「人」の検索結果
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「命令だ。お前はここに残れ――。」
一九四五年、終戦間近のタイ。敗走する二等兵・相沢義信は、かつて日本軍が現地民を徴用して建設した「日本街道」の傍らで、剥き出しの憎悪と飢餓に直面していた。
生き延びるために盗みを働き、殺生を犯す相沢。しかし、彼を見つめる一人の村の娘の瞳にあったのは、断罪ではなく底知れぬ「慈悲」だった。共に逃げ延びた中村軍曹は、かつて道を作った際に犯した殺人を相沢に打ち明け、桃色の寺院で自らの命を絶つ。
一人残された相沢に下された、軍曹の最期の命令。それは「僧となってこの地に留まること」だった。
名前を捨て、橙色の僧衣に身を包んだ相沢は、かつて略奪した村から托鉢で米を恵まれ、言葉を失ったまま五十年の歳月を石段の掃除に捧げる。なぜ彼は帰国せず、タイの山奥で掃き清め続けたのか。
二〇一五年、相沢がその生涯を閉じた時、かつての娘――いまは老女となった彼女が供えた「包み」が、止まっていた時間を動かし始める。ドリアンの甘く腐ったような匂いが漂う中、戦争の罪を一身に背負い、静かに消えていった一人の日本兵の魂の遍歴を描く感動の短編。
文字数 12,202
最終更新日 2026.04.03
登録日 2026.03.30
文字数 13,069
最終更新日 2025.06.29
登録日 2025.05.31
文化十年、冬。江戸で豆腐といえば、串に刺して味噌を塗る田楽が当たり前だった。日本橋裏の料理屋を追い出された若き板前・勘太は、野田から届く濃口醤油に出会い、豆腐を焼かずに醤油出汁で煮る屋台を始める。最初は「黒い豆腐」と笑われ、客も銭も足りない。それでも鍋は、船頭の故郷、夫婦の嘘、職人親子の意地、長屋の子どもの空腹を少しずつ温めていく。やがてその新しい味は、味噌田楽を守る者や老舗料理屋の反発を招く。だが、町の人々の舌と湯気が、名もなき煮込みを「おでん」と呼び始める。古い味を捨てず、新しい味を煮直す、江戸の食と人情の物語。
文字数 78,930
最終更新日 2026.05.16
登録日 2026.05.06
時は後漢末期。 西暦218年 (建安23年)
漢王朝最後の皇帝・献帝の時代。
様々な英雄が消えていく中…。
乱世・群雄割拠の時代にて、献帝を操り、漢の丞相・魏王の地位にまでなった魏・曹操。
乱世・群雄割拠の時代にて、江東で勢力を伸ばし、赤壁の戦いで曹操を破った呉・孫権。
乱世・群雄割拠の時代にて、各地を転戦し、力を蓄え続けた仁徳と義の人…蜀・劉備。
この三人だけが残る。
ここに魏・呉・蜀による三国鼎立が始まる。
そんな劉備がある秘策を思いつく。
それは荊州南部を呉にあげることである。
果たして彼が提唱する "唯一無二の計" とは、一体何なのか?
登録日 2024.05.02
わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。
何故、甲斐国なのか?
それは、日本を象徴する富士山があるからだ。
さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。
そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。
なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。
それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。
読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。
文字数 88,293
最終更新日 2026.01.30
登録日 2026.01.18
岸岡時人はガソリンスタンドでのバイト仲間、俊介に頼まれて深夜に人里離れた小屋へと呼び出される。軽い気持ちでついてきた時人を待っていたのは、外から鍵をかけられた六畳一間と、椅子に拘束された一人の女だった。
艶やかな着物をまとい、顔を伏せたまま動かないその女を見張るように命じられる二人。俊介は「この女が人を殺す場面を見た」と口走るが、状況はさらに不可解さを増していく。警察にも救急にも電話が繋がらず、地図アプリに映るのは「海」だけ。世界から切り離されたかのような閉鎖空間に、二人は取り残されてしまう。
やがて女は目を覚まし、時人の胸の痣を見て「鈴蘭の印」と呟く。そして掌に転がした黒い神楽鈴を彼に託し、
「飛べ。そして救え」
と告げるのだった。
鈴の音と共に視界が白に塗り潰され、崩れ落ちていく時人。最後に耳に残ったのは、女の切実な声。
——わっちを、助けておくんなんし
不可解な事件に巻き込まれた青年と、異界から来た女を巡る数奇な運命が今、動き出す。
※この物語は、各話タイトルの人物視点で話が進みます。それぞれの視点で繰り広げられる展開をお楽しみください
文字数 58,559
最終更新日 2025.08.17
登録日 2025.08.16
時代は唐の初め。唐と突厥の勢力が拮抗する西域で、娘たちがいなくなる事件が起こっていた。同じ頃、取るに足らない古びた椀が、信じられない高額で取引をされていた。
西域北道で活動してた義賊・女狐は手下の黒豹・雪豹の二人に命じてその謎を探らせる。
