「初」の検索結果
全体で23,854件見つかりました。
王太子妃として六年。
夫には最愛の寵姫がいて、私たちは白い結婚だった。
国王は贖罪のため。
父は亡き妻への愛のため。
――この婚姻は成された。
それでもオーレリアは、王太子妃として役目を果たしてきた。
そして六年後。
夫は得意げに離縁を告げる。
「俺の妻だったことで箔がついただろう。身分の低いお前には幸いだったはずだ」
――彼はまだ、自分が何者なのかさえ知らなかった。
そして自由になったオーレリアも、まだ知らない。
初恋が彼女を逃さないことを。
文字数 92,341
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.05
侯爵令嬢マリエルは、ヴァルモン公爵夫妻の一人息子であり、次期公爵と定められたロランと結婚した。
祝福に満ちた結婚式を終え、夫婦となった二人きりの夜。夫は深刻な顔で告白する。
「母上が、子を身ごもったんだ」
義父である公爵の子なら、何も問題はない。だが、お腹の子の父親は公爵ではなく、義母の愛人だった。
さらに夫は、信じられない提案を口にする。
「母上の子を、僕たちの子として育てよう。君が産んだことにすれば、誰も困らないだろう?」
妊娠したふりをして別邸へ籠もり、夫の異父弟か異父妹を、自分たちの実子として公爵家へ迎える。そんな計画に従うつもりなど、マリエルにはなかった。
結婚初夜に妻を閉じ込めたマザコン夫と、爵位も愛人も手放したくない義母。すべてを知った公爵は、妻との離婚と実子ロランの廃嫡を決断し、花嫁へ自由を返す。
婚姻を白紙に戻し、自分の人生を取り戻したマリエルを、やがて一人の女性として大切に思い始めたのは――かつて義父となるはずだった公爵だった。
文字数 44,094
最終更新日 2026.09.14
登録日 2026.09.12
「約束どおり、離縁してください」
結婚からちょうど三年。
伯爵領の再建が完了した日、エレナは夫アレクシスに離縁届を差し出した。
三年前、傾いた伯爵家を救うために結ばれた政略結婚。
結婚初夜、アレクシスはエレナに言った。
「領地が立ち直るまで力を貸してほしい。だが、君を愛することはない」
だからエレナは三年間、伯爵夫人としてできる限りのことをした。
借金を整理し、領地経営を立て直し、夫を支えた。
そして今日、すべてが終わった。
これで自由になれる。
そう思っていたのに――。
「……本当に、出ていくつもりだったのか?」
なぜか夫は愕然としていた。
しかも、かつて彼が愛した女性まで未亡人となって戻ってきたのだ。
自分が残る理由など、なおさらない。
伯爵家を去ったエレナは、三年間の実績を買われ、新しい仕事と人生を手に入れていく。
そこで再会したのは、ずっと彼女の働きを見ていたグレイ公爵。
一方アレクシスは、妻がいなくなって初めて思い知らされる。
三年間を「期限付きの結婚」と思っていたのは、エレナだけだったこと。
そして――自分が彼女を愛していたことに気づくには、あまりにも遅すぎた。
7時と18時に投稿します😊
不定期で20時にも投稿します。
文字数 111,794
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.06
ライム・レインズは、夫フロストと離婚した。理由は単純だ。遠方で仕事をしていた夫が、別の女性との間に子供を作ったからである。
とはいえ、相手の女性フォーギーは、フロストが既婚者だとは知らなかった。
フロストも自分の非を認め、話し合いの末、離婚は比較的穏便に成立した。
これでアッシュヒース男爵家とも縁が切れた。
……はずだった。
「お義姉様、今月のお小遣いがまだなの」
「また仕事を辞めたんだけど、次を紹介してくれないか」
「夜会へ着ていくドレスが必要なの」
「次の試験料をお願いしたいんです」
「家族なのだから、少しくらいいいでしょう?」
二十五歳の元義妹。
二十七歳の元義弟。
二十二歳の元義妹。
三年間も本家に居候している二十九歳の元従弟。
そして、社交には忙しいのに家のことは何もしない元姑。
離婚したライムを追いかけ、今日も誰かが実家へやって来る。
さすがにおかしい。
そう思ったライムは列車に乗った。
向かった先は、離婚した元夫フロストと、彼の子供を身ごもっているフォーギーのところ。
