「祈り」の検索結果
全体で997件見つかりました。
三日前、私は王太子殿下に婚約破棄された。
理由は、新しい聖女候補であるリリア様を妃に迎えるため。
「君の祈りはもう必要ない」
そう言われたので、私は聖女としての仕事をすべて手放した。
すると三日後。
王都の浄化泉は濁り、神殿の鐘は鳴らず、王城を守る白い結界には細い亀裂が入った。
けれど私はもう、王国の聖女ではない。
新しい聖女様がいらっしゃるのだから、きっと大丈夫なのだろう。
……ええ。
面白そうなので、もう少し見守ってみます。
これは、婚約破棄された元聖女が、王国が少しずつ自滅していく様子を静かに見守りながら、自分を大切にしてくれる人たちと出会い直す物語。
文字数 127,051
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.06.15
妹の身代わりに、わたしは死んだ。何度でも。覚えているのは、わたしだけ。
「お姉さま。どうか、安らかに」
処刑台の一番前で、妹のクラリスが祈りの形に手を組み、微笑んだ。
家に「居ないもの」として育てられたわたしには、戸籍がない。食卓に椅子もない。飼い犬は「あの子」と呼ばれ、わたしは「あれ」と呼ばれた。それでも妹だけは、たった一人の味方だと信じていた。
侯爵家との縁談にひそむ罪を、犯してもいないわたしがかぶる。妹を守れるなら、それでよかった。家族に必要とされたのは、生まれて初めてだったから。
刃が落ちる直前、その笑みの意味を、ようやく正しく読む。
感謝では、なかった。
目を覚ますと、世界は妹の縁談が決まった、あの朝に戻っていた。
何度死んでも、戻るのは同じ朝。みんな忘れて、覚えているのは、わたしだけ。
けれど、ひとつだけ変えられる。
死ぬ前にこの手でひとり仕留めれば、そのひとりは次の世界から消える。
人として数えられなかったわたしを、誰も疑わない。
まさか、自分を滅ぼすのが、あの娘だとは。
なぜ、わたしは「影の子」に選ばれたのか。
その答えにたどり着くころ、わたしはもう、自分が誰だったかも——
ひとりずつ、静かに。
覚えているのは、わたしだけ。
文字数 88,769
最終更新日 2026.07.03
登録日 2026.06.15
リネット・ベルフォードは、加護刺繍を扱う令嬢である。
王妃様の巡幸礼装に縫い込む守護紋。騎士団の護符。誰かを守るための刺繍を、彼女は長く縫ってきた。
しかしリネットは、妹コレットに婚約者セドリックを奪われる。さらに家族から沈黙を強いられたまま、王妃様の御前へ連れて行かれた。
そこでコレットが差し出したのは、リネットが半年かけて縫った加護刺繍だった。
「王妃様のお身を守るものですから、一針ごとに祈りを込めました」
妹はそう微笑み、セドリックも彼女を王妃付き刺繍師に推薦する。
けれど、加護刺繍は模様を真似るだけでは発動しない。糸の染め、下絵、針順、縫い手の魔力の癖。その全てが合って、初めて守護紋になる。
リネットは王妃様の御前で、妹に告げる。
「あなたの作品だと言うのなら、どうぞ、御前で続きを縫っていただきましょう」
妹の手元で加護糸が死んだ時、王妃様も、近衛騎士団長ノアも、真の縫い手に気づき始める。
婚約者を取り戻すためではない。
自分の技術と名誉、そして王妃様の安全を守るために、リネットは針を取る。
文字数 13,692
最終更新日 2026.06.18
登録日 2026.06.18
妹の葬儀の日、私は婚約破棄された。
公爵令嬢アメリア・ローゼンベルクは、病弱な妹リリアを虐げた悪女として社交界中から嫌われていた。
妹を部屋に閉じ込め、王宮の祈りにも参加させず、薬を無理やり飲ませ、冷たい言葉ばかりを浴びせる姉。
誰もがそう信じていた。
けれど真実は違う。
リリアは、強すぎる聖女の力を持って生まれた少女だった。
祈れば祈るほど命が削られる。
それを知っていたアメリアは、妹を王宮と神殿から守るため、あえて悪女の仮面をかぶり続けていた。
しかし、妹は死んだ。
葬儀の日、王太子エドガーは棺の前でアメリアを断罪する。
「妹を死に追いやった悪女よ。お前との婚約を破棄する」
父も母も、誰もアメリアを庇わなかった。
アメリアもまた、何も言い返さなかった。
守りたかった妹を守れなかった自分に、弁明する資格などないと思ったからだ。
だが葬儀のあと、妹の棺から小さな銀のロケットが見つかる。
その中には、リリアが死の直前まで書き続けていた手記が隠されていた。
『お姉様は、悪くありません』
その一文から、すべてが崩れ始める。
王国を救っていたのは聖女リリアだけではなかった。
妹を殺したのは病ではなかった。
そして、本当に王国を蝕んでいた呪いは、神殿と王家そのものに繋がっていた。
王宮を追放されたアメリアは、北方で恐れられる黒公爵セオドア・ヴァレンシュタインに拾われる。
