短編 小説一覧
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「そこは、地図からも、人の記憶からも、消されるべき場所だった――」
心霊サークル「黄昏の探究者」の大学生4人が辿り着いたのは、深い霧に包まれた廃村・久遠村。
村の至る所で見つかる、目鼻立ちのない「ねじれた木像」と、異様な幾何学模様。
一度足を踏み入れたら最後、道はループし、時間さえも狂い始める。
そこで出会った二人のオカルトマニア。彼らの正体が明かされるとき、本当の地獄が幕を開ける。
無事に帰還したはずの彼らを待っていたのは、平穏な日常ではなく、
静かに、確実に、自分たちの「身体」と「精神」をねじり、侵食していくあの村の影だった。
――ねぇ、あなたも「ムスビ」の仲間にならない?
文字数 10,113
最終更新日 2026.01.10
登録日 2025.12.20
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風哭島奇譚の後日談その2。当時連載していたのが夏だったので季節感外れてますが、続けてあった方が読みやすいかと思いアップしました。
凪と千紘の母親との初対面です。その後、大切な場所へ行きます。
文字数 7,657
最終更新日 2026.01.10
登録日 2026.01.10
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突然の雨。傘を持たずに駅前のカフェに駆け込んだ桜井美咲の目に、見覚えのある姿が映った。「春樹?」窓際に座る男性——高橋春樹。彼女のかつての恋人だった。七年ぶりの再会。
二十八歳の出版社編集者・美咲と、建築家になった春樹。七年前、二人はすれ違いの末に別れた。お互いのキャリアを優先し、恋愛よりも仕事を選んだ。それが正しい選択だったと、美咲は自分に言い聞かせてきた。
だが、春樹の姿を見た瞬間、心臓が激しく鼓動した。忘れたはずの感情が、蘇ってくる。
「今度、ゆっくり話さない? 七年分の話を」春樹の言葉に、美咲は答えに躊躇する。また会うべきなのか。過去は過去として、封印しておくべきではないのか。
親友の麻美は指摘する。「あなた、この七年間誰とも真剣に付き合ってないでしょ。まだ春樹を引きずってるからよ」図星だった。何人かの男性とデートしても、いつも春樹と比べてしまっていた。
連絡を取り合い、二人は「思い出の場所」で会うことになる。代々木公園——十年以上前、大学生だった二人が初めて出会った場所。フリーマーケットで隣のブースになり、話が弾み、コーヒーを飲みに行った。それが全ての始まりだった。
公園のベンチで、春樹は告白する。「この七年間、君を忘れられなかった。もう一度、やり直せないかな」温かい手のぬくもり。七年ぶりに感じる、この感覚。美咲の目に涙が浮かぶ。
だが、その瞬間——「春樹!」一人の女性が現れる。沙織と名乗った彼女は言う。「私、春樹の婚約者なんです」
時間が止まる。婚約者? 春樹は誤解だと言うが、美咲は信じられない。「恋人はいない」と言っていたのに。また裏切られた——美咲は公園を飛び出す。
翌日から、春樹の電話とメッセージを無視し続ける美咲。だが麻美は厳しく言う。「あなた、逃げてるだけじゃない? 七年前も問題から逃げて別れを選んだ。また同じことしてる」
その言葉に、美咲は気づく。自分は傷つくことを恐れて、向き合うことから逃げていた。七年前も、そして今も。
決意した美咲は、春樹と再び会う。春樹は説明する。「沙織は両親の知り合いの娘。何度か食事に行ったが、恋愛対象として見たことはない。両親が勝手に婚約者だと思い込んでいるだけだ」そして涙ながらに告白する。「あの時、君を幸せにできるか自信がなくて、臆病だった。でもずっと後悔してた」
美咲も涙を流す。「私も怖くて逃げた。でも、もう逃げたくない」二人は抱き合い、やり直すことを決める。雨が止み、窓の外に虹が出ていた。
一年後、再び代々木公園。春樹は膝をつき、指輪の箱を開ける。「君とずっと一緒にいたい。結婚してくれないか」美咲は涙と笑顔で答える。「うん。私も、春樹と一緒にいたい」
空は晴れ渡っていた。もう雨は降らない。雨上がりの約束は、こうして叶った。
文字数 5,821
最終更新日 2026.01.10
登録日 2026.01.10
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「欲しいのは謝罪じゃねえよ。お前からの愛情だ」
自分のせいでクロガネの片目を失わせてしまったハクは自身の存在理由に悩んでいた。ハクは、魔法使い等数名の犠牲の上に造られたキメラだったーー。
