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第8回ほっこり・じんわり大賞 参加作品
惑星セリネアの小さな村。
少年ユンは、毎朝まだ誰も起きぬうちに、古い石の塔に向かい、一枚の紙を朗読する。それは「継の紙」と呼ばれ、意味もわからぬまま何世代にもわたり伝えられてきた不思議な詩文「エル・ナフ」が書き写されたもの。声に出して語り継ぐこと──それがユンに課せられた大切な務めだった。
だが、ある朝。
空を裂くように走る白い光が、ユンの静かな日常に入り込む。友人のサエル、ミノリとともに、小山のふもとで見つけた石とも金属とも知れぬ破片。それは、この世界には存在しないはずの何かの欠片だった。そこに刻まれた言葉とも呪文ともとれる記号から、少年たちは知ることになる。「語ること」の背後に広がる、もっと大きな何かの気配を。
一方、軌道上ではセリネア文明の監視ステーションが、ユンの朗唱を捉えていた。音声を分析し、記録し、遠く離れた地点へ送信する──それは、誰にも知られぬまま行われる、もう一つの観察の物語。
祭礼の日。
ユンは祖父の手を借りず、初めて「エル・ナフ」の全文を一人で読むことになる。不安と誇りと、ほんの少しの憧れを胸に抱えて。見守るのは、家族と村の人々、そして──ひとりの少女。
少年の声は塔に響き、空へと抜け、誰かの耳へ届く。
それが何を意味するのかも知らずに。
語ることは、ただの儀式か。
それとも、遠い誰かへの呼びかけなのか──
静かに始まり、やがて宇宙をも巻き込む、継承と記憶の物語。
文字数 11,544
最終更新日 2025.05.15
登録日 2025.05.15
中学三年生になった千紗。悲しいのは、菊池亮介と違うクラスになってしまったこと。腹が立つのは、鮎川さやかは、今年も菊池と同じクラスになったこと。
鮎川さやか。あたしと違って、足が速くて、華奢で、立ち振る舞いも声も可愛い。菊池は、そんなさやかがお気に入りなのを、千紗はよく知っている。
千紗は悲しく思う。あたしは、足が速いわけではないし、地声は大きいし、がさつで体も大きい。男子どもから、怪力とか女子プロレスラーとか、あまり嬉しくない呼ばれ方をしているし。でも、あたしだって、痩せたら、今より細い手足が手に入るはず。そうだ。痩せよう。痩せればいいんだ!
千紗の親友、山ちゃんは、恋する千紗が、菊池のあれやこれやで一喜一憂するのを見て、恋をするのも大変だな、と思う。山ちゃんは、ありのままの千紗が大好きだから、さやかのようになりたくてダイエットを始めた千紗が、気に入らない。どうして、さやかみたいになりたいなんて思うの? そのままのゴンちゃんて最高なのに。
猪突猛進に強引なダイエットに走る千紗と、それを時に冷静に、時にはらはら見守る山ちゃんの、これは友情の物語です。
文字数 42,282
最終更新日 2025.06.13
登録日 2025.05.18
一目惚れした美少女が、放課後の告白現場で追い詰められているところを助けだす。
彼女を守るため“偽装カップル”を提案したが、距離感ゼロの彼女に翻弄される。これって偽装だよね!?
その関係はいつしか――。
守りたい子のために、自分の未来のために奮闘する、藤崎蒼真の青春ラブコメ!
