「奇」の検索結果
全体で8,201件見つかりました。
日常の気配が色濃く残る、ありふれた2Kの部屋。
いつもと変わらないはずのその空間で、私は茶色いカーテンを固く閉ざし、リビングのソファの下にへたり込んで泣いていた。
見上げるソファの上には、A5サイズのジップロックが置かれている。
パンパンに膨れ上がったその袋の口を開けると、中から数錠の薬が弾け飛んだ。
ザイラス、ソラナックス、サイレース、ハルシオン……。
市販薬ではない、精神を強制的にシャットダウンさせるための処方薬たち。私はシートから無感情に薬を押し出し、手のひらに乗せては、次々と胃の奥へ放り込んでいった。
これを飲めば、やっと楽になれる。その思いだけを信じて、涙を流しながら飲み続けた。
途中からの記憶はない。
ただ、後になって知らされた。あのジップロックに詰め込まれた膨大な量の薬を、私は無意識のまま、すべて飲み干していたのだと。
ぼんやりと水底のように滲んでいく景色の中で、私の時間は完全に途切れた。
——まぶしい。
次に目を開けたとき、真っ先に感じたのは、朝の寝起きのようなごく「普通」の目覚めの感覚だった。
ただ、視界に飛び込んでくる光があまりにも白く、強烈で、思わず目を細める。
そこは、カーテンで仕切られた無機質で狭い空間だった。
体を動かそうとして、違和感に気づく。両手も、両脚も、ベッドに固く固定されていて1ミリも動かせない。
「……っ」
声を出そうとした瞬間、喉の奥で「ごふっ」と異音が鳴った。
息苦しさはない。視線を下へ落とすと、自分の鼻と口から透明な管が伸びているのが見えた。
人の声は、まったく聞こえない。
ただ、私の左後方から、一定のリズムを刻む機械音だけが冷たく響いていた。
自分がどうなったのか、何もわからない。
ただ、私は目を覚ました。
薬は胃洗浄では間に合わないほど血液に溶け込み、脳死判定の少し手前までいった私が、なぜか今、この眩しい白い光の中で息をしている。
ベッドの傍らで親友がポロポロと涙をこぼしていたことや、「奇跡が起きた」という言葉を認識するのは、もう少し後のことだ。
この瞬間の私にあったのは、ただ「生かされてしまった」という圧倒的な事実だけだった。
あの、すべてを搾取され、尊厳を踏みにじられた「底なし沼」のような日々から、私はまだ、逃げ切れていない——。
文字数 31,663
最終更新日 2026.05.21
登録日 2026.03.13
夢を見る。空っぽな頭の中に、理想や幻想や妄想や記憶が、無防備な無意識の隙をつき、侵入してくるのが始まり。楽しさ、苦しさ、嬉しさ、悲しさが次々と流転した奇妙奇天烈で意味不明な世界をただただ垂れ流す。
文字数 2,132
最終更新日 2019.12.07
登録日 2019.12.07
今日、僕は高校の卒業式に出席している。式が終わり、後は帰るだけという時に、なんと内閣総理大臣の鬼木紋太が現れた。一体なぜ彼はここに来たのか。通称「オニキモン」と呼ばれる狂った総理大臣は、いつものように奇怪な言動を連発した後、驚愕の真の目的を告げる。
文字数 9,767
最終更新日 2023.11.13
登録日 2023.11.13
「天寿を全うせよ。限りなく幸福に。」
それが、彼に科せられた罰だった。
神の実存が証明されている奇跡の大陸メアネラ。
枯れた大地は神の力によって緑豊かな土地へと変貌し、人々は神の恵みに感謝しながら、助け合って暮らしていた。
使命感に燃える若き神官リノは、心優しい上司にやんわり諌められながら、日々勤めに励んでいた。
そんなある日、風変わりな男ラニに出会う。
「神を信じない」と笑う彼に反発するリノ。
しかし、彼こそが神学校を首席で卒業し、将来の神官長と目されていた、「神に愛された男」だった。
これは、神に愛された男が、神殺しになるまでのお話。
文字数 6,099
最終更新日 2026.05.06
登録日 2026.04.24
私の名前は、浅葱雫。
ごく普通の町に住んで、ごく普通の高校に通って、ごく普通の人生を送っている、なんの変哲も無い女子高生。
趣味は料理と読書。とは言っても、料理に関してはネットに載ってるレシピ通りに作るからとびきり上手なわけではなく、読書に関してもほとんどが漫画だから読書に含まれるか怪しい。
以前友達に小説を勧められたこともあったけれど、内容の難しさと文字の多さに苦戦、結局三十ページほど読み進めリタイアしてしまった。
以後はラノベを少し読むくらい。
余談だけど、心霊特集とか怖い話、お化け屋敷などお化け関係は好きだけど存在は信じない派。
霊感とかは無く、どの話も如何にもな雰囲気で嘘臭かったから。
ただ、あの一件があるまでは……。
これは、私がある人物と出会い、数奇な運命に翻弄され、ある一つの真実を垣間見る物語。どこにでもあって、どこにもない、不思議な世界でのお話。
文字数 27,808
最終更新日 2021.11.13
登録日 2021.09.15
思いついた時にひっそり増えるホラー系短編集、基本的に一話完結型なのでお好きなところからお読み頂いて大丈夫です。
実体験、人伝に聞いた話、脚色を加えたものなど色々です。嘘かまことか、信じるのはあなた次第……?
