SF コメディ小説一覧
「鳥の唐揚げひとつ」
店主に注文した。
「すみません。今在庫を切らしているため、風見鶏の唐揚げになってしまいます。」
店主は言った。
はて、風見鶏の唐揚げとは?よくわからないな。
「風見鶏の唐揚げとはなんですか」
私は店主に聞いた。
「風見鶏を唐揚げにしたものです。」
なるほど。風見鶏を唐揚げにしたものか。
「そんなものを売ってもよいのですか。」
私は尋ねた。
「いいんです。」
店主は答えた。へえ、いいんだ。
折角なので、注文してみた。
「風見鶏の唐揚げひとつ」
「へいよっ!!」
風見鶏の唐揚げがでてきた。風見鶏自体はどうやらプラスチックでできているようだった。
はてさて、食べていいものなのか。辺りを見回すと、みんな風見鶏の唐揚げを食べていた。
モグモグ、サクサク、カザミカザミ。
しかし、みんなが食べているからといって食べていいということにはならない。私は悩みに悩んだ結果、食べないことにした。
翌朝テレビをつけると、例の店主が謝罪している。どうやら風見鶏の唐揚げを食べた人々、コケコッコーしか、言えなくなった。私は、風見鶏の唐揚げを食べなかった自分を褒めた。偉いぞ、よしよし、よしよし。
私は風見鶏の唐揚げを食べなかったことを自慢したくなった。そこで、向かいの佐藤さん宅のチャイムを押した。奥さんがでてきた。
「私は昨日、風見鶏の唐揚げを注文したにも関わらず、食べませんでした。」
「まあ、すごい。」
奥さんは私のことが好きになった。佐藤さんの夫は最初は怒ったが、私が風見鶏の唐揚げを注文したにも関わらず食べなかった人間だということを知り納得した。それどころか、夫さんも私のことを好きになった。あれやこれやしているうちに、風見鶏の唐揚げを注文したにも関わらず食べなかった判断力が評価され、内閣総理大臣になった。
風見鶏の唐揚げに感謝しなければいけない。風見鶏の唐揚げがなければつまらない日々が続いていただろう。ということで、権力を乱用し例の店主を釈放、感謝状を送った。しかし、このことについて国民の理解が得られなかった。理解を得るために会見を開き、
「権力を乱用した。」
と説明した。
内閣支持率は一気に低下。内閣は解散に追い込まれ、私は内閣総理大臣から一般人になった。それどころか、取り調べを受けることとなった。逮捕されたくないので、警察官をみな殺しにしようと思い、風見鶏の唐揚げをたくさん作った。
「はい、どうぞ。」
「いいえ、いりません。」
誰も食べなかった。ちくしょう、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい。
悔しかったので、悔しがった。警察は、私があまりにも悔しがっていたので、許してくれた。
私はうちに帰った。何事もない日常が、一番の幸福なのかもしれないな。ゆったりビールを飲みながら、思った。
文字数 1,131
最終更新日 2019.11.10
登録日 2019.11.10
文字数 2,060
最終更新日 2019.11.09
登録日 2019.11.09
姉の白蟻加奈子は何でも出来る完璧人間です。
そんな人が妹の白蟻飛鳥にとあるVRMMOゲームを渡してきました。
強制的に始まった飛鳥の仮想現実ライフは、どうなってしまうのか……
文字数 9,655
最終更新日 2019.10.26
登録日 2019.10.24
タイムマシンによる時間航行が実現した近未来、大国の首脳陣は自国に都合の良い歴史を作り出すことに熱中し始めた。歴史学者である私の書いた論文は韓国や中国で叩かれ、反日デモが起る。豊臣秀吉が大陸に侵攻し中華帝国を制圧するという内容だ。学会を追われた私に中国の女性エージェントが接触し、中国政府が私の論文を題材として歴史介入を行うことを告げた。中国共産党は織田信長に中国の侵略を命じた。信長は朝鮮半島を蹂躙し中国本土に攻め入る。それは中華文明を西洋文明に対抗させるための戦略であった。
もうひとつの歴史を作り出すという思考実験を通じて、日本とは、中国とは、アジアとは何かを考えるポリティカルSF歴史コメディー。
文字数 267,242
最終更新日 2019.07.05
登録日 2017.06.04
江戸時代からタイムスリップしてきた鎧武者江戸 平八郎は戦場に行くまでは優秀な寿司職人だった。そんな彼が子孫たちの店を立て直していく。
文字数 3,632
最終更新日 2019.01.28
登録日 2017.11.03
この話は、ゲームによく出てくる有名なモンスターを、ゲーム内では出来ないとんでもない方法で倒す、という事をコメディタッチで書いたものです。
