「い」の検索結果
全体で238,733件見つかりました。
伝え聞く話。私が心を傾け、やがて耳を傾け、全てを捧げようとした聖人の道を通ったかつての人々はどうか。みなそれぞれ、生まれたときから、そう宿命づけられていたかのように類まれな才と同時に謙虚さ、慈悲をもあわせ持ち、不正と争いを嫌い、慎ましく、いかなる欲も悪しきものと払いながら、しかも人々の欲に向かうさまに微笑みと、過ぎるならば哀れみの視線をくれる、そんな「祝福された」子供だった。
私はどうか。私は、とても褒められた子供ではなかった。才の無いのを妬みに変えて、周りの子供に大事にされたことなどは、その妬みを茶化しに変えるいたずらとずる賢さの才であり、都合に応じて優しさを変え、いじめるようなことはなくとも、興味のない人物にはあからさまなまでに冷淡に接してきた。不正も争いも中途半端に好きであれば嫌いでもあり、自分の美点はそれとなく明かして汚点は必死に隠した。欲に対して厳しく当たっているようで、その実、誘惑には弱かった。人々のあさましい様には眉をひそめながら、自分に訪れる甘美な経験は天からの褒美や見逃しだと考えていた。
私は時には、生きていることが恥ずかしい。ただ日々は敬虔さを求めながら過ぎ行くなかで、それでも何かすれ違う人の中に、私への慰めの声に、細やかで優しい手に、私はまたしも誘われていく。私はそういう人なのか。それとも祈りの果てにこの日々をこえて、すべてを洗い流した美しい景色がこの眼の前に訪れるのか。
文字数 2,571
最終更新日 2024.08.11
登録日 2024.08.11
——大陸には五つの王国があり、幾体かの魔王が災厄として都度出現していた時代。それは勇者が人々の希望として輝いていた時代でもあった。
無精髭が似合う中年セレドは元勇者である。今はかつての身分を隠し、今は西の王国で一介の冒険者として細々と暮らしている。
——独身——。それが性に合っていたのだ。
そんなセレドの元に、北方王国からシエラと名乗る少女がやってくる。冒険者には似つかわしくない気品と、その気品に似合わない覇気を漂わせた彼女はセレドに詰め寄る。
「あなた、元勇者でしょ? 母様から聞いているわ。結婚から逃げ出したチキン野郎だって」
シエラの正体は、セレドが勇者時代に仕えていた北方王国の王女の娘だった。動揺するセレド。まだ勇者であった頃、魔王を斃した暁には王女と結婚する約束だった。しかし、その約束は果たされなかった。セレドが勇者の地位を捨てて逃げたからだ。
「王族にとって、交わした約束は何よりも重いものなの。だから甚だ、全く、非常に遺憾ではありますが、私はあなたと結婚するわ。その為にここまで来たの」
「は、はあ?!」
「王族の執念、舐めたらあかんぜよ」
折しも西の王国では、長年続いていた赤竜の魔王との戦いが大詰めを迎えていた。白銀の勇者が魔王を追い詰めていくが、その先々で不穏な影がちらつく。勇者の討伐に先んじて、魔物を斃して回っている者がいる。一体何故……?
果てして白銀の勇者は、無事西の王国に平穏を取り戻せるのか? そしてセレドが勇者から逃げ出した理由とは?
——勇者という希望に引き寄せられた人々が織り成す、ファンタジー活劇。
文字数 82,891
最終更新日 2024.09.15
登録日 2024.08.26
鹿久保 伊予(かくぼ いよ)は新人会社員だ。
社会人には見えないほどの愛らしさに、社内での人気は高いが、少し変わった不思議ちゃん。
そんな伊予は、上司の大沢 英治(おおさわ えいじ)に想いを寄せている。
30代で部長を務めるほど有能な、英治だ。
仕事ぶりばかりでなく、ルックスも性格も良く、さらに独身。
彼のパートナーになりたいと願う社員は、大勢いた。
伊予もまた、その一人だ。
しかし、なかなか言い出せないでいた。
ある日、激務に疲れの見える英治を癒したいと考えた伊予は、カフェのマスターへ相談する。
このカフェには、ケンカ友達のウエイター・石丸(いしまる)と、頼りになるマスターがいるのだ。
マスターは、これを注せば心身の疲労も吹っ飛ぶ、と不思議な目薬を伊予に手渡した。
謎の目薬のおかげで、少しだけ距離の縮まった伊予と英治。
一緒にディナーを楽しむまでに、その仲は発展した。
しかし今度は、伊予の隠れた趣味が英治に知られてしまう。
しかも、それが元で伊予は事件に巻き込まれてしまった。
英治の救いの手は、伊予を守ることができるのか。
そして、二人の辿り着く先は……?
