「持つ」の検索結果
全体で10,381件見つかりました。
慶応四年三月。桜には早く、しかし名残の雪が江戸の空を淡く舞う。薩摩藩邸、田町。灰色の空の下、西郷隆盛は黙して待つ。頬に残る薩摩の陽射しは、ここでは通じぬ。彼はこの地で、幕臣・勝海舟を迎えようとしていた。
勝は、どこか滑稽なほど急いでいた。懐に忍ばせた書簡は、徳川慶喜の意思を綴ったもの。「江戸を守りたい」と書かれたその筆跡に、勝はかつて見た将軍の瞳を思い出していた。栄華を捨て、命を捨て、それでもなお人々の暮らしを想う男。その影を背負いながら、勝は雪を踏みしめる。
会談は、言葉少なに始まった。
西郷は軍略を持つ男であり、血を流すことに慣れた男である。それでも、その大きな掌は震えていた。江戸に火を放てば、十万の命が消える。それは敵ではない。女や子ども、老いたる町人、彼らの炊事場、火鉢、布団、書物――ただの日常が、黒煙に包まれる。
「おいは……江戸を焼きたくはない」
そう語った西郷の声は、低く、確かだった。勝はそこで初めて、この男が真に恐れているのは戦の勝敗ではなく、人心の断絶であると知る。幕が下り、新たな時代が来る。そのことは避けられぬ。だが、西郷もまた未来を見ていた。武ではなく、誠意で国を結び直す覚悟が、彼の背にあった。
ふたりは語る。
江戸という町の美しさを。
人々が炊き立てた飯の匂いを。
火消しの纏が立つ火の見櫓を。
明日も、明後日も、生きていく人々の鼓動を。
「戦に勝つことと、この国を守ることは、別の話でごわす」
西郷が言ったとき、勝は静かにうなずいた。
そして春雪の中、ふたりの男は、歴史に残る選択をする。
それは、刀を抜かずして成された、もっとも激しい戦い。
己の名を捨てる覚悟と、時代を超えて語り継がれる、沈黙の勝利だった。
文字数 16,482
最終更新日 2025.05.31
登録日 2025.05.31
竜殺しの英雄として讃えられた領主、ガレス・ストーンハートが、完璧な密室で殺害された。辺境の地に左遷された孤高の捜査官カイル・ヴァーミリオンは、不思議な力を持つ新米捜査官リィナ・シルバーアッシュと共に、この前代未聞の事件の捜査に乗り出す。
なぜ英雄は死なねばならなかったのか。現場に残された謎の血文字が意味するものとは。そして、「消えた村」の不気味な噂と、大陸全土に広がる「世界の病」の正体とは。
偽りの神話を打ち砕き、真実の夜明けを求める、二人の若き探求者の旅は、やがて大陸全土を巻き込む戦いへと変貌を遂げていく。
登録日 2025.09.03
魔法が存在する世界では、王族の魔力を安定させる半身と呼ばれる存在が重要な役割を担っていた。
王の息子、アルジームにはまだ半身が見つかっていなかった。ある日薬草園で半身の証を持つ者に出会うが、それは男だった。
文字数 14,708
最終更新日 2025.10.25
登録日 2025.10.25
本作は、伝統的な「除霊」を現代社会の「システムエラー(バグ)」として再定義した人間ホラー。
親譲りの霊能力をテクノロジーと融合させ、人々の人生をデバッグする実兼葬と、人々が依存する末期症状の「バグ」だけを判断し、甘い言葉で葬に流す有名占い師・栄花千怨。
この二人が、SNS、AI、仮想現実、そして「承認欲求」という名の現代病に蝕まれた人間たちの心の闇を暴き、強制的にOSをアップデート(再構築)していく。
■ 主要キャラクター
実兼 葬(じつかね そう)
【人生のデバッガー】
黒い着物に銀の回路を刺繍した装いに身を包む、偏屈な青年。霊能力をシステムのバグとして処理する独自の術式を持つ。十円玉を媒体に、対象の「キャッシュ(過去の執着)」をクリアし、未来を予約可能な状態へ書き換える。
栄花 千怨(えいか ちおん)
【毒舌と慈愛の有名占い師】
圧倒的な支持を誇るオネエマンの占い師。占いを「人生のOSを整えるためのインターフェース」と捉えている。甘い言葉でファンを魅了するが、自分を慰めるためだけに占いを利用し、自力で歩くことをやめた人間には極めて厳しい。葬とは腐れ縁で、信頼関係は厚い。