「ねえ。何か最近、うちに虫が来るの」
「虫?」
「あなたの家の」
話を聞いたフォーギーは、しばらく考えたあと、お腹を撫でた。
「分かりました。でも今は少し動きにくいので……生まれてから、堂々と参りましょう」
やがてアッシュヒース男爵家へやって来た、新しい奥様。
彼女は元男爵令嬢で、実家の没落後は自分で働いてきた女性だった。
そしてライムより、ずっと容赦がなかった。
※初日以外は12時・22時の更新となります。
文字数 38,074
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.13
「君は何もできない。婚約はなかったことにしてくれ」
婚約者である侯爵家の跡取り、ルシアンからそう告げられたエレノア。
彼の心を奪ったのは、病弱な令嬢だった。
義母からも「侯爵夫人になるには相応しくない」と見下され続けていたエレノアは、引き留めることもせず、婚約破棄を受け入れる。
――ただし、彼らは知らなかった。
侯爵家の財務管理、商人との契約、使用人の給与、税の手続き、領地の収支。
これまで侯爵家が問題なく回っていたのは、エレノアが陰で全てを支えていたからだ。
彼女が去って、わずか三日。
「支払いが一件、間に合っておりません」
「この契約は、誰が管理していたんだ?」
「……エレノア様です」
少しずつ歯車が狂い始める侯爵家。
しかし、彼らはまだ気づかない。
自分たちが失ったものの大きさに。
一方、自由になったエレノアは、これまで築いてきた商人たちとの信頼を武器に、新しい人生を歩み始めていた。
そして彼女の才能を見抜いたのは、グランヴェル侯爵家とは比較にならないほどの力を持つヴァルディア侯爵だった。
「あなたの話を聞かせてください。私は、あなたの数字を信じます」
「……私のことを、ですか?」
「ええ。あなたが何をしてきたのかではなく、あなた自身を評価しています」
初めて、自分の能力を正当に評価してくれる人と出会ったエレノア。
仕事で結果を出すたびに、ヴァルディア侯爵から向けられる信頼は深まり――やがてそれは、ひとりの女性への特別な想いへと変わっていく。
そんな中、かつて彼女を「何もできない」と切り捨てた侯爵家から、一通の手紙が届く。
「戻ってきてくれれば、全部元に戻る」
けれど、もう遅かった。
エレノアには、自分を必要としてくれる場所がある。
そして、自分の価値を最初から見つけてくれた人がいる。
これは、ひとりの令嬢が「役立たず」と捨てられたことをきっかけに、本当の居場所と幸せを手に入れるまでの物語。
――そして、自分たちが何を捨てたのかを知った人々が、後悔する物語。
文字数 31,082
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.12
「お姉様は金遣いが荒いから」——妹はそう言って、わたしの婚約者を取りました。父も母も頷きました。
十一年。わたしは月に一度、家の借金を返し続けていました。百三十二回。自分の名義で、自分の持参金で、誰にも言わずに。
家族はその出金を「長女の浪費」だと思っていたのです。
わかりました。では帳簿と鍵をお返しします。名義も一緒に。
三月後、オルグレン伯爵家は破綻しました。返済していたのがわたしだと、誰も知らなかったからです。
——けれど本当に恐ろしかったのは、そのあとでした。返済先の商会に足を運んだわたしに、若き会頭はこう言ったのです。
「その借用書、十一年前から一度も有効になっていません」と。
わたしが返し続けていた借金は、最初から存在しませんでした。
文字数 21,450
最終更新日 2026.09.15
登録日 2026.09.12
フローレンスは結婚して2年になる夫デクスターから、思わぬ告白をされた。
夫は家族ぐるみで交流していた幼馴染みで、彼女の初恋の相手でもあった。
そんな間柄のデクスターとの婚姻は、政略関係無しの純粋な恋愛だと信じていた。
それは夫も同様だろう、と疑う事も無かった。
だが、彼から告げられた言葉は……
「君じゃなくて、愛していた人が居る」
夫から本心を聞かされたショックで邸を出たフローレンスが向かった先は……
✳✳✳✳✳
拙作『この悲しみも。……きっといつかは消える』と同じ世界線(数年後)の話です