文字数 15,042
最終更新日 2024.09.08
登録日 2024.09.04
「好きです。付き合ってください」
ベタなセリフを口にした僕の目の前には、男子たちの間で一番人気の女子、石川瑠香さんが立っていた。
地味で冴えない僕が、彼女のような高嶺の花に告白するなんて、罰ゲームでもなければ絶対に考えられなかった。
文字数 1,960
最終更新日 2024.09.11
登録日 2024.09.11
幼馴染みの兄に恋をしていた菜々美。
両想いかもとウキウキしていたが、そんな恋心は裏切られてしまった。
雨の中泣いている奈々美の前に現れたのは…。
文字数 3,735
最終更新日 2024.10.24
登録日 2024.10.24
文字数 8,003
最終更新日 2025.03.24
登録日 2025.03.15
スマホMMO『ネオ・ワールド・オンライン』の廃人プレイヤーであった彼はそのゲーム内で使用していたキャラであるドスケベな体をしたハイエルフの美少女「ステラ・グリーンローズ」として異世界に転移してしまった。
そしてなんやかんやあって、かつて存在した帝国が生み出した対魔王生物兵器であるルキオラと吸血鬼の一族であるメイデンと共にステラは何度か世界を救ったのだが……突如としてその二人に襲われてしまうのだった。
と言うのも、ルキオラは彼に恋心を抱いていたのである。しかし世間体や倫理観の関係上、おっさんである彼は少女である彼女と関係を持つことは出来ないと考えていた。
そのためルキオラとは仲間以上の関係にならないようにある程度の距離を置いていたところ、とうとう我慢ならなくなった彼女が強硬手段に出たのだ。
更にはメイデンによるチャームの効果もあり、ステラは魅了状態のまま身動きできず、感度の上がった体をルキオラに好きなようにされてしまう。
一体ステラはどうなってしまうのだろうか。
※この作品は『MMOやり込みおっさん、異世界に転移したらハイエルフの美少女になっていたので心機一転、第二の人生を謳歌するようです。』のR18スピンオフ作品となります。
なのでこちらの作品を読了後に本作をお読みになった方がより楽しめると思います。
文字数 3,072
最終更新日 2024.11.15
登録日 2024.11.15
「俺」は、日本のどこかにある男子校の生徒。皆が思い描くような甘酸っぱい青春を過ごせないながらも、男子校でしか味わえない「俺」のある何気ない一日を描いた短編小説。
※下ネタ多いです。苦手な方は注意してください。
文字数 10,224
最終更新日 2025.01.31
登録日 2025.01.20
コースワロー辺境伯爵家の長女アイリ。
聖魔法が使える私は、帝国騎士団所属のミリアーヌと、
帝国魔術団所属のリリアーヌという シスコン双子の妹 に囲まれている。
二人は優秀で美人なのに、
私の縁談となると──
「アイリお姉さまに相応しくありません!」
「義兄になる方は私が選びます!」
と、全力で暴走し、
お見合い相手を次々と撃退していく。
そんな中、皇帝主催の夜会で
第二皇子から突然の求婚を受ける。
「婚約を考えてくれませんか?」
妹達は大騒ぎ。
父は大喜び。
私は……まさかの皇子の婚約者に。
シスコン双子に振り回されながらも、
最終的に幸せを掴む姉の婚活(?)物語。
文字数 6,049
最終更新日 2025.02.09
登録日 2025.02.09
公爵令嬢のリディアンネは己の運命を呪っていた。籠の中の鳥。そんな退屈な毎日に出会った王太子に心を奪われていた。
王国中の人気を独り占めしている王太子には真実の愛を育んでいるお相手が存在する。そのお相手とはマリアという平民の娘。
猛反対され苦しむ王太子を救うべく立ち上がるリディアンネの一生である。
文字数 24,847
最終更新日 2025.08.15
登録日 2025.07.30
日本に帰国、偶然寄った小倉のバーで出会った女の子とバーのママがいた。
「まったく・・・ミキちゃんは発想がおかしいわよ。それもね、私だってミキちゃんみたいに自由だったら、同じようにおねだりしちゃうかもね・・・」なんてママまで変なことを言う。
「まあ、そのね、私は船賃なんか気にしないけど、どうにも、二回りくらい年の離れた初対面の女の子と一緒に部屋なんて・・・」
