「離れ」の検索結果
全体で4,813件見つかりました。
美しいと思った――その瞬間、息をすることさえ忘れていた。
秋の午後、中学三年生の有栖川蒼は、友人に誘われて訪れた美術館で一枚の絵と出会う。『教室の午後』と題されたその水彩画は、何の変哲もない風景なのに、確かに息をしていた。光が生きていた。
「なんて、美しいのだろう」
絵筆を握ったことすらなかった有栖川だったが、作者の名前――『一色葉』を見た瞬間、心の奥で何かが囁いた。この人のように描いてみたい。こんな風に光を描ける人になりたい、と。
高校に入学した有栖川は美術部に入部し、水彩画と出会う。色が紙の上でほどけ、滲み、重なり合っていく。その不確かさが楽しくて、描くことに夢中になっていく。県展に出品した作品は見事に受賞し、有栖川の絵は多くの人の心を動かした。
一方、国内最高峰の美術教育を誇る琥珀学院に通う一色葉は、完璧な技術と構図で数々の賞を獲得してきた。彼にとって美とは「形に宿るもの」であり、構成と線、余白を制することこそが本物の美だった。
しかし、ある日県展で有栖川の絵を見た瞬間、一色の世界は音を立てて崩れ始める。
構図も技術も、何もかもが足りていない。それなのに――色が、生きていた。光が、呼吸していた。
「なぜだ。なぜ、こんなにも……」
完璧とは言い難い拙い絵が、この世の何よりも美しく見えて仕方がない。頬を伝う涙が止まらない。その絵の作者名を見た瞬間、胸の奥で何かが焼ける音がした。
『有栖川蒼』
その名を見てから、一色は彼のことが頭から離れなくなる。調べ上げた末、遂に有栖川の通う高校へと足を運ぶ。
「君の絵は、構図も、技術も、何もかもが足りていない!」
感情を抑えられずに言葉をぶつける一色に、有栖川は太陽のように眩しい笑顔を向ける。
「絵を描く事ってきっと、もっと楽しい事だと思うぜ」
その言葉が、一色の中の美の定義をぐらりと傾かせた。
だが、顧問の先生から意外な事実を告げられる。
「あなたが、彼の最初の光だったのね」
有栖川が絵を描き始めたきっかけは、中学時代に見た一色の作品『教室の午後』だった。一色の理性の光が、有栖川の魂を揺らしていた。
その事実を知った一色の中で、何かが動き出す。
完璧な構築だけを追い求めてきた自分。感情を排除してきた自分。だが、自分の絵が誰かの光になっていた――その矛盾が、一色の心を激しく揺さぶる。
一色の中で何かが壊れ、そして生まれ変わろうとしていた。
技術と感情、理性と衝動、構築と破壊――相反する二つの美が交錯するとき、二人の魂はどこへ向かうのか。
光を追い求める二人の芸術家が辿り着く、美の極致とは――。
純粋な創作への情熱と、魂を賭けた芸術の探求を描く、眩いほどに美しい青春物語。
文字数 14,101
最終更新日 2025.12.09
登録日 2025.12.09
この世界には、光が強すぎるがゆえに生じる「仄暗い」深淵が存在する。
ある者は、狂った執着から逃れるために異界の迷宮へ迷い込み、ある者は、己の写し身である人形に人間としての証を突きつけられる。
血の赤、陶器の白、そして闇に溶ける銀の光。
しかし、僅かな光でも、ジュエルは輝く。
ゴシック・ホラーの世界観で贈る、オムニバス・ストーリー。
構成
第一章 人形の迷宮
「美しさは罪だ」——教授はそう嘲り、異国の血を引く美貌の青年・玲を監禁した。机上に並ぶ冷たい器具。人間ではなく、美しい標本として切り刻む準備が整っていた。絶望の極致、玲は極彩色の光に呑み込まれ、見知らぬ迷宮へ転移する。
そこで出会ったのは自動人形アルカナ——魂魄を削って玲を呼び寄せた守護者。日本人形が追いかけ、兵士人形が刃を振るい、鏡は呪いを映す。迷宮を抜ける試練の果て、玲は自らと瓜二つの人形と対峙する。証明は成った——彼は人間だ。だがそれは救いではなく、冷酷な現実への回帰を意味していた。
第二章 亡霊の騎士
妻の死後、故郷を離れて旅していたアルフレドは、廃砦で焚き火を焚いてしまう。そこは禁足の地――妖精の騎士と呼ばれる亡霊が彷徨う場所だった。
命乞いしたアルフレドは、亡霊に課せられた試練を受ける。それは花嫁衣装と金のリボン、銀の冠を市場から持ち帰ることだった。