二人は、馴染みの道士・驪龍から、椀は鎮綏椀という月氏の祖先が秘儀で使っていたものであり、消えた娘たちはそれに捧げられる生贄であることを知る。
突厥に変わって草原の覇者になろうとする薛延陀。教祖摩尼を蘇らせようとする明教の司祭。様々な思惑が交錯する中、二人は生贄になろうとする娘たちを助け出し、明教の陰謀を防ぐべく動き出す。
前日譚はこちら
西域幻夢奇譚 ―草原のクロニクル― 序 滅びの都と約束の旅
第1部 泡沫の夢~妖狐だった乙女の誓い~(毎日更新中)
第2部 高昌夢花録~復讐の終わりと新たな旅立ち~(2026年4月公開予定)
文字数 66,144
最終更新日 2017.07.01
登録日 2017.07.01
戦国時代、信州一と謳われた文武両道にして絶世の美女がいた。信濃の戦国大名・村上義清の筆頭家臣、楽巌寺雅方の一人娘・更科である。その美しさ故、あまたの縁談があったが、その姫が愛した男は、眉目秀麗にして質実剛健と称された相木森之助 ※真田三代記でも勇者として記されている。しかしその男は、かつて敵国であった隣国からの人質の身であった。二人には壮絶で過酷な運命が待ち受けていた。国を守る為、愛する者を守る為、一人敵国に身を差し出す森之助。その国から見捨てられた夫を救う為、国に抗い、国を捨て身重の身ながら敵国の本陣・躑躅ヶ城館へ戦いを挑む更科。そして武田信玄亡き後、衰退する武田家において戦国史上、最も悲惨な戦いのひとつと伝わる高天神城の戦いの中で、二人は極限状態の中、どのような戦い方を選択し愛する者達を守り通したのか。
この物語は、江戸時代の「勇婦全傳・絵本更科草紙」より明治、昭和へと語り継がれてきた更科伝説です。この伝説を全国でも数少ない、相木の姓を受け継ぐ筆者が、史実を探求し新たな解釈を加え、令和の時代に語り継いでいきたいと思います。
更科伝説~450年前の時を超えて今、再び~
文字数 104,701
最終更新日 2022.07.24
登録日 2022.05.21
時は明治後期(明治41年)。
名家の令嬢でありながら、誰よりも庶民的で、誰よりもまっすぐ――
花のように気高く、風のように自由な少女がいた。名は桐原絢子。
女学校に通う17歳、町の誰にも分け隔てなく接し、知ること・学ぶことに人一倍の情熱を燃やす“おしとやかなガキ大将”。
そんな彼女が出会ったのは、町役場に勤め始めた22歳の青年――牧野慎之介。
厳格な士族出身、冷静沈着な美男子だが、人との距離を測りかねていた彼の人生は、絢子の無邪気な情熱に翻弄されながら少しずつ変わっていく。
名家の娘と、堅物の若役人。
ふたりが共に築いていくのは、ただの恋ではない。
町と村をつなぐ“学び舎”という、未来そのものだった。
――「咲くべきときに、咲く花がある」
舞台は明治の町と山村。
教育と恋、誇りと自由をめぐる心温まる長編時代ロマンス
文字数 61,408
最終更新日 2025.06.11
登録日 2025.05.27
昭和初期、まだ「モダン」が新しかった時代。
着物とミニスカート、下駄とストラップシューズが交錯する街角に、美しくおしゃまで、おしゃれが大好きな少女がいた。彼女の名は花村蘭子。
商店街のポスターに幼い頃から笑顔を咲かせてきた彼女は、やがて町の「顔」となり、その美貌と佇まいが静かに評判を呼び、18歳で女優への道を勧められる。
けれど、蘭子の胸にはずっと想いを寄せる相手がいた。
それは、商店街の魚屋「江本鮮魚店」の息子、江本晋平。無口で不器用で、でも誰よりもやさしく、しっかりと彼女のことを見ていてくれた幼なじみ。
この物語は、二人の間に“声にならない言葉”がいくつも積もっていく、甘くほろ苦い恋の記録。
派手な告白も、大きな事件もない。
あるのは、昭和の商店街のぬくもりと、雨の日の傘の静けさと、
そして、「好きです」と言えなかったふたりの心がすれ違うたびに少しずつ育っていく、本当の愛のかたち。
沈黙の中に宿る優しさと、声にしないまま伝える強さを描いた、
静かでおしゃれで、少し切ないレトロロマンス。
あなたの心にも、きっと蘭子のまなざしが残ります。
文字数 35,424
最終更新日 2025.06.06
登録日 2025.06.06
歴史上名高い賤ケ岳の合戦が起こる天正十一年正月元旦、滝川一益はその居城である長島城にて旧年にあった出来事を一人思い出す・・・その出来事とは羽柴秀吉が大徳寺にて主宰した旧主である織田信長の葬儀にてあった騒動であった・・・。
歴史の影に隠れあまり脚光を浴びぬ賤ケ岳の前哨戦とも言える伊勢方面での滝川一益と羽柴秀吉の戦い。一益は、己が胸中を集まった家臣一同に開陳し秀吉との対決を明言するのであった・・・
友軍となる織田信孝はすでに秀吉に降り、柴田勝家は雪に閉じ込められ北ノ庄にて身動きのできないこの時期に何故に敢然と秀吉に対し対決の狼煙ををあげたのか・・・
織田家の家燭に対する一益の想いを踏まえ、一益に男惚れする滝川家家臣団とのやりとり・・・その場にて尊敬する叔父の姿に感銘を覚える前田慶次郎の視線で語られるもう一つの賤ケ岳の戦いである伊勢方面での戦いへの序章・・・
一益や慶次郎ら家臣団との会話で明らかにされる賤ケ岳の戦いへの秘話、御堪能下さい。
文字数 40,039
最終更新日 2023.07.04
登録日 2023.05.08