文字数 18,324
最終更新日 2026.02.01
登録日 2026.02.01
日本語が堪能ではないタイ人作家による小説。
異なる言語と文化を持つ二人の少女は、何の前触れもなく、原因もわからないまま異世界へと放り込まれてしまった。
一人は熱血で正義感の強いワン。
もう一人は冷静沈着で剣の達人ホクト。
言葉も価値観も育った環境もすべて違う彼女たちは、最初は互いに戸惑い、ぶつかり合いながらも、この残酷で理不尽な世界で唯一の「仲間」として絆を深めていく。
魔獣、陰謀、強大な貴族・・・・・・・次々と立ちはだかる脅威を切り抜けながら、二人が心の底から求めるものはただ一つー「元の世界へ、帰る方法を見つけること」しかし、この世界は彼女たちを簡単には手放さない。
帰還の鍵は、遠い神話の遺跡に隠され、代償として“何か大切なもの”を要求してくる・・・・・・。
二人の少女は知る。
この異世界で生き抜くことと、故郷へ帰ることは、
もしかしたら永遠に両立しないのかもしれないというこ
とを〜。
文字数 7,090
最終更新日 2026.03.01
登録日 2026.02.25
「お前、ホントに人間か?」
無職の青年、九(いちじく)光太はそんな問掛けと共に理不尽にも射殺された。
極々、平々凡々とした日々を送ってきた光太を襲った狂気。その瞬間から、彼の中の何かが壊れていく。
伝説の武器を持つ英雄や神と契約した幻想遣いと呼ばれる者達が影で暮らしている世界。
復讐の為に、愛する人を殺す話。
※PIXIV、カクヨムにも掲載しております。
文字数 149,732
最終更新日 2022.08.18
登録日 2021.10.30
「それは、運命に向き合い立ち向かう、女神に叛逆する神造生体兵器と人間たちの物語」
絶対創造神である女神ソラが作った二人の超生命体が、彼女の人理消滅計画を阻止するため手を組み「神への叛逆(世界管理権の奪取)」に挑む!魔法探偵&解決屋を営む謎多き神造生体兵器と、微生物で構築された体を持つ魔人王によるファンタジーバトル小説!
地球と同じ時間軸を共有する異世界「フォーミッド」
その世界は2次元と3次元の境界に存在し、異世界から転移現象に巻き込まれた者たちが集う場所、そしてその境界における交差点とも呼ばれる重要な領域である。誰もが転移をする際にこの世界を一旦通り抜けて別の世界に移動しているという。
そこにあるアクシミデロと言う地球型惑星に、有名な魔法探偵&解決屋「ハーネイト・ルシルクルフ・レーヴァテイン」と言う人物が名を馳せていた。
かつて古代超文明が栄え、その末にこの星に起きた人的災害「大消滅」により文明が衰退したこの世界で、彼は自身の出生や謎を追い求めながら多くの偉業を成し遂げ、多くの命を守護してきたという。
そんな彼が、ある時事務所に来た異星からの来客者により戦争屋の宇宙人「DG」と戦うことになる。それと同時期に発生した大国のクーデター事件。脱出した国王、家臣らの依頼を受け、新たな仲間、そして旧友たちとも力を合わせ「ハーネイト遊撃隊」として事態の解決にあたることになる。
そして、かつて刃を交えた不滅の菌魔王「サルモネラ・エンテリカ・ヴァルドラウン」との再会、霊量士、天界人との出会いが彼の運命を大きく変えることになり、自身が追い求めていた力と出生の正体に気づくのであった。
それこそがフォーミッド界にて実在する、世界創成を司るヴィダール・ティクス神話の最高女神「ソラ・ヴィシャナティクス」との長い闘いの幕開けになることは誰も知る由がなかった。女神は人間を失敗作、イレギュラーな存在として排除しようとする。ハーネイトと伯爵は彼女の計画を阻止するため、彼女から世界管理権を奪うため戦いを挑むのであった。
文字数 892,516
最終更新日 2023.06.26
登録日 2017.10.14