ありえない状況、珍妙なモンスター、変なアイテム、おかしな他プレイヤーなどが主人公達の行手を阻む中、このゲームを最初にクリアした者に授与されるという『賞金』を目指して破天荒な戦いをする彼らの暴走をお楽しみ下さい。
※以前のタイトル『アンリアルワールド』が海外のゲームと被っていたので、タイトルを昔に戻しました。
※設定を少し変更したので、主人公の名前を『もょもと』から『クロウ』に変更しました。読者の方々にご迷惑をかけてしまい、申し訳ありません。
※この話は他の小説投稿サイトでも公開しております。
文字数 224,329
最終更新日 2018.12.05
登録日 2018.10.27
ここは人口の6割が超能力者の世界。超能力者は、あらゆることが優遇されていて、超能力者以外を蔑んでいた。そんな世界のとある町に、ごく普通の15歳の少年がいた。彼は、両親と姉と祖父と暮らしていた。そして訳あって離れて暮らしている祖母もいる。ある日、少年は超能力者しか入学できない筈の高校に何故か入学してしまったことで、普通だと思っていた家族の秘密を知ることになった。
文字数 15,234
最終更新日 2018.10.12
登録日 2017.11.12
超絶美人なのに男を虫ケラのようにあしらう社長秘書『玲子』。その虫けらよりもひどい扱いを受ける『裕輔』と『田吾』。そんな連中を率いるのはドケチでハゲ散らかした、社長の『芸津』。どこにでもいそうなごく普通の会社員たちが銀河を救う使命を背負わされたのは、一人のアンドロイド少女と出会ったのが始まりでした。
『アカネ・パラドックス』では時系列を複雑に絡めた四次元的ストーリーとなっております。途中まで読み進むと、必ず初めに戻って読み返さざるを得ない状況に陥ります。果たしてエンディングまでたどり着きますでしょうか――。
文字数 1,737,888
最終更新日 2018.07.28
登録日 2016.11.01
町中で大声をあげている男。当然、人だかりができるが、理由は大声ではなく、その男が死んでいるからであった。
ショートショート地獄コメディーをお楽しみ下さい。
短編二十一作目です。
文字数 9,919
最終更新日 2017.10.05
登録日 2017.10.05
世界の何処かで誰かが言った。
「世界はなんてつまらないのだろうか」
少年は『Perfect End Online』というゲームの中で、色々な望みを抱きながら、仮想世界を体感していく。
美しい世界、刺激ある世界、創造される箱庭。
少年はやがて出会いを重ね、敵と戦い、試行錯誤し、家族を創る。
「僕は、君と冒険したい」
その言葉と共に、少年と少女は夢を希望を、英雄を思い、抱き、羨望する。時に別れがあり、それを乗り越えながら少しずつ成長していく少年と少女の完璧なる終わりの世界。
笑いあり、泣きあり、感動ありなVRMMOによる青春コメディー
どーもソナタで~す!VRMMOを書きたいと思って2作品目初めました!よろしくお願いします!非デスゲーです!
文字数 35,549
最終更新日 2017.01.01
登録日 2016.12.02
井原西鶴の「好色一代男」の主人公、但馬屋世之介の七十七代の子孫、但馬世之介、十七歳。先祖に似合わず、性格は真面目で、堅物。父親はかれに女道修行を命じる。そこで女ばかりの惑星「尼孫星」へ出かけることになったが、なぜか到着したのはバンチョウ、スケバン、ツッパリがうようよいる「番長星」。世之介はこの星から脱出できるか? あるいは童貞卒業して、父親の期待に応えられるだろうか? 伝説の学ランをめぐり、世之介の周囲でまきおこる大騒動!
文字数 175,409
最終更新日 2016.11.19
登録日 2016.11.04
※真面目に書いた不真面目な話です。銀魂とか機動戦艦ナデシコとか好きな方には気に入って頂けると思います。
2002年、人類は新たな世界に足を踏み入れた。
ネズミの中枢神経とコンピューターをダイレクトに繋いだ実験が世界を一変させたのだ。神経工学という学問が生まれ、事故や病気、戦争で失った体の一部を「義体」で補う事が可能となった。
そして時は流れ、人の意思で制御できる兵器を生み出すまでに至った。人の意識を延長させて運用する兵器、通称「延識兵器」の開発者を父に持つ火威紅介は高校に入学したばかりの普通の男の子だ。
伝統派空手の有段者でありながら父親譲りで成績優秀。親が離婚していることを除けば順風満帆な人生だが、彼の体内には彼自身も知らないある秘密があった…。
文字数 39,128
最終更新日 2016.09.07
登録日 2016.08.15