今は昔。竹取の翁というものあらずとも、六位蔵人、藤原成海なるものありけり。この男、時に怠惰で、時にモノグサ、時にめんどくさがり。
いづれの御時っつーか今、女御、更衣あまた候ひ給わず、すぐれて時めき給ふ者もなし。女御なるは二人だけ。主上が御位にお就きあそばした際に入内した先の関白の娘、承香殿女御と、今関白の娘で、新たに入内した藤壷女御のみ。他はナシ。
承香殿女御は、かつてともに入内した麗景殿女御を呪殺(もしくは毒殺)した。麗景殿女御は帝に寵愛され、子を宿したことで、承香殿女御の悋気に触れ殺された。帝は、承香殿女御の罪を追求できず、かわりに女御を蛇蝎のごとく嫌い、近づくことを厭われていた。
そんな悋気満々、おっそろしい噂つき女御のもとに、才媛として名高い(?)成海の妹、藤原彩子が女房として出仕することになるが――。
「ねえ、兄さま。本当に帝は女御さまのこと、嫌っておいでなのかしら?」
そんな疑問から始まる平安王朝っぽい世界の物語。
滝口武士・源 忠高、頭中将・藤原雅顕、陰陽師・安倍晴継、検非違使・坂上史人。雑色・隼男。そして承香殿女房・藤原彩子。身分もさまざま、立場もさまざま六人衆。
そんな彼らは、帝と女御を守るため、今日もドタバタ京の都を駆け巡り、怠惰な成海を振り回す!!
「もうイヤだぁぁっ!! 勘弁してくれぇぇっ!!」
成海の叫びがこだまする?
文字数 117,295
最終更新日 2023.10.06
登録日 2023.09.01
「今日から、この子はお前の妹だ」
鳥人族の少年、ハヤブサ。長く里を離れていた彼の父、鳥人の族長が拾ってきたのは人の子。森でさまよっていたとかで、ボッロボロのガッリガリの幼い女の子。
「人の子が、ボクの妹!?」
「この子の世話は、お前にまかせた」
父親に、無理やり人の子を押し付けられたハヤブサ。
「なんで、ボクがお世話しなくちゃいけないんだ!」
それも、よりにもよって、人の子なんて!
鳥人と人は仲が悪い。森は鳥人のもの。野は人のもの。そう太古の昔に神々が定めたのに。人は自分たちを神の末裔だとか言って、世界を自分たちのものへと作り替えていく。鳥人の森を奪っていく。
そんな、憎くて、大っきらいな人の子の世話。
イヤでイヤでしょうがないのに、人の子はハヤブサにとっても懐いて……?
「……少しだけだからな。ちゃんとお世話しないと、父さんに怒られるからな」
しぶしぶ、人の子の世話をするハヤブサ。
鳥人の兄と人の子の妹。どんだけ嫌っても、ずっと自分を慕って懐いてくる人の子。ハヤブサたちに出会う前、心を砕かれ声を失うような目に遭った人族の少女。
「メドリは、ちょっと翼をなくしただけの女の子だ」
少女に「メドリ」と名付けたハヤブサ。彼と、彼の仲間、そして他の鳥人たちも、メドリを受け入れ始めた。――けれど。
彼女が手にする薄桃色の勾玉。森に突き立てられた剣。彼女を求める人の皇子。
メドリには、なにか秘密があるようで――!?
はるか昔、神々の時代が終わり、人の時代が始まる少し前の世界の物語。
文字数 92,819
最終更新日 2023.08.26
登録日 2023.07.16
街の中心からやや外れたところにある、「ル・リーデル宝石工房」
この工房には、新進気鋭の若い師匠とその弟子の二人が暮らしていた。
南の国で修行してきたという師匠の腕は決して悪くないのだが、街の人からの評価は、「地味。センスがない」。
仕事の依頼もなく、注文を受けることもない工房は常に貧乏で、薄い塩味豆だけスープしか食べられない。
「決めた!! この石を使って、一世一代の宝石を作り上げる!!」
貧乏に耐えかねた師匠が取り出したのは、先代が遺したエメラルドの原石。
「これ、使うのか?」
期待と不安の混じった目で石と師匠を見る弟子のグリュウ。
この石には無限の可能性が秘められてる。
興奮気味に話す師匠に戸惑うグリュウ。
石は本当に素晴らしいのか? クズ石じゃないのか? 大丈夫なのか?
