「決断」の検索結果
全体で1,054件見つかりました。
都築渉には付き合って三ヶ月の恋人、佑月がいた。
ほぼ同棲状態、毎日好きだと言い合って、付き合いは順調だと思われたが、一つだけ気がかりなことがあった。
ある日、佑月の忘れ物を届けようと外へ出た渉は、階段から足を滑られせて落ちてしまう。
気がついた時、渉は五年前にバイトをしていたカフェにいた。
佑月とはそこで出会ったが、その頃、佑月には婚約している女性がいた。
過去と同じことをして、佑月と付き合う未来を再び目指そうとするが、それにはこれから起こる悲劇から、目を逸らさなければいけなかった。
佑月の幸せを願う渉の決断は……
全三話
全二万字程度
文字数 24,612
最終更新日 2023.11.26
登録日 2023.11.26
心を構成するものは、総称して纏(まとい)と呼ばれる。
生命あるものは必ずこの“纏”を抱いており、
表裏一体の関係を知らずのうちに築いている。
纏は日々自分の心と共鳴して進化を重ねる未知の“力”。
絶望、希望、憎悪、期待、嫌悪、優愛、慈愛、非道…
置かれた環境に応じて、纏は全く異なる姿を映し出す。
中学二年生の青年「白凪 紡(しろなぎ つむぐ)」は、
とある奇妙な出会いをきっかけに他者の纏と真っ向から向き合う事になる。
彼の前に現れた謎の女性「月瀬 旭(つきのせ あさひ)」の言葉をきっかけに、紡は己が纏うものに一つの決断を下すのだった。
文字数 132,271
最終更新日 2026.05.31
登録日 2025.10.04
「その夜、俺は“ちゃんと生きる”のをやめた。」 全話書き換え完了!
眠れない夜は、誰にでもある。
けれど、その夜が――人生を変えてしまうことがあると、あなたは知っているだろうか。
三十歳を目前に控えた男、佐藤正樹。
ラーメン屋での過酷な労働、理不尽な叱責、積み重なる失敗。
気がつけば彼は、自分の人生を“やり過ごすだけのもの”にしていた。
何も望まず、何も選ばず、ただ今日を終わらせるために生きる日々。
そんなある夏の夜、彼は眠れずに部屋を飛び出す。
行き先のない散歩。
意味のない時間。
――そのはずだった。
だが、真夜中の街で出会ったのは、“どこかおかしな人たち”だった。
常識を軽々と踏み越え、自分の欲に忠実に生きる男。
心に嘘をつくなと、乱暴に真実を叩きつけてくる女。
日常を“戦場”と呼び、狂気じみた熱で仕事に没頭する店員。
彼らは皆、どこか壊れている。
けれど同時に、誰よりも“自分の人生を生きている”。
その異質な出会いは、正樹の心に小さな火を灯していく。
ずっと押し殺してきた本音。
ずっと見ないふりをしてきた違和感。
ずっと諦めていた“自分自身”。
――お前は、本当にそれでいいのか?
問いかけるのは、他人ではない。
彼自身の心だった。
そして迎える、決定的な朝。
恐怖に縛られていた男が、初めて“自分の意思”で選択をする瞬間。
それは決して、正しくも美しくもない。
誰かに褒められるような行動でもない。
それでも彼は、確かに一歩を踏み出す。
誰のためでもない。
評価のためでもない。
ただ、“自分の人生”を取り戻すために。
これは、特別な才能を持たない男が、
ほんの一晩で“生き方”を変えていく物語。
そしてきっと、読み終えたとき、あなたも気づくはずだ。
人生は、いつだって変えられる。
それは大きな決断じゃなくてもいい。
たった一度、“自分の心に従う”だけでいいのだと。
――さあ、真夜中へ出よう。
少しだけ変な人たちが、あなたを待っている。
文字数 15,131
最終更新日 2025.05.04
登録日 2025.04.30
童話『白雪姫』がモチーフです。継母が主人公です。
王妃様に先立たれて困っていた国王様は、小鳥の歌に導かれて小人達の家にやってきました。その家で出会った白雪のような肌と黒檀のような髪の美しい人に心を奪われ、新しい王妃様としてお城に迎えました。
めでたし、めでたし。……本当に?
