱われていた。
鉱石の薬効に鼻の効く人間が一定数居て、彼らはその特性を活かし薬屋を営んでいた。
極楽堂鉱石薬店の女主の妹 極楽院由乃(ごくらくいんよしの)は、生家の近くの線路の廃線に伴い学校の近くで姉が営んでいる店に越してくる。
その町では、龍神伝説のある湖での女学生同士の心中事件や、不審な男の付き纏い、女学生による真珠煙管の違法乱用などきな臭い噂が行き交っていた。
ある日、由乃は女学校で亡き兄弟に瓜二つの上級生、嘉月柘榴(かげつざくろ)に出会う。
誰に対しても心を閉ざし、人目につかないところで真珠煙管を吸い、陰で男と通じていて不良女学生と名高い彼女に、由乃は心惹かれてしまう。
だが、彼女には不穏な噂がいくつも付き纏っていた。
※作中の鉱石薬は独自設定です。実際の鉱石にそのような薬効はありません。
文字数 137,100
最終更新日 2019.05.23
登録日 2019.04.13
文字数 7,466
最終更新日 2022.03.30
登録日 2022.03.28