――でも、完成するのがすっげえ楽しみ。
石に没頭すれば、周囲が全く見えなくなる職人バカな師匠と、それをフォローする弟子の小さな物語
文字数 18,290
最終更新日 2023.07.31
登録日 2023.07.31
かつて、一人の年若い皇子がいた。
時の帝の第三子。
容姿に優れ、文武に秀でた才ある人物。
自由闊達で、何事にも縛られない性格。
誰からも慕われ、将来を嘱望されていた。
皇子の母方の祖父は天智天皇。皇子の父は天武天皇。
皇子の名を、「大津」という。
かつて祖父が造った都、淡海大津宮。祖父は孫皇子の資質に期待し、宮号を名として授けた。
壬申の乱後、帝位に就いた父親からは、その能力故に政の扶けとなることを命じられた。
父の皇后で、実の叔母からは、その人望を異母兄の皇位継承を阻む障害として疎んじられた。
皇子は願う。自分と周りの者の平穏を。
争いたくない。普通に暮らしたいだけなんだ。幸せになりたいだけなんだ。
幼い頃に母を亡くし、父と疎遠なまま育った皇子。長じてからは、姉とも引き離され、冷たい父の元で暮らした。
愛してほしかった。愛されたかった。愛したかった。
愛を求めて、周囲から期待される「皇子」を演じた青年。
だが、彼に流れる血は、彼を望まぬ未来へと押しやっていく。
ーー父についていくとはどういうことか、覚えておけ。
壬申の乱で散った叔父、大友皇子の残した言葉。その言葉が二十歳になった大津に重く、深く突き刺さる。
遠い昔、強く弱く生きた一人の青年の物語。
―――――――
weak self=弱い自分。
文字数 158,631
最終更新日 2023.07.09
登録日 2023.04.06
ドラッグストアでパートとして働く明里。実家ぐらし、29歳になった彼女には、カレシもいなければ、これからの未来のビジョンなんてものもなかった。実家は弟家族と同居になって肩身狭いし、かと言って独り立ちできるほどの稼ぎもなし。
どうしたものかと悩む明里に、疎遠になってた幼なじみの一条律が子供を連れて帰省してきてるという話が飛び込んでくる。赤ちゃんを世話するために、実家を頼り、毎日新幹線で往復というとんでも出勤をしていた律。超人見知りのはずなのに、初見で自分に懐いてくれた彼の赤ちゃん、世那。
二人の惨状(?)に同情した明里は、持ち前の「超お節介」を発動させる。
――私、ベビーシッター引き受けようか、と。
ついでに同居して、家事も引き受ける明里。お節介と、自分の居場所確保のための大胆提案。ベビーシッターをしつつ、自分の将来のため、自立できる道を模索する予定だったのだけど。
簡単に懐いてくれた世那くん。なら、シッターなんて楽勝でしょ? そう思ったんだけど。
赤ちゃんのお世話ってこんなに大変なの?
SNSなんかで見る、キラキラ育児とは程遠い実情。世那くんはかわいいけど、だからって育児は全然楽じゃない!! 世那くんに振り回されっぱなしの毎日。自立の道なんて探す余裕ナシ!!
なんとか日々をこなし、自信もついて、余裕の出てきた明里。
そんな彼女と律の関係は、少しづつ変化してゆき――?
幼なじみとその子供、居候押しかけシッターが、いつか家族になるまでの物語。
文字数 118,529
最終更新日 2023.07.01
登録日 2023.06.01
吾輩は猫である。
名前はまだない。当たり前だ。飼い猫ではないのだから。
どこで生まれたか、頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いてたかどうかもわからない。ここで始めて人間というものを見たわけではない。吾輩は、「人間」というものをよく知っていた。
なぜならば。
吾輩は、猫である以前、人間だったから。
「生まれ変わり」というのだろう。
かつて東京一朗(アズマ・キョウイチロウ)という人間だった猫、吾輩。生まれ落ちたのは、前世で暮らしていた懐かしい家のそば。
遺してきた家族、妻の節子が一人暮らす家。
ならばと脚を伸ばしたその先で、吾輩は、猫目を真ん丸、ビックリ驚くこととなる。
ニャニャニャ、ニャンダトォォォ~ッ!! と。
京一朗の記憶にある節子。
今ここで暮らす節子。
その落差は猫が受け止めるにはあまりに激しく、吾輩は衝撃と落胆を覚える。
こんなことなら前世に縁のあるここに来なければよかった。節子の本性など知らなければよかった。
東京一朗だったことを忘れ、新たな猫(人)生を生きよう。そう思った吾輩。だがそこで、別の新たな衝撃の真実を知ることとなり――?
