「店」の検索結果
全体で6,968件見つかりました。
別れのあと、彼女は床屋に入った。
理由を説明するためでも、誰かに見せるためでもなく、ただ自分の髪を切るために。
駅裏の古い理容店。
赤白青の回転灯。
静かな店内で、彼女はロングヘアから、ショートへ、スポーツ刈りへ、そして坊主、スキンヘッドへと、自分の髪を段階的に失っていく。
落ちていく髪。
変わっていくシルエット。
鏡に映る、知らなかった自分。
理容師・榊は、踏み込まない距離を保ったまま、彼女の選択を淡々と受け止める。
問い詰めない。慰めない。押しつけない。
ただ、切るべきものを、確かな手つきで切っていく。
髪を切るという行為は、彼女にとって「喪失」ではなく、「整理」だった。
誰かの好みのために存在していた自分。
守られることで保たれていた弱さ。
それらを、音と振動と冷たい外気の中で、少しずつ手放していく。
そして、すべてを剃り終えたあとに残ったのは、
裸の頭と、逃げない視線と、静かな再起動。
恋はまだ始まらない。
けれど、戻ってこられる場所と、選び直せる自分が、そこにはある。
床屋という密閉された空間で描かれる、髪と身体と心の変化。
切ることと、伸びること。
終わることと、続くこと。
これは、恋愛小説であり、
同時に「自分を取り戻す物語」である。
文字数 18,708
最終更新日 2026.02.09
登録日 2026.01.27
日常系のミステリーです。完結済み。
☆家族間の些細なトラブルと思われたことが、実は重大な「事件」かも知れない。何気ない会話から、今時の若者には珍しく煙草を吸いながら彼がそう推測した。その、結果は。
☆地方都市の中学校教師の成田剛史。五十代で生徒指導主事を務めるベテランだ。「最近の中学生」は大変だし、家に帰れば妻はご近所の悩み相談も押し付けてくる。
しかしもう成人した娘と仲の良かったその近所に住む楓という女性の話で。交通事故をきっかけに、勤務先の市役所を退職して都会に行こうとして、母親と揉めているという。娘の友人ということで剛史も気になるので、相談を受けることに。
同級生が帰郷して開いた和食店をその相談場所に選んだ剛史の前に、若い男性が現れる。
その同級生の息子だという薫は、父親の病気で店を閉店する旨を成田へ告げるが、自分の頼みと引き換えに場所を提供してくれると。そこで楓の「母親との意見の相違」を聞いた剛史。しかし深刻ではないと言い、楓は一応剛史の顔を立てただけのようで、帰っていってしまう。
これ以上は首を突っ込めないと思う剛史。
しかし一緒に話を聞いていた薫は、楓のその短い話の内容から、ある推測を述べ始めて……。
「おれの性根の悪さからの、勘違いならいいんですけど――」
文字数 20,214
最終更新日 2026.09.23
登録日 2026.09.18
町に伝わる伝承と現象に翻弄される市井の人々の、優しくも悲しい物語。
死者がプシュケとなって戻ってくる――そんな言い伝えが残る海辺の町での物語。
記憶をなくして倒れていた少女はキースという商人の青年に拾われる。
少女は彼にサンドラという名を与えられ、
記憶が戻るまで部屋を借り、彼の店を手伝うことにする。
ところが、ドジでおっちょこちょいな性格が災いして失敗続き。
しかしそれを叱ることなく優しく接してくれるキースに
サンドラは次第に彼への想いを募らせていく。
そんな彼女の想いを察するキースであったが、
受け入れることのできない理由が彼にはあって……。
※pixivにも掲載中
文字数 73,323
最終更新日 2017.06.12
登録日 2017.05.17
錬金術師のエメ(女の子・天然)は、冒険都市ラビラントで『赤の止まり木』というお店を開いた。
※ゲーム風の小説です。途中でルートが分岐し、基本的なストーリーは同じでも親しくなるキャラやエメの作るものが変わっていきます。
文字数 44,966
最終更新日 2019.11.18
登録日 2019.11.16
私の名前はメルヴィ。ラストダンジョン最寄りの村で、定食屋「メルヴィの小さな食堂」を営んでいます。
たまに勇者様や冒険者の方が立ち寄ることはありますが、基本的には村の皆さんがのんびりと食事をするくらいで、穏やかで暇な店でした。
……あの日までは。
ある日、扉が開き、堂々と店に入ってきたのは――まさかのラストダンジョンの魔王バルゼオン様。
それ以来、魔王様は常連になり、さらには他の魔王様やその側近、関係者の方々まで次々とやってくるようになりました。
「私は普通の定食屋をやっていただけなんですけど!?」
次々と訪れる規格外のお客様に振り回されながらも、今日も私はご飯を作ります。
これは、魔王様の胃袋を支えることになった私の奮闘記です。
文字数 184,771
最終更新日 2025.11.23
登録日 2025.06.18
※多少のネタバレは含みます!
