「光」の検索結果
全体で8,719件見つかりました。
『三度目の人生、私はもう「優しい姉」を廃業します。
奪いたいなら、毒入りの林檎でも、不実な婚約者でも、どうぞお好きなだけお持ち帰りくださいませ』
三度目の朝は
涙ではなく、
鏡の前の沈黙から始まった
首を落とされた記憶も
裏切りの声も
毒の甘い匂いも
もう驚くには値しない
ああ、そう
また同じ結末なのね、と
私はようやく理解した
優しい姉でいるかぎり
私は何度でも
誰かの欲望の皿に盛られるのだと
だから廃業する
今日で終わり
微笑んで譲る役も
庇って汚れる役も
許して抱きしめる役も
全部、ここに置いていく
欲しいならどうぞ
毒入りの林檎でも
熱に浮かされた偽物の愛でも
一度でも妹の指に触れた婚約者でも
お好きなだけ、お持ち帰りくださいませ
ただし
その苦さまで
その腐りまで
その責任まで
私が引き受けると思わないで
私はもう知っている
奪う人間が欲しがるものの多くは
磨かれた宝石ではなく
誰かが血を流して拭き上げた硝子だと
あなたはいつも
私の皿から取っていった
幸福のふりをした義務も
愛の名をした拘束も
聖女の冠に見せかけた
空っぽの籠も
けれど今度は違う
私は追わない
責めない
泣かない
ただ手を離す
支えていた指を
静かにほどく
その瞬間に崩れるなら
それは最初から
あなた一人では立てなかったということ
どうぞお好きなだけ
私の捨てたものを拾えばいい
でも忘れないで
泥棒がいちばん恐れるべきは
捕まることではない
盗んだものが
ただのガラクタだったと
朝の光の下で
知ってしまうことだ
三度目の人生
私はようやく
優しさの仮面を脱ぐ
その下にあるのは
冷酷ではない
怒りでもない
選び直す、という
たったひとつの自由
私はもう渡さない
私はもう譲らない
私はもう
あなたの物語の脇役ではない
だから笑って言うのだ
欲しいならどうぞ
毒入りの林檎でも
不実な婚約者でも
お好きなだけ、お持ち帰りくださいませ
文字数 21,738
最終更新日 2026.04.21
登録日 2026.04.21
影武者の妹はもういらない
それは 姉のものです
そう言えば すべては丸く収まった
ドレスも
言葉も
与えられる役目さえも
私は 空っぽの器でよかった
満たされるのは いつだって他人の名前だったから
泥の中に捨てられた夜
初めて思った
——それでも 私は生きている
剣を向けた男がいた
冷たい瞳の奥で
なぜか 私を見ていた
「なぜ逃げない」
答えは 簡単だった
それしか 知らなかったから
「この人が 死ぬからです」
その瞬間
世界が 私を呼んだ気がした
「……やっと見つけた」
誰の代わりでもない声で
私を呼ぶ人が いた
それは 姉のものです
そう言おうとして
言えなかった
初めて与えられた部屋は
静かで
怖かった
これは 誰のものでもない
——お前のものだ
そんな言葉は
私の中に 居場所を作るから
笑われた日
砕けたのは 心じゃなかった
光だった
閉じ込めていたものが
溢れて 世界を満たした
奪われる側だったはずの私に
誰かが跪いた
選ばれるということを
初めて 知った
「あなたが 怖かった」
崩れていく声に
私は もう震えなかった
影は もういらない
私は 誰かの代わりじゃない
誰かのための名前でもない
それでも もし呼ぶなら
——エルゼと
それが 私の
最初で最後の
ほんとうの名前
文字数 19,463
最終更新日 2026.04.20
登録日 2026.04.20
男爵令嬢のマーシャリーはある日突然、デイヴィスとの婚約が解消され、王命で公爵のフィリップとの結婚が決まってしまった。
実は、光の魔力保持者の減少が懸念され始め、マーシャリーとフィリップの間に子供ができると光の魔力を持つ可能性が高いとわかったからだった。
マーシャリーたちと同じような王命結婚が10組決まっており、マーシャリーは愛するデイヴィスと結婚できないことに泣き叫ぶ。
フィリップは、子供を二人産めば離婚すると約束し、デイヴィスもマーシャリーを待っていると言ってくれた。
しかも、フィリップはマーシャリーを抱くことなく医療行為による妊娠を試み、やがてマーシャリーは妊娠・出産する。
そして産まれた子供が可愛くて、次第にデイヴィスより子供と一緒にいたいと思うようになるというお話です。
文字数 28,502