冷酷無慈悲と噂される彼だけが、アメリアの沈黙の奥にある悲しみを見抜いた。
「君が悪女なら、俺は悪女の味方でいい」
一方、アメリアを追放した王都では、井戸水が濁り、白百合が黒く腐り、空から灰が降り始める。
妹の手記に残されていた最後の予言。
『春までに、王都は沈みます』
妹を殺したのは誰なのか。
聖女制度の裏に隠された罪とは何か。
そして、悪女と呼ばれた姉だけが知る、妹の本当の願いとは。
これは、妹を失った公爵令嬢が、悪女の汚名を背負ったまま王国の嘘を暴き、冷たい公爵に不器用に愛されながら、自分自身を赦していく物語。
文字数 330,800
最終更新日 2026.07.03
登録日 2026.06.14
伯爵令嬢イリアス・クローディアは、春の舞踏会の夜、婚約者の侯爵家子息ユリウス・アーデルハイドから一方的な婚約破棄を宣言される。
その場に響くのは、ユリウスを称える声とイリアスを非難する怒号──陰で囁かれる嘘があった。
だが、イリアスは微笑を崩さず、静かに空気を支配し、したたかな反撃を開始する。これは、婚約破棄を断絶として受け止めた令嬢が、空気を反転させ、制度の外で生きるための物語。
「爵位契約の破棄として、しかと受けとめました」──その一言が、今を、すべてを変える。
♧完結までお付き合いいただければ幸いです。
文字数 11,940
最終更新日 2026.05.04
登録日 2026.04.27
一つの密約を交わし聖女になったわたし。
わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。
王太子はわたしの大事な人をー。
わたしは、大事な人の側にいきます。
そして、この国不幸になる事を祈ります。
*わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。
*ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。
ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。
文字数 6,915
最終更新日 2022.08.17
登録日 2022.08.12
皆様どうぞ私をお忘れください。-エリザベートが消した愛-
レンタル有り旧題:エリザベートが消した愛
手渡された小瓶を目の前に掲げれば、窓から差し込む午後の日射しに照らされて、琥珀色の液体が燦いて見えた。
「貴女様には何色に見えますか?」
「琥珀色ですわ」
「貴女の心が澄んでいらっしゃるからでしょう」
「司祭様には何色に見えまして?」
司祭はその問いには答えなかった。
祈りが捧げられた液体は、見る人により色を変えるのだろうか。
エリザベート・フィンチ・ストレンジはストレンジ伯爵家の息女である。
冬の終わりのある日、エリザベートは教会で小瓶に入った液体を呷った。琥珀色の液体は、エリザベートの心から一つだけを消してくれた。
誰も何も変わらない。ただ、エリザベートが心を一つ手放して、その分身体が軽くなった。そんなささやかな変化であった。
だから婚約者であるデマーリオのシトリンの瞳を思い浮かべても、エリザベートの心は騒がなかった。
◆この度、多くの読者様のご愛読を頂き『エリザベートが消した愛』が書籍化の運びとなりました。
【書籍名】皆様どうぞ私をお忘れください。
-エリザベートが消した愛-
【イラスト】もか先生
【出版社】アルファポリス
【レーベル】レジーナブックス
【刊行日】 2026年1月30日
◆皆様のご声援を賜り「第18回恋愛小説大賞」にて優秀賞を頂戴することが出来ました。誠に有難うございます。
この場をお借りして、読者の皆様方、アルファポリス編集部の皆様方に厚く御礼申し上げます。
◆Web限定の特別番外編SS
『ポーラの道標(みちしるべ)』
アルファポリスさん・レジーナブックスさんサイトにて公開されております。
エリザベートの娘であるポーラを中心に、登場人物のその後についてを描かせて頂きました。
《レジーナブックスさんリンク》
https://regina.alphapolis.co.jp/book/detail/13086
連載ページはこちら⇒鍵マーク
《レジーナブックスさん番外編リンク》
https://regina.alphapolis.co.jp/extra/search
文字数 138,873
最終更新日 2026.01.30
登録日 2025.01.15
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
文字数 11,497
最終更新日 2025.02.02
登録日 2025.02.02
オメガ嫌いの子持ちアルファ伯爵×孤独に生きてきたベータ(?)