町の娘ジルダには、他の人にはない特別な能力、“ものを破壊する力”がある。それでも普通で平穏な毎日を送りたいという思いから、周囲の人々にはその秘密を明かさず、普通の少女として静かに暮らしていた。
ある日、町の少女が行方不明になるという不穏な噂とともに、ジルダが最も信頼を寄せている兄まで姿を消してしまった。落ち込む中、ジルダは不思議な旅人に出会う。さらに、彼らはなぜか、いなくなってしまったジルダの兄を知っていた。
やがてジルダの隠し持つ力は、ある真実に繋がっていく。
登録日 2020.05.22
主人公、レン・クロニクスと幼馴染である、サクヤが一緒に買い物へ行っている時だった。
『ユニークスキル《完全記憶能力》の封印が解除されました』
という機械のような声が聞こえ、突如頭が痛みだす。
その後すぐ周りが急に暗くなり、頭の中に数々の映像が見せられた。
男女の怪しげな会話。
サクヤとの子供時代の会話。
つい最近出来事など様々だった。
そしてレンはそれをみて気づく。
――これがレン自身の記憶であることを。
さらにその記憶は。
「なんで、全部覚えてるんだ……」
忘れることがなかった。
ずっと覚えている。
行動も時間もなにもかもすべて。
これがレンだけが持つ、最強のユニークスキル《完全記憶能力》の能力だった。
※他サイトでも連載しています
文字数 65,869
最終更新日 2022.04.18
登録日 2022.04.02
騎士の国アデルバートの裏で起ころうとしている何か─それを探るためにジャポネから送り込まれたメイドのモニカは、持ち前のドS精神を武器に様々な人間関係を乗り越えていく。
そしてそんな彼女と運命の出会いを果たした若き騎士金獅子は、世界を揺るがし兼ねない大きな事件へと巻き込まれていくのだった。
果たして二人の運命は如何に─?
この物語は『銀色狼と空駒鳥のつがい ~巡礼の旅~』で登場する銀色狼のライバル、金獅子のお相手役のドSメイドを主人公とした潜入捜査奮闘記&恋物語です。
世界観等『銀色狼と空駒鳥のつがい』シリーズと共通する部分がありますが、この物語単独で読まれてもわかるように説明を入れたつもり・・・なのですが、ちょっと分かりづらいと感じられる場合もあるかも知れませんので、その場合はお気軽にご質問下さい。
恋愛のほうはM男×S女中心で、ヒーローの歳下男子は後半より様々な事情により不特定多数の女性と関係を持つようになりますが、本心ではヒロインを一途に愛しているというちょっと特殊な関係性です。
上記大丈夫そうな方は、どうぞよろしくお願いします!
文字数 528,900
最終更新日 2024.07.26
登録日 2023.11.10
悪魔たちに狙われる少女、花蓮《かれん》。
少女を守るように傍にいる憂茨《うきょう》。
花蓮と同じように悪魔たちに狙われた過去を持つサラリーマン死神の柊《しゅう》。
柊は辞令で花蓮の命を狩ることになる。
不思議な少女を巡る現代ファンタジーものです。
登録日 2016.01.13
“魔術コード”
それは魔力を込めた専用魔具で言語を操る事により作成できるもの。
文明と発展を支える高等な技術。
その魔術コードを書くことをコーディング。その魔術コードを書ける者をコーダーと呼んだ。
人間は魔法を使えなかった。ドワーフやエルフなどは使えるのに、人間は使えない。
唯一、人間で魔法を使えるのは”9人の魔法使い”と呼ばれる者のみ。
一般人が会う事は滅多に無い為、御伽噺や神話で知っているくらいなのがほとんど。
出会った者は大抵その強大で強力な魔法に恐れ戦いた。
新央暦3020年
世界はそんな神話のような9人の魔法使いよりも、“厄災”を恐れてた。
厄災は古来より人間に被害を与えてきたが、頻繁ではなかった事もあって何とかこれまでは対処できていた。
しかしある時、抗いようもない強大な力を持つものが現れた。
地は焼き払われ、街は潰され、連合軍も大きな損害を受けた。
そいつは人々の大切な者を奪い、先人達から受け継いできた文明と文化を焼き、希望を潰した。
そいつは”大厄災”と呼ばれた。