「片目は失ったが、お前を助けたことは後悔してねえよ」一途な攻×造られた存在のキメラ受「欲しいのは生きるための理由じゃない」ーー愛情を求め、求められ。
文字数 12,385
最終更新日 2026.01.10
登録日 2026.01.08
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繁華街ネオン町(solo ver.)の新作です。
ある日、「あの世での理想の姿をwebの日記に書くとあの世で叶う」という宗教を目にしたケント。
webという幻想世界を介して、ケントは不思議な人間関係に吞まれていく……
ファンタジーx異世界転生x人間ドラマの予定です。
文字数 2,000
最終更新日 2026.01.10
登録日 2026.01.10
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文字数 35,972
最終更新日 2026.01.10
登録日 2025.05.31
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俺はシン。頑丈なだけが取り柄の13歳だ。俺は村で化け物と呼ばれた事があり、浮いていた。そんな折、客人が現れて、俺にこう言った。「お前、騎士にならないか」気付けば村長と両親は了承し、俺は村を出ることになった。それから王都まで、長い旅をすることになる。俺は旅の間に、自分が可愛い容姿をしていることを知り、セックスを覚える。※ムーンライトノベルズ様にも公開しています。
文字数 22,858
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
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写真家の良一は妻娘に軽蔑される毎日を送っている。そんなある日仕事で訪れた場所で道に迷うと人が住んでいない場所に辿り着く。そして良一はある行動を実行に移していく。
文字数 13,289
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
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色々な人が『どうして死んだのか』を紹介しています。全ての文章は500文字から700文字程度で終わるので、短い時間にさっと読めます。この文章は全てフィクションです。
文字数 525
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
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オメガ男子の小島史(ふみ)は、ネットを中心に展開している中小広告代理店の経理部に勤めている。会社が国の補助金が入る婚活アプリ開発に関わる事になった。テスト版には、自社の未婚で番のいないアルファとオメガはもちろん未婚のベータも必ず登録して動作確認をするようにと業務命令が下された。史が仕方なく登録すると社長の辰巳皇成(こうせい)からマッチング希望が…
文字数 14,537
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.05
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同性婚が認められるようになって数年。
山崎一(やまざきはじめ)と三浦恭平(みうらきょうへい)はなりゆきで友情婚をした。
一はゲイ、恭平はノンケ。アラフォー二人、独身でいるのもなんだかな、じゃあ結婚しようか。
そんな二人のお正月。
文字数 2,570
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
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僕とアンドロイド(ハピエン、潮吹き、複数描写あり)
前任者であるキェンが他界したことをきっかけに、雪国の田舎町にある研究所へ就くことになったエント。
そこには五体のアンドロイドがいた。彼らは研究補助アンドロイドとして前任者に造られたのだが、あるバグが発生していて……。
とある研究者の悲劇。(胸糞、小スカ、嘔吐、妊娠描写あり)
若い研究者であるシクは自社の研究室で監視されている人型の「怪物」に身を捧げることになる。彼と交流を深めているうちに、自身の体に異変を感じ────?