カクヨムにて先行配信中です。
文字数 26,323
最終更新日 2025.06.09
登録日 2025.06.04
仕事に疲れた大人たち、田舎を楽しむ。
東京生まれ東京暮らしの青年、一ノ瀬陽翔は、高校生の頃にした接客の喜びが忘れられず、大学卒業後は接客業に就職した。しかし、仕事をしていくうちに大切なものを見失い、心身共に疲れ果て失業。ふさぎ込む陽翔は父の勧めで、叔父の家でしばらく療養することにする。
遠い山奥の田舎にひっそりと建つ古民家は、叔父の相川仁が相続したもので、今は友人の藤慶一郎と共に暮らしていた。こうして大のおとなが3人、田舎で気まま暮らしを始めることになったのだった。
なんにもないけど、なんでもできる。そんな田舎を舞台に、陽翔は大切なものを思い出し、癒され再生していく──。
文字数 36,714
最終更新日 2025.05.27
登録日 2025.04.04
代々霊山を管理している大森家。
両親が森奥の社の管理で不在になるため、実家に戻ってきた、大森嘉明と妻の琴音。
年若い夫婦と、嘉明の年離れた妹・小夏ーーそして、嘉明が幼い頃から大森家に住んでいた座敷童子が一緒に暮らすことに。
4人(?)の、ほのぼの不思議な日常ーーそして感動の物語。
文字数 14,015
最終更新日 2025.06.08
登録日 2025.06.05
都会で暮らす相良悠希は、絵を描くことが好きな、大人しい男子高校生。
高校二年の夏、両親共が夏休み期間中に海外出張とのことで、慣れ親しんだ地元を離れ、父方の祖父母が住む田舎へと預けられる。
二人とは、小学校の頃に顔を合わせたきり。
その頃からすっかり姿形の変わった自分に、二人と普通に接することが出来るのだろうか……。
そんな懸念を跳ね除けるように、二人は当然のように優しく、温かく迎え入れてくれる。
一月半……長い長い夏休みが始まる、なんて思っていたこともすぐに忘れ、悠希はその不便さを楽しみ始めた。
そんなある日のこと。
祖父から借りた自転車を走らせて何となく辿り着いた立派な屋敷で、悠希は、車椅子に乗る少女・榎本ユリと出会う。
友人も知り合いもいない田舎町で、あることをきっかけにユリと話すようになった悠希。
その柔らかな物腰と明るい性格に、悠希は次第に惹かれてゆくが、ユリには、あまり人には言いたくない悩みがあるようで……?
初めてだらけの、ひと夏の田舎暮らし。
ゆっくりと時間の流れるその町で、少年は、儚く咲く花火のような、本気の恋をする。
文字数 73,288
最終更新日 2025.06.30
登録日 2025.06.05
花曇りの空の下、薄桃色の桜の花が色付く季節になると、私は、千代子(ちよこ)さんと一緒に病室の窓越しに見た桜の花を思い出す。千代子さんは、もう、此岸には存在しない人だ。私が、潰瘍性大腸炎という難病で入退院を繰り返していた頃、ほんの数週間、同じ病室の隣のベッドに入院していた患者同士というだけで、特段、親しい間柄というわけではない。それでも、あの日、千代子さんが病室の窓越しの桜を眺めながら「綺麗ねえ」と紡いだ凡庸な言葉を忘れることができない。
私は、ベッドのカーテン越しに聞き知った情報を元に、退院後、千代子さんが所属している『ウグイス合唱団』の定期演奏会へと足を運んだ。だが、そこに、千代子さんの姿はなかった。
一年ほどの時が過ぎ、私は、アルバイトを始めた。忙しい日々の中、千代子さんと見た病窓の桜の記憶が薄れていった頃、私は、千代子さんの訃報を知ることになる。
文字数 29,492
最終更新日 2025.03.20
登録日 2025.03.06
落語好きのノボルが結婚したのは、落語家の父を持つユミコ。
落語家である義父と義父を慕うノボル。
ノボルと病気の母親。
そして春夏秋冬の食事にまつわる。それぞれの家族のエピソード。
落語の演目とリンクする人生の一幕に、家族や人生に思いを馳せる物語です。
文字数 8,172
最終更新日 2025.06.10
登録日 2025.06.10
何歳でもやる気さえあればなんでもできる!これは、40歳を過ぎて学校に通い保育士になった実話を元にした話。
文字数 5,302
最終更新日 2025.04.29
登録日 2025.04.29
中学2年の夏、千紗の父親が家を出た。知らない女の人と暮らすために。母と千紗と小五の弟伸行を置いて。
だから千紗は、夏休みを境に、これまで名乗っていた権藤と言う名字を、母の旧姓の佐藤へと変えることになった。それは思っていた以上に千紗の心を重くしたけれど、何でもない顔で過ごしていた。
そんな夏休みのある日、久しぶりに散歩に出かけた千紗は、クラスメートの菊池涼介と駅前でばったり出くわす。
親の離婚、そして恋?
