第15回恋愛小説大賞

第15回恋愛小説大賞

選考概要

前回の応募数を上回り、より規模が大きくなった第15回恋愛小説大賞。全3036作品の中から一次選考を通過したのは56作品(奨励賞受賞作品参照)。
その後、編集部内で最終選考において大賞候補としたのは、「【本編完結】 あなたの愛など要りません」「地味薬師令嬢はもう契約更新致しません。先に破ったのはそちらです、ざまぁ?没落?私には関係ない事です。」「【完結】ひっそり生きてきた私、今日も王子と精霊に溺愛されています! ~殿下、お探しの愛し子はそこの妹ではありません~」「【完結】うそっ、侯爵令嬢を押し退けて王子に近づき婚約者(仮)になった女に転生?しかも今日から王妃教育ですって?」「冷遇側妃の幸せな結婚」「逃げるための後宮行きでしたが、なぜか奴が皇帝になっていました」「【本編完結】妹に婚約者を奪われた挙句家まで追い出されたので、公爵家のメイドになったら口説かれました【R18】」「【R-18】純情ラブパニック」の8作品となった。

最終選考8作品は高いお気に入り数を持つ人気作も多く、ざまあ系や復讐系、本格的なロマンス小説など、各々毛色の異なる作品が出そろった。

これらの候補作の中で、恋愛小説としての完成度が高く編集部内で最も支持を集めた「冷遇側妃の幸せな結婚」を大賞に選出。次いで評価の高かった「【本編完結】 あなたの愛など要りません」は、読者からも熱烈な支持を獲得し読者賞に。また、王道を下敷きにしつつも個性が光った「地味薬師令嬢はもう契約更新致しません。先に破ったのはそちらです、ざまぁ?没落?私には関係ない事です。」「【完結】うそっ、侯爵令嬢を押し退けて王子に近づき婚約者(仮)になった女に転生?しかも今日から王妃教育ですって?」の2作品を優秀賞に選出した。
さらに「【R-18】純情ラブパニック」をエタニティ賞、「【本編完結】妹に婚約者を奪われた挙句家まで追い出されたので、公爵家のメイドになったら口説かれました【R18】」をノーチェ賞、「逃げるための後宮行きでしたが、なぜか奴が皇帝になっていました」をテーマ別賞として中華・後宮ラブ賞とし、「【完結】ひっそり生きてきた私、今日も王子と精霊に溺愛されています! ~殿下、お探しの愛し子はそこの妹ではありません~」を特別賞とした。
また一次選考通過作品のうち、授賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

目を引く物語でありながらも恋愛色が薄く、惜しくも受賞を見送った作品なども見られたが、応募作の中には斬新な作品や作風の広がりが見られ、今後の出版作品の未来は明るいと感じた。

「冷遇側妃の幸せな結婚」は王の側妃として冷遇されていた主人公が新王となったヒーローと出会い、愛されていくという話。恋愛小説大賞の名にふさわしい王道の展開で、ヒーローとヒロインの出会いのシーンに代表されるように、作中シーンのロマンチックな描写をはじめ、文章・ストーリーの小説としてのレベルが高かった。

「【本編完結】 あなたの愛など要りません」は愛されない契約婚から不遇の生涯を送ったヒロインが、逆行後、新しい人生を切り拓いていく物語。ネットならではの個性ある作品であり、二周目の人生での新たな恋模様や、序盤から読者を一気に引き込んでしまう展開力など、とにかく面白いという声が多かった。

「地味薬師令嬢はもう契約更新致しません。先に破ったのはそちらです、ざまぁ?没落?私には関係ない事です。」は婚約破棄されたチート級の腕前を持つ薬師令嬢が故国との契約を解除し、隣国で幸せに暮らすお話。王道で勢いのある今風の話で、ヒロインの愛らしさと読後感の良さが際立っていた。

「【完結】うそっ、侯爵令嬢を押し退けて王子に近づき婚約者(仮)になった女に転生?しかも今日から王妃教育ですって?」は悪役令嬢ものの悪役側、婚約破棄をさせる令嬢に転生してしまったヒロインが、婚約破棄後の世界で奮闘するストーリー。テンプレを裏切る切り口の斬新さと構成の妙に評価が集まった。