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.04.14
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
文字数 13,655
最終更新日 2026.04.01
登録日 2026.04.01
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
文字数 139,236
最終更新日 2026.03.01
登録日 2026.01.27
『無能な妻の最後のご奉仕
—空になった貯金箱と、夫の余命—』
三十年分の朝が
台所の隅に沈んでいる
湯気は立っていた
けれど
言葉は立たなかった
「まずい」
その一言で
今日も一日が決まる
皿の音だけが
生きている証みたいに響く
封筒は軽くなっていく
食費
光熱費
老後
名前のついた未来が
少しずつ消えていく
「俺の金だろ」
その言葉だけが
重く残り続ける
それでも
願いは捨てきれなかった
弱れば
優しくなるかもしれないと
人は
希望の形をした鎖を
なかなか外せない
痛みが
彼を床に落とした日
初めて
“終わり”が
形を持った
白い部屋で
数字だけが告げられる
助かるかもしれない命と
足りないお金
どちらも
同じくらい遠かった
通帳は
静かだった
そこには
何も残っていなかった
使われた時間と同じだけ
使われたお金
誰も止めなかった
三十年分
「金を用意しろ」
その声が
最後の命令だった
そして同時に
最後の糸が切れる音でもあった
ノートを開く
最初のページには
確かに愛があった
最後のページには
もう言葉がなかった
ただ
一つだけ残っている
「無能」
「そうですね」
初めて
返事をする
「私は無能です」
その言葉は
刃ではなく
閉じていた扉を開ける鍵だった
温められた弁当
湯気はある
けれど
心はもう冷えている
「これか?」
「ええ」
それだけで
すべてが終わっていた
「助けてくれ」
その言葉は
どこにも届かない
三十年かけて
届かなくなってしまった声
「ごめんなさい」
静かな声で言う
「お金、ないんです」
それは
初めて濁りのない言葉だった
窓を開ける
風が入る
誰も怒鳴らない朝は
こんなにも軽い
朝食は質素で
それでも
温かい
愛したかった
けれど
最後に残ったのは
自分を
手放さなかったという事実だけ
空になった貯金箱は
もう鳴らない
代わりに
胸の奥で
小さな音がする
それは
静かで確かな
はじまりの音だった
文字数 21,875
最終更新日 2026.04.19
登録日 2026.04.19
五歳児を集めた洗礼式で、俺の触れた水晶が強烈な光を放った。
教会中が真っ白になるほどの鮮烈な光が収まった後、父曰くの「なぜかキラキラ輝くエフェクトのようなもの」がが俺の周りを彩っていたという。侍従曰く「まるで天使が降臨したかのようでした」。
なんだそれ。
みなが唖然とする中、司教が感動に打ち震えながら叫んだ。
「なんと!特殊スキルです!120年ぶりに特殊スキルが授けられました!」
俺は顔には出さなかったが、内心「やった! 勇者だ! 」と浮かれた。 厨二だというなかれ、五歳児なんてそんなものだ。
だが神は無情だった。静まり返るホールに、司教の興奮に上ずった声が響き渡る。
「なんと……スキル名は『美』! 『至上の美』です! 」
俺はポカンと口を開けた。
スキルの名は「美」。
聞き間違いでもなんでもない、「美」。なんなら「至上の」が付いている。
俺の口から高位貴族の子弟に到底相応しくない言葉が飛び出した。
「は? 今なんて?! ふざけてんのかこの野郎! 」
「やはりそのお美しさは天に愛されたゆえだったのですな! いやはや、天使が実在しようとは……っ! 」
いや、おかしいだろう司教! 膝まづいて祈ってる場合じゃない。正気に戻ってくれ!
司教はそのまま膝で俺にじり寄り、うっとりとした表情で俺を見つめた。なんなら涙ぐんでいる。
いや、マジでなんだこれ? 勇者じゃねえのかよ!
俺の手を取ろうと伸ばされた司教の腕を、俺はさりげなく払いのけた。
盛り上がる会場とは逆に、俺も含め俺の家族は全員無の境地だ。
それはそうだろう。男に「特殊スキル美」。いったい何の役に立つというのだ。
父は頭を抱えた。
「どうしてこんなことに……」
うん。それを言いたいのも俺だ。マジで勘弁してくれ女神!
