【完結済:全10話】
夜番だけが働く第七星図室。
乾板の白は夜になると花を咲かせ、誰かの未定の夢をそっと保管する。
司書見習いの紗鞠がそこで出会ったのは、悪夢を回収する寡黙な夢取師・蒼玻。
彼が最初に告げたのは「名のない星図に手を伸ばすな」。
そして——「この場所で君を呼ぶのは、規程と私だけ」。
触れすぎない所作、鳴らさない手順、踏み越えない白線。
やがて無月が訪れ、蒼玻は「愛せば奪ってしまう」という恐れを明かす。
紗鞠は線の外で“離れない”ことを選び、肩書ではなく名で呼び合う夜がはじまる。
古き手順「対読の儀」によって、二人は“名で選び、名で返す”。
偽りは沈み、真だけが浮かび上がる。
所有ではなく所在、契約ではなく誓いへ——鳴らさない静けさの中で育つ、じれ甘スローバーンな恋と保護のファンタジー。
文字数 20,940
最終更新日 2025.10.06
登録日 2025.10.06
【完結済:全11話】
王都ノクターナに、零時から四時だけ現れる喫茶〈夢喫茶ムーンミルク〉がある。
バリスタ魔女ルルは、ラテアートで“今夜の夢”を描き、一口で眠りをやさしく整える。そこへ現れたのは、結論から話す諜報卿ネブライ。情報を引き出すため「しゃべりやすい夢」を所望するが、ルルはきっぱりと断る――「売るのは“しゃべり”じゃなく“朝”です」。
やがて街に“眠りの浅瀬(夢網)”が広がり、眠りを商品にする企み=夢税が明らかに。二人は月匙と星砂の“耳”で嘘を漉し、**《二人で見る夢》**の可愛い魔法で“渡し切る朝”を装置に学習させる。公開の広場で鐘が一打鳴るとき、面目は紙ではなく“朝”に整えられていく――。
可愛いラテアート(舟/糸電話/猫)、もふもふ月兎ミル、そして「休むことは働くこと」。やさしくて心に効く異世界ファンタジー、じれ甘の沼にどうぞ。
文字数 31,738
最終更新日 2025.10.05
登録日 2025.10.05
【完結済:全10話】
月に仕える一族の王子は、冷徹と恐れられ孤独に生きていた。
彼に与えられたのは、「契約花嫁」という名ばかりの伴侶。
互いの名すら呼ばぬまま始まった二人の関係は、掟に縛られた鎖にすぎないはずだった。
けれど花嫁は、仮面の奥に隠された孤独と優しさを知ってしまう。
拒まれても、突き放されても、なお惹かれていく心。
やがて訪れる「月蝕の夜」、王子の呪いが明かされるとき——
花嫁は命を懸けて彼の傍に立つことを選ぶ。
「契約だから」ではなく——「あなたを愛している」と告げるために。
掟と呪いを越え、二人は初めて互いの名を呼び合う。
月光の下で結ばれるのは、契約ではなく、真実の誓い。
幻想に満ちた月夜に咲く、切なくも甘やかな愛の物語。
文字数 25,627
最終更新日 2025.09.26
登録日 2025.09.26