「り」の検索結果
全体で171,101件見つかりました。
毎日、同じ電車に乗り、同じ職場で意味のない数字を打ち込み、同じ帰り道を歩く。田中誠、三十二歳。夢も情熱も、恋も冒険も、いつの間にかどこかへ置き忘れた、ごく普通のサラリーマンだった。
ある夜、彼はいつもの帰り道で、存在するはずのない路地裏のカフェを見つける。扉の向こうにあったのは、古書と珈琲の香りに満ちた不思議な店――カフェ「エニグマ」。そこには、何もかも見透かすように静かに微笑む美しきマスター・玲子と、太陽みたいに眩しいウェイトレス・光、そして、元刑事、ハッカー、占い師、怪しげな旅行代理店員、ギャル令嬢まで、常識の外側に住む変わり者たちが集っていた。
彼らの名は、不可思議現象研究会。
ポルターガイスト、呪いの動画、デジタルゴースト、時空の歪み、廃村に残された記憶、そして都市そのものを揺るがす巨大な謎。笑ってしまうほど胡散臭い事件の奥には、いつも誰かの孤独、後悔、言えなかった本音、届かなかった想いが隠れている。
オカルトなんて信じない。
変人たちにも関わりたくない。
でも、あの子の笑顔をもう一度見たい。
その情けなくて、どうしようもなく人間らしい衝動だけで、誠は人生の扉を開けてしまった。
怖いのに笑える。
ふざけているのに、最後は少し泣ける。
怪異を解くたびに、誰かの心が救われ、誠自身の灰色だった世界にも、少しずつ色が戻っていく。
一話を読み終えた時、きっとあなたも思うはずだ。
この店の扉を、もう少しだけ開けてみたい、と。
そして、自分の日常にも、まだ見落としている不思議な入口があるのかもしれない、と。
これは、心が死にかけていた男が、怪異と謎と少しおかしな仲間たちに振り回されながら、もう一度「生きている実感」を取り戻していく物語。
静かな紅茶が淹れられる時、世界のバグは、少しだけ優しくほどけていく。
あなたの退屈な夜にも、きっと。
文字数 137,471
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.06.15
チラシの裏を埋めたところで、時間の無駄ではないか。そう思い、一応の区切りをつけて筆を置いた
そのはずでした。
そもそも、チラシの裏に書くような文章など、書かなくても困らないものです。
生活に支障はなく、誰かに読まれなくても社会は滞りなく回り続けます。
むしろ、それらを書いている時間のほうが無駄だと判断しても、論理的には何の問題もありません。
ところが困ったことに、チラシの裏に書く以外に用途のない駄文は、こちらの都合を一切聞かず、日々勝手に生まれ続けます。
書かないと決めたからといって、思いつきが止まるわけでもなければ、考えが整理されるわけでもない。
結果として、捨てられなかった言葉だけが脳内に堆積し、かえって場所を取る始末です。
結局のところ、有効活用するためには、再びチラシの裏を用意するしかありませんでした。
書いて、並べて、眺めて、どうしようもなければ処分する。
資源ゴミに出す前提で使われる紙と同じように、最初から大した未来を期待しない使い方こそが、駄文にはふさわしいのかもしれません。
このエッセイ集は、思考の再処理場です。
価値があるかどうかは後回しにし、とりあえず回収し、まとめ、必要であれば粉砕します。
前回で懲りたはずなのに、また同じことをしている理由はただ一つ。
チラシの裏が、まだ余っていたからです。
文字数 196,899
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.02.14
※本作は、シリーズ作品の三作目となります。
前作、前々作は、小説家になろう様、カクヨム様にてご覧いただけます。
ヘルデンと呼ばれる大陸に、千年に渡り君臨してきたタウゼント帝国。
この旧き国家は、変革を強いられようとしていた。
産業革命と、国民意識の醸成によって生起した西の隣国・アルエット王国での民衆蜂起は王政を打倒し共和制国家を樹立させた。
平民による新国家を中心とする共和主義の熱狂は膨張し、封建制社会から脱却できずにいる帝国を危機にさらしつつある。
大量生産の開始と、国民国家の形成により達成された、以前は不可能だった規模での大量動員。
共和国建国の英雄であるムナール将軍に率いられた強大な国民軍は胎動し、その支配地を拡大しつつあった。
その一方で、帝国貴族たちは権力闘争に明け暮れていた。
千年以上もの間続いてきた帝国は、今後も無条件に続くという傲慢。
ほとんどの貴族たちは時代が変わりつつあるのに気づかず、あるいは黙殺していた。
この状況を憂いたのは、帝国に五つ存在する被選帝侯の一つ、ノルトハーフェン公爵家を継承した少年・エドゥアルド。
彼は自国だけでもと改革を行い、富国強兵、議会の設立などの政策を実施し、公国を帝国でも随一の精強な国家に育て上げた。
そして帝国貴族たちが己の利益を最大化することに奔走し内乱を引き起こしたのを機に、自身が新たな国家指導者となるべく立ち上がり、盟友、オストヴィーゼ公爵・ユリウスと共に勝利をつかんだ。
だが、エドゥアルドの進む道は茨の道。
勝利を得たとはいえ、三百を超える諸侯の意識を変え、旧態依然とした帝国の在り方を刷新するのは、簡単なことではなかったのだ。
そんな彼を影となり支える存在があった。
メイドのルーシェ。スラム街で育ち、人知れず消え去ろうとしていた命を救われたことをきっかけに、彼に仕えることとなった少女。
これは、若き皇帝となった少年と、メイドとなった少女の物語。
〇作者他作品紹介
・殺陣を極めたおっさん、異世界に行く。村娘を救う。自由に生きて幸せをつかむ
異世界に転生した元時代劇の役者、立花 源九郎。本物の[サムライ]となったアラフォーのおっさんが、自分の生き方を見つけていく物語。
・星屑拾いのステラ
終末世界。[星屑]を拾い集めながら暮らす少女、ステラが、[楽園]を探し求める物語。カクヨムコン参加作品(カクヨムのみの公開です)