「あら?ちょっとしたパパ活でも数万円するんだし、パパ活と思ってもらって、私を自由にしてもいいのよ、おじさん」
「そんなことを言って・・・知らないよ、ミキちゃん、何が起こっても」
「大丈夫、おじさんに責任をなすりつけません。なんなら、スマホのボイスレコードに録音しても良いわよ。証言しますから。ママも証人になってくれるもん。私は、おじさんに何をされようと・・・殺人は止めてよね・・・おじさんに責任を取らせることはいたしません。だから、一緒に連れてって。ね?お願い」と私のiPadを取り上げて、フェリーのWeb予約のページをさっさと画面に出してしまった。
※この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※この物語は性描写や飲酒、喫煙シーンを含みます。
文字数 7,230
最終更新日 2025.04.12
登録日 2025.04.11
【第1部】未読でもお読みいただけます。ミステリー好きの方はむしろこちらから是非。
――伯爵は誰に、何故、どうやって毒殺されたのか。
20世紀初頭、エドワード朝の末期の英国。
メラヴェル女男爵ことアメリア・グレンロスは好奇心旺盛な20歳のレディ。
彼女は思いがけず伯爵が毒殺された事件を捜査することになる。
以前共に侯爵家の宝石の盗難事件を解決した侯爵家の三男アルバート卿と再び協力することになるが、2人の関係にも変化が訪れる。
ミステリーとロマンスの行方は――。
エドワーディアンを舞台にしたヒストリカルミステリーシリーズ。
※一般的な推理小説レベルの表現があるため念のためR-15としています。
文字数 149,207
最終更新日 2025.11.23
登録日 2025.05.30
生まれつき、人とは違う“魔力体質”を持つ少女・ミルティナ。
大きな決意を胸に、彼女は生まれ故郷を旅立った。
戸惑い、迷い、そしてほんの少しの勇気が、彼女を新しい絆へと導いていく。
不器用だけれど優しくて、臆病だけどまっすぐで――
これは、少女が出会いを通じて少しずつ強くなる、魔力と絆の成長譚。
文字数 12,989
最終更新日 2025.08.05
登録日 2025.07.29
ただひとつの死にゲーをプレイし続ける井上優人は友人の田中毅から、『ツリーサーガ』というVRMMOをすすめられ、プレイしていく。
彼の頭にこびりついた死にゲーマーとしての感覚は、普通のゲームプレイを無意識のうちに拒んでいった。
そんな中、あるプレイヤーと出会うことで彼は自分のするべきことに気付く。
それは……
登録日 2025.10.01
登場人物
• 桜井 紬(さくらい つむぎ):高二、文芸部。内向的で観察眼が鋭い。言葉を紡ぐことで世界を整理するタイプだが、他者に自分の物語を見せるのは苦手。物語の視点人物。
• 吉川 真央(よしかわ まお):紬の親友。吹奏楽部でトランペット担当。明るく行動的だが、本当に大事な瞬間では不器用になる。紬とは幼なじみのような距離感。
• 藤原 海斗(ふじわら かいと):隣のクラスの先輩。美術部寄りで絵が得意。喋るのは少ないが、絵と言葉の関係を直感的に理解している。紬に静かな影響を与える。
• 渡辺 茜(わたなべ あかね):転校生。落ち着いた外見の裏に、過去の記憶と消えかけた約束を抱えている。人にすぐは打ち明けないが、少しずつ心を開いていく。
文字数 12,163
最終更新日 2025.10.22
登録日 2025.10.22
仕事に心をすり減らし、休職に入った僕は、白い天井を見つめるだけの日々を送っていた。誰にも責められないはずなのに、いちばん僕を追い詰めるのは自分自身だった。
「もうやめよう。お金が尽きたら、そのときは死ねばいい。」
不思議と、その結論はとても静かで、苦しみも薄れていった。
ふと、「ラーメンが食べたい」と思った。
たったそれだけの理由で、久しぶりに外に出る。
冷たい空気、歩く足音、湯気の立つスープ。
忘れていた「生きている」という感覚が、少しずつ戻ってくる。
これは、死ぬことを決めた僕が、死ぬまで好きなことだけをしていく物語。
文字数 16,358
最終更新日 2025.11.13
登録日 2025.11.06