◻︎◻︎◻︎
Kindleにて電子書籍で出ている人外×人間の短編サンプルとなります。
読み放題でしたら無料となりますので、もしよろしければお暇つぶし程度に読んでいただけますと幸いです。
プロフィールのリンクから、もしくはAmazonで「侵食」で検索していただけますと幸いです。
表紙は境界さまからお借りしました。
文字数 12,436
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
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宇宙人「ふうん、いいね。この星。」
移住先の惑星を探していた宇宙人は、移住先として最適な惑星を見つけたが、その星には既に先住民族が居住しており…。
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※ご都合主義
※作中に登場するすべては架空のものです。作者の勝手な創作によるものですので広い心で受け止めて頂けると幸いです。
※実在の物事をモチーフに創作した部分がありますが、あくまでモチーフですので実在の物事とは一切関係がありません。
※無断転載及び転用や利用等はご遠慮ください。(おまじない)
文字数 3,983
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
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2047年3月15日、午後11時58分。量子物理学者・佐藤ハルトは、人類史上初の時間跳躍装置を完成させた。目標はわずか二十四時間前。何も変えずに戻ってくる、小規模な実験のはずだった。
だが、過去に到着したハルトを待っていたのは、予想外の現実だった。研究パートナーのレイは彼を見て叫ぶ。「あなたは三年前に死んだはずよ!」この時間線では、ハルトは量子実験の事故で死亡していた。
混乱する彼の前に現れたのは、年老いた自分自身だった。二十年後の未来から来た「ハルトα」は警告する。「時間線が崩壊している。装置を破壊しろ」時間跳躍の成功により、現実が無数に分岐。ある世界ではハルトは死に、ある世界では生き、ある世界では時間戦争が勃発して文明が崩壊していた。
だが、資金提供者の黒川シンジは反対する。「この技術で多くの人が救われる。君の両親の交通事故も防げるんだぞ」十年前に亡くした両親を救いたい——個人的な欲求がハルトを揺さぶる。
次々と現れる、異なるタイムラインの研究チームたち。それぞれが自分の世界の正しさを主張する。「技術を使うべきだ」「破壊すべきだ」「管理すべきだ」——誰が正しいのか。何が真実なのか。
ハルトは問う。「技術自体に善悪はない。問題は使い方だ」彼は決断する。装置は破壊しない。代わりに、国際監視機構を設立し、時間跳躍技術の使用を厳格に管理する。個人的理由での過去改変は禁止。許可されるのは科学的観測と災害予防のみ。
その瞬間、空間が激しく揺れた。「タイムラインの収束だ!」複数に分岐していた現実が、ハルトの決断により一つに統合され始める。異なる時間線の記憶が脳内に流れ込み、膨大な痛みがハルトを襲う。だが、その苦痛の中で彼は理解した——全てのタイムラインは最初から一つだった。分岐は幻想。自分の選択が、現実を決定していた。
三ヶ月後、国際時間監視機構が設立される。最初の承認ミッションは2030年の大地震観測。データは多くの命を救った。技術は正しく使われ始めた。
二十年後、五十二歳になったハルトの元に、未来から一人の青年が訪れる。「あなたの息子、ケンタです。あなたが作った世界で育ちました。感謝を伝えに来ました」
時間は止まらない。過去から未来へ絶えず流れ続ける。時間を操る力を手にしても、私たちは今を生きる。それが、時間の真実だ。
文字数 6,478
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
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沖縄県警の刑事比嘉梢は大学教授殺害の容疑者サキを取り調べる。サキは容疑は認めたが、自分は八〇年後の未来から来たと話す。
文字数 13,766
最終更新日 2026.01.09
登録日 2026.01.09
828
これは、働いても働いても税金を盗ろうとする財務省に戦いを挑んだ、ただのオタク主婦の戦記です。
文字数 16,399
最終更新日 2026.01.09
登録日 2025.12.25
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ある日から隣の席の彼を意識するようになった菫は、いつしか目で追うようになっていた。
そんな彼はずっと外を眺めていてミステリアスかつ魅力的。しかし何か違和感があるような…?