他掲載サイト:小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+
文字数 1,229,584
最終更新日 2026.06.30
登録日 2023.12.08
― ヤァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!
その叫び声は、朝が始まったばかりのうちに、近所中に響き渡った。
大沢ハルミのこれまでの実績を考えると、
いくつか可能性が浮かぶ。
どれも、普通じゃない:
― 書類と紙の山に追いかけられる夢を見た。
(そう。紙が。彼女を追いかけてきた。
ちなみに彼女、住民票担当の部署で働いている。
そこは無視しておこう。)
― 虫を見た。
(トラには動じない。
でも小さな虫一匹で、自分の家をほぼ破壊しかけた。
一度や二度じゃない。)
― それとも――
なんでもない月曜日にスーパーで拾ってきた子どもたちのうちの一人に、
枕でぶん殴られて起こされた。妹も一緒に、ついでに連れ帰ってきた子どもたちに。
計画なし。
マニュアルなし。
後悔なし。
これは、カオスな物語だ。
何も、普通じゃない。
「何が上手くいかないのか」じゃない――
「なんでまだ生きてるんだろう?」それが、本当の疑問だ。
ようこそ、大沢ハルミのカオスな日常へ !
文字数 43,179
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.05.01
告白してフラれた帰り道、俺――瀬戸湊は車にはねられた。
翌朝目が覚めると、なぜか身体が異様に重い。
そして布団をめくったその時――額に朱色の血を流した
幽霊の女の子が「う、ら、め、し、やぁ~……」と呟いた。
名前も記憶も持たない彼女に、俺は「レナ」という名をつけた。
レナが抱える正体不明の未練を晴らすため、二人はこの街を歩き始める。
すぐさま俺の身体に異変が起き始める。
「もしかして……俺って死んでるのか?」
生死の境界も分からないまま、やがて俺たちの前に、さまざまな霊たちが現れた。
夜の街に消えた金髪ギャルの霊・ミチル。
承認欲求の呪いに縛られた霊・えみ。
愛猫との再会を願い続ける、病弱な女性の霊・ひより。
完璧主義の母に追い詰められた才女の霊・由衣。
それぞれの痛みに向き合ううちに、、謎に包まれたままのレナの正体が、少しずつ、その姿を現し始めた――。
絶望の水色から始まった物語は、出会いと涙を重ねて、やがて眩しい天色へと辿り着く。
ちょっとホラーで、ちょっと切なくて、すごく温かい。青春×幽霊×ほのぼの恋愛譚。
文字数 89,575
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.04.13
「今度こそ、あなたを死なせない」
吸血族の王女ローゼリアは、最愛の護衛騎士ルカリウスを失った。
彼は最後まで彼女を守り、その命を散らした。
その死を変えるため、ローゼリアは王族にのみ受け継がれる遺物《血印》を使い、禁忌を犯す。
死者を蘇らせ、過去へ回帰したのだ。
その代償は王族性の喪失。そして、自らの命。
残された時間は一年。
それでもローゼリアは迷わなかった。愛する人が生きる未来のためなら、自分の未来など惜しくなかったから。
回帰した世界でローゼリアが結んだのは、最強の護衛騎士ルカリウスとの一年限りの愛人契約。
だが運命は、再び彼女の前に牙を剥く。
死んだはずの婚約者の帰還。
王位を巡る陰謀。
そして、創世神話に隠された世界の真実。
愛する人を救えば、自分が消える。
だが禁忌によって書き換えられた運命は、王国の均衡さえも狂わせ始める。
これは、愛する人を救うために禁忌を犯した王女が、狂い始めた運命に抗う物語。
そして──王になるはずのなかった男が、運命に選ばれていく物語。
文字数 85,752
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.03.04
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。
ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。
そこは豪華絢爛な王宮。
第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。
元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。
発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。
元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。
協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。
それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。
これは社会不適合者が歩む成長の物語。
文字数 363,073
最終更新日 2026.06.29
登録日 2025.02.04
赴任先にいたのは美人教師と亜人の生徒達⁈俺はまったり学園生活を送ります
新人教師の篠宮ツカサ。
彼の赴任先は閑静な田舎の亜人実験学園(デミ・ヒューマン・プラント)。一癖ある生徒達にからかわれながら、まったり学園生活を送ることにしたツカサ。
かわいい(?)生徒に囲まれながら、同僚のサクラに踏みつけられる事も厭わない彼の教師人生は始まったばかり——。
本作品には飲酒のシーンがありますが、未成年への飲酒を勧めるものではありません。作中で飲んでいるのは二十才以上の人物です。
他サイトにても公開中!
