歴史・時代 時代小説一覧
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江戸の世に入って、しばらくが経った頃、とある老中のもとに、若い女子が呼び寄せられた。訝しげに見つめる老中だったが、その女子は高い実力を示す。それを目の当たりにした老中は女子に、日本各地に点在している、忌まわしきものの破壊工作を命じる。『藤花』という女子はそれを了承した。
出発の日の早朝、藤花の前に不思議な雰囲気の長身の男が立っていた。杖と盾しか持っていない男の名は『楽土』。自らが役目をこなせるかどうかの監視役かなにかであろうと思った藤花は、あえて楽土が同行することを許す。
藤花と楽土は互いの挨拶もそこそこに、江戸の町を出立する。
文字数 100,316
最終更新日 2023.12.27
登録日 2023.09.08
秘太刀“斬壺(きりつぼ)”。
その技を以て、老剣客はかつて岩を斬り、壺を斬った――割ることも砕くこともなく、真二つに――。
ただしそれができたのは、若き日のたった二度だけ。
そして今。辛苦の末に流派を継いだ彼が対峙するのは、剣才そのもののような少年。それはまるで、老剣客の積み上げたもの全てを嘲笑うかのような存在。
もし、奴を斬ることができる技があるなら――それは一つ、“斬壺”。
凡人対天才。
今、その戦いが始まり、そして終わる――。
文字数 11,187
最終更新日 2021.12.04
登録日 2021.11.22
神鬼と人がまだ同じ世界にいた頃のお話――。
叡智と音の神であり、また戦闘神としても崇められていた弁財天神には、彼女に仕える童子が十六人いた。
童子達は悪さをする鬼達を退治するのが生業だったのだが、弁財天神に関する悪い噂が立ち始める。
弁財天に祈りを捧げると、夫婦は別れ、女は嫉妬されると言う根も葉もない噂だったが、人々は信仰をやめ、弁財天神の存在自体が危ぶまれ出した。人を助けていた童子達まで追いやられることになり————。
愛してはならないものを愛する事は、罪なのか。この世の縛りは何のためにある———?
実在する「沈み鳥居」にインスパイアされて書いた昔々の物語。
あなたはこの結末を受け入れる事が出来ますか。
尚、この物語はフィクションであり史実とは異なります。
文字数 190,726
最終更新日 2021.11.23
登録日 2020.10.25
ルソーは生まれて9日で母親を亡くす。時計職人の父とは読書をして過ごすが、貴族と喧嘩をしてジュネーヴの街から逃走した。孤児同然となったルソーは叔父に引き取られ、従兄弟と共に少年時代を過ごす。
その後、いろんな職を転々としてニートのような生活を続ける。
どの仕事も長くは続かず、窃盗や変態行為に身を染めた。
しかし、読書だけは続けた。
やがて、ママンと出会い、最初は母親のような愛情を受けるが、その関係はどんどん深くなっていく。
フランスでは普通のことなのか、奇妙な三角関係を経験し、やがて、ママンとの別れも。
音楽を仕事にしたかったが、それほど才能はなかった。
ルソーはその後、女中と結婚し5人の子供を授かるが、貧乏すぎて養えない。
ルソーは抑圧された経験を通して、社会に疑問を持っていた。ルソーは理不尽な社会の事を文章にする。
「人間不平等起源論」
「社会契約論」
「新エロイーズ」恋愛小説
「エミール」教育論
「告白」自伝
「孤独な散歩者の夢想」
昔は娯楽も少なく、文書を書く人はお笑い芸人のようにチヤホヤされたものだ。
それらの文章はやがて啓蒙思想として人々に大きな影響を与えていくこととなる。
ルソーを弾圧する人も現れたが、熱烈に歓迎する人もいる中で過ごす。
そんな彼の思想が今では当たり前となった人権、平等、博愛を世にもたらすフランス革命を引き起こす原動力となった。
文字数 45,839
最終更新日 2021.09.16
登録日 2021.05.31
日ノ本の歴史は、1万2千年前の縄文土器文明に始まり、黒曜石を基軸通貨として、翡翠を貴重品とした文明圏を形成していた。
