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【全文執筆済み 完結保証】
魔力をステータスとするのに他人の魔力を嫌悪する歪な世界
ノルディリア王国の公爵令嬢のクロエ・アイゼンベルクは身体に魔力を流し、他人から嫌悪されながらも愛する人のために治療を続けていた。
だが、彼女の心は崩壊寸前――。
そして治療開始から約五年後――。
全てが終わり、自分を虐げてきた愛していた人や家族の心も戻ってきた。
もう全ていりません。
なぜ、私に構うのですか?
ええ、許しますよ。だから放っておいて。
後悔してももう遅い。
そして遅いのは彼や家族だけでなく、まだ大丈夫だと奢っていた彼女の『番』もそうだった――。
全てを許してきた令嬢が全てを捨てて、自分の意思で未来を選ぶハッピーエンドのお話です。
※序盤はシリアスですが、物語が進むにつれてコメディ要素が強くなります
※元鞘ではありませんが、後悔した男性とのお話になるので、読む方によっては元鞘感を感じるかもしれません
※R15は若干の暴力描写があるためのものです
※創作ゆえのご都合な部分もあります
文字数 45,073
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.11
皆様のおかげでHOT女性向け1位に届きました!ありがとうございます!
***
子爵夫人ミレイユは、嫁いでからの七年間、「母親なんだから」「妻なんだから」「嫁なんだから」と言われるたびに我慢を重ねてきました。
熱を出した娘を一晩中看病した朝、夫に「寝不足の顔を人前に出すな」と言われたとき、ミレイユの中で何かが切れます。
「今日から、私は我慢をやめます」
夫は笑って流しました。姑も、義妹も、誰も気づいていません。亡き父が嫁入りの日に持たせた小さな箱の中に、妻が我慢の終了を宣言した日から、婚家が「母親だから」を理由に何ひとつ強いることができなくなる特約書が眠っていたことを。
朝食は作りません。夫の装備の手入れもしません。義妹の浪費には、品目ごとの請求書を出します。
ミレイユが我慢をやめるたびに、オルフェン子爵家は少しずつ回らなくなっていきます。やがて明るみに出る持参金の使い込み。夫と姑は初めて、自分たちが何を「当たり前」にして奪ってきたのかを知ることになります。
「どうか戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いのです。
文字数 88,062
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.09
二十年前、西辺境伯の娘フランシアは、王太子の正妃となるはずだった。
しかし王太子ガルボは別の令嬢を正妃に望み、フランシアを側妃として王宮へ残す。夫は正妃のもとへ通い、王宮の仕事だけがフランシアへ任されていった。
やがてフランシアは、両親への手紙と衣服を残して姿を消す。
「娘を返せ!」
王宮へ駆けつけた両親は捜索を求めたが、フランシアの身体は見つからないまま、二十年が過ぎた。
そして国王となったガルボの即位祝いの日。
東辺境伯が、十八歳の娘アーシャを伴って王宮へ現れる。
その顔は、二十年前のフランシアにあまりにもよく似ていた。
なぜ似ているのか。
フランシアは本当に死んだのか。
二十年前、王家は彼女を「大切にしていた」と言う。
ならば、何をしてやったのか。
王家が忘れた二十年を、西と東の家々は忘れていなかった。
※初日以外は12時・22時の二回更新となります。
文字数 92,302
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.06
「辺境の娘は要らない。王太子妃に迎える時代は、もう終わった」
夜会の広間で、殿下はそう仰いました。お隣には、王都育ちの侯爵令嬢。
ええ、承りました。引き留めるつもりも、昔の盟約を持ち出すつもりもございません。私は夜明けに、辺境へ帰ります。
ただ、殿下はご存じないのでしょう。国境の向こうの辺境伯家から、この二十年、毎年同じ縁談が届いていたことを。
父がそれを封も切らずに返し続けてきたのは、辺境伯家の娘は王家に嫁ぐという、古い盟約があったからです。
その婚約をお返しになったのは、殿下のほうでございます。
今年の縁談の封を、父は初めて切りました。