AI不使用作品
文字数 210,972
最終更新日 2026.06.29
登録日 2025.12.26
毎日19時10分更新!!
ある物語で脇役だった青年__ラット・クリアノートは、
一年前魔王を倒した勇者パーティの中で、ただ一人〝加護〟を持たなかった。
勇者パーティといえば、才能も実力も英雄級。
さらに女神からはチート能力である加護を授かり、魔王を倒してからはその名を知らぬ者はいないほど。
顔を見れば賞賛の嵐、冒険者からは生涯の目標とされ、誰もが憧れた。
一方、ラットはパーティで一人だけ加護を貰うことができなかった。
才能もなく、存在感の無さも相まって、その活躍を信じる者はいない。
__勇者パーティの仲間を除いては。
魔王の討伐から一年後。
勇者パーティの一人が大怪我をしたという噂が広まりだす。
その真偽を確かめるために旅に出たラットは、道中で魔導機械人形と出会う。
王都へと着いたラットは、
〝国家転覆を企てた罪で、捕縛する!!!!!〟
勇者がお尋ね者となったその場に居合わせてしまう。
その危機に立ち上がったのは、パーティの中で唯一、
世界に存在を知られていないがゆえに自由に動き回れるラットだった。
__立ち塞がる強敵たち。
道中で出会った無感情で無口、巨乳で、無類のミルク好き。凶戦士で、魔導機械人形であるミル・テクノ。
彼女を始めとした仲間たち(趣味仲間)と共に、アイテムおたくのラットは、
その知識と存在感のなさ、そして姑息さを武器に立ち向かっていく。
圧倒的な能力に対して、知略と戦略、そしてさまざまなアイテムを駆使して戦う、知恵と工夫のアイテム運用記!!!
文字数 405,105
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.05.04
高校生の上条律(かみじょう りつ)は、自他共に認める潔癖な完璧主義者だ。彼の世界は、1分刻みのスケジュールが記されたシステム手帳と、ミリ単位の狂いもなく整えられたペンケースによって統治されている。彼にとって「正しさ」とは論理的であることであり、予測不能な「ノイズ」は排除すべき対象でしかなかった。
そんな彼の「秩序」を揺るがしたのは、同じクラスの瀬戸口紬(せとぐち つむぎ)だった。彼女は律とは正反対の性格で、天真爛漫という名の「カオス」を撒き散らす存在だ。ある日、紬が図書室に持ち込んだ、鏡文字で綴られた古いチケット。それがきっかけとなり、律は校内で起こる奇妙な小事件の解決を彼女から依頼されることになる。
「10年前の和紙」「不自然に細いテグス」……。律は持ち前の論理的思考で、次々と事件の裏にある「不規則な真実」を暴いていく。解決のたびに増えていく奇妙な証拠品(ガラクタ)を、律は忌々しく思いながらも、なぜか捨てられずにペンケースの奥へと仕舞い込んでいくのだった。
共に過ごす時間が増えるにつれ、律は紬の笑顔の裏に隠された、微かな「歪み」に気づき始める。彼女が図書室に執着し、律の「完璧な日常」に寄り添おうとするのは、単なる好奇心からではなかった。彼女の家庭環境は、律の想像を絶するほどの混沌(カオス)の中にあり、彼女にとって律の隣は、唯一「秩序」を感じられるシェルターだったのだ。
しかし、運命は律の予測を超えて加速する。ある日、紬が突然学校から姿を消した。彼女がひた隠しにしてきた家庭の崩壊が、ついに臨界点に達したのだ。彼女を救うために律が辿り着いたのは、彼女の住所さえ失われようとしている、荒れ果てた現実だった。
自分の信じてきた「正論」が、最も救いたい相手を傷つけてしまうという矛盾。泥だらけになった制服と、雨に濡れて波打つ手帳を前に、律は人生最大の選択を迫られる。効率を捨て、論理を捨て、それでもなお彼女の隣に居続けるための「非論理的な解答」とは何なのか。
潔癖な少年が、自分の世界を汚してでも守りたかったもの。一冊の手帳と一通の古い和紙が紡ぐ、不器用で切ない「観測記録」が、今、動き出す。
<小説家になろう様、カクヨム様にて同時に連載>
文字数 41,337
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.05.11
