大手商社の経理部に勤務していた湊本遥(みなもとはるか)は、先輩の須藤から「子会社の貯蔵倉庫での実地棚卸に立ち会ってほしい」と頼まれた。
実地棚卸の日、貯蔵倉庫で地震が発生した。遥は棚から離れてコンテナの落下を避けようとしたけれど、間に合わなかった。衝撃とともに視界が暗くなった。遠くで誰かが遥を叫ぶ声が聞こえた。遥の意識はそこで途絶えた。
目を開けると、「マリア! しっかりして!」と知らない女性が叫んでいた。深い彫りの顔、金色の髪、灰色の目、東ヨーロッパの民族衣装のような服装を着ていた。
遥が着ていたのは、目の前の女性と似た服だった。手も足も、教会の窓に映った顔も、いつもの見慣れた遥のものではなかった。
これが異性転生なのだろうか?
文字数 16,689
最終更新日 2026.10.08
登録日 2026.09.29
劇作家ジョバンニ・ラットの助手マリア・グランデ。マリアはジョバンニのために、彼の名前で脚本を書いた。
世間はジョバンニの才能を讃えたが、その脚本は全てマリアの書いたものだった。マリアの名が世に出ることはなかった。それでも構わない、とマリアは思っていた。愛する人を助けられる。ジョバンニの栄光を、陰から支えられる。それだけで、十分な意味があるのだと。
ジョバンニはマリアの髪に触れ、「君を愛している」と囁いた。その言葉を聞くたびに、マリアの心は満たされた。
ある日、ジョバンニはイザベラ・レオナルディを助手として雇い入れた。才能に溢れたイザベラは、マリアが三年かけて身につけた技術を、たった一年で吸収した。
「あの娘、ジョバンニ先生と寝たらしいわよ」
古参の助手がマリアの耳元で囁いた。マリアは苦笑いして取り合わなかった。しかし、不安になったマリアの足はイザベラの借家へと向かった。
カーテンの隙間から、部屋の中が見えた。そこには、イザベラの肩を抱き、その耳元に顔を寄せて「君を愛している」と囁くジョバンニがいた。
(全9話で完結予定です。他サイトにも掲載しています)
文字数 17,266
最終更新日 2026.09.11
登録日 2026.09.03
公爵令嬢のサラ・ブラウンは、覆面作家のジャック・ローレンとして小説『鐘の鳴る丘で、もう一度あなたと』を出版した。その物語は、リネール王国はじまって以来の販売数を記録し、王国でその名を知らぬ者はいない。しかし、ジャック・ローレンの正体を知る者はどこにもいなかった。
ある日、サラは市場で覆面絵師フィリップの描いた絵に出会う。フィリップの描いたエドワード・ハリスは、まるでサラの頭の中から抜け出したようだった。
「エドワード様、おはようございます」
サラは誰にも打ち明けられない胸の内を、この絵にそっと明かした。エドワードは何も言わず、聞いてくれた。いつもと変わらぬ笑顔で、じっとサラを見つめてくれた。それだけでサラは幸せだった。
「そろそろ三次元の殿方に興味を持っていただかなくては……」
サラを心配する侍女のケリー。でも、サラは二次元を愛していた。
「三次元とは結婚しない。私、子供部屋おばさんになるから」
(全8話で完結予定です。他サイトにも掲載しています)
文字数 14,804
最終更新日 2026.09.01
登録日 2026.08.25
アナスタシアは牢の中で息絶える妹エラを見守っていた。
舞踏会でガラスの靴を履き、ジュリアーノに見初められた妹のエラ。しかし、幸せな結婚生活は長く続かなかった。宰相であり、貴族の最大派閥の長であったホフマン侯爵の計略にはまり、エラは内乱罪で投獄された。
美しかったエラ。牢の中で埃にまみれ、今は見る影もなかった。
「灰まみれのエラ(シンデレラ)。エラをこんな姿にしたホフマン侯爵を許さない」
怒りで体が震えるアナスタシアの前に、灰色のローブを纏った老婆が現れた。老婆はクリスティーナと名乗り、自分を魔女だと言った。アナスタシアはクリスティーナを問い詰めるが、魔女でもエラを生き返らせることはできないと言う。魔女にできることは……
「時間を二人が出会う前に戻すことなら」