キュンとしたり、実は切なかったり。意味が分かると心を締め付けられる。
学園を舞台に書かれた恋愛ストーリー
好評であれば続きを書きます。
文字数 5,275
最終更新日 2026.01.08
登録日 2026.01.08
830
千年の恋が、今、時を超えて甦る――
現代の女子高生・綾瀬紫織は、ある日図書室で不思議な古書『平安異聞記』を手に取る。ページをめくった瞬間、彼女は紅葉散る平安京へとタイムスリップしてしまう。十二単に身を包み「西より来たりし姫」として生きることを余儀なくされた紫織は、左大臣家に仕える若き将・彰紋と出会う。
雅やかながらも陰謀渦巻く宮中で、二人は次第に心を通わせていく。しかし、都には「物の怪」と呼ばれる闇の存在が頻出し、人々を脅かし始める。紫織こそが異界との境界を弱める「扉」であり、物の怪たちが彼女を「皇」として狙っていることを知った彰紋は、彼女を守ることを誓う。
やがて深まる愛の中で、紫織は決意する――愛する都と人を守るため、彰紋と共に異界へ赴き、闇の根源と戦うことを。しかし異界での壮絶な戦いの果て、二人は絶体絶命の危機に陥る。紫織は現代へ強制送還され、彰紋は異界に取り残されてしまう。
文字数 44,964
最終更新日 2026.01.08
登録日 2026.01.08
831
ある日、生粋のいじめっ子であると勘違いした黒猫に呼ばれて、女性のいない異世界へ飛ばされた俺。
その世界で俺に与えられた役目は悪役令息。
主人公がハッピーエンドを迎えたタイミングで俺が処刑されれば、元の世界に戻れるという。
いいことがないと愚痴る俺に、黒猫は親の借金三千万を返済してくれると約束してくれた。
だったらやるしかないと意気込むものの、事態はあらぬ方向へと進んでいき――?
全五話、完結済。
文字数 11,809
最終更新日 2026.01.08
登録日 2026.01.08
832
ある夜。
バンダナ芋兄ちゃんこと俺と神社の跡取りの順は冬の山にいた。
馬の霊を封じる簡単な仕事だったのだが現れたのは…
文字数 4,432
最終更新日 2026.01.08
登録日 2026.01.08
833
切なく甘いストーリー。
警察官と一般人。しかも同性では、思うような恋愛は出来ない。
それでも溢れる想いを胸に抱え、ひとときの時間を共にする。
静かであまくにがい恋人の短編お話。
シリアス寄り。
好きな話で終わっていただいて構いません。暗い雰囲気ですが最終的なエンドは解釈に委ねられます。ハピエン〜死ネタバッドエンドまでご自由に好きに要所要所ご想像していただければ嬉しいです。
*1話のみ(1話読み切り)でしたら特に気にすることなく楽しめると思いますが、2話以降は話が重くなりますので、苦手要素等ある方はお勧めいたしません。お気をつけください。
(2話以降、2章3章)残酷描写、(1話)性描写ございます。
文字数 19,299
最終更新日 2026.01.08
登録日 2025.11.08
834
転入生の「聖女様」に陥れられ、悪役令嬢にされた公爵令嬢ヴィオレッタ。
けれど彼女の治癒魔法には、誰も知らない秘密があった。
その治癒魔法——本当に「聖なる」ものなの?
諦めていたはずの恋と、隠されていた真実が動き出す。
(王道な物語を一度書いてみたかったので…!)
文字数 36,361
最終更新日 2026.01.08
登録日 2025.07.01
835
西暦2147年、ユートピア・シティ。人口一千万人を擁するこの都市では、犯罪率ゼロ、失業率ゼロ、病気はほぼ根絶された。全市民の脳には「インプラント」が埋め込まれ、AI「オプティマス」が24時間監視する。感情は最適化され、行動は管理され、幸福は数値化される。これが「最適化社会」——完璧に管理された世界。
ユイ・タカハシは「最適化エージェント」として、幸福指数が低下した市民を監視し、介入する仕事をしている。指数が85を下回れば監視対象、80以下で介入対象、そして70を下回れば——記憶を消去される「再教育センター送り」だ。
ある日、製造業従事者ケンジ・イシダの幸福指数が三日連続で85を下回った。彼の元を訪れたユイは、奇妙な話を聞く。「夢を見るんです。森の中で、誰かが『目覚めろ』と言うんです」彼の夢には、感情を制限なく表現する人々が映っていた——最適化社会では禁じられた、古い世界の記憶。
上司マサトは再教育センター送りを判断する。だが、ユイの心に疑問が芽生える。夢を見ることが、なぜ罪なのか。