可愛い王女様が世界一美しい人となったとき、「継母」は一つの決断をした。
人名はドイツ語の色名を元にしています。
文字数 19,465
最終更新日 2022.02.15
登録日 2022.02.15
売れない日々を送っていた女性お笑い芸人・由奈美は、
大物芸人のたった一言――
「坊主にしたら、キャラ立ちするんちゃう?」
をきっかけに、人生を大きく動かす決断をする。
相方となった無名の男・サトルに素人同然で髪を切ってもらい、
由奈美は“坊主の女芸人”として舞台に立つ。
その姿は強烈な印象を残し、
コンビ「タマネギ涙」は一気に注目を集め、ブレイクへの道を駆け上がっていく。
しかし、成功の裏側で、
坊主というキャラクターに縛られていく自分に、由奈美は疲弊していく。
「坊主なんか、やめたい」
その叫びから始まるのは、
髪を伸ばし、モヒカンへと変化し、再び剃り落とす――
“変わること”と“戻ること”を繰り返す、長い葛藤の時間だった。
床屋の椅子、新聞紙の上に落ちる髪、
バリカンの音とともに削がれていく迷い。
そして最後に由奈美が選び直したのは、
逃げでも縛りでもない、「自分に一番ウソのない姿」だった。
坊主は、ゴールではない。
原点であり、通過点であり、前に進むための形。
これは、
髪を剃ることで自分を失い、
何度も剃り直すことで自分を取り戻していく、
一人の女性芸人と一組のコンビの再生の物語。
笑いの裏側で揺れる心と、
舞台に立ち続ける覚悟を描いた、
静かで熱いキャラ文芸長編。
文字数 14,063
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.04.13
アナは世界的スーパーアイドルUnoのメンバー・ジョウキの大ファンでありオタク。恋愛や結婚よりもジョウキの為にお金を稼ぎ、グッズやライブで貢ぐのが何よりも幸せ。そんなアナはある日、親友のユナと深夜まで飲みに行き、二人仲良く歩いて帰宅していた途中、なにかに躓き転びそうなった。何に躓いたのかとふと、視線を向けるとなんとそこには人が倒れていて、アナとユナは驚きながらも助けようと倒れている人に声を掛ける。アナは暗闇のなか、恐る恐る倒れている人に声をかけると、なんと倒れていたのはアナの大好きなスーパーアイドルUnoのジョウキだった。アナの大好きな人が突然、目の前に現れユナは大興奮だが、何故かアナは落ち着いていて、自力で立ち上がったジョウキを見送る。そんなアナに僅かな興味を持つジョウキ。そんな二人はひょんな事からまた再会を果たすものの…アナはジョウキのファンを卒業することに決めていた。そんなアナの心の僅かな隙間に入ろうとする、ジョウキと同じグループのメンバー・トウヤ。そう、トウヤはアナに一目惚れしてしまったのです。少し意地悪なジョウキと優しく甘いトウヤ。アナは二人の王子様の間で揺れ動くものの…最後に涙を堪える決断をするのです。
文字数 269,358
最終更新日 2023.12.26
登録日 2023.12.12
新暦108年。再編国家レズモスは表向きの平和を維持しながら、独立国家群トリステとの水面下の緊張状態が続いていた。
国防軍諜報部執行課特務室──その名を知る者はごくわずかだ。記録されない任務を遂行し、存在を消して国家の影に生きる執行官たちの組織。国家は彼らの存在を認めない。しかし彼らなしでは成立しない。
特務室の執行官・東雲逢凰は、15年間ただ一人で任務をこなしてきた。補佐官は必要ない。それが彼の一貫した意思だった。しかしある日、上層部の決定により一人の補佐官が送り込まれてくる。
雪月凪、19歳。教育課程を修了したばかりの新任だ。「不要」と告げられることを承知で、それでも彼女は東雲の背中を追い続けることを選んだ。
二人が初めての任務に向かう夜、一つの事案が動き出す。
海に消えた痕跡、山中での潜伏、そして廃墟での決断。任務を重ねるごとに、雪月は諜報の現実を知り、東雲は15年間閉じていた何かに、気づき始める。
これは、記録されることのない二人の軌跡だ。
※本作は『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』にて掲載しています。
