「走る」の検索結果
全体で699件見つかりました。
織田信長といえば、本能寺の変。
歴史に詳しくない者でも、一度は聞いたことがある名だろう。
天下統一を目前にした覇王が、家臣・明智光秀の謀反によって炎の中に消えた――それが、世に広く知られた話である。
だが、もし本能寺に、変とは別の名で呼ぶべきものがあったとしたら。
たとえば、恋と。
そんなこと、あるはずがないと人は笑うだろう。
天下人と家臣。
しかも、後に刃を向けることになる二人の間に、そのような情が入り込む余地などないと。
明智光秀も、かつてはそう思っていた。
主君・織田信長は、烈火のごとき人であった。
苛烈にして奔放。
笑う時は子どものように無邪気でありながら、怒れば周囲の空気まで凍らせる。
誰にも従わず、誰よりも先を行き、誰よりも孤独な人。
近う仕えながらも、その胸の内だけは読めぬ。
いや、読んではならぬのだと光秀は思っていた。
けれど、仕える年月が重なるにつれ、光秀の胸には名づけようのない違和が降り積もっていった。
ふとした仕草が、妙に目に残ることがあった。
杯を取る指の細さ。
風に乱れた髪を払う横顔。
鎧の隙間からのぞく、思いのほか白い首筋。
戦場では鬼神のように恐ろしいその人が、月明かりの下では、どういうわけか別の面差しを見せることがある。
むろん、口に出せるはずもない。
織田信長は男であり、主君である。
そこに疑いを差し挟むなど、無礼どころの話ではなかった。
だが一度芽吹いた違和感は、捨てようとするほど根を張った。
ある夜、京の宿所にて。
酒宴も終わり、家臣たちが引いた後で、光秀は廊をひとり歩いていた。
庭には薄く月がかかり、初夏の風が簾を揺らしている。
その静けさの中、不意に一枚の襖がわずかに開いているのに気づいた。
灯りが漏れていた。
主の居間であった。
見てはならぬ。
そう思いながら、足が止まる。
中では、人の気配がひとつだけした。
信長であろう。
次の瞬間、微かに咳く声が聞こえた。
昼の鋭さを失った、妙にかすかな声だった。
光秀は思わず、隙間に目をやってしまった。
黒漆の具足も、威を張る羽織も脱ぎ捨てられていた。
月のように白い肌が、灯りの下にあった。
長く落ちた髪が肩をすべり、細い背を隠しきれずにいる。
光秀は息を呑んだ。
見間違いかと思った。
いや、そうであってほしいと願った。
だが、その願いとは裏腹に、胸の奥で何かが音を立てて崩れていく。
織田信長は、何者なのか。
その答えに指先が触れかけた時、ふいに室内の人影が動いた。
鋭い気配が走る。
「……誰じゃ」
低い声が、闇を裂いた。
光秀は、凍りついた。
文字数 18,833
最終更新日 2026.04.11
登録日 2026.04.05
これは、テクノロジーの国の首都を走る、不思議な電車の物語。
いじめ、解雇、親の死、借金、不幸続きの恵まれない人生に嫌気がさした青年が地元から逃れるように向かったのは、世界で最もハイテク化が進んだ都市の一つにして、青年の住む国の首都、世界一の大都市。
連絡すら取れない友人の家を目指し、最新型ロボットの案内で地下鉄に乗った青年であったが、彼が乗ったのはなぜか、かつて東洋初の地下鉄ともてはやされた電車であった。
自らを銀座線1000系電車1号車、ひいてはこの街の地下鉄道の精にして、この列車の車掌兼運転手だと名乗る少女と共に、不思議な旅へと誘われる青年。
少女から旅の最後のお楽しみと伝えられた、その列車の行き先とは・・・
文字数 12,984
最終更新日 2017.11.10
登録日 2017.10.24
やあ、こんにちは。
イラストレーターの雛のアラサーお兄さんだよ。
色々あって、俺がキャラデザした乙女ゲームのヒロインの友達ポジキャラになっちゃってたんだ。
思い出したもんは仕方ない。
これからは中身お兄さんの伯爵令嬢として、ヒロインを導いて行く……のかなぁ。
とりあえず、攻略キャラの一人との所謂『ハッピーエンド』を避ける様にしたいな、なんて思っているんだけど、あくまでもゲームの世界と言えど、生きているんだからどうなることやら。
そんな俺の日々を覗いてみないかい?