高度経済成長期。流されるように、それが当たり前だと思って見合いで結婚した夫婦の物語。
文字数 23,474
最終更新日 2023.07.01
登録日 2023.06.24
永禄八年、葉月。
伊勢国鈴鹿、高岡城。
この城に、滝川一益率いる織田軍と戦い、見事に退けた武将がいた。
伊勢国神戸友盛家臣、山路弾正少弼。
北勢四十八家が次々に落城の憂き目に遭うなか、彼は頑強に渡り合い、策を弄し、ついには織田軍を撤退させるに成功する。
彼は所望す。「腹が減った。湯漬けをくれ」と。
―――――――
山路弾正=伊勢国武将。生年不明。伊勢国国人神戸友盛の家臣。信長の伊勢侵攻に対し、頑強に抵抗し、策を弄して退けたとされる。二度目の侵攻で、神戸氏は織田信長の三男、織田信孝を養子に迎え入れ和睦。元亀三年、信孝が元服し家督を継ぐさい、謀反の疑いをかけられ自害に追い込まれる。高岡城は現在廃城。
文字数 2,975
最終更新日 2023.05.29
登録日 2023.05.29
王太子殿下の花嫁さがし。
十七から二十五歳までの貴族の令嬢はすべて強制参加という、花嫁さがし。ふざけんじゃないわよと思わないでもないけれど、参加しなけりゃ、お家がお取り潰しになると言われちゃ仕方ない。
ギリギリ選考基準に引っかかってしまったからには、落選希望で参加するしかない。
けど、その思惑はひょんなことからハズレてゆき……。
――喜べ!! キサマを最終選考に残してやったぞ!!
どこまでも上から目線。居丈高。高圧的。高飛車。
ふんぞり返って腰に手を当て、ハーハッハッハッと高笑いされて喜ぶヤツがいるだろうか!? いやいない。(反語的表現)
そもそも、私、最終選考に残してくれ、なんてお願いすらしてない。むしろ残すな、解放しろと思ってたぐらいだ。だから、「ありがとう」とも、「感謝します」とも言わない。
淡々と、白けた目で目の前の男を眺めるだけ。もちろん顔は、お面のように無表情。
「なんだ!? うれしすぎて言葉もでないか? ん!?」
いいえ、まったくそんなことはありません。むしろ、残されて迷惑です。
嫌われて、皿の端っこに残されたピーマンやニンジンはこんな気分なんだろうか。
「そうだろう、そうだろう。あれだけの難関をくぐり抜けての最終選考だからな。喜ばぬはずがない」
いやいや。
話、聞いてます!?
今の私、どのへんが喜んでいると?
勝手にウンウンと納得したように頷くなっ!!
「このままいけば王太子妃、つまりはオレの妻になれるのだからな。お前のような令嬢には望外の喜びといったところか」
いえいえ。
どっちかというと青天の霹靂。降って湧いた災難。
疫病神にでも憑りつかれた気分です。
どこをどう見たら、私が候補に選ばれて喜んでいるように見えるのか。
勝手に始まって、勝手に目をつけられた私、アデル。
お願いだから自由にさせてよ、このクソバカ高飛車上から王子!!