エラが舞踏会に行かなければジュリアーノと出会うことはない。エラがガラスの靴を履かなければ妃になることはない。
「じゃあ、戻して!」
アナスタシアはエラとジュリアーノの結婚を阻止するべく、過去に戻った。
(全8話で完結予定です。他サイトにも掲載しています)
文字数 19,213
最終更新日 2026.08.22
登録日 2026.08.14
会場運営スタッフのマナミは、迷子の少年(ヨシハル)に出会う。マナミはヨシハルが「母さんに似た人がいた」というエリュセア公国のパビリオンに入った。階段下に作られた広大な地下空間。小麦畑が広がり、遠くに浮かぶ城があった。
麓の村に買い出しに出かけたハンナは、帰り道で盗賊に襲われる。連れ去られそうになったハンナは、通りがかったポールに助けられた。家に帰ったハンナは、「あなたはこれからポールと暮らすの」と母に告げられた。
これはマナミとポール、ハンナとポールの物語。
(全22話で完結予定です。他サイトにも掲載しています)
文字数 43,352
最終更新日 2026.08.02
登録日 2026.07.11
「婚約を解消させてほしい」
王立学院の卒業式の日、伯爵令嬢のソフィア・グレアムは婚約者である伯爵家の次男カール・シュルトから告げられた。婿養子が婚約破棄……前代未聞の出来事だった。
その日の夜、ソフィアの脳裏は後悔で溢れていた。
先手を打つべきだった。裏切られる前に、切り捨てるべきだった。陥れられる前に、陥れるべきだった。婚約を破棄される前に、こちらから破棄すべきだった。
怒りを募らせていると、「やり直したいか?」と寝室の鏡が問うた。
「ええ、当然でしょ」と、ソフィアは三年前に戻った。
前の人生は甘すぎた。今回は違う。全てを疑う。笑顔の裏を読み、好意の奥の打算を探り、忠誠を誓う者の心の底を測り続ける。誰一人、本当には信じない。全員を駒として扱い、不要になれば切り捨て、危険になれば潰す。二度目の人生は間違えない。
ソフィア・グレアムの二度目の人生が始まる。
(全7話で完結予定です。他サイトにも掲載しています)
文字数 14,343
最終更新日 2026.07.05
登録日 2026.06.29
ウィンストン子爵家からシュルツ伯爵家に嫁いだアンナ・シュルツは、夫であるモーリス・シュルツ伯爵に代わって、5年間、シュルツ家の領地の管理をし、発展に貢献してきた。領地の管理をアンナに任せ、狩りと賭け事と宴席を愛するモーリスは、年間のほとんどを王都の別宅で過ごした。
ある日、アンナはモーリスから「離婚してほしい」と告げられた。モーリスは愛人であるケイト・ブラックソーン男爵令嬢を正妻として迎える予定らしい。
領地の管理を何もしない夫に呆れていたアンナは、モーリスからの離婚要請に応じることにした。
(約10話で完結予定です。他サイトにも掲載しています)
文字数 19,794
最終更新日 2026.05.25
登録日 2026.05.16
文字数 10,828
最終更新日 2026.01.26
登録日 2026.01.21
今回のテーマは「働き方改革」です。
主人公はある地下組織のフロント企業で働く構成員。
ここにも働き方改革が……短いので、お時間あれば読んでください!
文字数 3,242
最終更新日 2025.08.09
登録日 2025.08.09
ギフト(贈り物)には差出人、受取人、配達人の想いがこもっています。
これは、一つのギフトに関わる、差出人、受取人、配達人のストーリーです。
ジャンルは恋愛+ミステリーとしています。ただし、恋愛とミステリー要素は薄目です。
なお、直接的な暴力表現、性的表現はありませんが、対象物が特殊なので成人向けに書いています。また、普通の人間はこの物語に登場しません。予めご了承ください。
文字数 22,724
最終更新日 2025.04.29
登録日 2025.04.29
文字数 7,111
最終更新日 2025.01.14
登録日 2025.01.14