「美」だって?
それがスキルだというおかしさはともかく、そんなもん聖女だとか王妃だとか、とにかく女性に与えるべきだろう。傾国の美女は女性だから物語になるのだ。傾国の美男子なんぞ、ヒモや男娼になる未来しか見えない。いずれにせよロクなもんじゃない。
俺は「剣術」だとか「体術」、百歩譲って「敏捷」などを期待していたのだ。だって強そうだし。
特殊スキルっていうから「勇者」かと思ったのに、まさかの「美」?
これはあり得ない特殊スキルを与えられたあり得ない美貌を誇る「平凡に生きたい」令息のお話。
※※※※※※
※イラストはBringImageCreaterにてAI自作しております。(基本モデルMAI-Moder使用)
※ 未管理著作物裁定制度による無断転載禁止
文字数 16,734
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.04.20
植野耕平はどこにでもいる普通の高校生。
親友や幼馴染と一緒に学校からの帰宅中、謎の光に包まれたかと思ったら、気がつけば異世界!
親友たちは勇者と聖女。しかし耕平が授かったのは『ミント栽培』という不名誉な宿命だった。
本人は弱いまま、宿命だけが爆速で成長する!
無自覚のまま王城をミントまみれにした耕平は、親友の援護射撃虚しく国外追放を受けてしまった!
「ゲームだったら、このまま冒険者か」
が、耕平自体は弱いのでほとんど仕事がない。
仕方なく選んだ日雇いの皿洗いのバイト。
しかしこの仕事が耕平に新たな可能性を示すのだった!
文字数 160,270
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.04.19
騎士団の鎧下に術を込めた糸を縫い込み、六年間一人も戦死者を出さなかった被服係イレーネ。
だが婚約者の副団長には「まじない」と笑われ、街の仕立屋に仕事を奪われ、婚約を破棄される。
去って三ヶ月、守りを失った騎士団では重傷者が激増。
辺境の小さな自警団で団長トーマスと出会い、糸の光が見える彼のもとで二十四人の命を守り始めたイレーネの元に、かつて彼女を捨てた男が現れる。
文字数 9,205
最終更新日 2026.04.21
登録日 2026.04.21
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
レンタル有りーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
文字数 230,764
最終更新日 2024.12.23
登録日 2024.06.01
バイト帰りにコンビニを出た瞬間、西洋風な服装のおじさんたちに囲まれた片桐隼人(かたぎり はやと)。
「聖女様が御姿を現されたぞ!」
「え、あ、あの」
だが、隼人を聖女と呼ぶ赤毛の王子は隼人が男と知ると態度を豹変。金髪碧眼の美貌の騎士レオが「――ここにもうひとりおります!」と言ったことで、聖女召喚に巻き込まれただけの一般人としてレオと共に城を追い出されてしまう。
てっきりこれはドッキリの類だと思い込む隼人は、「早く家に帰ってインスタント焼きそば(辛子マヨネーズ味)を食べたい!」と願うが、事はそううまくは運ばない。
「我レオ・フェネオン、騎士の名誉に誓い、真の聖女様に揺るぎなき忠誠を捧げる」
あまつさえ、レオにそんなことを言われてしまう。
レオに連れられて異世界を移動するうちに、魔物に襲われてしまう二人。
光り輝く剣で敵を倒すレオは格好いいけど、隼人は最早リバース寸前だった。
――ここまできたら、いい加減認めざるを得ない。俺がいる場所が施設の中とかプロジェクションマッピングとかじゃなくて、本物の異世界だってことを!
だが、元の世界に帰る為には、別の召喚陣がある場所まで行かなければならない。そんな訳でレオと二人、隣国に向けて逃亡を始めた。
レオ以外に頼る相手のいない隼人は、ひとりになった瞬間恐怖に襲われる。
するとレオが「では、私の祖国に到着し王家に保護されるまでの間、私とハヤトは結婚を間近に控えた恋人同士の設定でいきましょう」と何故か言い出し――?