店主が厳しい花屋でこき使われるイリヤは、赤ん坊の頃に捨てられて教会で育った。家族はなく、恋人もいない彼は、ずっと居場所を求めていた。
そんなある日、イリヤの前に「お花をください」という少女エマが現れる。
何度も訪れる彼女を送り届けていくうち、イリヤは新しい領主である伯爵レヴィアス・ブランフォードと知り合う。レヴィアスの目下の悩みは、二人いる子どもたちの世話係がいないこと。
しかしひょんなことから、オメガを嫌う彼は、ベータであり子ども好きであるイリヤをぜひ子守りと熱烈に誘いはじめる。
誰かに求められること、居場所を探すこと。
そんな祈りを抱えるイリヤはやがて、レヴィアスの優しさに惹かれていくが……。
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ムーンライトノベルズでも掲載中です。
文字数 58,803
最終更新日 2026.07.03
登録日 2026.05.03
〜冷徹監査官様に拾われ、不器用に大切にされながら腐った教会を帳簿で裁きます〜
「祈るだけの無能聖女」と呼ばれ、辺境へ追放されたリリアナ。
彼女は人を疑えない。
けれど、踏みにじられた祈りだけは聞き逃さない。
追放先で出会った冷徹監査官カイは、祈りも善意も信じない男。
だがリリアナが拾った“届かなかった毛布”の違和感から、孤児院予算の横領が暴かれ、横領司祭はその場で失脚する。
金貨で命の順番を売る治癒優先券。
光の粉と反射石で作られた偽の奇跡。
そして、去年の冬に毛布が足りず亡くなった子供・ルカの名前で受け取られていた寄付金。
リリアナが祈りを見つけ、カイが帳簿で裁く。
偽聖女にされた少女は救われ、味方になる。
腐敗の頂点に立つ大司教は、公開審問で人として崩れ落ちる。
「あなたは最後に、誰のために祈りましたか?」
そして誰より祈りを信じなかった男が、彼女に言う。
「その隣に、私を立たせてください」
追放聖女ざまぁ/じわじわ溺愛/ハッピーエンド確約。
文字数 92,775
最終更新日 2026.06.30
登録日 2026.06.18
王太子エドワードは、完璧すぎる婚約者エルサの「感情」が見たくて、わざと浮気を繰り返し彼女を冷遇した。しかし、エルサが選んだのは「嫉妬」ではなく「消滅」だった。聖女の祈りの代償として、世界から彼女の記憶が消えていく。愛した人の名前さえ思い出せない地獄の中で、王太子は狂ったように「空虚」を抱きしめる。
文字数 68,918
最終更新日 2026.05.20
登録日 2026.04.30
聖女の力を持ちながら、神殿では一度も奇跡を起こせなかった。
祈っても、光は来ない。居場所を失ったリアは、ある夜、封印の祭壇で一人の男を解放してしまう。
「人間に解けるはずがないのに」と言いながら、男は笑った。魔王だった。
なぜかリアの祈りだけが彼に届く。なぜか彼の傍でだけ、力が溢れる。神殿に戻れば『外れ聖女』、魔王の城では『唯一の聖女』——どちらが本当の自分かも、もうわからない。
わかるのはただ一つ。この男が、私に「いてくれ」と言ったことだけだ。
文字数 2,762
最終更新日 2026.07.03
登録日 2026.07.03
私の理想の容姿は「人形の様な整った顔」。
クールビューティーっていうの? 華やかで目を引くタイプじゃなくて、ちょっと近寄りがたい感じの正統派美人。
皆の人気者でいつも人に囲まれて‥ってのじゃなくて、「高嶺の花だ‥」って遠巻きに憧れられる‥そういうのに憧れる。
そりゃね、モテたいって願望はあるよ? 自分の(密かな)願望にまで嘘は言いません。だけど、チヤホヤ持ち上げられて「あの子、天狗になってない? 」とか陰口叩かれるのはヤなんだよ。「そんなんやっかみだろ」っていやあ、それまでだよ? 自分がホントに天狗になってないんなら。‥そういうことじゃなくて、どうせなら「お高く留まってるのよね」「綺麗な人は一般人とは違う‥って思ってんじゃない? 」って風に‥やっかまれたい。
‥とこれは、密かな願望。
生まれ変わる度に自分の容姿に落胆していた『死んで、生まれ変わって‥前世の記憶が残る特殊なタイプの魂(限定10)』のハヅキは、次第に「ままならない転生」に見切りをつけて、「現実的に」「少しでも幸せになれる生き方を送る」に目標をシフトチェンジして頑張ってきた。本当の「密かな願望」に蓋をして‥。
そして、ラスト10回目。最後の転生。
生まれ落ちるハヅキの魂に神様は「今世は貴女の理想を叶えて上げる」と言った。歓喜して神様に祈りをささげたところで暗転。生まれ変わったハヅキは「前世の記憶が思い出される」3歳の誕生日に期待と祈りを込めて鏡を覗き込む。そこに映っていたのは‥
今まで散々見て来た、地味顔の自分だった。
は? 神様‥あんだけ期待させといて‥これはないんじゃない?!