やがて約束を果たしたアルフレドの前に、見知った顔が現れる。妻の面影を被った亡霊は、アルフレドの心に何をもたらすのか――古い砦に秘められた、二つの魂の夜。
第三章 妖精郷の崩壊
ケルトの妖精郷に、傷だらけの青年が迷い込んだ。若い妖精・明け方のルリは彼を「夏至祭のゲスト」として迎え、看病するうちにその心臓の鼓動に魅せられていく。沼のバンシー、水馬、鬼火——怪異たちが跋扈する夜を、ふたりは夫婦のように寄り添って過ごした。だが夏至祭の朝、石のナイフが振るわれたとき、妖精郷は思いもよらぬ形で終わりを迎える。
文字数 10,993
最終更新日 2026.03.16
登録日 2026.03.06
本作は、田舎の伯爵令嬢エレノアと第二王子アルフレッドの静謐な恋を描いた恋愛物語である。裕福ではないが品位を保つ伯爵家に生まれたエレノアは、学園時代、生徒会書記として第二王子を支えた経験を持つ。寡黙で思慮深い彼に対して密かな想いを抱くが、華やかな公爵令嬢が常に彼の傍らにいたため、その感情を胸に秘め続ける。卒業後は王都を離れ、王家の魔道具を用いた密やかな文通のみが、彼女にとって唯一の心の拠り所となっていた。
しかし、公爵令嬢と王子の婚約の噂を耳にしたエレノアは、自らの想いに終止符を打ち、最後の手紙で関係を断つ決意をする。冬の只中で恋を手放した彼女は、家の責務として縁談を受け入れようとするが、心は動かない。やがて春が訪れたある日、突然アルフレッドが領地を訪れる。
文字数 4,442
最終更新日 2026.03.20
登録日 2026.03.20
――彼の愛はまやかし、真夏の夜の夢が醒めたら、この素敵な恋も終わってしまう。
銀色のプレートアーマーで隙間なく身を包んだ鉄仮面の騎士。
その鋼鉄の下に、腐った肉体と崩れた顔面を隠し、生贄の女を残忍な方法で殺すと恐れられている。彼は魔王の一番弟子、そして呪われた存在。
異世界に転移したのは、原宿に住む高校3年生の水島紅菜《みずしまくれな》。
ハーフで目立つ顔立ちだが、夜7時になると力尽きて朝まで寝てしまうロングスリーパーだ。
そのせいで、友達づきあいも悪く、学校ではいじめらしき仕打ちを受けている。
紅菜には、自身の体力を奪う特殊能力がある。
翌日1日だけの先読みができるのだ。
そんな紅菜は夢の中で鉄仮面の騎士の素顔を見た。
行動をともにしていることで、二転、三転、とする鉄仮面の騎士の姿。
彼は真っ直ぐな心で、強い愛を紅菜にぶつけてくる。
赤い斑点の浮かぶ緑の瞳に、いつしか惹かれていく紅菜。
けれども紅菜は知っている。
鉄仮面の騎士の愛は、誤解と行き違いの偶然の産物。
いずれはすべての絡んだ糸がほどけて、ふたりは離れ離れになってしまうのだ。
登録日 2017.07.11
R18 合わないと思われたらバックしてください。
はっと気づくと、イケメンにのしかかられていた。裸ではない。ウェディングドレスをはだけただけで、繊細なレースが千切れている。
見上げると、ものすごく後悔して、とっても嫌そうな顔をしている男がいた。
「これで義務は果たした。はあ、跡継ぎを産むまでの辛抱だとはいえ私は……。さっさと離れろ、汚らわしい悪女め」
「は? あんた誰?」
眼の前のイケメンは、どうやら私のことを知っていて、とても嫌っているようだ。そして、そのままの状態で部屋から追い出された。
ボロボロの小さな離れに追いやられたヒロイン。わけのわからない状況から、日本でVRリズムゲームランカーだった彼女が死亡フラグを叩き切るお話です。
ざまあ要素あり。
クソゲーや小説の悪女に憑依したかもしれない程度。
VRのビートセイ◯ーなどをご存知だと、わかりやすいかと思います。
ファンタジーでもいいかもしれない内容。
しょっぱなから胸糞R18です。複数なし。
それでは、楽しんでいってくださると嬉しいです。
文字数 44,488
最終更新日 2024.06.28
登録日 2024.06.18
ここは獣人の世界。
兎村 雪はアルビノ種のオッドアイで生まれ、白髪・白い耳・白い尻尾しており、右目は紅い目、左目は家族や町の人達と同じアースアイをしていた。
