ボクの妹は空を飛べない。~父さんが拾ってきたのは“人間”の子どもでした~

 「今日から、この子はお前の妹だ」

 鳥人族の少年、ハヤブサ。長く里を離れていた彼の父、鳥人の族長が拾ってきたのは人の子。森でさまよっていたとかで、ボッロボロのガッリガリの幼い女の子。

 「人の子が、ボクの妹!?」

 「この子の世話は、お前にまかせた」

 父親に、無理やり人の子を押し付けられたハヤブサ。

 「なんで、ボクがお世話しなくちゃいけないんだ!」

 それも、よりにもよって、人の子なんて!

 鳥人と人は仲が悪い。森は鳥人のもの。野は人のもの。そう太古の昔に神々が定めたのに。人は自分たちを神の末裔だとか言って、世界を自分たちのものへと作り替えていく。鳥人の森を奪っていく。
 そんな、憎くて、大っきらいな人の子の世話。
 イヤでイヤでしょうがないのに、人の子はハヤブサにとっても懐いて……?

 「……少しだけだからな。ちゃんとお世話しないと、父さんに怒られるからな」

 しぶしぶ、人の子の世話をするハヤブサ。
 鳥人の兄と人の子の妹。どんだけ嫌っても、ずっと自分を慕って懐いてくる人の子。ハヤブサたちに出会う前、心を砕かれ声を失うような目に遭った人族の少女。

 「メドリは、ちょっと翼をなくしただけの女の子だ」

 少女に「メドリ」と名付けたハヤブサ。彼と、彼の仲間、そして他の鳥人たちも、メドリを受け入れ始めた。――けれど。
 彼女が手にする薄桃色の勾玉。森に突き立てられた剣。彼女を求める人の皇子。
 メドリには、なにか秘密があるようで――!?

 はるか昔、神々の時代が終わり、人の時代が始まる少し前の世界の物語。
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