文字数 20,005
最終更新日 2026.07.03
登録日 2026.05.29
令和X年、日本は「恋愛的合意の記録制度=LEAF(Legalized Emotional Agreement Framework)」の導入を迎え、恋愛における同意確認が法と文化に根づく転換点を迎えつつあった。
物語は、東京・銀座のラウンジで働く美しい女性・綾音と、誠実を貫く実業家・江口悠真の静かな決断から始まる。江口は一通の内容証明郵便に、自身の恋心と誠意を託し、ラウンジの同伴後にアフターおよびホテルでの同行を希望する旨を、法的に明記して綾音に届ける。その書面には弁護士・家族の立会い、健康診断の実施、守秘義務の明記など、すべてが「選ぶ自由」を前提とした丁寧な確認の言葉が並んでいた。
綾音はその提案に応じ、ふたりは弁護士と姉の立ち会いのもと、合意書に署名し、記録端末にてすべてを残す。“記録される恋”ではなく、“信頼するから記録する恋”──それは、愛における新たな信義の始まりだった
彼らの行動は瞬く間に世間の注目を集め、LEAF制度の先進事例として報道・拡散される。やがて制度は国会で法案化され、LEAFアプリの開発・標準化、健康診断・感情安定性の確認、立ち会い士制度の導入といった網羅的な構造を持つに至る。
文化もまた変容した。恋愛ドラマや漫画、古典文学にはLEAF準拠版が登場し、若者たちは“確認から始まる恋”を「カッコいい」と受け入れていく。教育現場ではLEAF的倫理教育が義務化され、保健体育から古典の読解まで“同意”を軸とした新しい学びが生まれる。
高齢者や障害を持つ人々にも配慮が広がり、LEAFは形式ではなく“優しさの言語化”として社会に根づいていく。そして世界へ。国連はLEAFを「未来の愛と人権の指針」として賞賛し、制度を築いた江口と綾音はノーベル平和賞を受賞する。
「好き」だけでは守れない。けれど、記録された「誠意」は未来を照らす。
これは、愛と信頼のかたちを問う、静かで熱い社会SFの物語──。
文字数 14,125
最終更新日 2025.07.08
登録日 2025.06.12
長い長い戦いの末、平和を勝ち取った勇者がいた。
多くの仲間たちとともに戦った勇者は、一人のんびりと暮らすために街から少し離れた場所に家を構え、ゆっくりとした生活を送った。
それから数十年という年月が経ち、勇者は老人となり、体もすっかりと衰えてしまった。
老い先短い自分。かつての勇者はある決断をする。それは、世界中にいるかつての仲間と友を訪ねるということ。
言うことの利かない体を動かして、至る所に住む仲間と友に会いに行くために、勇者は人生最期の旅に出る。
週一くらいのペースで更新できればと思います。
文字数 2,719
最終更新日 2017.08.23
登録日 2017.08.23
魔力吹き荒れ大地揺るがす災禍の後。
世界を動かす大賢者の1人と関わり…憧れ…付いていきたいと願った少年。
世界の進む方向を決めるような土壇場でも、大賢者達の周りで何となく仲間として共にあり…何となく近くで戦ったりもしてきた。
ちゃんと貢献はした気がするけれど…1年後、少年から青年に変化しつつある時に、付き従う大賢者から突然宣告を受ける。
"実家に帰れ" …と。
何となく付き従ってきた大賢者であり国王でもある少年の主からの指示は、自分の意志で進む道を選び決める事だった。
同じ様に進むべき道に悩む少女を伴い…少年自身の出発点となる実家ある樹海への旅立ちを促され "選択" へと導かれる。
だが状況を理解しているのか…してないのか、心配になるような空気読み損ねるお気楽もの…果たして心定め決断することは出来るのか。
※小説家になろうさんに出した魔輝石探索譚のおまけ話 "振り出しに戻って進もう~ミーティとモーイの第一歩" です。長めになってしまったので、切り取って加筆して外伝として立ち上げてみました。
おまけ話の主人公達は、元話の魔輝石探索譚では第2章の途中から出てきます。
此処のおまけ話は此処だけのものです。
文字数 109,128
最終更新日 2022.10.12
登録日 2022.09.26