人里離れたある丘の上に、たった一本だけ巨大な木が生えている。そこはかつて、首吊り自殺が多発した自殺スポットだったーー。
売れない小説家の俺は、彼女に振られ、借金も返せず、死に場所を求めていた。
みんな死んでしまえ。
こんな終える価値すらないようなくだらない人生は、もううんざりだ。
この世に絶望して、裏掲示板の噂を頼りにたどり着いたのは、とある山奥の丘の上だった。
そこで俺が目にしたもの。
それは、巨大なブロッコリーのような木。
そして、そこにぶら下がっていたものはーー
この木にまつわるもう一つの噂。
本のなる木ーー
信じられないことに、木には噂通りたくさんの本がなっていたのだ。
しかし、不思議なことはそれだけでは終わらない。
「私、地獄から来たの」
人などいないはずのその場所で、俺は、自称地獄の番人の、不思議な美女と出会ったのだ。
「あなたを絶対に死なせないから」
そう言う彼女に促されて、よく分からないまま俺が木に触れると、今までピクリともしなかった本がドサリと落ちて、次の瞬間まばゆい輝きを放った。
そして、気付けば俺は、過去の世界にタイムスリップしていたのだ。
俺は本の物語の中に吸い込まれたのだった。
1冊目は、コンビ二のバイト店員の物語。たった一人で認知症の祖母を養うために朝から晩まで働く高校生が主人公の世界へ。
2冊目は、中学時代の同級生の娘の物語。顔に極度のコンプレックスを持つ、いじめられている女子中学生が主人公の世界へ。
そのどちらも俺の人生が霞むくらいに壮絶なものだった。
そして、不思議なことにどの物語も俺の過去に関係しているものばかりだったのだ。
そして、3冊目。
それは、別れた彼女の由梨の物語だった。
そこで、俺は衝撃の真実を知ることになる。
その木になる本の物語は、この木で自殺した人たちの生前の物語だったのだ。
由梨が抱えていた秘密とは?なぜ、俺の前から姿を消した?なぜ、死ななければならなかった?
俺は由梨を救うことができるのか。大切な人の過去を変えることができるのか。
そして、自分の未来を変えることができるのかーー
登録日 2019.08.21
地獄の獄卒として働く赤鬼・緋厳は不思議な居酒屋『天海の鬼火亭』の常連である。そして、店長であるアマビエ・海老原多幸と長く関係を持っていた。緋厳と多幸のちょっとすれ違ってた素敵な家族計画。
地獄の赤鬼✕アマビエ店長。
【注意】攻めの尻にもアナルがあります。リバではありません。
※風巻ユウ様主催の「居酒屋BL2022✕アンソロジー」に寄稿させていただいた作品を若干修正したものです。
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
文字数 11,797
最終更新日 2023.09.14
登録日 2023.09.14
高校生の心結(みゆう)は、とあるカラオケボックスの常連客。
そのカラオケボックスは、町にある小さな店舗。すっかり馴染みとなってしまったおじさんが、1人で経営している。
月・水・金・日。1週間のうち4日間しか開かないその店で、週に1度水曜日にだけ聞こえる歌声がある。
──水曜日の歌声。
それは、心結が勝手に名付けた男性の歌声。
名前も顔も知らないながら、心結は初めて聴いた時からその声に惹き付けられ続けている。
カラオケ大好き女子高生、心結。
男とは思えない程透き通った歌声を持つ青年、響(ひびき)。
カラオケを通して出逢った二人の、夢へと繋がる物語。
登録日 2023.12.18
【第9回キャラ文芸大賞奨励賞受賞】
彌勒堂に関わるトラウマを持つ四人の欠けた人生が動き出す
ここは八百万妖貸し屋 彌勒堂。
様々なあやかしたちがあなたのお悩み解決致します。
南蒼司は彌勒堂の店主。
優し気なイケメンでありながらも、なにやら他人と距離を置く蒼司。
それには理由があるようだが……
あやかしたちと共に、のんびりと依頼をこなす日々。