多人数視点で進行するので、同じ日の出来事も違う視点で書いています
ヒロインは誰にも言えなかった、実家に対する闇を抱えています
R15タグは閨や密会の話題を出すので付けましたが、実際の性描写はありません
文字数 21,194
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.06
十歳の頃から八年間、一途に愛してきた婚約者ジュリアン。
十八歳になった伯爵令嬢リゼットは、ようやく彼と結ばれる日が近づいたのだと信じていた。
――二人の婚姻日が発表されるはずだった、その夜までは。
大勢の貴族が見守る祝宴の席で、ジュリアンは突然リゼットとの婚約破棄を宣言する。その隣には、社交界の華と呼ばれる美しい侯爵令嬢の姿があった。
婚約者を失い、家に戻っても自分の居場所を見つけられないリゼット。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、《北境の狼》と恐れられる辺境伯ディートリヒ・ローゼンハルトだった。
「君はいつも、自分のことを後回しにするんだな」
不器用ながらも自分を大切にしてくれるディートリヒと過ごすうち、傷ついたリゼットの心は少しずつ癒やされていく。
一方、リゼットを捨てたジュリアンは、彼女がいなくなって初めて気づき始める。
八年間、自分がどれほど彼女に支えられていたのかを――。
これは、誰からも一番に選ばれなかった令嬢が、自分自身の幸せを選べるようになるまでの物語。
文字数 60,023
最終更新日 2026.09.15
登録日 2026.09.02
「エリザは優秀だから、これくらい平気だろう?」
深夜まで一人で伯爵家の帳簿を整理する婚約者に、ブレッドはいつもそう言って微笑んだ。
社交界でも、外交の場でも、彼はいつも病弱な幼馴染・レベッカを優先し、私には「後で説明する」「君だけはわかってくれ」——そればかりだった。
大丈夫です。お気になさらず。
そう笑い続けたある夜、重要な交渉の場で用意した席さえレベッカに譲られたとき、静かに、けれど確かに、何かが折れた。
「婚約を、返上させてください」
引き止める者は誰もいなかった。ブレッドは「そのうち戻らせてほしいと言ってくるさ」と笑い、私は何も持たずに実家へ戻った。
そんな私に声をかけたのは、実力主義を掲げる公爵家の次期当主・アレックス。
「一人で全て抱えなくていい。疲れたら休め」
「君はここにいていい」
初めて、"結果"ではなく"私自身"を見てくれる人に出会った。
一方、私を失ったブレッドの家は――貿易は途絶え、鉱山の不正が発覚し、商人たちは一斉に離れていく。
「エリザがいれば、こんなことには……」
かつて「優秀だから」と便利に使っていた男が、今度は跪いて懇願してくる。
「頼む、戻ってきてくれ」
遅いのです。
私は、自分を選んでくれる人と生きると決めたのだから。
文字数 33,958
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.14
没落しかけた家を救うため、冷酷な伯爵バルトランのもとへ嫁いだオディリア。
だが結婚初夜、夫は冷たい眼差しで言い放った。
「お前を愛することはない」
白い結婚を強いられ、夫が屋敷に連れ込んだ愛人シビュレンヌと睦み合う姿を見せつけられる屈辱の日々。
それでもオディリアは決して挫けなかった。
交わした約束はただ一つ――「三年耐え抜けば、互いに干渉せず離縁する」。
約束の満ちた朝、オディリアは署名済みの離縁状を机に残し、着の身着のままで屋敷を出る。
自由になった彼女を門の外で待っていたのは、かつて身分差ゆえに引き裂かれた近衛騎士カシアンだった。
「やっと迎えに来られた。二度と貴女の手を離さない」
傷ついた心を極上の甘やかさで包み込むカシアン。
一方、オディリアという屋台骨を失った屋敷は崩壊を始め、バルトランは狂乱して彼女を連れ戻そうとするが、すべてはもう手遅れだった。
文字数 64,894
最終更新日 2026.09.15
登録日 2026.09.15
王立ルミナリア魔法学院に通う伯爵令嬢リゼット・オルブライトは、攻撃能力を持たない《共鳴調律》しか使えず、「地味で役に立たない令嬢」と評価されていた。優秀な兄と比較され続けた過去から、彼女自身も目立たず期待されずに生きることを望んでいる。
