「ライト文芸」の検索結果
全体で1,226件見つかりました。
鍋奉行が家に来た。
私の食生活を請け負うと、わけの分からん言い分を述べて。
自分を鍋師だと豪語する。とびきりおいしいご飯を作る。生活費も出してくれる。ただその男は、自然消滅したはずの元彼で。
鍋師などという聞いた事もない職も、相手が大学時代に付き合っていた元彼だということにも、多少は目をつぶってもいいと思ってしまっている自分に少し腹が立つ。
ただ、社会に出て数年もすれば、それなりに働き方というものも分かってくる。
代わりに、私はそれなりに色々なものを犠牲にしたと思う。三十路に片足突っ込んだような年齢になっても彼氏の一人いないし、余暇を楽しむほど何かに熱中している訳でもない。
ほどほどのお金を得て、ほどほどの暮らしを送っていることに、ちょっとした寂しさはあるけれど、大きく不満はない。そんな生活。
四月になって、今年も代り映えの無い年度が始まるかと思っていたが、そうではなかった。
何年も前に分かれたはずの元彼が、旅行鞄いっぱいの大金を持って私の目の前に現れたのだ。
彼は言った。
「俺に毎日、お前の飯を作らせてくれ」と。
鍋師、という職業があると彼は言う。
鍋と共に歩み、鍋の深遠に到達するために生涯を捧げる者。それが鍋師であり、そのための作法を鍋道と呼ぶのだと。師範の位を持つものに与えられる、鍋奉行という称号を得るために、日夜修行に励んでいるのだとも。
鍋師として半人前である彼が一人前と認められるためには、三ヶ月間、他人の食事を賄わなければならないのだと言う。そこで白羽の矢を立てたのが私だったのだ。
私は強く思った。
なんだその荒唐無稽なデタラメは、と。
文字数 121,254
最終更新日 2023.04.30
登録日 2023.04.29
文字数 2,427
最終更新日 2018.05.28
登録日 2018.04.29
ごみ処理場でバイトしていた俺、こと山越海人(やまこしかいと)。
ある日粗大ごみの中から鳥のヒナを見つけた。
なんやかんやあってその鳥―ミヤマオウム(絶滅危惧種)を飼うことになったけど、アパートでは飼えないから、山一つ向こうの村の祖父母の家に間借りすることになった。
え? 家の裏手の山のいくつかを所有してるって? 手入れが全くできてない?
生意気なミヤマオウムの世話も、山の手入れも含めて全部やってやらぁっ。(ヤケ)
世界一賢い鳥と言われるミヤマオウムのヒナと、祖父母とその飼い犬? とご近所さんたち。バイトをしながら山間の村でスローライフを送ることになったけど?
安定のハッピーエンドです。色気は全然ないですが、恋愛もします(何
表紙の写真は、Montevideo様によるPixabayからの画像を使用させていたきました。
「第五回ライト文芸大賞」読者投票二位の作品です。
登録日 2022.10.17
恩田歌丸(おんだうたまる)は高校卒業後、オペラを学びに単身海外留学する。
しかし、留学中に喉に違和感を感じて病院に行くと、喉頭ガンと診断される。
※ ※ ※
最後の言葉は「誰」に「なんて」伝えますか?
文字数 6,013
最終更新日 2021.02.25
登録日 2021.02.25
町田市。東京都と神奈川県の狭間にある……奇跡が起こる街だ。
そこには奇跡という名の『きっかけ』を手にした人たちがいる。
迷犬との出会い。
運命の赤い糸。
起こるはずがない再会。
全て、この街が起こした奇跡だ。
これはそんな奇跡を手にした人たちの決断の物語《ドラマ》である。
そしてそれを見届けてきたものの決断の物語《ドラマ》である。
実在の街である東京都町田市を舞台にして紡がれるSFオムニバス長編!
※この物語はフィクションです。実在の都市とはかけ離れた描写がございます。
文字数 871
最終更新日 2022.05.02
登録日 2022.05.02
防人 信夫は生まれる前の記憶を有している。それは静止した時空の中2閉じこめられた死者たちの魂を助けるという使命を全うするためのもの。
そうやって過去の記憶を保持したまま生を受けた信夫をかつての仲間を求め東京へ……。
昔々あるところに、人の死について研究してた人がいたんだって? その人が最後にたどり着いた結論ってのは、『死の後には極楽も無もなく、ただ死んだ瞬間で時が止まり、その苦痛が永遠に続く』ってなもんだってな噂がどっかで流れてたんだってさ?
そんな話をネットで見つけた僕は、『んなこと、あるわけねーじゃん!』とか思いながらもホントだったらマジやべーなー、って気持ちも捨てきれず、なら、ホントにそうだった世界があって、その世界で死者を助ける奴らがいたらかっこよくない? みたいなことを考えて書いてみた話
文字数 5,437
最終更新日 2018.08.06
登録日 2018.08.06
文字数 10,033
最終更新日 2022.04.04
登録日 2021.10.31
演劇部のニワカ役者、三坂朔(みさか はじめ)には秘密があった。舞台に立ってたった1週間で主役の台詞と演技をものにした彼の背後には、全てを操る影が潜んでいたのだ。
影なしでは何もできないことに気付いた朔は、土壇場になって入れ替わりを思いつくが、そこには大きな落とし穴が隠されていた。
影の主である風間涼美(かざま すずみ)を命の危険にさらしていたのだ。
幼馴染の徳永舞歌(とくなが まいか)のために始めたことを投げ出すこともできずに、朔は上演前日の合宿を迎えてしまう。
そこで深夜に見たものは、恐ろしい敵の姿と、舞歌の……。
登録日 2018.03.13
特殊検査研究所で検査員として働いている安倍 昇は多忙な日常を過していた。徹夜明けの仕事帰りに腕時計が止まっていることに気が付く。基本的に無駄なものを持つことが嫌いな安倍は、腕時計を1本しか持っていない。夕方には職場に戻らないといけない状態だが、時計の電池交換をしてから家に帰ろうと、街で有名な「ホーム センター ホーリー・ホーリー」というホームセンターで、時計の電池交換をしてから家に帰ろうと、何かに引き付けられるようにホームセンターへ向かった。仕事帰りに立ち寄ったホームセンターで、生きるとは何か、について考えさせられる。ミドル・クライシスの話。
※この話は、2018年に書かれ
、2019年3月に某出版社のコンテストに応募した作品です。ネット上や他での公開はなく、今回、ホームセンターの名称のみ変更し投稿させて頂きました。話の内容は、全てフィクションです。登場人物、団体、地名等の名称は架空であり、実在するものとはいっさい関係ありません。
第三回ライト文芸大賞に初参加です。
文字数 221,575
最終更新日 2020.04.20
登録日 2020.04.14