落胆するハヅキは知らない。
この世界は、今までの世界と美醜の感覚が全然違う世界だということに‥
この世界で、ハヅキは「(この世界的に)理想的で、人形のように美しい」「絶世の美女」で「恐れ多くて容易に近づけない高嶺の花」の存在だということに‥。
神様が叶えたのは「ハヅキの理想の容姿」ではなく、「高嶺の花的存在になりたい」という願望だったのだ!
この話は、無自覚(この世界的に)美人・ハヅキが「最後の人生だし! 」ってぶっちゃけて(ハヅキ的に)理想の男性にアプローチしていくお話しです。
文字数 399,810
最終更新日 2026.04.19
登録日 2025.04.19
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
文字数 87,096
最終更新日 2020.06.19
登録日 2020.05.12
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。
文字数 21,220
最終更新日 2025.03.02
登録日 2025.02.22
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
文字数 60,503
最終更新日 2025.10.21
登録日 2025.10.16
交通事故にあって目覚めると見知らぬ人間ばかり。
私が誰でここがどこなのか、部屋に山積みされていた新聞で情報を得れば、私は数日後に始まる王子妃選定に立候補している一人だと知る。
辞退を考えるも次期王妃となるこの選定は、必ず行われなければならず人数が揃わない限り辞退は許されない。
そして候補の一人は王子の恋人。
新聞の見出しも『誰もが認める王子の恋人とワガママで有名な女が王妃の座を巡る』とある。
私は結局辞退出来ないまま、王宮へ移り王妃選定に参加する…そう、参加するだけ…
心変わりなんてしない。
王子とその恋人の幸せを祈りながら私は王宮を去ると決めている…
読んでくださりありがとうございます。
感想を頂き続編…らしき話を執筆してみました。本編とは違い、ミステリー…重たい話になっております。
完結まで書き上げており、見直ししてから公開予定です。一日4・5話投稿します。夕方の時間は未定です。
よろしくお願いいたします。
それと、もしよろしければ感想や意見を頂ければと思っております。
書きたいものを全部書いてしまった為に同じ話を繰り返しているや、ダラダラと長いと感じる部分、後半は謎解きのようにしたのですが、ヒントをどれだけ書くべきか書きすぎ等も意見を頂ければと思います。
宜しくお願いします。
文字数 308,116
最終更新日 2025.05.23
登録日 2023.03.21
聖女アリアは、祈りのたびに帳簿をつける地味な聖女として、王都で疎まれていた。王太子セドリックは、光をまとって人々を魅了する妹ミレーヌこそ真の聖女だと信じ、アリアとの婚約を破棄し、聖女職からも解任する。
だが、アリアの帳簿には、王国が十年間受けてきた奇跡の代価がすべて記録されていた。傷の治癒、結界の維持、王太子の命を救った祈り。その代価を、彼女は一人で立て替え続けていたのだった。
聖印を返した瞬間、王国には未払いの祈りの請求が届きはじめる。アリアは王都を去り、辺境の灰狼領で、奇跡を誰か一人に背負わせないための「祈り会計所」を開く。
文字数 7,770
最終更新日 2026.05.16
登録日 2026.05.16
二年前、結婚式からわずか一週間で、夫・アルベルトは最前線へと発たされた。
私は彼が戦場から戻ることだけを願い、毎日欠かさず教会の祭壇に祈りを捧げた。
戦況が悪化するたびに生きた心地がせず、届けられる質素な手紙だけを命綱にして、孤独な屋敷を守り抜いた。
そして、ようやく訪れた終戦と、夫の帰還。
「エドワードは僕の身代わりになって死んだんだ。これからは僕が、彼女と子供の面倒を見る義務がある」
それが地獄の始まりだった。
文字数 10,537
最終更新日 2026.05.10
登録日 2026.05.10