ちょっとした下ネタに走ることが多々あります。(特に冬休み頃からか?)
腐の要素も有ったりしますので、苦手な方はすみません。
毎日0時と12時の2回アップします。
この作品は小説家になろう様でアップしたものを、加筆修正したものです。
文字数 230,618
最終更新日 2023.04.05
登録日 2023.02.10
──君の歌はその人が頑張りたいと思っているなら必ず届くよ。
夢を追う高校生の夕輝が仲間と共に音楽で最高の舞台を目指す物語です。
現在下書き55話、16万文字あります。
最後までのプロットも一応完成済み!
週2〜3話更新目標です。
【あらすじ】
高校二年生の春、暮橋夕輝は懐かしい夢を見た。子供の頃の記憶の欠片。まだ焦燥に駆られ夜闇をひた走る前、まだ日が暮れる前の頃の記憶。
夕焼けを背に窓際でお姉ちゃんが何か言っていた。お姉ちゃんはなんて言っていたんだろう……。
夢から覚めた放課後の教室でぼんやりと考えていると微かに歌が聞こえた。その歌に惹かれ屋上へと向かうとそこには夕染まりの舞台で一人歌う少女がいた。
それはまだ青い春の暁を知らない長い夢の始まり。二人の出会いが少しずつ世界を変えてまだ知らない明日へと続く。
文字数 94,561
最終更新日 2025.10.02
登録日 2025.07.25
「モモ」は彼女の呼び名、本当は百の香りで「百香」。僕らは同じ大学に通っているけれど、学部も歳も違う。彼女は三回生で、僕は今年の春に入学したばかり。出会いは、大学のサークル。泳ぐのが好きな僕は、当然水泳部に入るつもりだったけれど、部活の勧誘週間に運悪く高校の先輩に見つかり、陸上関係のサークルへ半ば強制的に拉致されたんだ。これを陸に上がったカッパって言うんだ。当然、陸上どころか走る事にすら興味のなかった僕が、練習についていけない日々が続いていた五月、新宿に向かう小田急の中で、ボロ布の様になって窓の外を眺めていた。
文字数 21,386
最終更新日 2022.01.09
登録日 2021.12.31
エニウェア大陸にある聖教国で、千年ぶりに行われた聖女召喚。
聖女として呼ばれた魂の佐藤愛(さとうめぐみ)は、魂の器として選ばれた孤児の少女タビタと混じり、聖教国を聖教皇から乗っ取り理想の国作りをしながら、周辺国も巻き込んだ改革を行っていく。
佐藤愛は、生前ある地方都市の最年少市長として改革を進めていたが、志半ばで病に倒れて死んでしまった。
やり残した後悔を、今度は異世界でタビタと一緒に解決していこうと張り切っている。悩んだら走る、困ったらスクワットという筋肉は裏切らない主義だが、そこそこインテリでもある。
タビタは、修道院の門前に捨てられていた孤児で、微力ながら光の属性があったため、聖女の器として育てられてきた。自己犠牲を生まれた時から叩き込まれてきたので、自己肯定感低めで、現実的でシニカルな物の見方もする。
東西南北の神官服の女たち、それぞれ聖教国の周辺国から選ばれて送り込まれた光の属性の巫女で、それぞれ国と個人が問題を抱えている。
小説家になろうにも掲載してます。
文字数 151,961
最終更新日 2026.05.31
登録日 2026.01.18
「州道を二百マイルで走る最速の男がいる」と聞き、俺はコルベットである町へやってきた。そこで出逢ったのはZを駆るシンシア。「最速の男に追いつきたい」という彼女は、相手をこの町で事故死した昔の恋人と思い込んでいるらしい。
シンシアに一目惚れしてしまった俺は、彼女の目をさまさせるべく“最速の男”の正体を暴こうと決意したが……。
アメリカの州道を舞台にした、幻想恋愛短編小説。
登録日 2015.03.16
カクヨムの企画に参加したものです。
「亡くなったパートナーのメッセージが残された者を再び走らせる」という内容で皆違う物語を書いたものでした。
文字数 3,717
最終更新日 2020.08.23
登録日 2020.08.23
ケチで卑怯な主人公が、頭のおかしい魔法使いと私利私欲に走る爽やかなお話です。