そんなある日、実技演習で公爵令嬢アレクシア・レーヴェンハルトの強大な氷魔法が暴走する。誰もが逃げる中、リゼットだけは恐怖を堪えて彼女の手を取り、《共鳴調律》によって暴走を鎮める。
数日後、リゼットのもとへ届いたのは、アレクシアからの私的なお茶会への招待状だった。
招かれた場所は、学院の片隅に忘れられたように残る白薔薇庭園。
「あなたと、お友達になってみたいの」
公爵令嬢から告げられた予想外の言葉に戸惑いながらも、リゼットは初めて彼女と同じテーブルを囲む。
そして庭園で青く変色した白薔薇を見つけたリゼットが何気なく《共鳴調律》を使うと、薔薇は純白の花弁を取り戻す。
それが後に《白薔薇の五令嬢》と呼ばれる少女たちの、最初の一歩となる。
文字数 129,353
最終更新日 2026.09.10
登録日 2026.09.10
私のバラ色ではない人生 勝手な姉の身代わり結婚いたします
レンタル有りララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。
文字数 1,594,793
最終更新日 2026.09.16
登録日 2024.04.16
「お姉様のお名前なんて、書き写せばよろしいでしょう?」
妹がわたくしの婚約と、金庫の鍵を持っていったとき、父は譲渡の書面にご署名なさり、母は妹の髪を撫でておりました。この十年、この家でわたくしの名を呼んだ人はおりません。「お前は強い子だから」と、それだけは何度も言われましたけれど。
ですから、惜しくはございません。屋敷も、婚約も、家督も、すべて差し上げます。
ただひとつだけ、お渡しできないものがございます。
——信用でございます。
十七の年から、仕入れの支払いはすべてわたくしが立ててまいりました。春の麦も、夏の鉄も、冬の炭も。商会が三月お代を待ってくださるのは、コルビエ伯爵家に対してではなく、わたくしの署名に対してでございます。
譲れと仰るなら、いくらでもお譲りいたしますわ。
けれど信用は、こちらから差し上げるものではございません。向こう様がお決めになるものでございますから。
来月の仕入れから、現金でお支払いくださいませ。
※初日以降は毎日12時・22時に更新します。
文字数 18,301
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.14
黒耀の森――そこは、凶悪な魔物が跋扈し、人々から「魔境」と恐れられている場所。そんな森の最奥で、六歳の少年リオは祖母と二人きりで暮らしていた。
しかしある日、たった一人の家族だった祖母が亡くなってしまう。
「リオ……私がいなくなったら、森の外へ行きなさい」
祖母の最後の言葉に従い、小さな鞄と古びた魔導書を抱えて、生まれて初めて森の外を目指すリオ。
ところが道中、魔物討伐に訪れていた北方辺境騎士団の団長ガルドと出会う。
「……子供? なぜこんなところにいる」
「おじさん、迷子?」
魔境のど真ん中を一人で歩いていたリオを放っておけず、ガルドは彼を騎士団の砦へ連れ帰ることに。
ただで置いてもらうのは申し訳ないと思ったリオは、掃除や洗濯、料理など、自分にできることで騎士たちのお手伝いを始める。
はじめるのだけど。
「ぼく、すごい魔法は使えないよ?生活魔法だけなの、それでもいい?」
リオが『お掃除』を使えば、百年以上の汚れが一瞬で消え。
『お洗濯』を使えば、破れていた騎士服まで新品同様になり。
「いたいの、飛んでけ」と手をかざせば、治癒術師でも治せなかった大怪我まで治ってしまう。
どうやら、祖母から教わった生活魔法は、世間ではまったく普通ではなかったらしい。
本人だけがそのことに気づかないまま、リオは今日も一生懸命お手伝い。
最初は子供の扱いに困っていた強面の騎士たちも、いつしか小さなリオにすっかり夢中になっていく。
そんな穏やかな日々の中、リオの魔法をきっかけに、亡き祖母の秘密が明らかになり始める。
森で暮らしていた優しい祖母の正体や、リオがどうして魔境の奥深くで育てられた理由。
そして、小さな少年に秘められた力とは――
これは、ひとりぼっちになった六歳の少年が、ちょっぴり規格外な『生活魔法』で人々を幸せにしながら、強面だけれど優しい騎士たちと新しい家族になっていく物語。