「【完結】ひっそり生きてきた私、今日も王子と精霊に溺愛されています! ~殿下、お探しの愛し子はそこの妹ではありません~」は家族に冷遇され妹に婚約者を奪われた主人公が、道端で倒れていたヒーローを助けるところから始まる話。精霊の愛らしさと物語の緩急のつけかたが巧みだった。

「【R-18】純情ラブパニック」はヒロインとヒーロー、そしてそれぞれに恋する当て馬キャラの四角関係なオフィスラブ。見た目と中身にギャップのあるヒロインと執着心の強いヒーローをはじめ、登場人物のキャラがよく描かれており、恋愛小説らしいときめきを感じた。

「【本編完結】妹に婚約者を奪われた挙句家まで追い出されたので、公爵家のメイドになったら口説かれました【R18】」は婚約破棄追放されたヒロインがメイドとして雇ってくれた公爵と愛を深めていく作品。流行りの設定を取り入れつつ、人物描写の上手さが際立っていた。

「逃げるための後宮行きでしたが、なぜか奴が皇帝になっていました」は前世の腐れ縁ヒーローと転生先の中華風世界で再会を果たすという物語。設定の切り口が良く、コメディと心理描写のバランスに長けていた。導入の上手さには目を引くものがあり、話に引き込まれた。

ここであげた候補作のほかにも、出版の可能性を感じる作品が数多くあった。編集部で検討し、個別にオファー、あるいは出版化への挑戦を打診していきたい。

開催概要はこちら
応募総数 3,036作品 開催期間 2022年02月01日〜末日

編集部より

緻密に作りこまれた世界観と筆力の高さが印象的な作品です。月夜の出会いや二人が結ばれるシーンなど、恋愛小説としての要所もロマンティックに描かれており、作品に没頭することができました。また恋愛要素はもちろんのこと、政治的陰謀もしっかり設計されていて小説としての読み応えがあり、編集部内でも高い評価を集めました。


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。一度目の人生を悔いたヒロインが二度目の人生をやり直し、息子を幸せにしていく様子には好感が持てます。なんといっても夫のキャラクターが立っていて、物語全体の大きな推進力となっていました。義弟から主人公に向けられる穏やかな愛情も素敵でした。


編集部より

薬師チートもののツボをしっかりと押さえていながら、素直で性格の良いヒロインのキャラクターが魅力的でした。人々の幸せを願い、虐げられても人を信じることを忘れないヒロインの綺麗な心には共感ができ、そんな彼女を自然と応援したくなるような、読んでいて心地の良い作品です。隣国の人々の温かさにも癒されました。


編集部より

悪役令嬢ものでざまぁされる側のヒロインに転生してしまった主人公が奮闘する様子が面白く、彼女の行動で王子が成長し、ヒロイン共々評価も高まっていくというストーリーが非常に良かったです。『王道を裏切る』がテンプレ化した悪役令嬢ものを更に裏切る設定に挑戦心と斬新さを感じました。


編集部より

精霊に愛されるヒロインという設定に合った雰囲気で描かれた可愛らしい作品で、物語のコンセプトをしっかりと感じることができます。ヒーローとの恋愛描写もきちんと盛り込まれており、敵役の妹もコミカルで終始明るい気持ちで読むことができました。


編集部より

見た目はクールビューティーながら中身はウブなヒロインと、執着心&独占欲の強いヒーローのカップリングが魅力的な作品です。多角関係の構図も面白く、当て馬の妨害にも屈さずまっすぐな想いを貫くヒーローに胸キュンでき、エタニティらしい王道の現代恋愛TL作品に感じました。


編集部より

全年齢風の王道なストーリー進行の中で描かれる、ヒーローのヒロインに対するドSな溺愛ぶりのギャップにときめかされました。強引に言いくるめられていくヒロインの様子は面白かったです。性描写もしっかりと盛り込まれており、ノーチェ賞にふさわしい作品に感じました。


編集部より

現代の腐れ縁ヒーローとヒロインが中華風世界に揃って転生という設定が面白く、コメディ調の進行の中で時折描写される主人公の切ない片思いの描写に引き込まれます。後宮で御用聞きをするヒロインや、サブキャラの宦官なども個性的で終始楽しく物語に浸ることができました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

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