オメガバースは独自設定です。ご了承下さい。
秘密多き生真面目イケメン騎士攻めx明るい勤労大学生受け
ハピエン、完結保証。ムーンライトノベルズにも掲載中。
聖女(男)・騎士・追放・後宮・溺愛・執着・王子・異世界・召喚・敵国・偽装・オメガバース(α、Ω)
文字数 104,345
最終更新日 2026.04.15
登録日 2026.04.02
日本の田舎町に住む高校生の僕・江波弓弦は、物心ついた時には家族は母しかいなかった。けれど、僕の顔には父の痕跡がありありと残っていた。
光に当たると金髪にも見える薄い茶色の髪、そしてグリーンがかった茶色の瞳……日本人の母にはないその特徴で、父は外国人なのだと分かった。けれど、父の手がかりはそれだけ。母に何度か父のことを尋ねたけれど、悲しそうな顔をするだけで、僕は聞いてはいけないことだと悟り、父のことを聞くのをやめた。母ひとり子ひとりで大変ながらも幸せに暮らしていたある日、突然の事故で母を失い、天涯孤独になってしまう。
どうしたらいいか途方に暮れていた時、母が何かあった時のためにと残してくれていたものを思い出し、それを取り出すと一枚の紙が出てきて、そこには11桁の数字が書かれていた。
それが携帯番号だと気づいた僕は、その番号にかけて思いがけない人物と出会うことになり……。
イケメンでセレブな外国人社長と美少年高校生のハッピーエンド小説です。
R18には※つけます。
文字数 498,408
最終更新日 2026.04.21
登録日 2022.11.05
『重荷を降ろして差し上げます
〜“騎士気取り”の婚約者は、病弱な親友のもとへどうぞ〜』
静かな朝、
名もなき終わりが
指先に触れた。
あなたは言った、
「守るべき者がいる」と。
その言葉は美しく、
どこまでも正しく響いたけれど、
その影で、
私は何度も置き去りにされた。
気づけば私は、
守られることも、選ばれることもないまま、
ただ“理解ある誰か”を
演じていたのです。
ねえ、ヴィンセント。
あなたが背負っていたものは
本当に“誰か”だったのでしょうか。
それとも——
優しい自分でありたいという、
あなた自身の幻想?
あなたは騎士を名乗り、
彼女は弱さを纏い、
私は静かに席を外される。
それがいつからか、
当たり前の構図になっていた。
けれど、もう終わりです。
怒りはありません。
悲しみも、もう十分。
ただひとつ、
はっきりと分かったのです。
あなたが背負っているのは
誇りではなく、
私が与えていた場所だということ。
だから——
その重荷、
降ろして差し上げます。
あなたはどうぞ、
望んだ通りに。
その手を取り、
そのそばに在り、
その役を演じ続けてください。
私は、ここで降ります。
誰かに選ばれるためではなく、
誰かを支えるためでもなく、
ただ、
自分の足で歩くために。
軽やかに。
何も背負わず。
振り返ることなく。
光は、もう
こちらにありますから。
文字数 22,267
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.04.22
王都でも指折りの名門、ローゼンベルク公爵家の大広間に、重苦しい空気が満ちていた。磨き上げられた床に反射するシャンデリアの光はいつもと変わらぬはずなのに、その場に集う貴族たちの視線はどこか好奇と期待に満ちていて、まるで見世物を待つ観客のようだった。
その中心に立たされているのは、ひとりの令嬢。
栗色の髪はきっちりと後ろで束ねられ、華やかさとは程遠い質素なドレス。顔立ちは整っているはずなのに、厚めの前髪と控えめな表情のせいで、印象はどうにも薄い。社交界では“地味令嬢”と呼ばれている少女――リシェル・エヴァンズである。
「リシェル・エヴァンズ」
文字数 13,414
最終更新日 2026.04.17
登録日 2026.04.17
『処女でなければ離婚だ』とあなたは言った
その言葉は刃のようでいて
あまりにも軽く
あまりにも浅かった
私を測るには
あまりにも――足りなかったのです
---
私は沈黙した
怒りも、涙も見せず
なぜなら知っていたから
その一言が
あなた自身の終わりを告げる鐘だと
---
血を誇りとし
純潔を価値と呼び
他者を値踏みするその眼差し
それこそが
最も穢れていると
気づかぬままに
---
光は静かに降りる
叫びもせず
許しもせず
ただ、真実だけを連れて
---
「我が娘よ」と呼ばれたとき
あなたの世界は崩れたのでしょう
けれどそれは
私が奪ったのではない
あなたが、自ら手放したのです
---
「離婚だ」と言ったのはあなた
だから私は応じただけ
それだけのこと
---
あなたが守りたかったもの
血統、名誉、誇り
そのすべては
誰かを踏みにじることでしか
立っていなかった
---
崩れる音は
とても静かでした
あまりにも当然で
あまりにも遅すぎて
---
ねえ、フィリップ
あなたは最後まで
私を知らなかった
---
だから、今もなお叫ぶのでしょう
「俺は聖女の夫だった」と
誰にも届かない場所で
誰にも認められないままに
---
もう遅いのです
あなたが切り捨てたその瞬間に
すべては終わっていたのだから
文字数 22,712
最終更新日 2026.04.21
登録日 2026.04.21
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。
そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?