国境の両側がひとつの縁で結ばれる日を、殿下は王都でお聞きになるのでしょう。
※前作の反省を踏まえ、殿下やクラーラの視点のお話も入れて、物語を全面的に書き直しました。以前に公開していた第2話以降は書き直した版に差し替え、王都の宴や辺境の家々のお話も新しく加えています。
※10月12日10時から公開を再開し、以後は毎日6時・10時・12時・16時・18時・21時に更新します。
文字数 66,739
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.09.28
婚礼衣装の仮縫いに、別の女が立っていた。
侯爵令嬢ツィーラが、自分の結婚式のために選んだ絹。
その衣装をまとった令嬢の隣で、婚約者は平然と言い放つ。
「式は予定どおり来月だ。手配は引き継いでくれ」
花嫁の座は奪う。
けれど、面倒な支度は今までどおりやってほしい――。
継母まで新しい花嫁の味方をする中、ツィーラは指輪を返した。
「代わりの花嫁がいるのでしょう。支度も、その方とご相談ください」
引継ぎを済ませ、屋敷を去った彼女に仕事を申し出たのは、冷徹と噂されるオルヴェ公爵セヴランだった。
働きに正当な対価を払い、疲れた日には休ませ、涙の理由を急かさず待ってくれる人。
不器用な優しさに触れるたび、「役に立たなければ捨てられる」と思っていた心が、少しずつほどけていく。
一方、残された屋敷では、婚礼の請求書が積み上がり、継母が隠していた財産の不正も明らかになり始める。
今さら「君がいないと困る」と言われても。
私にはもう、帰りたい場所があるのです。
奪われた尊厳と財産を取り戻し、働かない日まで愛される。
侯爵令嬢の逆転と、冷徹公爵の不器用な溺愛を描く異世界恋愛。
文字数 50,798
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.10
文字数 175,479
最終更新日 2026.10.13
登録日 2026.10.13
幼馴染の侯爵令息と婚約していたオリアーヌ。
学園の卒業まであと僅かという時、婚約者ジルベールと親友エディットとの浮気が発覚し、婚約の解消を告げられる。
二人と縁を切り前を向くオリアーヌだったが、エディットは今まで通り親友であることを望み、あろうことか自分の侍女になって一緒に侯爵家に来てほしいと言い出す。それは婚約者探しが難航するオリアーヌへの気遣いだといい、ジルベールも賛成しているという。
さすがにそんなことは承服しかねると拒絶するも、世間ではそれが真実のように噂が流れる。
そんな未来は受け入れられないと、主人公は家族と自分自身のために動き出すが――
R15は保険です。あらすじやタグは変更になる可能性があります。
ふんわり設定の世界観なので、広いお心でお読みください。
文字数 35,453
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.07
伯爵令嬢カロリーネは約束を蔑ろにした婚約者エリオットが自分の愚痴をこぼしているところを見てしまう。
カロリーネの行動全てが面倒、鬱陶しい。本当に期待はずれの女だ。
エリオットの言葉を聞いたカロリーネは期待しなければ傷つくこともない、ということにやっと気づいた。
張り切って、期待を膨らませた約束も蔑ろにされて……勝手に期待して傷つくなんてエリオットに良い迷惑よね。
その日からエリオットに対するカロリーネの態度が急変する。
エリオットは何事かと狼狽えるが──単純な話、カロリーネは期待することをやめたのだ。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
感想などいただけると励みになります。
8/31恋愛三位ありがとうございます!
※一部感想をネタバレなしで公開してしまいました……申し訳ありません。
文字数 87,065
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.08.21
10年間婚約している幼馴染の様子がおかしい。
話しかけても「ああ」。
何を聞いても「ああ」。
ついにはエスコートまで忘れて、どうやらディアンのヘソはどこかを向いてしまったらしい。
そんなある日、学園で妙な噂を耳にした。
私が、愛し合う二人を金の力で引き裂いている、と。
……初耳ですが?