色々と心が忙しくなる、これは千紗の夏の物語です。
文字数 12,357
最終更新日 2025.04.26
登録日 2025.04.26
親の離婚によって、夏休みを境に『権藤』から『佐藤』へ、名字が変わることになった千紗。菊池から勇気を貰って、二学期初日に堂々と名字が変わることを宣言した千紗ではあったが、心の中の整理は、そんなに簡単には着かない。
その上、菊池のお気に入りである鮎川さやかに対して、理不尽なドロドロした感情を持ってしまう自分を、持て余している。
もう子供ではない、でも大人でもない中学二年の千紗の、秋の物語。
文字数 12,803
最終更新日 2025.04.25
登録日 2025.04.24
――未来から、娘がふたり。しかもひとりは小学生?
高校二年生の空賀蒼(そらが・あおい)は、美大を目指していたが、自分の才能の限界を感じて進路変更を考えていた。両親は海外在住で、ひとり暮らし。夢も家族も、どこか遠くにあるような日々。
そんなある日、彼のもとに突然現れたのは──未来の娘・唯(ゆい)。
さらに追いかけるように、もう一人の「ゆいちゃん」までもが現れる。小学生の姿のゆいちゃんは、「パパ大好き!」と抱きついてくるが、イタズラと甘えが止まらない。
未来を明かしてはいけない。けれど確かに伝わってくる、彼女たちの“願い”。
冷蔵庫を研究所に、壁をキャンバスに、日常はどんどんハチャメチャに。でもその裏に隠されていたのは、「大切なことに気づいてほしい」という、切実で静かな願いだった。
これは、未来から来た娘たちと過ごす数日間の、
──“家族”になるための物語。
文字数 9,090
最終更新日 2025.05.18
登録日 2025.05.18
平凡を望んだ少年に、非日常は笑いながら手を引いた。
普通に生きて、普通に老いていく。
そんな普通を生きる普済皆人。
だが、ある日再会した幼馴染――求平強の行動が彼の全てをぶち壊す。
「七不思議を全部暴いてやるぜ」
そして彼の一言から始まった。
自由すぎる強の暴走とともに、学園に渦巻く【七不思議】の謎が動き出す。
放課後に響く哄笑、奇怪な乙女、学食に現れる黒渦、そして夕暮れに溶ける鬼――。
タガが外れた日常の中で、皆人の常識が変わっていく。
これは、正常に生きようとする少年と、異常を普通とする仲間たちが紡ぐ、日常の向こう側の物語。
文字数 185,062
最終更新日 2025.07.02
登録日 2025.06.11
子を授かれなかった女中頭が選んだのは、他人の命を見守るという、静かな愛し方。
藤堂侯爵家の女中頭・松島香里奈は、時に「冷徹」と畏れられるが、深い愛情を秘めていた。ある日、夫と妾に子供ができたと知り、久しぶりに松島家に帰省する。妊婦の妾を厳しく家から追い出すが、実は母は乳母として再雇用、子供は自分たち夫婦の養子に迎える決断をする。
自身は子を授からなかったが、新しい命の誕生を心から願い、屋敷を去る香里奈。彼女の真の幸せは、侯爵家の瑠璃子様のそばにある。
冷徹な仮面の下に隠された香里奈の深い慈悲と、複雑な関係性の中で紡がれる。じんわりと心温まる家族の物語。
文字数 9,117
最終更新日 2025.06.13
登録日 2025.06.11
佐倉 美月(さくら みづき)はこの春から大学に入学した1年生。
ADHD傾向があり、大切なことをうっかり忘れてしまったり、
つい言葉が先に出てしまったりと人間関係がうまく築けず悩んでいる。
家庭環境の不安定さと過去の孤立経験から、
人との距離感を掴むのが苦手だが、
英語が好きで英会話サークルに入る。
そこで出会った金髪の静かな2年の先輩、真島 璃久(まじま りく)は
家庭内であるトラブルを起こして以降、
「誰とも深く関わらない」と決めている。
何を考えているか分からない上、楽しんでいる素振りも見せないが
英会話サークルには律儀通っている。
「俺には誰かを好きになる資格なんてないんだ」
「…それって怖がってるだけですよね?」
無表情で寡黙だが、本当は繊細で優しい彼の内側に触れる度に
美月は璃久に惹かれていく。
君となら、自分の気持ち、上手く話せる気がする。
あなたの、あの頃の気持ちに寄り添うような作品で
ありますように。
文字数 20,102
最終更新日 2025.06.24
登録日 2025.05.17
憧れの上司にバレンタインデーにチョコをもらった。部署のみんなに配るような明らかな義理チョコだったけど、俺の覚悟を固めるには充分だった。
ホワイトデー当日。チョコのお返しをきっかけに告白するつもりだったのだが……そう上手くはいかないらしい(泣)
年下部下(♂)×年上上司(♀)の恋愛ものです。
文字数 3,279
最終更新日 2025.06.12
登録日 2025.06.12
松原未来25歳。ついさっきまで会社員やってました。仕事をやめて羽田から飛行機に飛び乗り、向かった先は南国沖縄!