様々な悲劇を生んで、忽然と消えた。
主人公アキ・レミントンもその悲劇の主人公の1人にされた。
絶望し、苦悩したが、それでも前に進み、前向きな性格で成長した。
そして、悲劇の主人公として、前向きに復讐への道を歩むことにした。
登録日 2020.04.28
異世界転生⋯⋯まさか自分が体験することになるとはな。
俺はユウト。前世では財閥の跡取り候補として何不自由なく過ごしていた。
そしてある日、俺は父に呼び出されて後継者に任命される。
これでようやく俺の目標を達成することができると心を踊らせていた。
今の社会は一部の権力者だけが至福を肥やし、一般の人々は税金をむしりとられ、満足な生活が出来ていないのが現状だ。
しかし財閥のトップになれば、政治家達は支援している俺の声を無視することが出来ないはず。
誰もが幸せになる世界などありえないことはわかっている。だが幸せになる人を増やすことはできるはずだ。
そして公の場で後継者を発表する日がついにきた。
しかし父は殺された⋯⋯俺の従兄弟に。
俺はその現場を目撃したが従兄弟に⋯⋯いや、従兄弟の派閥の手によって犯人にしたてられ、そして殺された。
従兄弟は自分が財閥の後継者に相応しいと常々口にしていたので、俺が後継者に任命されたことが気にくわなかったのだろう。
腸が煮えくり返る思いだが、死んでしまった今、前世の世界に関与することはできない。
転生した世界は、前世より差別がひどいし貧富の差が激しい。
せっかく前世の記憶を持って生まれ変わることが出来たんだ。前世では出来なかった目標を達成してみせる。
だが俺の生まれた場所は――
支配者、もしくはそれに準ずる身分だとまた命を狙われる危険がある。それに万が一悪巧みに気づいても、地位が邪魔して強行手段に出れないかもしれない。
それなら自分と同じ志を持つ者を陰から支援し、裏から異世界を支配する。それがこの世界で俺がやるべきことだ。
文字数 116,627
最終更新日 2023.12.30
登録日 2023.12.23
広大な砂漠の果てに突如として現れる、巨大なオアシス、この世の楽園とも称される「エラメドル竜国」。
この国は代々、『竜族』と呼ばれる、竜種の血が混じった人外の力を持つ王族によって治められていた。彼等は皆決まって、人にはあらざる不思議な髪色をしており、その色には引き継いだ竜種の血が反映されているという。竜族と、この地に座した神々の結界によって、このエラメドル竜国はあらゆる天災から護られている。だが、人災には無力なその結界の隙を突いて、最近は悪辣な盗賊が暗躍しており、街はどこか不穏な空気に包まれていた。
さて、観光がてらに立ち寄ったこの国をいたく気に入った、昼行燈の吟遊詩人ジェントゥル・クノア。歳若く見える顔と纏う深緋の服が鮮やかな彼は、夜の町で酒を鱈腹飲みいたく御満悦であった。機嫌良く宿屋へ向かっていたその帰り道、彼は何かから逃げて来た子どもとぶつかってしまう。
身を隠す布を取り払ったその子どもは、齢十歳ほど。
そして、月が地に落ちたかと錯覚するほどの、美しい白銀の髪を持っていた──
文字数 22,634
最終更新日 2024.01.30
登録日 2024.01.28
――怠けていれば死なない世界。
主人公・永遠(トワ)が目覚めたのは、どこか夢のような不思議な村。
腕には謎のカウント「95」が刻まれ、住人たちは口々にこう言う。
「怠惰に生きれば、死なずに済む」と。
夢を持つ者は“ドリーマー”と呼ばれ、笑われ、排除される世界。
それでも、親友のソラの兄であるアラタの死と、遺された言葉が永遠を変えていく。
――「叶えろよ。誰になんと言われても、走れ……永遠」
夢を笑う空気、努力を否定する社会――その象徴「ベルフェゴール」を前に、
永遠は自らの過去と向き合い、初めて“生きる”ことに挑む。
死ねない世界で、生きる意味を見つけ出せ。
第1章『怠惰』、始動。
文字数 13,708
最終更新日 2025.08.01
登録日 2025.08.01
