「ほとり」の検索結果
全体で103件見つかりました。
歴史小説『払暁の風』は、室町時代初期、足利幕府の権力基盤が固まりつつある激動の時代を舞台に、一人の若き武士の成長と、過酷な運命に翻弄される愛を描いた壮大な物語です。
物語の主人公は、美濃の守護・土岐氏に仕える沼田又太郎。弱冠二十歳の彼は、瑞々しい感性と正義感を持ち合わせ、兵法の修行に励む志高い青年です。冒頭、京の鴨川のほとりで、恋仲である早希と過ごす穏やかな時間は、中世の静謐な美しさを象徴しています。しかし、その静寂は、幕府内部の権力闘争と土岐一族の内紛「康行の乱」によって無残にも破られます。
時の将軍・足利義満は、強大な勢力を誇る守護大名の弱体化を画策していました。その標的となった土岐氏では、義満の意を受けた土岐満貞が、宗家の康行を追い落とそうと策動します。又太郎はこの政争の渦中に否応なく巻き込まれ、初陣として「黒田の合戦」へ向かうことになります。
本作の最大の魅力は、凄惨な戦場のリアリズムと、そこに生きる人々の心の機微が見事に融合している点です。初めて人を斬る恐怖、信頼していた仲間との決別、そして戦乱の中で引き裂かれる早希との約束。作者は、華やかな室町文化の裏側にある、武士としての忠義と個人の幸福の狭間で揺れ動く若者の葛藤を、緻密な時代考証に基づいた格調高い筆致で描き出します。
特に印象的なのは、又太郎のライバルとなる長井掃部介との関係です。同じ女性を愛し、敵味方に分かれて刃を交えることになる二人の運命は、武家社会の非情さを象徴しています。最終盤、戦いの果てに又太郎が下す「ある決断」は、読者の胸を強く打ちます。それは単なる敗北や逃避ではなく、動乱の時代を生き抜いた一人の男が辿り着いた、深い祈りと悟りの境地でもあります。
タイトルの『払暁の風』が示す通り、暗い夜が明けようとする瞬間の冷徹さと、わずかな希望の光を感じさせる結末は、歴史小説としての風格に満ちています。室町という、一見捉えどころのない時代に鮮やかな命を吹き込み、現代を生きる私たちの心にも通じる「誠実に生きることの難しさと尊さ」を問いかける傑作です。歴史ファンはもちろん、一人の青年の魂の遍歴を追いたいすべての読者に贈る、珠玉の文芸作品といえるでしょう。
登録日 2026.04.28
結婚初夜、ルースは純潔の証が無かったことを夫に責められ、娼婦の烙印を押された。身に覚えのないルースだったが、以後惨めな結婚生活を送ることになってしまう。
やがて夫は戦死、未亡人となったルースはそれまで住んでいた屋敷を出て一人で暮らしている。
ある雨の夜、庭先に迷い込んだ青年を保護するが、彼は記憶を失っていた。
青年が何者なのか分からぬまま、ルースは彼との距離を縮めていくが……。
登録日 2016.08.04
文字数 3,334
最終更新日 2023.08.27
登録日 2023.08.27
三千年生きたエルフの少女ローラ。
だが、持っているスキルはたった一つ――『スライム』。
「無能」と罵られ、村を追放されたローラは、川のほとりでひっそりと新生活を始める。
けれど、スライムスキルはただのハズレスキルじゃなかった!?
イスにもなる、ベッドにもなる、家まで建てられる万能スキルだったのだ!
のんびりスライムハウスで暮らしていたある日、凶暴な魔獣に襲われたローラ。
彼女を救ったのは、フライパンで戦う謎の料理人ケーシィ。
「……スライム? それ、聖女しか使えないスキルだぞ?」
無能だと思っていた力が、実はチート!?