まずは那覇で軽く一杯。そして向かうは離島宮古島。美しい海!強い陽射し!美味しい料理!
自分探し?そんなのいらない!ただただ楽しみたいだけです。
ガイドブック的な意味合いもなくはない、でもただの旅行記の意味合いが強い、そんなお話です。
ふと時間が空いた時などに読んでもらえたら嬉しいです。
※事実に基づいたフィクションです
※作中に出てくるサービス・メニューは当時のものです。今は扱っていない可能性があります。
文字数 38,445
最終更新日 2025.06.22
登録日 2025.06.12
教室が怖くなって、不登校になった中学二年生のさやか。
「どうせ、誰も私のことなんて気にしてない」
そう思いながら久しぶりに学校へ行った日、彼女の机の中に一通の手紙が入っていた。
「おかえり。ちゃんと、待ってたよ。」
差出人の名前もない、小さなその手紙。
それからさやかが登校するたびに、少しずつ増えていく言葉たち。
「今日の空、きれいだったよ」
「失敗したって大丈夫。またやればいいんだよ」
一体誰が――?
心の奥にじんわりと沁み込んでいく手紙が、さやかの閉じかけた心を少しずつ開いていく。
でも、それはただの優しさだけじゃなかった。
最後の手紙に記された名前を見たとき、さやかは初めて、本当に泣いた。
これは、会えなかった“誰か”からの手紙に救われた少女の、静かな再生の物語。
文字数 13,190
最終更新日 2025.06.27
登録日 2025.06.13
あらすじ
人との関わりを避けて生きてきた小学三年生の結月。
唯一心を許せるおばあちゃん・美佐と、穏やかな日々を過ごしていた。
けれど突然の事故で、美佐は命を落としてしまう。
心を閉ざしてしまった結月の前に、ある朝、見知らぬ同い年の少女が現れる。
──それは、奇跡のように姿を変えて現れた美佐だった。
正体を隠しながら、友達として寄り添うたった一日。
ふたりは笑い、遊び、そして「明日も遊ぼう」と約束する──叶わぬ約束だと知りながら。
別れのあと、結月は少しずつ、自分の足で世界と向き合いはじめる。
たった一日で生まれた、心をつなぐ優しい奇跡の物語。
文字数 8,609
最終更新日 2025.06.14
登録日 2025.06.14
死霊術のグランドマスターで大企業の取締役。
なのに夫には「まあまあ」としか評価されない私の料理。
「認めてよ、私はもう弱い女じゃない!」
小さなカーバンクルの体になった元病弱少女・ムウナは、
完璧主義者の騎士団長夫・チココに料理で勝負を挑む!
魔法でも、ビジネスでも勝てないなら、
夫が最も情熱を注ぐ「料理」で必ず「むぐぐ...」と言わせてやる!
異世界×グルメ×夫婦コメディ、開幕!
文字数 43,633
最終更新日 2025.06.21
登録日 2025.06.13
山奥の郵便局に勤める、おじいさん郵便配達員・森村さん。冬のある日、配達袋の奥から何年も前に出された手紙を見つける。宛先はもう存在しない古い家。でも差出人は、まだこの町に住んでいる小さな女の子だった。
手紙には、「サンタさんへ。うちのおかあさんを笑顔にしてください。」とだけ書かれていた。おじいさんは、手紙の送り主と再会し、忘れていた何かを少しずつ思い出していく。
やがて少女は成長して、今はパン屋を開いていた。少女の「おかあさん」はもういないけれど、焼きたてのパンの匂いと町の人々の温かさが、森村さんの心も少しずつ癒していく——。
文字数 7,868
最終更新日 2025.06.16
登録日 2025.06.16