基本的に誰の目にもつかないタイミングを見計らって、こっそり暗闇の中、膝を抱えて書いています。
初小説のため、書きなれていないことも多く、しょぼしょぼのところもかなりありますが、
のんびり書いていきますので、生ぬるい目で読んでくださると幸いです(´・ω・`)
文字数 4,434
最終更新日 2025.12.05
登録日 2025.12.05
岳人は走っていた。
あのアホどもの所為だ。
ラグビー部員たちは走った。
否、走らされた。
京都市街の北端、宝ヶ池から南の端、伏見まで。
愛すべきゴンタたちの罰退走。
その先に待つものは、特にない。
文字数 23,420
最終更新日 2018.02.02
登録日 2018.02.02
目を覚ますとそこはユメの世界を走る列車の中でした。
主人公は将来の自分について悩みを抱える学生です。
親の望む未来に進むのか、自分の夢をかなえるのか。
そんな中、ユメの世界で不思議な少女たちに出会います。
彼女たちと接する中でに主人公が見つけた答えとはーー
主人公が希望をみつける優しい物語を目指します。
文字数 45,214
最終更新日 2021.12.05
登録日 2021.10.26
「救いなし、未来なし、勝者なし。――これは、全てを灰にする『何も残らない物語』」
一見すれば、よくある「悪役令嬢への断罪劇」。
しかし、それは愛憎が生んだ痴話喧嘩などではない。腐敗しきったこの国を根底から崩落させる壮大な「国崩し」の序章に過ぎなかった。
その茶番を冷ややかに見つめる第一王女セレスティアは、男爵令嬢イリスの瞳の奥に自分と同じ「世界への呪い」を見出す。
「私と手を組みましょう。そして二人で、この国を灰にしましょう」
国への復讐を誓う男爵令嬢と、自らの破滅を願う王女。
孤独な二人は共犯者となり、毒と炎で国の心臓部を蝕んでいく。
捏造される証拠、民衆の暴動、そして聖域の炎上。
理性の象徴である公爵令嬢エレオノーラの必死の抵抗さえも嘲笑い、二人の少女は破滅へとひた走る。
これは英雄の物語ではない。
誰一人として救われることのない、徹底的な破滅の記録。
【AI活用に関する注記】
本作品は、本文執筆にGeminiを活用し、最終的な調整・編集は筆者が行いました。
文字数 55,354
最終更新日 2025.12.27
登録日 2025.12.07
携帯しているスマートフォンに何件もの着信があったという事に山下宏典が気づいたのは、その最後から数えて大凡で小一時間は経過した後であった。愛機であるところのそのスマートフォンのディスプレイに表示されていた着信の数は十三件。そして、そのどれもこれもが同一人物からのものだという事を知った山下は、その人物からのものという事実に逡巡する。何故ならその人物とは、約半年前に別れてからこの日まで疎遠となっていた笹原由奈だったからだ。
逡巡が焦燥にクラスチェンジする中、山下は笹原にコールする。暫しして聞いた半年ぶりの声は、暗く沈んだ音色をしていた。イヤな予感がする。付き合っていた頃の事が蘇る。悪寒が走る。そしてそのとおり笹原が発した次の言葉は、自殺を仄めかすものだった。
結局のところ、笹原が命を落とすという事態にはならなかった。しかし、違う問題が提示された。笹原が自殺を図っていた際、何者かによる放火も同時進行していたのだ。全身に火傷を負った笹原は現在、病院で生活している。山下は足繁くお見舞いに通う。半年ぶりの再会と笹原が背負う現状に、山下の心は激しく揺れ動く。罪悪感。そして、背徳感。山下は笹原に溺れていった。
そんな中、笹原を担当する医師でもある芹澤が殺害される。犯人は放火も実行した人物だった。山下は複雑な心境を内包しつつ、笹原との今後を考える。
一方で笹原は、事態の経過に大満足していた。これは、恐ろしい企みと危ない賭けによって漸く手にした幸せだったからだ。
そう、全ては。
笹原の思惑どおりに進んでいた。
………、
………、
筈だったのだけれど。
文字数 254,710
最終更新日 2019.10.13
登録日 2019.10.13