しかもディアンには「真実の愛」のお相手までいるらしい。
なるほど。
どうやらヘソだけではなく、気持ちまでどこかを向いてしまったようだ。
【当作品のざまあについて】
当店は「微ざまあ」専門店です。
激辛ざまあをお求めのお客様は、物足りない可能性がございます🤭
なお、修道院送り・家門取り潰し・社会的抹殺などは、現在お取り扱いしておりません。
文字数 90,692
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.09.21
長年、王妃として外交や財政、貴族たちとの調整を担ってきたオディリア。
ある日、国王エンリケは愛妾ジュリアーナを正妃にすると宣言した。王妃の座を軽んじられたオディリアは、引き留める国王を待つこともなく、法に則って王妃を辞める。彼女が去った後、王宮は少しずつ綻び始めた。復讐などするつもりはない。ただ、自分を不要とした男を、もう助けないだけ。
すべてを失いかけた国王が後悔したときには、もう何もかも遅かった。
文字数 129,048
最終更新日 2026.10.10
登録日 2026.10.09
伯爵家の長女エレノアは、幼いころから「お姉様なのだから」と、菓子もドレスも楽しい予定も妹へ譲ってきた。
やがて妹はエレノアの婚約者を望み、婚約者本人も妹との結婚を選ぶ。エレノアは二人の意思を確認し、婚約解消を受け入れた。
姉なら何でも譲って当然だと思う妹。
しっかり者の長女なら我慢できると考える母。
そして、自分が姉より妹を選んだと思っている元婚約者。
三人の思い込みが崩れたとき、それぞれが選んだ行動の結果が返ってくる。
これは、すべてを譲ってきた伯爵令嬢が、決して譲れない人生を守り新たな幸せを自分で選ぶ物語。
なんて大仰なことを書いていますが、
全12話の短編です。
お時間のある時にさらっとどうぞ。
※あくまでも作者の想像の中の世界
※設定は作者の頭の中に
※あれはおかしいこれはどうなってるんだ、などの押し付けお断り
文字数 18,894
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.15
五歳のスキル授与式で「無能スキル」と判定された第三王子レイニード。
その結果、俺は母様と一緒に王宮を追放された。
だが、正直に言おう。
むしろ大歓迎である。
王宮では母様も俺も冷遇されていたのだから。
こうして辿り着いた辺境伯領で、俺はある決意をした。
――母様を幸せにしよう。
実は辺境伯は昔から母様に想いを寄せているらしい。
ならば息子として全力で応援するしかない。
一方、無能と言われた俺のスキルは全然無能ではなかった。
【カタログ通販】【ヒャッキーン】【錬金術】
便利な道具や生活用品を次々と生み出し、さらに光・土・空間・生活魔法まで使えるため、辺境はどんどん発展していく。
ついでに世間から無能扱いされていた人材たちを集めてみたら、なぜか有能な人ばかりだった。
異母兄である第一王子は次期国王に。
第二王子は騎士団長に。
俺は二人を陰ながら支えながら、のんびり暮らしたいだけなのに――。
「レイニード、次の辺境伯はお前だ」
「嫌です」
「駄目だ」
「嫌です」
母様の再婚を成功させたら、なぜか辺境伯を継がされそうです。
これは、家族大好きな元・無能王子が、大切な人たちを幸せにしながら平穏な生活を目指す、ほのぼの辺境発展ファンタジー。
文字数 153,095
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.08.20
伯爵令息ノア・ローゼンハイムは、前世の記憶を取り戻したことをきっかけに、ここが自分がプレイしていたBLゲーム『星降る学院で君と』の世界だと気づいた。
このまま原作通りに進めば、悪役令息の取り巻きのレオン、シリル、ジェイドは殺害される。三人を失った自分も絶望のあまり闇落ちし、主人公に敵対した末に殺されてしまう。
「みんなが死ぬなんて絶対にいやだし、闇落ちもごめんだ! 原作通りに進まないように、なんとかしないと!」
そうして原作の展開を変えることには成功したものの、その代償は大きかった。
右目の視力と魔法を失い、五年間の昏睡に陥ったのだ。
目覚めたノアのそばには、本来なら原作で命を落としていたはずの三人が、五年の歳月を経て成長した姿でいた。彼らを救えたことを喜んだのもつかの間、どうにも様子がおかしくて……?
「君のことは、今度こそ俺がずっとずっと守るから」
「あなたが代償を払って私の命を救ってくださったように、今度は私があなたのためにどんなことでもします」
「ノアのためならどんな相手だろうと、僕が全員殺してきてあげるからね!」
ちょ、ちょっと待って!?
せっかくおれ自身の闇落ちルートを回避したと思ったのに、なんでみんなが闇落ちしてるんだよ!?