文字数 16,350
最終更新日 2026.03.29
登録日 2026.03.24
「クビだ。お前のようなガラクタいじり、我がパーティには必要ない」
Sランクパーティ『光輝の剣』で、十年間にわたり装備のメンテナンスを担ってきたレオン。
だが、強欲な勇者たちは、自分たちの装備が一度も壊れないのは「当たり前」だと過信し、無能の烙印を押してレオンを追放した。
ボロボロの心で辿り着いたのは、王国のはずれにある辺境の街『フィエルテ』。
そこでレオンは、夢だった「修復工房を兼ねた小さな喫茶店」をオープンさせる。
彼が持つ固有スキル『極致修復』。
それは、単に物を直すだけでなく、物質が持つ記憶を読み取り、新品以上の性能へと「進化」させる神の技だった。
「お母さんの形見が直った……!」
「数百年動かなかった伝説の魔具が、一瞬で!?」
捨てられた宝石は伝説の秘宝へ、安物の包丁は聖剣を凌ぐ名刀へ。
レオンの誠実な仕事はやがて街の人々の心を打ち、彼は「伝説の店主」として溺愛されていく。
一方、レオンを失った勇者パーティは、絶望の淵に立たされていた。
主力の聖剣はボロボロに朽ち果て、かつての栄光は見る影もない。
「レオンさえいれば……! 頼む、戻ってきてくれ!」
今さら泣きつかれても、もう遅い。
俺を信じてくれるこの街で、俺は俺自身の人生を修復していくんだから。
文字数 43,999
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.04.15
ペットを飼いたい。でも飼えない。
時間もお金もない社畜には、ペット可の部屋に引っ越すなんて夢のまた夢。
柚原佳斗(ゆはらけいと)は今日もサービス残業をこなし、疲れ果てた身体を引きずって帰宅した。
日々の食事はカップ麺。料理をする気力もなくキッチンで座り込んでいると、何やら光るドアが出現。
とりあえず開けてみた(疲れている)。
知らない部屋が見えたので入ってみた(疲れている)。
部屋の中には、やせて顔色の悪い男の子がひとり。
何か食べさせてやらねばと使命感に駆られた佳斗は、その日から男の子のためにごはんを用意してあげた。
「俺、この子を食わせるために頑張る!」
毎日せっせと食べさせたおかげで男の子はすくすく、すくすく育ち――
育ちすぎじゃないかな? と気付いた時には立場が逆転。
相手に向けていたはずの溺愛がそっくりそのまま己に返り、独占のための囲いが着々と築かれるのだった。
文字数 59,659
最終更新日 2026.04.22
登録日 2026.03.20
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
文字数 61,353
最終更新日 2024.05.01
登録日 2024.04.05
「陰で支えてくれた人」?いいえ違います――6年分、全部返してもらいます
拍手の中で
私は名前を失った
「陰で支えてくれた人」
その言葉はやさしくて
残酷だった
光の隣で
私はずっと影を演じていた
あなたが立つための
見えない台として
笑っていた
頷いていた
黙って差し出していた
時間も
言葉も
未来さえも
それをあなたは
“支え”と呼んだ
違う
私は支えてなんかいない
——作っていた
あなたの言葉を
あなたの評価を
あなたの居場所を
すべて
ここにあるこの手で
それでも私は
何も求めなかった
愛だと思っていたから
でもあなたは
それを“都合”に変えた
だから、終わりにする
返してもらいます
拍手の分だけ
笑顔の分だけ
沈黙の分だけ
六年分
あなたが踏みつけた時間を
あなたが奪った名前を
全部
私は影じゃない
あなたが
私の上に立っていただけ
その場所を
今、引き抜く
崩れる音がする
それは終わりじゃない
私が
私に戻る音だ
文字数 26,956
最終更新日 2026.04.20
登録日 2026.04.16