昔、家族と大きな街に出かけた時、カラスの獣人の子供に紅い瞳を見ると呪われるとからかわれて以来、紅い瞳を隠すようになった。
雪が年頃になった時、両親に都心にある亜二摩瑠学園へ入学することを勧められ雪は学園へ入学する事にした。
町を離れ完全寮生活になる不安にかられる矢先に上級生に襲われるも、たまたま居合わせた大狼 蓮に助けられる。
偶然にも蓮と同室だということがわかり、一緒に生活していく中で雪は蓮にどんどん惹かれていき、また蓮も雪から目を離せなくなる一一…
BL・獣人の王道ラブストーリーです。
名前や生活感は現代っぽいイメージで、各獣人達は人間の姿に耳や尻尾や目などに種族の特徴が入ります。
文字数 9,804
最終更新日 2021.11.19
登録日 2021.11.14
舞台は古代ヤオヨロヅ国。神の血を継ぐ大君一族が支配するその時代。大君即位記念を祝い賑わう都では、次期大君にナルヒトの宮か、ヌヒの宮のいずれが選ばれると噂の的になっていた。
大君の第一子ナルヒトの宮。彼は優秀な甥ヌヒに宮と競い合い次期大君の座を獲得するよう命じられたが、ナルヒトの真の目的は王位継承とは別にあった。
異国の血が混じるピリとライ。彼等は出自にまつわる理由から都から離れたところで、人目を避けるように暮らしていたがある日都に現れた不思議な雰囲気を持つ薬師サトルと出会い予期せぬ運命に巻き込まれていく…
彼等の出会いに幸せな完結はあり得ない。悲しくも美しい復讐劇の幕開けだった。
文字数 265,005
最終更新日 2020.01.01
登録日 2019.11.22
ーー夜は白く、そして多くの光が舞う
彷徨う魂を天-そら-へと還す存在ーー聖女。少女たちは幼くして母の元から離れ、聖女になるための教育を受ける。
聖女を守る重大な役目を持つ存在ーー騎士。少年たちは王族として産まれ、騎士になるための厳しい鍛錬を受ける。
これは独りの少女と一人の少年の物語。
※初心者の作品です。誹謗中傷コメントは作者に猛毒となりますのでお控えください。
イラストもデジタル初心者で汚いですが気になさらずお読みください。
誤字脱字、スロー更新、一話一話が長文になると思いますがよろしくお願いします。
作者が気に入らなければ度々修正を行います。そのため、細かな部分が変更されることもございますので、そこのところは初心者ということで大目に見てくださると助かります。
言葉が自己解釈で意味が変わっている場合がございます。予めご了承ください。
最後に、ズラズラとすみません(´・ω・`)
文字数 71,471
最終更新日 2020.02.29
登録日 2018.03.18
「てめ、あぶねぇところ助けてやったのに、なにさま」
「月見郁です!」
宵の刻、月明かりが作り出す影が人々を襲う──「夜ノ怪<ヨルノケ>」は伝承の産物で都市伝説のはずだった。月光を覆う化け物──「月喰い<ツキクイ>」と彼らは呼ばれ、襲われた者は日光に耐性が低くなり、昼行性動物としての特性が弱まり、衰弱していく奇病「陽退症<ようたいしょう>」を患うとして、密かに恐れられていた。
月夜のみ口が利ける「"陽退症"」を患う、月見郁<つきみかおる>はバイトからの帰り道、月喰いと戦う青年・成清葉月<なるせはつき>と出会う。
成清は国家公認の自治組織──裏月<うらづき>一門で月喰いを退治する「影斬り<かげきり>」として、特例措置により、帯刀や独自法の適用が許されていた。
「真っ暗でも目印になっていいですね、あなたの目って」
罪証である、成清の紅染の瞳を郁は恐れない。彼を月喰いとの戦いに巻き込んでしまったと自責の念から成清は、裏月第三位・弥生の立華陽惟<たちばなはるい>の元へ連れていく。
「私の目をじっと見つめていてくださいね」
重度の陽退症で病床に伏せる彼は、人の意図や未来を見通す不思議な力を持っていた。人離れした神通力を恐れ、誰も彼と目を合わせようとはしなかったのだが、郁はそんな病に侵されていく透視の瞳を「美しい」とのぞき込む。
断ち斬れぬ因縁と柵<しがらみ>の中で彼らは、這いつくばり、もがき、求める声のする方へ手を伸ばす。