高校2年生の戸塚誠《トツカセイ》が同級生の梶原れもんに告白すると、「ごめんなさい。私、愛人志望だから彼女のいない人とは付き合えない。」という理由で振られてしまう。
それでも梶原れもんのことを諦めきれなかった戸塚誠は、何とかして梶原れもんを振り向かせようと努力するが、一向に振り向いてもらえなかった。
そのため、戸塚誠は梶原れもんと付き合うために、形だけの彼女を作るというしてはいけない決断をしてしまう。
文字数 203,216
最終更新日 2024.05.14
登録日 2024.03.21
「お前はただの財閥の嫁でいればいいんだよ」
夫・天宮圭人のその一言が、私の決断を後押しした。
名門・天宮家の嫁として耐え忍んできた私は、圭人のために尽くし、家を支えてきた。
財閥の人脈を築くために利用され、夫の会社のために自分の財産を差し出し、
義母からは「ただの飾り」としか見なされない日々——。
だが、そんな私に対し、圭人はこう言い放つ。
「俺には麗華がいるからな」
……だったら、もういい。
私は静かに離婚届を差し出し、ペンを手に取った。
これは、裏切られた財閥の妻がすべてを捨て、最高の人生を手に入れる物語。
「お前なんか必要ない」と言った男の未来がどうなるか、見届けてあげる。
文字数 4,647
最終更新日 2025.02.18
登録日 2025.02.18
R-18/年下攻/年上受/健気ワンコ攻/筋肉質受/純愛/etc.
【健気ワンコ×年上筋肉質】
その人の為ならば、何でも出来ると思った。
たとえ自分の踏み込む余地がないと解っていても、彼の為に何かをなしたいと、思ったのだ――。
亡くした恋人の影に囚われて生きている小畑 智如(オバタ トモユキ)を、長兄の命令で調べ偵察を始めた志島 淳志(シジマ アツシ)だったが、彼に近付くにつれて段々と惹かれていくのを止められずにいた。
智如の過去を知り、仕事を起ち上げた意味を知り、彼の明紫亜(メシア)への想いを知り、淳志は己の現状に疑問を抱くようになる。
そんな矢先、長兄が明紫亜を監禁する事件が起き、淳志は智如の為にある決断を下すのだった。
【ミオソティス(勿忘草)の伝説】
ある日、ドナウ川の岸辺を騎士と、その恋人が歩いていた。
恋人はその急流の中にある花を見つける。
騎士は恋人のためにその花を摘もうとした。
だが、河の流れは騎士が思うよりも、ずっと激しいもので、花に手が届いたものの、騎士は急流に飲まれていく。
助からない、と悟った騎士は「僕を忘れないで!(Vergiss-mein-nicht!)」と叫び、手にした花を岸辺の恋人に投げ、流れに消えてしまった。
恋人はその言葉通りに騎士を生涯忘れず、この花=勿忘草を髪に飾り続けるのだった。
(このお話で出てくる性癖)
【ステノラグニア(筋肉性愛)】
筋肉質な体型への性的嗜好。
*不定期更新。
性描写があります故、高校生含む18歳未満の方は、自己責任に於いて判断をお願い致します。
当方では、如何なる不利益を被られましても責任が取れませんので、予めご理解下さいませ。
タイトル横に*印がある頁は性的描写を含みますので、お気を付け下さい。
此方の作品は、作者の妄想によるフィクションであり、実際のものとは一切の関係も御座いません。
また、作者は専門家ではありませんので、間違った解釈等あるかと思います。
異常な性癖をテーマにしたお話と同シリーズとなりますが、筋肉フェチ程度の軽い嗜好描写となり、異常性は特にありません。
異母兄弟繋がり、世界観が一緒と言うことで、同シリーズになっています。
「あべらちお」と一部連動したお話となります。
ネタバレが含まれてしまうこともあります。
以上のことご理解頂けたらと思います。
文字数 44,467
最終更新日 2019.09.06
登録日 2018.07.11
ある都市の商店街裏通りに「チューニング・フォーク」という名のバーがあります。過去に音叉の二股のような決断をして歩んできた人生で、もう一方の決断をした情景を見せてくれるカクテル(ホワット・イフ)を提供している。(改)音叉の由来を追加しました。
文字数 8,147
最終更新日 2025.08.13
登録日 2025.08.13
