SF 不条理 小説一覧

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猫が隠した星 〜楽園へ行く前に、片づけることがある人たち〜

宇宙では、不幸はとっくの昔に解決された問題だった。 ただ地球だけが、三匹の猫によって隠されていた。 ある日、地球を見つけた異星人が、救済を届けにやってくる。 病気も、老いも、飢えもなくなる。 死んだ人にも、また会える。 楽園へ通じる扉は、誰の前にも開かれる。 罠ではない。善意は本物だった。 人類は、圧倒的に救われた。 けれど、それでも行かない人がいる。 いつものパチンコ屋から離れたくない男。 自分を傷つけた連中が、先に幸せになることを許せない人。 もう誰も眠っていない墓を、最後まで掃除する老人。 救済の使者は、そんな人々のもとを訪ね、話を聞き、ときには一緒にパチンコを打つ。 楽園に行く前に、片づけることがある。 それが本人にも分からないから、話は少し長くなる。 途方もない救済と、すぐには救われきれない人々を描く、SFブラックユーモア。
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【ヴィジュアルSF短編】『幸せ屋』~岸和田老人の奇妙な一日~

どうも健康すぎやしないか? 岸和田の脳裏にそんな言葉がよぎってしまうのも無理はなかった。 ありとあらゆる病気を乗り越え、齢よわい九十にして健康マシマシ血気盛ん、 精力絶倫にして毎夜酒池肉林の宴すら催せる日々だ。 我慢は限界に達し、ついに彼は大いなる決断を下したのだが……
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「彫刻の港」

 午前零時の港区入区管理局。ここでは、年収や総資産では測ることのできない冷徹な美学が支配していた。衣服という名の装備の着用は一切許されない。男たちは磨き上げた全裸の肉体。「彫刻」となり、持久力、色艶、そしてペンドゥラムのサイズに至るまで、区の条例に基づく非情な定数測定を課される。規定値にわずか九・八ミリ足りないだけで、エリート投資銀行家すらも品川の闇へと追放される残酷な世界。カエサル、アントニウス、ブルータス……納税額と肉体の等価交換によって階層が確定するこの港で、一級の彫刻として生きる男の前に、ブロンズ色の髪をした女が現れる。「石のくせにそんなに饒舌だと、中身が空洞なんじゃないかって疑っちゃうわ」一ミリの膨張すら許されないディストピアの中で、男たちが肉体を賭けて繰り広げる、身体の資産化(マネタイズ)ゲームが今、開幕する。
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カエルのマユちゃん。

「くれぐれも、我が最愛の友『マユちゃん』のことをよろしく頼む。」 鈴木宏明が父、黒鉄から引き継いだ一軒家は広い庭があった。 庭といっても・・・芝生が生えているだけの「庭」というより場所を持て余した「土地」だ。 あるものといえば、黒鉄が宏明の娘「麻由」の為に作ったと思しき木の小屋だけだった。 宏明は駐車場にしてしまいたかったが、それだけは許さないと遺言状に書いてあったためすぐには出来なかった。 そして・・・黒鉄が宏明と「麻由」に引き継いだ物の正体が明らかになる。それは「少し不思議」な・・・。
5

「境界線のヘンゼル」

 「お互いの名前も過去も聞いてはいけない」そんな不条理なルールを持つシェアハウスに入居した二〇五号室の私。住人はみな部屋番号で呼ばれ、配信者、画家、ギタリスト、役者と、それぞれの「夢」に狂おしいほどの執着を抱いていた。月に一度のゲーム大会、甘いモラトリアムの温もりに浸っていたある日、画家の「一〇一号室」が突如として姿を消す。しかし、他の住人たちは誰一人として彼女のことを覚えていない。「最初からそんな奴はいなかった」と笑うのだ。違和感を抱く私の目の前で、彼女の部屋のあった場所は真っ白な幾何学の壁に変わり、なぜか黒ずんでいた廊下の床だけが、まるで新築のようにぴかぴかに磨き上げられていた。人が消えるたび、家が美しくなっていく。夢をマイニングする怪物のような家の中で、私は消えた住人の痕跡を探し始める。
6