そんなある日、あやかしの銀子が連れて来た口の悪い、強面の男。
この男が現れたことによって、
彌勒堂に関わるトラウマを持つ四人の欠けた人生が動き出す――
※第一部完結。お話は一区切りしていますので一度完結設定とします。第二部は現在執筆中のため、投稿時期は未定です。
※R15指定は念のためです。
※縦読み推奨。
※この物語はフィクションです。作中に出て来る名前や名称、設定は創作です。
※妖怪関係は資料等参考にしております。
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しております。
文字数 92,595
最終更新日 2026.01.16
登録日 2025.12.31
ささやかな暮らしのなかに、そっと咲く、心の灯火を。
この短編集は、特別な事件も、大きな奇跡も起きません。
それでも、ページをめくるたびに、どこか心の奥がじんわりと温まる
――そんな、小さな物語たちが詰まっています。
登場するのは、日常のどこにでもいそうな人たち。
学校、商店街、古い団地、喫茶店、祖父と孫の関係……
ふとしたすれ違いや気づき、届かなかった言葉が、静かに、やさしく、誰かの心に触れていきます。
「気づかれない想い」「言葉にしづらい気持ち」「習慣に紛れてしまう優しさ」
それらを、丁寧な筆致と静かなまなざしですくい取り、物語へと昇華しています。
すべての話に共通するのは、“あたたかさ”ではなく、“あたたかくなっていく”過程。
読み終えたあとには、まるで湯気のように、胸の奥で何かがふわっと立ち上ってくるはずです。
疲れた心の隙間に寄り添いたいとき。
そっと誰かのやさしさにふれたいとき。
この物語集は、そんな夜に、そっと灯る小さな明かりになるでしょう。
文字数 27,812
最終更新日 2025.07.02
登録日 2025.06.22
完結済。警視庁捜査一課の刑事館那臣は『解決してはならない事件』に手を出し、懲戒免職寸前だった。そんなとき書店で偶然出会った謎の美少女森戸みはや。自らを『守護獣(まもりのけもの)』と呼ぶ彼女に那臣は『主人(あるじ)』として選ばれる。二人の奇妙な同居生活が始まった。次々と起こる女性殺害事件。被害者の女性は皆『オーディション』を受けるため誘い出され、殺害されていた。その影には因縁の相手、警察OBで国家公安委員長である河原崎勇毅、そしてその息子の河原崎尚毅の存在が……?「もう一度、奴らを追う」「主人の望むものすべてを捧げるのが守護獣ですから」那臣とみはや、そしてその仲間たちは河原崎親子の牙城を崩せるのか……?同人誌として6冊にわたり発行されたものに加筆修正しました。小説家になろう・カクヨムにも投稿しています。なお、作中の挿絵も筆者が描いています。
文字数 240,902
最終更新日 2022.11.29
登録日 2022.08.02
メルゼガリア帝国にある、ガアールベール帝国国立学園には一風変わったご令嬢がいる。
男みたいな口調で話すし、本来は家やお茶会でメイドがやってくれるようなお茶くみが好きで、学園の一室を借り喫茶同好会と称して喫茶店を開いている。
そのため、愛称と侮蔑の両方の意味を込めて生徒たちからはこう呼ばれている、
────『お茶くみ令嬢』と。
前世が喫茶店のマスター(男)である伯爵令嬢がある事件によって心を痛めた事をきっかけに、学園で喫茶店を開きます。婚約者と上手くいっていない公爵令嬢や、ダイエットに勤しむ伯爵令嬢、素直じゃない侯爵令嬢、性別転換した侯爵子息、その他もろもろの生徒たちと織りなす人々のよもやま話を集めた物です。
※ 1話1話は登場人物の繋がりはありますが、基本的にほぼ独立した話となっていますので、サクサク読めるかと思います。章分けしたのは気分です。主人公は前世が男のTS娘ですが、TSモノが好きな方としてはTS要素が薄いと感じるかもしれません。