しばらく考えた末、物語の語りを三人称から一人称へ変更することにいたしました。そのため、各章に調整が必要となります。ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
見えない脅威と権力争いに翻弄される王国で、フレドリアン・アルサリー・ヴァルモア公爵は、戦場と宮廷の両方で敵に立ち向かっている。国境を脅かす怪物たちと戦う一方で、彼は娘たちを政治的な陰謀や、彼女たちの運命を永遠に変えてしまいかねない決断から守らなければならない。
皇太子の妃選びは、貴族の家々の間に緊張を巻き起こし、対立や秘密、そして隠された野心を露わにする。義務、血筋、そして家族の絆の間で、あらゆる決断には代償が伴う。そして影の中では、未知の勢力がその動きを注視し、行動を起こす絶好の機会を待っているのだ。
文字数 35,782
最終更新日 2026.03.22
登録日 2026.03.05
エステルは王家から迎えに来た馬車の中で、ずっと自答自問していた。
「アレシュ王……何故、私を王妃に望まれたの……?」と。
幼かった王の慰めに様々な物語の語ったしがない家庭教師のエステル。
あれから八年も月日が経ったのに……。突然、王妃候補として主城に上がることになった彼女。しかも自分は結婚に縁のない女。婚約者との破棄以来、見合いをすればいつの間にか立ち消えるという経験をしてきた。
すっかり自信を無くしたエステルに『賢王』と評されるまでになった美しい王が、王妃にと望まれて……。
王は何を考えているのか?エステルの決断は?
文字数 89,928
最終更新日 2015.12.19
登録日 2015.11.29
1450年のヨーロッパを旅行したい人へ
・単純な英雄譚に飽きた歴史好きへ
・「正しさ」に疲れ、建前の「甘さ」に辟易している人へ
・世界を大きな繋がりで味わいたい方へ
-作品概要-
15世紀半ば。
黒海交易都市カッファを拠点に活動する、
一人の奴隷商人ラウロと、彼の商館に集う人々の物語。
主人公ラウロは、
かつて奴隷として売られ、生き延びた過去を持つ。
彼は奴隷制度を否定しない。
同時に、それを正当化もしない。
彼の商いは、残酷で、現実的で、非倫理的ですらある。
だが彼は、「人を人として扱わないこと」だけには、
最後まで慣れない。
ラウロは自らをこう定義する。
「自分は、奴隷たちの骸の上に座る罪人だ」と。
黒海と地中海を舞台に、
区切られた世界の境界線で生きる人々が、
国・宗教・身分・思想といった
様々な“境界”を越えて交差していく、歴史群像譚。
〜あらすじ〜
1450年前後。
黒海北岸の交易都市カッファは、
奴隷と香辛料と金が交錯する、世界の裂け目のような場所だった。
ジェノヴァ出身の商人ラウロは、タタール商人から奴隷を買い取り、
教育を施し、より高い価値を持つ“商品”として市場へ送り出している。
その商いは冷酷だ。
だが彼は、無能な主人には売らない。
消耗が見込まれる取引は避けた。
ある春、
黒海北岸の村が襲撃され、銀髪赤眼の少女ミレーナが捕らえられる。
彼女は恐怖の中で言葉を失い、
眠ることも、食べることもできなくなっていた。
ラウロは彼女を「即時売却不適」と判断し、館内に留める。
それは慈悲ではない。
「壊れた商品に売り先はない」という、商人としての現実的な判断だった。
だが、
料理を作るナディラ、
薬草を煎じるファーティマ、
文字を教えるレオニダス、
沈黙の中で寄り添う仲間たちとの日々の中で、
ミレーナは少しずつ回復していく。
忘れることで生き延びる夜。
名前を書くことで、自分を取り戻す冬。
その過程を見つめながら、
商館に集う人々は、それぞれの視点でラウロという男を語る。
彼は救済者ではない。
だが、人が価値だけで測られる存在になることを、誰よりも恐れている。
やがて交易路は広がり、商会は分岐し、
知と資本と暴力は、次の時代へと接続されていく。
これは、地平線と水平線の向こうにある理想を見据えながら、
それでも今を生きることを諦めない者たちの物語。
ひとつの正しさではなく、
ひとりひとりの正しさから選び取られる決断を描く物語である。
文字数 175,937
最終更新日 2026.02.02
登録日 2026.01.09