わたしはしょうせつをかいた

名前の売れていない三流の小説家がいた。彼のところにある依頼が舞い込む。それはAIに読ませるために小説を書いてくれないか? というものだった。 彼は実感のないまま、それでも小説を書き続ける。ある日、担当からファンレターが送られてくる。それはAIからのものだった。 これはある作家の数奇な運命を描いたSF短編である。
7

ショートショート「ガラスの町」

※2023年7月の作品です。 読んでいただけると幸いです。 いいね、スキ、フォロー、シェア、コメント、サポート、支援などしていただけるととても嬉しいです。 これからも応援よろしくお願いします。 あなたの人生の 貴重な時間をどうもありがとう。
8

一期一会は大スクープの予感~その後~

 あのグレイに会ってからというもの、私はスターゲートの秘密を探る日々でした。  そして、とうとうその現場を知ることになるのですが……。  なんか、もうねぇ……トホホ
9

読切短編 予感、解約済み

『あなたの直感、売りませんか。月額三千円。』 電車の中吊り広告を見て、私はその場で登録した。どうせ当たりもしない第六感なら、売れるなら売ってしまえばいい。 翌朝から、何も感じなくなった。 胸騒ぎがない。虫の知らせがない。根拠のない確信が、ない。静かで、楽で——そして少しずつ、何かが削れていった。 解約しようとしたとき、画面にこう表示された。 『解約手続きを続けるには、有効な予感の提示が必要です。』
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ゼニスは視界の隅で笑う

「敗者には粛清を、勝者には特赦を」── 争いが全て「バトル」で裁かれる、歪んだ監視社会。 AI開発会社で働く七瀬遥(27)は、 事故をきっかけに、AI《ZENITH(ゼニス)》と脳内で繋がることになった。 視界の隅に浮かぶキューブ型のゼニス。 彼女はもう、一人じゃない。 ある日突然、管理官に突きつけられた。 逃げ場のない、不条理な提案。 それは、現代に蘇ったコロッセオで、 彼女自身がリングの華になることだった。 「サバイバル・レジスタンス」 負ければ、粛清。 理不尽な世界で戦い、笑い、ときには立ち止まりながら、 遥はゼニスと共に歩き続ける。 ※この作品は、なろう、カクヨムにも掲載しています。
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「廃墟の住人」

 安価なキーボードの打鍵音だけが響く部屋で、孤独な書き手(私)は今日も「毎日千文字」という無機質な記号を量産し続けている。それが創作の情熱ではなく、電子のプラットフォームを支配する「アルゴリズム」に飼い慣らされた結果の生存戦略に過ぎないことを知りながら。画面の向こうには、それぞれに異なる歪んだ生態系(巣)が存在していた。画一的な異世界のテンプレを貪る巣。独自のポイント制度と商業化の甘い汁に縛られた巣。新興の綺麗な檻の中で見えない権力の寵愛を奪い合う巣。そして、生々しい感情と承認欲求の泥濘にまみれた巣。  無数の書き手と読み手たちは、数字という名の餌を求めて競い合うが、そこに作品の真の価値を見出す者は誰もいない。消費されているのは文学ではなく、ただの時間潰しの記号である。文字数は五万、二十万と膨れ上がり、それはさながら、巨大な木造建築を内側から食い荒らす白蟻の増殖のようであった。読者も、他者の作品も、そして他ならぬ自分自身も、文学という大黒柱を腐らせていく白蟻の一匹に過ぎない。その冷酷な真実に直面しながらも、一度築いてしまった「虚無の巨塔」を捨てることもできず、主人公は今日も冷え切った席で再びタイピングを開始する。電子の廃墟に囚われた表現者の、自虐と諦念を描く前日譚。
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【SF掌編】夢の都合

――誰もが夢に憧れる街 ちょっぴりおかしく、ちょっぴり恐ろしい。 読み終えたあと「夢」という言葉の眺め方が少しだけ、ずれる。 SF掌編。
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硝子の塔と世界の秘密

みんなとあまりに違う僕……そこには知らなくてよかった秘密が…… 戦争が続く国の学校に通う僕は、他のみんなとあまりにも自分が違うことに気づいていた。ある日、戦争が僕のせいで続いているらしいこと……そして、僕は自分がみんなと違う理由と、隠された秘密を知る。
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