月喰いを滅する宿命の血族・裏月<うらづき>十二門と月輪を覆う巨体・満月食い<フルムーンイーター>との縁切り討伐譚。
罪と因縁の満ち欠け、ダークファンタジーBL『月負いの縁士<えにし>』開幕。
文字数 244,742
最終更新日 2022.10.29
登録日 2021.02.20
前世では最強の剣士《鬼神》として物心ついたときから戦に身を投じていた鬼丸。
自国のために何度も戦い、勝利し続けてきた鬼丸だが、最強の剣士でも度重なる戦の毎日に疲労は積み重なっていき、ついには集中力が途切れなんでもないただの弓矢の一撃で殺されてしまった。
死んだはずの鬼丸は気がつくとなにもない真っ白な空間に一人立っていた。そこで出会った自らを神と名乗る美少女に、異世界に転生して復活する邪神を滅ぼしてほしいと依頼される。
過去の過ちと罪から自分は力不足だと拒否していたが、神様と話していくうちに気持ちが変わっていき、転生することを決意する鬼丸。
前世で幼い頃から積んできた戦闘の経験と、人間離れした圧倒的な剣技。そして隣には異世界に一緒に転生した神様。
これは全てを失い罪を背負った少年が、新たな世界で同じ過ちを繰り返さんと戦い続ける物語。
登録日 2022.06.17
地球を離れた大きな惑星。
そこには大きく二つの国がある。
戦争国家ゾチ帝国と、
独裁国家ウォレリ国。
連続殺人犯としてゾチに送られた私は脱出を目指す。
だけど、総統の彼は私達を仲間に…
「お使えします。我が総統と、祖国の為に。」
****
こんにちは。KRONOSです。
最近軍パロハマって勢いで作りました。ギャグ短編集です。
私は軍とかよく知らないので
間違っている所だらけだと思います…
そして!○○の主役は我々だ!という
実況者様に感化され作ったので、
見た目、性格99%はパクリです…
1%はオリジナルなので(;´∀`)
シリアスもギャグも頑張ります!
恋愛ではないのでご注意を…
不定期更新、ガバガバ軍学、
不才能文学と語彙力でお送りします!
ぜひお願いします(?ω?*)
文字数 8,195
最終更新日 2017.11.26
登録日 2017.11.25
嫌だ。逃げたい。そんな現代社会の象徴のような男国晴裕が少しずつ変わっていく中で見せていく葛藤ではなく、ただの体たらくとした普通の生活変わった人との出会いで彼は様々なことが起こる。彼は自分の住んでる街に家族である妹たちと離れて1人で暮らして学校に行く事を決意する。だが、入学式彼を早々に待っていたのは彼を苦しめる。
文字数 21,624
最終更新日 2018.12.02
登録日 2018.12.02
「俺の婚約者になれ」
主人公・涼風結月(すずかぜ ゆづき)は一条朔(いちじょう さく)にそう告げられる。
共通の敵である災厄の妖魔『朱羅(しゅら)』を倒すべく、偽装結婚をする二人はやがて互いに惹かれ合っていく。
「お前はすぐに逃げようとしなかった。そうしてほしかったんだろう?」
「仮の婚約者でこのようなこと恐れ多いのですが……、朔様の腕の中は心地よいです」
両片想いの二人はつかず離れずの関係を過ごすが、そこに朔の幼なじみの凛も加わって恋模様は一気に急展開を迎える──
復讐から始まった闘いの中で生まれる、自らの力の覚醒、暴走、そして愛。
【復讐(バトル)×和風純愛物語】開幕!
文字数 61,865
最終更新日 2022.11.27
登録日 2022.08.24
西暦二七三四年、「大陸の自然を再興させる」という目的で海上都市を建設。『大民族戦争』を経て反対派を鎮圧。全人類が移住し、生活していた。
しかし一千年が経った頃、突如として南極大陸が崩壊。それによる急激な海面上昇によって、都市は未曾有の大災害に見舞われる。
最下層に住んでいた少年『武田弥彦』ももれなくこの災害に巻き込まれ、昏睡状態となってしまう。
そして、一ヶ月後。 ——意識を取り戻した弥彦は驚嘆した。
目前に広がるのは見慣れた都市の灰色の景色ではなく、色鮮やかな緑の世界だった。
天井に見える空がここを一千年間人が離れていた『大陸』であることを示していた。
登録日 2023.01.14