その夜、ケンジが深夜にユイの部屋を訪れる。インプラントをハッキングし、監視を遮断した彼は告げる。「この都市の地下に、抵抗組織が存在します。システムを拒否し、自由に生きる人々です」
地下世界でユイが目撃したのは、インプラントなしで笑い、泣き、怒る人々。抵抗組織のリーダー・サトシは語る。「システムは『幸福』を約束した。だが代償は、自由、選択、感情——人間らしさの全てだ」
彼らの計画は明確だった。全てを管理する中央AI「マスターAI」を停止させ、人々に選択を与える。
ユイのインプラントが追跡され、治安部隊が地下に襲撃してくる。指揮するのは上司マサトだった。
マサトの目から涙が流れる——インプラントが制御しているはずの涙が。彼は治安部隊に撤退を命じ、ユイたちを逃がす。
中枢施設に侵入し停止コマンドが実行される。都市中のインプラントが停止した。人々は自分の意思で考え、助け合い、共に生きる道を見つけ始めた。
一年後。都市は新しい形を取り始めていた。完璧ではない。犯罪もあるし、病気もある。不平等もある。だが、人々は笑い、泣き、怒り、愛している——生きている。
十年後、ユイは自由評議会のメンバーとして働いている。歴史を学ぶ少女が尋ねる。「システムに逆らうの、怖くなかったですか?」ユイは答える。「怖かった。でも、もっと怖いことがあった。何も感じずに生きること。それが一番怖かった」
人間の世界は、いつも不完全だ。でも、それでも前に進む。自由という名の険しい道を。それが、人間の証明だから。
これは、完璧に管理された世界で、一人の女性が人間性を取り戻すために戦った物語。テクノロジーによる監視社会、AI管理、幸福の数値化——現代社会への警告を込めたディストピア小説。
文字数 9,292
最終更新日 2026.01.08
登録日 2026.01.08
836
「まだ書いているのか」
「君も書いてみたら良いじゃないですか。案外好きかもしれませんよ」
「じっとしているのは俺の性に合わん」
「でしょうね」
間髪入れずに言い放った春壱に、奏介はカチンとし彼を小突いた。彼はまるで猫の戯れだと言わんばかりにさっと躱し、執筆を続けた。
「君は単調ですねぇ。これで遊んでいてくださいね」
そう言って、春壱は奏介に万華鏡を投げて渡した。奏介は万華鏡を素直に覗いたりもしたが、すぐに飽きて適当な本を開いた。
しばらくの間、お互いのことをして過ごしていたが、ふと春壱が口を開いた。
「君、私のこと好きでしょう?」
「⋯⋯? いや」
「はて、私の勘違いか。随分私に執着しているように感じましてね。いや良いんです。違うのなら」
「何が言いたい」
「私も同じ気持ちだなぁって思っただけですよ」
俺はこの頃をどんなに切望したって、時はやり直させてはくれない。
だから、だからこそ春壱のことを見捨ててはいけなかった。
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数年前に書いたもので、今見ると気恥ずかしさがありますが、
初めてきちんと最後まで書ききった思い出の作品です。
こういう二人が癖なんだな~と思って読んでいただけると嬉しいです。
※他のところにも掲載予定です。
文字数 12,335
最終更新日 2026.01.08
登録日 2026.01.08
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かつての、俺は「ファイター」だった。裏ワールドの一つである「マッド・ドッグス」が俺のリングだ。TVR内で金儲けの興行を打つこと自体は違法ではないが、CGS(セントラル・ゴッド・システム:星の数ほどあるワールドの総元締めだ)は、個々のシンクロナイザーをリアルタイムに監視し、肉体の脳にダメージが残るようなレベルの負荷を規制していた。だが、ファイト系ワールドが乱立する現在、相手に大した苦痛も与えないようなぬるいファイトをしていては客は集められなかった。だから、俺が出ていたような違法な興行が闇で行われていたのだ。バレればワールドそのものがCGSから消されかねなかったが、それよりも俺自身が一番ヤバいことになるのはよくわかっていた。最低でも5年は食らうだろう。その辺はCGSは容赦なかった。だが、それがどんなにヤバい仕事だとしても、一晩で半年分の稼ぎが得られるファイトの魅力には代えられなかった。
文字数 9,339
最終更新日 2026.01.07
登録日 2026.01.07
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