短編集みたいな物だと思って読んでもらえると幸いです。
旧タイトル:伯爵令嬢に転生したTS娘は喫茶同好会を開きました
登録日 2023.06.06
長谷川修平の妻、裕子が行方不明となって二日後、遺体が発見された。首だけが近くの雑木林に放置されていた。その後、同じ場所に若い二人の男の首が遺棄される。そして、再び雑木林に首が。四人目の首、それは長谷川修平だった。
長谷川の友人、楠夫妻は事件の参考人として警察に任意で取り調べをうけたことで、地元住民から犯人扱いされる。定食屋「くすのき」も閉店せざるを得なくなった。
長谷川夫妻の死、若い男二人の死、四つの首が遺棄された雑木林。
楠夫妻の長男、真一は五年後自分の子供にもふりかかる汚名を
ぬぐうため、当時の所轄刑事相模とともに真犯人を探す。
※この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
文字数 7,024
最終更新日 2024.12.07
登録日 2024.12.07
「春菜は、本当にいい子だよ」
三年間付き合った恋人からそう告げられ、白石春菜の恋は終わった。
一緒にいると落ち着く。
家族のように安心する。
けれど、もう恋人としてのときめきはない――。
相手を困らせたくなくて、最後まで笑って別れた春菜。
泣いた後には、昨日までの自分を洗い流すように白い服を着る。それが母から教わった、春菜なりの立ち直り方だった。
けれど、今年の白は何も洗い流してくれない。
自分が空っぽになったように感じるだけだった。
失恋した春、偶然入った小さなギャラリーで涙を流していた春菜は、一人の男性と出会う。
表参道の裏通りで小さな香水店を営む調香師・香月亮。
事情を問いただすことも、軽い慰めを口にすることもなく、亮は白い服を着た春菜に静かに告げる。
「終わらせるための白じゃなくて、始まる前の白に見えます」
そして彼は、傷ついた春菜のためだけに香りを作り始める。
白い花。
洗いたてのシャツ。
眠れなかった夜。
春の陽ざしと、少しだけ明るい白ワイン。
香りの名前は――「White Blend」。
「忘れるための香りは作れません。でも、思い出しても痛くない場所まで連れていく香りなら、作れるかもしれません」
亮の優しさに触れるたび、春菜は少しずつ自分の言葉と笑顔を取り戻していく。
しかし亮もまた、かつて「一人のために作る香りに商品価値はない」と否定され、自分の才能を信じられなくなった過去を抱えていた。
失恋から立ち直ろうとする春菜。
もう一度、自分の香りを信じたい亮。
二人は互いの傷に寄り添ううちに、いつしか惹かれ合っていく。
けれど、春菜には新しい恋へ踏み出す勇気がない。
また恋をして、また置いていかれたら?
亮の優しさに甘えることで、彼の未来を邪魔してしまったら?
これは、過去を忘れる物語ではない。
傷ついた記憶も、泣いた夜も抱えたまま、それでももう一度誰かを好きになる物語。
白い服だけを着ていた春に、調香師の彼がくれたのは――新しい恋を始めるための香りでした。
文字数 19,038
最終更新日 2026.08.10
登録日 2026.08.06
――きみと出逢ったのは、遠い夏の日――
東京の会社を辞めて、祖母の骨董店を継いだ透のもとを訪ねてきたのは、ちょっと不思議な女の子。
彼女は売り物の古いフォトフレームを指さして、その中に入っていたはずの写真を探していると言う。色褪せた写真に隠された、少女の秘密とは……。
なぜか記憶から消えてしまった、十五年前の夏休み。初恋の幼馴染みと同じ名を持つ少女とともに、失われた思い出を探す喪失と再生の物語です。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。
文字数 16,588
最終更新日 2021.05.02
登録日 2021.04.30