完結『矢野アラタの大冒険。近江の悪ガキ、埋蔵金伝説に挑む』

滋賀県の近江八幡に住む小学六年生、矢野アラタ。
クラスでは“悪ガキ”と呼ばれながらも、好きなことには全力で突っ走る、ちょっと不器用で情に厚い少年だ。

ある夏休み、アラタは近所に住む親友・宮本ケンタと一緒に、使われなくなった河川敷に“秘密基地”を作ることにした。
ケンタ(母はフィリピン人は母子家庭(父は事故死)で暮らす本好きな少年。ふたりは性格こそ正反対だが、どんな遊びも冒険に変えてしまう“最強の相棒”だった。

ふたりは、消えた野良猫を探したり、夜の学校で肝試しをしたり、古びた神社で謎の地図を見つけたりしながら、夏休みを自由に駆けていく。
やがて彼らは「信長の埋蔵金が、安土のどこかに眠っている」という古い伝説を知る。
「だったら、オレたちが見つけりゃええやん!」――それは、少年たちの“本当の冒険”の始まりだった。

スコップと勇気と、ちょっぴりの知恵。
お金もない。大人の力も借りられない。
だけど彼らには“友達”と“夢中になれる夏”がある。

貧困、孤独、地域のつながり、そして格差。
目をそらしたくなる現実の中にあっても、少年たちはまっすぐに、“自分たちだけの宝物”を探しにいく。

これは、あの頃の誰もが胸に抱いていた、
**「世界をひっくり返すくらいの、ひと夏の冒険」**の物語。

すこし昔の少年たちのように、
だけど今の子どもたちにも、きっとどこかで通じている。

――さあ、秘密基地から、埋蔵金伝説へ!
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