文字数 86,216
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.01
「お前を棄てた父上が、そんなに恋しいなら――オレが、慰めてやる」
皇帝の夜伽役のユーリーには、誰にも言えない秘密がある。
転生者であること。
十三歳で殺される皇子アズールを、密かに救ったこと。
夜ごと皇帝ムスタファに愛される退廃的な生活の中にあって、輝くような少年に惹かれていく。
彼を生かすためユーリーは裏切り者を演じ、過酷な北方へ追放させた。
アズールは生き延びたーーユーリーを憎みながら。
十八歳になったアズールは、英雄として帰還。新たな皇帝へと即位した。
五年間、ユーリーは前帝に寄り添ってきたが、退位した彼からアズールへ引き渡されてしまう。
「父上を夢中にさせた方法、オレにも見せてみろ。男娼」
復讐と嫉妬からユーリーを寝所に囲い、激しく求める年下皇帝。
それでも――ユーリーの心にはまだ、彼の父がいた。
救うために嫌われた男娼と、憎むほど手放せない年下皇帝。
身体は近く、心は遠い。
五年越しの誤解とこじらせが絡み合う、異世界転生×後宮政治BL。
※性描写・暴力描写あり。性描写は成人のみ。(R18回は◆)
※第一部(1-16)イケオジ皇帝の歪んだ囲い込み&溺愛メイン。
第二部(17-)年下皇帝の執着&愛憎どろどろメイン。攻めが一部と二部で変わります。
前半重め、後半〜結末は溺愛・ハッピーエンド。
※攻め視点と間話がたまに入ります
※ムーンライトノベルでも掲載中
文字数 293,995
最終更新日 2026.10.15
登録日 2026.09.10
※すみません、タイトルを変更しました。
シャロン侯爵家の令嬢アウレリアは、王太子ジョセフの婚約者。学園卒業後、彼の正妃となる予定だったが、卒業記念の祝賀会でジョセフから「ダーナ・ブラント子爵令嬢を正妃とし、アウレリアは側妃にする」と宣言される。さらに王妃までもがそれを後押しする中、アウレリアは高い志を貫くため、側妃となることを断固拒否した。
その後、予定通りジョセフの正妃となったアウレリア。しかし結婚直後から命を狙われるようになり、そのたびに彼女を庇った者たちが命を落としていく。
やがて大切な侍女までもが犠牲となり、アウレリア自身もまた、命を落とした。
次に目を覚ました時には、なぜか六歳の頃の自分に戻っていたアウレリア。
混乱しつつも、自分が狙われた理由は正妃となったことにあると悟っていたアウレリアは、「大切な人たちを死なせるくらいなら、側妃として生き、その中で自分にできることをしよう」と決意する。そして二度目の人生ではあの祝賀会で、自ら側妃になることを受け入れた。
側妃となったアウレリアに与えられた住まいは、かつて疫病により当時の側妃たちが命を落として以来使われなくなった、通称“呪いの離宮”。
アウレリアは誰も寄り付かぬその離宮を住みやすく整え、公務の拠点とし、暮らしはじめる。
そんな彼女の護衛騎士に配属され離宮へ来たのは、前の人生では疎遠になっていたはずの、ある美しい公爵令息で──。
※いつもながら10万文字超えそうだと思ったら長編に変更します。
文字数 88,285
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.09.18
前世の最推しが母の再婚により義兄になりました。
ここは育成シミュレーション乙女ゲームの世界。俺の義兄は攻略対象者だった。
そして俺は、兄のパソストで思い出の弟として出てくる、死ぬ前提の弟だった!
最推しの弟とか、もう死んでもいい!いや、最推しの成長を見届けるまでは死ねない!俺、生きる!死亡フラグなんて叩き壊して今日も最推しを愛でるのだ!
乙女ゲームに転生してしまった死亡フラグだらけの弟奮闘記。
濡れ場は最後の方にしか出てこない気がします。
※2022年11月書籍化しました( *´艸`)
よろしくお願いします
ただいま感想返信停止中です。申し訳ありません。でも皆様の感想はとても楽しく嬉しく拝読しております!ありがとうございます!