文字数 39,793
最終更新日 2026.09.15
登録日 2026.08.31
「余命ひと月」と噂される公爵ジョフロワの「縁起直し」として、伯爵家の三女ロザリーは、実家から厄介払いのように嫁がされる。姉たちは「三女は薬草園育ちの田舎者。ちょうどいいわ」と笑う。
ロザリーは言い返さない。ただ、公爵の屋敷に入って三日で、気づく。公爵の病は、毒ではなく、屋敷じゅうに焚かれている「香」だと。
「余命ひと月? では、ひと月、お世話させていただきますわ」
香を止め、窓を開け、薬草園育ちの手で、朝の粥を煮る。公爵は、ひと月で、目を覚ます。「あなたが来て、初めて朝の匂いがした」。
実家は「病弱な三女を、縁起直しに嫁がせた」と嘘の届けを出していた。回復した公爵の妻となった娘を、慌てて取り戻そうとするが、公爵がその届けを王の使者に見せるだけで、実家は自分の嘘で面目を失う。
香を焚いていた執事は「公爵を早く逝かせて、跡目を」と白状し、公爵は追放ではなく、辺境の薬草園で働かせる。
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。縁起直しの嫁入り×薬草×自己肯定の令嬢ファンタジー、全8話。
文字数 19,582
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.09
伯爵令嬢セシリアには、幼い頃から婚約している侯爵令息アルフレッドがいた。
だがアルフレッドは、乳母の娘である幼馴染リディアを「妹のようなものだから」と何かにつけて優先する。
セシリアの誕生日には夜会のエスコートをすっぽかし、伯爵家が用意した劇場の特別席や高級レストランの予約まで、当然のようにリディアとの外出に使ってしまう。
セシリアはそこで気づく。
問題なのは、自分より他の女性を優先されたことではない。
伯爵家の名義、資産、信用を、侯爵家が許可なく使っていることだった。
過去三年間を調べ直せば、次々と明らかになる婚約契約違反。
「これは恋愛の問題ではありません。二つの貴族家が結んだ契約の問題です」
伯爵家は婚約を解除し、契約通りに違約金と慰謝料を請求する。
一方、家のことを妻へ任せきっていた侯爵は、そこで初めて自らの家で何が行われていたのかを知る。
夫人の離縁。嫡男の廃嫡。
しかし、それで失われた信用が戻るわけではなかった。
前金を求める商人。条件を厳しくする銀行。距離を置く貴族たち。
金で支払える違約金よりはるかに重い、「信用を失う」という代償。
これは、婚約を破棄した伯爵令嬢と、崩れかけた侯爵家を一から建て直そうとする当主の、契約と信用をめぐる物語。
文字数 20,270
最終更新日 2026.09.12
登録日 2026.09.12
ダマスク王国ナタール公爵家の公女エディットは、隣国アジュール王国のムスク公爵家へ嫁いで三年。
子供に恵まれなかったことを理由に、夫カスクドは側室アリエッタを正妻にすることを望み、エディットとの婚姻は終わった。
実家へ戻ったエディットを、家族は何も聞かず迎えてくれた。
それはありがたい。ありがたいのだが。
「……暇だわ」
公爵夫人として忙しく暮らしていた三年間から一転、することがない。
そんなある日、侍女がメイドから借りていた婦人雑誌『麗しき婦人』を手に取ったエディットは、「いつまでも夫に愛される妻でいるために」という記事を見つける。
笑顔で迎える。家庭を整える。夫の仕事に余計な口を出さない。身なりを怠らない。そして夫婦に問題が起きたら、まず妻が自分を省みる。
「……全部やったわね」
それでも離縁されたエディットは、編集部へ一通の投稿を送る。
それが掲載され、読者から次々と相談が集まり始めた。
婚約者に親しい女性がいる?「結婚なさらなければよろしいのではないでしょうか」
子供ができないのは妻の責任?「医師へ行くのであれば、ご夫婦でどうぞ。子供は妻一人では作れませんので」
そしてついに、出戻って暇を持て余していた公女は、匿名の「アルバ夫人」として婦人雑誌の相談員になる。
離縁から始まる、公女と婦人雑誌のお仕事物語。
※初日以外は6時と17時の更新となります。
文字数 129,169