料理人との出会い、スライムとの日々、そしてエルフの村の崩壊。
――これは、銀髪エルフとぷにぷにスライム、そして料理人と歩む、ちょっと泣けて、いっぱい温かい、もっちもちスローライフ物語。
文字数 2,364
最終更新日 2025.06.16
登録日 2025.06.16
世界の中心には、誰も近づかない湖がある。名を「ルフ湖」といい、そこに足を踏み入れた者は、自分の名前さえ忘れてしまうという。湖は静かで美しく、空を映す鏡のようだが、その底には何かが眠っていると古文書は語る。
少年アレンは、記憶を失っていた。目覚めたとき、彼はルフ湖のほとりに倒れていた。名前も過去も知らず、ただ胸に小さな水晶を握っていた。
湖畔の村「ミレア」で彼を見つけたのは、薬師の娘・セラ。彼女はアレンに名前を与え、村で暮らすよう勧めた。だがアレンは、夜ごと夢に見る水中の光景に導かれるように、湖の謎を探り始める。
ある日、水晶が光り、湖の底から声が響いた。
「記憶を返すには、水の門を越えよ。」
それは、世界に点在する「水の門」を巡る旅の始まりだった。
文字数 11,431
最終更新日 2025.10.22
登録日 2025.10.22
辺境領主の娘・マリエールはのどかな田舎町で穏やかな日々を過ごしていた。
ある日、王宮に長らく出仕していた父親が「一緒に暮らすことになった」と一人の男の子を連れて帰ってくる。近い歳の友人に焦がれていたマリエールは一目で彼に好意を持つが、彼の方はなかなか打ち解けてくれず、マリエールは友人作りの難しさに苦悩する。それは彼・ノエルがこの国の第二王子だと知ってからも変わらず、そんなマリエールにノエルの態度も次第に柔らかくなっていく。
そして一年が過ぎようとした頃、ノエルは突然王都へ戻ることになった。
再会を約束して、二人は離れ離れになるけれど……。
城を追われた王子と、楽天家の女の子の恋のお話です。
文字数 6,765
最終更新日 2023.09.02
登録日 2023.08.31
下級騎士のオルフェは今日も上位階級の騎士から嫌がらせを受けていた……が、ノーダメージだった。甘味好きの訳あり騎士と、訳知り苦労性の騎士団長は、今日も騎士団の任務をさっくり片付ける。全6話。
【主要キャラクターの概要・設定】※ネタバレ含みます
●オルフェ……川のほとりに捨てられていた孤児。ソウェイル侯爵に拾われて「オルフェ」と名付けられ、約十年間、侯爵家で育った。幼少時より大人顔負けの怪力と魔力を持ち、剣や魔法を教えるとメキメキ実力をつけたので、侯爵に勧められるまま騎士団へ入団。しかし、孤児という出自から十七歳の今も下から二番目の階級である下級騎士のままである。黒髪に黒眼だが、髪は陽に透けると夜空のような紫色で、瞳は魔力を大量に使用すると血のように赤く染まる。これらの人外的特徴からダートはオルフェの正体を「普通の人間ではない」と薄々感づいている。普段はのんびりとした性格だが、ダートを悪く言う相手や魔物には容赦しない。
●ダート・レ・ソウェイル……ソウェイル侯爵の嫡男。オルフェの推定年齢より二歳年上。怪力のオルフェに付き合って剣術や魔法の鍛錬を積み、実力で十八歳の時に史上最年少騎士団長に就任したことを、オルフェのお陰だとひそかに感謝している。オルフェの秘密や階級のことをオルフェ本人より気にしてしまう苦労性。性格は真面目だがどこか常人とズレた感覚を持っている。銀髪金眼で女性受けする見た目。
※カクヨムにも同じ作品を掲載しています
文字数 25,140
最終更新日 2024.12.30
登録日 2024.12.26
貧しい郷里の皆の幸せのため、山奥の川のほとりにある龍神様の祠へ生贄として捧げられた十二歳の少女・山女(やまめ)。
祠の主・辰(しん)は「贄など要らん」と山女を里に追い返そうとするが、「帰るところなんてない」と泣きつかれてしまう。
仕方なく山女をそばに置いて、彼女が自活できるように成長するまで面倒を見てやることにした辰だったが――。
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○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
○ タイトルに*が入った箇所は、性的表現を含みますのでご注意ください。