文字数 1,478,624
最終更新日 2026.10.13
登録日 2021.09.25
前世日本人で社会人だった俺は、気づいたら当時嵌まってプレイしていた『世界樹(ユグドラシル)の揺りかご』というフルダイブ型ゲーム──通称『シルカゴ』のゲーム世界に酷似した世界に転生していた。
冒険者として組んでいた幼馴染で恋人だった男に裏切られ、迷宮(ダンジョン)の危険地帯に捨て置かれたときに前世を思い出したおかげで九死に一生を得る。
このとき偶然助けてくれた竜人の冒険者に一緒にパーティーを組むことを提案され、俺は二つ返事で了承する。
どうせならと、彼の故郷に移住しようと思い旅をしながら向かうことになり…。
※男女ともいて、いろんな種族が住む世界。異種族でも同性でも婚姻OKで種族特性や魔法や魔法薬を使っての妊娠可。作中に出産の描写はありません。
脇CPや他視点も多いです。
ハッピーエンド。一応R18です。
R18回には「*」印あり。ちょっと描写がある場合は「微*」と表記する予定です。
書けたら投稿します。不定期更新。短いつもりで書いてます。
※すみません。6万字越えても終わらなさそうなので『長編』に切り替えます。
文字数 350,693
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.07.26
王都の冒険者ギルド《金鹿の角》で管理官として働くイルゼは、王国の最低報酬額改定を受け、翌月から三名の職員が基準を下回ることに気づいた。
必要な増額は、一人につき銀貨三枚。
すぐに報酬表を修正すれば済む話だと思っていたイルゼだったが、上司から返ってきたのは思いもよらない言葉だった。
「銀貨三枚のことでしょう」
「そんなにすぐお金が欲しいのか」
「他にも直さなければならないところはいくらでもある」
けれど、その「他にもある問題」を一つずつ直してきたのもイルゼだった。
契約の不備、共済の加入漏れ、期限の切れた協定、誤った報酬計算。
過去の間違いを直すだけならまだいい。
これから起きる違反まで、なぜわざわざ増やそうとするのだろう。
最低報酬の是正そのものは、どうにか認めさせることができた。
それでもイルゼは、《金鹿の角》を辞めることにした。
その後、彼女は小さな管理事務所を開き、ギルドや商会の契約や帳簿を整える仕事を始める。
一方その頃、王都では別の大手ギルドを巡る問題をきっかけに、王立会計院が認可ギルドへの監査を強めていた。
そしてある日、《金鹿の角》にも監査官が訪れる。
「うちは、そこまで酷くない」
そう考えていた経営陣だったが、数年分の帳簿を調べ始めた監査官は、ある不自然な数字に目を留め――。
文字数 5,967
最終更新日 2026.10.15
登録日 2026.10.13
貴族社会の政略結婚から三年。オルテシアは夫ゴドフロワから「愛嬌のない冷たい女」「義妹クラリーチェを見習え」と侮辱され、屋敷のすべての差配と借財の返済を押しつけられながら、冷遇に耐え続けていた。夫は血の繋がらない義妹の贅沢と我儘を際限なく甘やかし、ついにオルテシアの亡き母の形見である宝飾品までクラリーチェに与えてしまう。
心が完全に冷え切ったオルテシアは、感情を取り乱すこともなく、周到に準備を進めていた。夫と義妹が華やかな夜会へと出かけた夜、屋敷を完璧に整え、誰が見ても非の打ち所がない業務引継書と署名済みの離縁状を机に残し、夜闇に紛れて屋敷を去る。
身一つで自立を図るオルテシアを保護したのは、かつて窮地を救った隣国の冷徹大公カジミールだった。カジミールは彼女の類まれな差配の才と静かな気品を深く慈しみ、惜しみない敬意と甘い執着をもって彼女を溺愛し始める。
一方、オルテシアという「有能な土台」を失った伯爵家は、義妹の際限ない浪費と無能な夫の怠惰により、瞬く間に崩壊の一途をたどる。「いつでも頭を下げて戻ってくる」と高をくくっていたゴドフロワは、すべてを失って初めて自らの愚かさに気づき、狂乱状態でオルテシアを探し求める。しかし、再会した彼女の隣には、誰も逆らえぬ絶対的な庇護者カジミールがいた。さらに、義妹クラリーチェが抱えていた戦慄の正体と、夫が長年信じ込んでいた「思い出の少女」の真実が白日の下に晒される。
文字数 95,354
最終更新日 2026.10.13
登録日 2026.10.13
いつかこの想いが届くと信じていた。
けれど彼は、幼い頃の約束も、共に過ごした大切な時間も、すべて忘れてしまっていた。
——ううん、すべて妹に奪い去られていたのだ。
用済みとなったわたくしを待っていたのは、暗い地下牢。
暴力と屈辱の末、命を奪われた……はずだった。
「――二度目の人生?」
死戻りを果たしたわたくしの前に広がるのは、愚かな王と裏切りの家族たち。
復讐を果たすべきか、すべてを捨てて己の幸せのために逃げるべきか。
まずは、夫に裏切られ自ら死を選んだお母様の死を止める。
あんな父親のために死なせはしない!
過去の痛みをしなやかな強さに変えて。
今度こそ、誰のためでもない、自分の幸せを自らの力で掴み取ってやる!
文字数 2,194
最終更新日 2026.10.15
登録日 2026.10.15