文字数 84,319
最終更新日 2023.04.22
登録日 2023.03.26
十年前、事故で両親を亡くしたわたし。以来、母方の叔母である奏さんと一緒に暮らしている。
「これからは、私が一緒にいるからね」
そう言って、幼いわたしの手を握ってくれた奏さん。
敏腕編集者で仕事人間な彼女は、家事がちょっと……というか、かなり苦手。
だから、ずっとわたしが家事を担ってる。
奏さんのために、彼女の好物を作って帰りを待つ日々。
ゴハンを作るのは楽しい。だって、奏さんが「美味しい」って言ってくれるから。
「おかえりなさい」と出迎えて、「ごちそうさま」を聴くまで。それがわたしの至福の時間。
だけど最近、奏さんの様子が少しおかしくて――。
一緒に並んで手をつないでくれていた奏さん。彼女が自分の人生を一歩前へと歩きだした時、わたしの手は何を掴んだらいいんだろう。
文字数 42,078
最終更新日 2023.04.18
登録日 2023.04.09
14歳の少年、航輝。
もう海に出る船もほとんどない寂れた漁師町に両親と祖父と暮らしている。
海には、コンビナートと高速道路を繋ぐ橋の橋脚が林立していて、その先にある海と空を切り取っている。額縁のように、手に届かない世界のように。
「まるで牢獄みたいだ」
航輝は思う。
いつか、あの先の、幼い頃に感じた海をこの手に取り戻す。
少年の海への憧れ。
ゴムボートを手に入れたという友達和宏、幼なじみの健太。
航輝は彼らを誘って、海に出ること、あの橋脚の向こうの世界へと冒険を提案する。
中学3年生の夏。
少しずつ未来が決められていくことに反発し、思いっきりバカをやりたかった三人の、ひと夏の無茶で無謀な冒険物語。
文字数 12,279
最終更新日 2023.04.01
登録日 2023.04.01
私の彼は死にやすい。
五百年ぶりの聖女として認められたアリューシア。彼女の婚約者として選ばれたのは、第一王子のセイラム。
しかし、セイラムは死にやすかった。
幼い頃から何度も継母である王妃に殺されかけ……というか、殺された。
でも。
――チュッ。
アリューシアが聖女の証である竜の石に口づけ、時を戻す。
聖女として選ばれたアリューシアだけど、彼女にできるのは、この時戻しだけ。
時を戻して、セイラムが死ぬ未来を回避する。
何度でも、何度でも。
侍女のミレットと従僕のレフに協力を(強制的に)あおぎ、今日もアリューシアはセイラムを生かすために竜の石を使って時を巻き戻す。
セイラムを殺させやしない。彼と絶対幸せになるの。
そんな死亡フラグ、何度だって叩き折ってやるんだからっ!!
文字数 51,698
最終更新日 2023.03.19
登録日 2023.03.19
貧乏令嬢が、元冒険者の従者を連れてモンスター退治の旅に出たら、森の中でうっかりスライムの触手に襲われちゃって、嘘を重ねた従者においしくいただかれちゃうお話。
文字数 14,647
最終更新日 2023.02.18
登録日 2023.02.18
とある中国の後宮。皇帝は皇后となった女を蛇蝎のごとく嫌っていた。
――女が、皇帝の愛した寵姫を殺してまでその地位に上り詰めたから。寵姫を殺したのは皇后。
「お飾りの皇后」「寵愛をいただけない哀れな皇后」
そんな皇后の冷たい室へ、九年ぶりに皇帝が訪れる。
「九年前のご寵姫だけじゃない。新たに後宮に上がることになった妹にまでその悋気をみせた」
愛されないとわかっていても、その皇后という地位にしがみつくのか。自分の妹ですら叩き出すのか。
嫉妬、悋気、強欲、傲慢、そして冷酷。稀代の悪女。笑い方を忘れた女。
皇帝は語る。
「今まですまなかった」――と。
―――――――
「念其霜中能作花」は「念(おも)え 其(そ)れ霜中に能(よ)く花を作(さく)すを」と読みます。雪の中であってもよく花を咲かせる梅を素晴らしいと褒め称える漢詩。中国南北朝時代の詩人、鮑照の『梅花落』から採用させていただきました。
梅の花=開花期は1月~3月。花言葉は「上品、高潔、忍耐」。
香栄=梅の別名、「香栄草(かばえぐさ)」から。
恵風=2月の別名、「恵風(けいふう)」から。
文字数 9,199
最終更新日 2023.02.18
登録日 2023.02.18
記憶を失くし、ポテンというかコロンと道端に転がっていたのを助けられたわたし。“ミリア”という名前をつけ、面倒を見てくれたのは、“魔王”とあだ名される将軍、ヴィラード。その勇猛さもさることながら、何より顔が怖い!! つり上がった目から放たれる、鋭すぎる眼光は、まるで石化光線。
そんな将軍だけど、なんと、この国の後継者たる王女殿下の王配候補に選ばれて……!?
え!? 将軍なんか選んで大丈夫!? 王女さま、石化させられちゃうよ!?