本当に怖いのはオバケか、それとも人間か。
※カクヨムにも投稿してます。
文字数 6,789
最終更新日 2021.11.21
登録日 2021.11.21
これは、主人公の出雲美和が怪奇課として、都市伝説を基に巻き起こる奇妙な事件に対処する物語である。怪奇課とは、昨今の奇妙な事件に対処するために警察組織が新しく設立した怪奇事件特別捜査課のこと。巻き起こる事件の数々、それらは、果たして、怪異の仕業か?それとも誰かの作為的なものなのか?捜査を元に解決していく物語。
File1首なしライダー編は完結しました。
※アルファポリス様では、科学的解決を展開します。ホラー解決をお読みになりたい方はカクヨム様で展開するので、そちらも合わせてお読み頂けると幸いです。捜査編終了から1週間後に解決編を展開する予定です。
※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。
文字数 36,148
最終更新日 2023.04.27
登録日 2023.04.07
妖怪 UMA 都市伝説 心霊 怪奇現象 といったオカルト関連の噂や各地の伝承をまとめています。
ジャンル分けはしていますが、妖怪、UMA、心霊といった区別は明確には出来ないものと思っております。
一部現地に赴き調査してきたものもあります。
文字数 17,474
最終更新日 2024.05.31
登録日 2024.05.10
古い因習や迷信がはびこる小さな田舎の伯爵領で、領主の息子ミハイルが魔物の呪いと呼ばれる病で死んだ。その時、彼はわずか九歳の子どもであった。因習に従い魔物の森に捨てられたミハイルは奇跡的に息を吹き返し、魔物の森に住む同い年の少女ミウに救われる。名前と家族の記憶をなくしたミハイルは、リウと名前を変えてミウと一緒に森で暮らすことにした。長い年月の間に、深い絆で結ばれた二人であったが、ミハイルが生きていたことが領主に知られたことにより、ミウの存在がばれ、彼女に領主の魔の手が迫る・・・。ミウとリウの未来は如何に・・・? 異種族間の純愛を描いたお話です。途中、話しが暗くなりますが、感動のハッピーエンドが待ってます。 表紙はAIで作成しています。本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも投稿しています。
文字数 140,267
最終更新日 2026.01.15
登録日 2025.11.24
一度完結している作品ですが、今また改定作業を1話づつ進めて、再び完結致しました!
「横須賀のパーキングで、全部変わった。」
それまでは、夫婦と犬の穏やかな日常だった。
だが“化け物”との遭遇、愛犬ジョロの異変──その全てが、国を動かす事態へと繋がっていた。
この子は、うちの子。
それだけは、変えさせない。
国家機密とされる
“対unknown(アンノウン)部隊”に、正式にスカウトされた永井家。
迫る危機と、日常のはざまで、それでも家族で生き抜く。
たとえこの子が奇跡の存在だとしても──
うちの家族です。それだけは、譲れない。
これは、“家族の絆”で世界の理不尽に立ち向かう、大人のための“じんわり異能物語”。
文字数 64,699
最終更新日 2025.12.25
登録日 2025.12.15
妹の病室を訪れた僕は、不意に「小説を書かないか?」と言われる。それは妹が知らない少年の頃の僕と仲間が引き起こした夏の失踪事件についてだった。
その失踪事件は、懐かしい故郷の九州宮崎南部の町で仲間と過ごした少年時代の夏の切ない思い出。
---そう、今でも瞼を閉じれば思い出す。美しい故郷の川を流れて来た小さなボトルメール。
それを拾った僕達はやがて、それぞれの悩みを抱えながらもそのある少女に会う為に冒険に出る。
それはもう戻ることのできない夏に咲く輝く向日葵を探す、少年の頃のあまりにも無謀な冒険の旅だった。
この小説は「人生のおいて本当に奇跡のような時間」を綴ったジュブナイル小説である。
文字数 74,688
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.04.07
カプデビラ王国の第三王子エリオットは女の子が苦手で二人の兄に心配されている。第一王子メイナードの計略でついに初めての恋をするエリオットだったが、相手は愛を知らずに育ったこじらせ女子だった。
初めて抱く気持ちに振り回されるエリオットの恋の行方は……!