時は令和。
今年のオフも、有力選手がメジャーに流出した。
「なんでじゃ! また契約するチャンネル増えて、早起きせねばならんじゃないか! 野球は18時から地上波で放送せえ!」
日本野球の神は悲しみ、一計を思いつく。
「108の名監督の英霊よ、白球に宿り、戦国時代に行くぞ!」
戦国の世から野球を隆盛させ、日本をメジャー以上の魅力にするために。
「ここが戦国……こっわ! 普通に殺し合いしてんじゃん、無理無理!」
もう少しあとの時代に行こう。そう思った矢先。
――108の白球はキラリと光を放ち、天へと散らばっていった。
「うっそーん。……どうしよう。そうだ! 回収係召喚しよ。ショーヘイ出てきたらどうしよう、サイン貰って一緒に撮影して、ワクワク……え? 現役とドラフト候補生NG? くそう、とりあえず戦国でも図太く生き残れる奴来い!」
こうして戦国✕英霊ボール✕令和JK✕信長による、笑いあり、涙あり、意外と史実通りの波乱万丈の戦国野球史が幕を開けた。
真昼「ふざけんなクソ神」
文字数 557,996
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.01.04
ごきげんよう、わたくしカロリー・カタ・コイ・O・カーリー1129世。
カロリーちゃんとお呼びあそばせ~!
自分の世界を変えるため、食の豊かなニッポンへとやってまいりました~!
アパートでひとり暮らし、ガッコウに通いながら節約生活! しっかり修行に励みたいのですけれど……ニッポンのごはん、おいしすぎですわ~!
ちょっとやめてくださいまし~! その食事はわたくしに効きますわ~! ぶれる~! ぶれますわ~! 芯! そう芯が! 芯がぶれますわ~!
<登場人物紹介>
カロリーちゃん わたくしですの
サドウブ・パッツンメガネさま お友達ですの
クロギャル・オメグミさま お友達ですの
※本作はカクヨム・アルファポリス・ノベルアップ+にも掲載していますわ。
文字数 27,128
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.06.15
会社員・藤宮璃奈(24)は中学時代から、とある乙女ゲームの
一人の攻略対象者だけを、ただひたすら一途に想いながら
攻略し続けてきた。
そのゲームは、いつしか彼女の心のよりどころとなり
迎えた999周目のハッピーエンドに
感極まっている時 ――――
なぜか自室に一輪の百合が咲いて・・・。
別世界からきたというその百合?から
子犬を預かることになった璃奈は
しばらくの間、その生活を楽しんでいたが
突然、子犬を巻き込む異変が起きて・・・
異世界へと転生(仮)をすることになる。
☆ はじまりは、現代日本。
そして中世ヨーロッパ風の異世界へと
舞台を移しての物語となります。
独自の世界観で描いておりますので
楽しんでいただけましたら嬉しいです。
文字数 152,509
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.04.16
霧雨が降り続ける積層都市NEXUS。上層には企業が君臨し、下層には廃棄されたインフラが眠る。そして現実と並行して存在する「深層網」——没入した者の意識が独自の文明を築いた、もうひとつの世界。
中層を拠点にする探偵・摩楼は、深層網に精通しながらも自分ではダイブしない。理由は話さない。ただ今日も依頼をこなし、情報屋のバーで酒を飲み、事務所の机の上の——電源の入っていないダイブ装置を、見ないようにしている。
ある日持ち込まれた「深層網内の機密データを盗まれた」という依頼。調査の果てに浮かび上がるのは、一年前に死んだ摩楼の元相棒——渡生春の名前だった。
春は死ぬ直前、自らの意識を深層網へ逃がしていた。今もそこで、摩楼を待ちながら。
各話完結の依頼をこなすたびに、摩楼は春の足跡に近づいていく。春は何を調べていたのか。誰が春を殺したのか。そして摩楼は——没入できない男のまま、春に会いに行けるのか。
文字数 69,875
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.06.01