もう一人の候補、アルディンさまのが数倍マシだよね!? お優しいし、身分も高いし、カッコいいし。なにより、怖くないし。
まあ、将軍自身も、自分が選ばれるとは露ほどにも思ってないみたいだけど。将軍にお仕えする、(唯一の)侍女としては、主の未来が気になるわけで。
――王女さま、本当に将軍を選ばないのかな。
怖いのはわかるけど。でも、優しいところもあるのにな……。
拾われ侍女の、魔王お仕えライフ。とりあえずの目標は、目を見て魔王と話すこと――です!?
文字数 71,472
最終更新日 2023.02.16
登録日 2023.02.10
伯爵家でキッチンメイドとして働いていたリーナは、空から降ってきた灰色猫を助け、不思議なひとときを猫と過ごす。
数か月後。一方的な理由で伯爵家を解雇され、次の新たな勤め先となった公爵家の屋敷で、猫と再会を果たす。猫を〈アッシュ〉と名付け、再会を喜ぶリーナ。
その一方で、リーナは屋敷の主であるヴィッセルハルト公爵家の嫡男、クラウドという人物を知ることとなる。
銀灰色の髪、深い青色の瞳の主には、なにか秘密があるようで……⁉
「リーナ、お前の協力が必要なんだ」
クラウドの言い出した、とんでもない協力とは……⁉
文字数 94,436
最終更新日 2023.01.31
登録日 2023.01.17
「お前に期待するのは、その背後にある実家からの支援だけだ。それ以上のことを望む気はないし、余に愛されようと思うな」
新婚初夜。政略結婚の相手である、国王リオネルからそう言われたマリアローザ。
持参金目当ての結婚!? そんなの百も承知だ。だから。
「承知しております。ただし、陛下の子種。これだけは、わたくしの腹にお納めくださいませ。子を成すこと。それが、支援の条件でございますゆえ」
金がほしけりゃ子種を出してよ。そもそも愛だの恋だのほしいと思っていないわよ。
出すもの出して、とっとと子どもを授けてくださいな。
文字数 76,180
最終更新日 2023.01.27
登録日 2023.01.27
――リーゼファ・アインローゼ。汝をナディアード殿下付き護衛に任命する。
憧れのナディアード殿下のおそばに♡ 護衛なんだから、ずっと一緒にいられるのよね♡ いっぱいお守りしちゃって、「リーゼファ」なんて名前まで呼ばれるほど仲良くなったりして♡
そして、そして、そして……。
――きみといると、僕はただのナディアード、一人の男として安らぎを感じるんだ。
――殿下……。
――二人っきりの時は、「殿下」ではなく、「ナディアード」と名前で呼んでくれないか。
――ナ、ナディアードさま……。
なーんて甘い展開が待ってたりして……キャーッ!!
とかなんとか、頭のなかでイロイロ妄想するけれど、実際の私は、表情一つ変えない(変わらない)し、口に出して何かを伝えることもない。頬を染めたこともなければ、眉一つ動いたこともない。
寡黙な父と厳格な祖母に育てられた結果、ついた二つ名は、「氷壁」。
氷のように冷たく、硬く、取り付く島のない女。
騎士として充分な実力を備えているものの、女性としては面白味もかわいげもない。
今日も、脳内煩悩を爆発させながら、黙々と護衛の任に就く。
思考と現実。ギャップ激しい一人の騎士の物語。
文字数 85,170
最終更新日 2023.01.17
登録日 2023.01.17
公爵令嬢、エリーズ・ルロワは断頭台にいた。
王太子、フェルディナンの新たな婚約者となったアンジェリーヌ嬢をイジメた。たったそれだけの理由で。
私、イジメてなんかいないわ。なにもしていない!! 冤罪よっ!!
エリーズがどれだけ叫ぼうと、処刑は変わらない。粛々と刑は執行され、首が落とされた……はずだった。
次にエリーズが気づいたのは、自分の寝台の上。そこは三か月、時が巻き戻った世界。
私、タイムリープしたの!? 私、生きてる!?
そして思い出す前世。前世の自分は「日本」という国の普通のOLだったこと。
……いいわ。前世の知識も総動員して断罪回避よ。
あんな奴らに両親も誰も殺させやしない。
私たちを殺す!? 資産を奪う!?
いいわ、そっちがその気なら、こっちもやってやる。よろしい、ならば革命よ!!
文字数 47,327
最終更新日 2022.08.21
登録日 2022.08.05