(※ハッピーエンドです)
文字数 20,795
最終更新日 2019.02.10
登録日 2018.03.17
異世界『アルテンシア』にある『アルカナ王国』には『天使紋』と呼ばれる女神の加護を授かる儀式がある。幼馴染や周囲の人達が加護を授かる中、主人公のアルスは女神の加護を授かる事が出来ず『紋無し』てあった。しかしその翌日。目が覚めるとアルスの右手の甲には『天使紋』とは異なる黒い紋様を宿していた。
それから4ヶ月が経ち、初の実戦訓練で迷宮へ挑む事になったアルスと愉快な仲間達。彼等は、課題である10階層へと到達した後、好奇心に負け11階層へと足を踏み入れてしまった。そこでまんまと魔物の罠に掛かってしまう。しかしアルスが1人残る事で仲間達を逃す事に成功した。
死の海に飲まれる中、アルスは思い出す。自分が何者であるのかを。
「さあ、決着《コンティニュー》といこうか!」
これは過去と現在を繋ぐ物語。
これはアルスが最愛との約束を果たす為に旅をする。ただそれだけの物語。
自分の妄想をありったけぶち込んで行く予定です。
のんびり投稿していこうと思います。
よろしくお願いします。
文字数 157,130
最終更新日 2020.11.01
登録日 2019.05.27
少女波有は、どこにでもいるような、地味で「冴えない」平凡な門下生にすぎなかった。しかしある日、一匹の不思議な小亀を助けたその時から、運命の歯車は加速し始める——。
それが、連鎖するように続く奇遇と冒険の始まりだった。
猛烈な暴風雨の襲撃、偶然迷い込んだ「人魚の島」、招待を受けた「南海の宮殿」、さらには雪山の頂を超え、砂漠での秘宝奪還に命を懸ける。
山を越え海を越える過酷な旅は、かけがえのない仲間たちとの絆を育むと同時に、波有の隠された身世を一枚ずつ剥いでいく。
最強の闇が降臨する時、名もなき雑草のようにひたむきな少女が逆流に立ち向かう。
たとえ記憶はなくても、たとえ力が及ばずとも。 彼女はその細い手で、前世から続く縁を掴み取るために。
——これは、失われた自分を探し、勇気と共に歩む「帰還」の物語。
※執筆済み・ほぼ毎日更新
お気軽にフォローいただけると嬉しいです^^
登録日 2026.05.31
妖怪。
その、かつては人々の恐怖の対象であったろう存在は、技術の進歩ゆえか、今や娯楽に成り果てた。
子供騙しだと思う者。
面白半分に怪異事件を妖怪のせいだと囃し立てる者。
そんな人々が溢れた街で起きる、神隠し事件――。
妖怪が見える女子高生、咲坂 凛花(さきざか りんか)は、正義感と自身の見える体質により、いくらかその事件を気にかけていた。
そんなある日、凛花は妖怪を癒せる大学生、有馬 秀(ありま すぐる)と出会う。
彼と協力して事件を追うが、出会うのは――
健康志向な油取り?
ネットアイドルな口裂け女?
SNSで情報交換……オフ会……
妖怪の皆様、現代に馴染みすぎじゃありません!?
「しかもあなたのフォロワー数、気持ち悪いんですが」
「九十九神だけでもいっぱいいるしなー。ほら、八百万の神様って言うじゃん?」
現代妖怪と、女子力(物理)とコミュ力(人外)が織りなす、コメディ寄り怪奇憚。
登録日 2016.10.09