○公開後に加筆修正する場合がございます。
○エブリスタ、ベリーズカフェ、ムーンライトノベルズでもお読み頂けます。
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(執筆期間:2022/08/08〜08/29)
文字数 27,978
最終更新日 2022.09.12
登録日 2022.08.31
――ある夏の日、あなたと泉のほとりで出会った。
小学5年生の灯里は、夏休みのあいだ妹の沙夜と一緒に父の田舎に遊びに来ていた。そこで初めて見たホタルに誘われ、闇夜に繰り出した先で姉妹は美しい少年・光と出会う。
少年のことが頭から離れない灯里。しかし、彼と会ったことを覚えているのは灯里だけだった――。
悲惨で壮絶な過去を持つ光との出会いをきっかけに起こる不思議な出来事たちを通して、灯里は初めての感情に気付いていく。
孤独を抱える光と、光の過去ごと救いたい灯里。それは難しいことのように思えたが、それぞれの想い合う気持ちが奇跡を起こす。
ホタルの寿命のように短くて儚い、救済と恋の物語。
文字数 24,873
最終更新日 2023.09.28
登録日 2023.09.11
太平洋戦争中に日本軍が建設したタイとビルマ(現ミャンマー)を結ぶ泰緬鉄道。その跡地に佇む桑井川神社を訪れた筆者は、慰霊祭の夜、思いがけない体験をする。
煙草を吸おうと降りたクワイ川のほとりで、背後からシャツを引かれる。誰もいないはずの闇の中で、社主は「英霊が煙草を欲しがったのだ」と告げる。
筆者が供えた煙草の火は、まるで誰かが吸うように赤く燃え、やがて痩せた兵士や少年兵の幻影が川辺に現れる。
「帰りたい」「煙草をくれ」と風に混じる声。恐怖と哀しみの中、筆者は彼らの無念に触れ、最後に耳元で囁かれた「ありがとう」に涙を流す。
戦地で散った兵士たちへの祈りが、静かな夜に深く響く悲哀心霊物語。
文字数 3,137
最終更新日 2026.02.21
登録日 2026.02.21
この物語の主人公、剣地は幼馴染の成瀬と出かけていた。しかし、二人は鉄骨の落下事故に巻き込まれてしまい、命を落としてしまう。
命を落とした二人はあの世で神様という人物に話を聞き、あの落下事故は神様の運命操作のミスであることが判明。
生き返るにももう手遅れというわけで、二人は日本とは別の世界にあるペルセラゴンという魔法と科学が発達した世界に転生することとなった。
その後、お詫びとして二人は神様から超レアな武器やスキルを貰い、ペルセラゴンへ旅立つ。だが、ペルセラゴンに到着した直後、二人はゴブリンと遭遇し、戦う事になる。
戦いはすぐに終わったが、その時に近くの町に住む令嬢、ヴァリエーレと遭遇する。
その後、二人はヴァリエーレの協力の下、その町のギルドに入ることとなる。
それから、剣地は成瀬以外の異性と触れ合う事になる。
かなりドスケベな少女のエルフ、ルハラ。
転生した二人と初めて会った女騎士、ヴァリエーレ。
勇者の称号を持つ少女、ティーア。
寂れた魔界に住む魔王の少女、ヴィルソル。
彼らに待ち受ける戦いはどんなものなのか? 彼らの運命はどうなるのか? それは誰にも分からない。
2024.9/17【HOTランキング5位獲得作品】
文字数 136,202
最終更新日 2024.09.23
登録日 2024.09.09
時は巡り人も変わるが、炎に身を焦がす蛾のごとく、汝はただ恋に悶えよ――。
「うんかんのべっかく」。いにしえの中国、盛唐の時代。宮城の奥深く人の通わぬ陰鬱たる池のほとりで、若い女官の木蘭(もくらん)は美貌の宦官の悲恋を聞かされ、また同室の臈たけた女官から、愛について手習いを受ける。そして、自らの出生と宮城との因縁を知った木蘭の前に、ある悲劇が――。
男と女、男と男、女と女、時を越えて絡み合うそれぞれの愛のかたち。
女性の同性愛的描写、また男性の同性愛についての言及がありますが、どちらも軽いものです。
なお、表紙も作者が描いております。
第5回歴史・時代小説大賞にエントリーしています。応援よろしくお願いいたします。
「小説家になろう」「カクヨム」「マグネットマクロリンク」「セルバンテス」との重複掲載です。
文字数 10,537
最終更新日 2019.04.29
登録日 2019.04.27