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.08.28
「病弱で醜い」と噂される辺境の大公に、姉アデライードが嫁ぐのを嫌がり、妹のフロランティーヌが身代わりに嫁がされる。姉は「妹は顔だけ。心なんて誰も見ないわ」と嗤う。
嫁いでみれば、大公ヴィクトールは病弱でも醜くもなかった。ただ人嫌いで、噂を正すのが面倒で、放っておいただけ。そして初夜の前に、彼は言う。「身代わりだと知っている。姉君の顔は覚えていない。あなたの顔は、三年前の夜会から覚えている」。
フロランティーヌは言い返さない。ただ、辺境の屋敷で、使用人の名を覚え、夫の好みを覚え、身代わりなりに心を込めて暮らすだけ。
一方、王都では、姉が「妹を醜い大公に差し出した」ことを実家の手柄にして、大公の悪口を触れ回っていた。その言葉は、全部、王の耳に入る。大公は王に「妻の実家との縁を切る」と申し出る。実家は後ろ盾を失い、姉は自分の言葉で縁談を全て失う。
最後に姉が謝罪に来て、フロランティーヌは妹として、一度だけ、茶を出す。
「身代わりでしたら、身代わりなりに、心を込めますわ」
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。身代わり花嫁×結婚から始まる恋×自己肯定の令嬢ファンタジー、全8話。
文字数 17,345
最終更新日 2026.09.15
登録日 2026.09.12
変身魔術師の名家に生まれながら、魔力の少ない長女アルマ。
両親と妹から「無能」「いらない」と馬鹿にされてきた。
早くこの家を離れたい。
そして誰かに必要とされたい。
そう考えていたある日、神獣ホーリーウルフの担当魔術師が選ばれることに。
神獣を保護する守護公ヴィルトが指名したのは、なんとアルマ。
「神獣に変身して、死にかけた双子の幼獣を育ててほしい。君が最も適任だ」
ヴィルトはそう言いながら、妹が流した噂のせいで、アルマを男好きだと誤解している。
そもそも家族に愛されなかった自分が、子どもを育てられるのか……
家から出られたことを喜びつつも、不安を抱くアルマは、幼獣たちの声を聞く。
「ママ、パパ。どこに行ったの? 帰ってきて」
胸を打たれたアルマは、もふもふころころな幼獣たちのお世話に没頭。
ヴィルトは噂との違いに戸惑い、誤解に気づいて償おうとするが、アルマは彼の変化をさして気に留めないのだった。
※投稿後、内容を多少変更することがあります。全体のストーリーに影響はないかと思います。
※当初の予定より癒し要素が薄くなってきたので「癒し」タグを取りました。ほっこりスローライフを期待なさっていた方、申し訳ありません……
文字数 89,888
最終更新日 2026.09.15
登録日 2026.08.21
アストリッド・リーベン侯爵令嬢は困っていた。
二十三歳にして両親を事故で亡くし、葬儀に領地の仕事に屋敷のことにと、悲しむ暇もない。
そのうえ、この国では女性が侯爵位を継ぐことはできない。リーベン侯爵家を残すためには、早急に婿を迎えなければならなかった。
候補は三人。
話術も容姿も申し分なく、自信たっぷりに侯爵家の未来を語る同格侯爵家の次男、パーシバル。
公爵家との縁をありがたく思うべきだという態度が、丁寧な言葉の端々から透けて見える公爵家三男、トラヴィス。
そして、三人の中でもっとも家格が低く、実家の事情まであまり格好よくない伯爵家三男、ウィルフレッド。
ところがウィルフレッドだけは、侯爵家の将来を語る前に、亡くなったアストリッドの両親を悼んだ。
「この縁談が、うちにとって都合がいいことは事実です」
自分に不利なことまで、少し不器用な丁寧さで話す眼鏡の青年に、アストリッドはようやく肩の力を抜いた。
「では、この方にします」
家格も条件も一番ではない。
けれど、一緒に家を回していく相手なら、この人がいい。
そうして迎えた婿は、分からないことを分からないと言い、家令に教わり、妻を働かせすぎず、いつの間にか侯爵家になくてはならない夫になっていく。
一方、選ばれなかった二人もまた、それぞれ自分が口にした言葉どおりの道を進んでいくことになり……
※初日以外は12時・22時の更新となります。
文字数 68,064
最終更新日 2026.09.13
登録日 2026.09.05