経済活動というのは、余分な商品があって、初めて始まる活動だと考えられる。自分で採取したものを、そのまま自分で使うだけであれば、そこに経済活動は発生しない。石器時代と呼ばれる時代から、縄文期に入っていった時、最初に商品となったのは、石であった。
石は、石器として最上級の品質であった、黒曜石である。
黒曜石は、石のままでは価値を持たない。
加工する知識・技術・技能があって始めて、鏃となり、釣り針となって、狩や漁の道具として使うことができる。
参考資料
CGS動画 「目からウロコの日本の歴史」 小名木善行&神谷宗幣
西田正規 著「人類のなかの定住革命」
安田喜憲 著「森と文明の物語」
鬼頭宏 著「人口から読む日本の歴史」
高木久史著「撰銭とビタ一文の戦国史」
松島義章著「貝が語る縄文海進」
水野正好著「縄文を語る」
日ノ本における、経済の始まりは、縄文期に遡ることができる。
文字数 38,563
最終更新日 2021.08.18
登録日 2021.07.20
「おらたちは耐えた! でも限界だ!」
幾多も重なる税金に、不作続きの世の中、私腹を肥やしているのはごく一部の人たちだけだった。
領主は鷹狩りや歌に忙しく、辺境の地であるこの『谷の村』のことなど、一切知る由もない。
ただ、搾取され皆がその日を生き抜くのが精いっぱいだった。
そんなある日、村一番の働き手である 弥彦は 村はずれにある洞窟である箱を見つけた。
そこには、言い伝えでその昔に平家の落ち武者が逃げて隠れていたとされた洞窟で、刃の無い刀がいくつか土に埋まっている。
弥彦は箱を調べ、その場で開けてみると、中にはいくつもの本があった。 彼は字が読めないが村に来ていた旅の僧侶に読み書きを習い、その本を読み解いていく。
そして、時はながれ生活は更に苦しくなった。
弥彦の母は病におかされていた。
看病のかいもなく、他界した母の現場に現れた役人は告げた。
「臭いのぉ…。 悪臭は好かんので、ちと税を払え、皆の迷惑じゃ」
それを聞いた弥彦含め、村人たちの怒りは頂点に達し、どうせ今生きていても死ぬだけだと、自分たちの人生を賭け蜂起を決意した。
そして、村長が指名した村人たちを束ね導く存在に弥彦を。
そんな彼らの想いが駆け巡る。 歴史の中で闇に消えた物語。
文字数 100,824
最終更新日 2021.06.24
登録日 2021.05.21
那緒はこの春から、領主の嫡男である東城寺 京の学友として城に通うようになった。城での生活にも慣れたある日、京や学友仲間である鷹丸や周防らと、城を抜け出す計画を立てる。出掛けた先で那緒が毒蛇に噛まれるという問題が生じるが、何とか事なきを得た。那緒は京への特別な想いを自覚する。
・・・だが、那緒には誰にも言えない秘密があった。
和風ロマンスですが、時代背景は作り込んでいません。
本編完結しました。
番外編は不定期で更新する予定です。
文字数 114,859
最終更新日 2020.07.23
登録日 2019.05.18
新しい時代 明治という開かれた時代が訪れようとしていた
だが、まだ古きものを引きずる者達は 隠れて芽吹こうとした者達を許そうとはせずに
隠れキリシタンたちが 信仰を捨てず 250年以上の長きに渡り
守り続けていた そして時代が変わり 予言の通り 彼等の救いの使者である
異国からの伝道師たちの訪れに喜び 告白をしたのだが・・
「浦上4番崩れ」と言われる 悲劇の顛末とは?
そして それから・・
文字数 291
最終更新日 2020.05.29
登録日 2020.05.29
江戸時代、下級武士の出身から驚異の出世を遂げて、勘定奉行・南町奉行まで昇り詰めた秀才、根岸鎮衛(ねぎしやすもり)が30年余にわたって書き記した随筆「耳嚢」
その「巻之五」に掲載されているお話「怪病の沙汰にて果福を得る事」を原話として、翻案したものです。
裕福な豪農の家に生まれ、容姿にも恵まれた一人娘になぜか「轆轤首」だという評判が立ってしまい、村では婿に来ようという者がいなくなってしまう。
不憫に思った叔父の甚兵衛が江戸へ出て、姪の婿を探すお話。
轆轤首というと、首がヒョロヒョロ伸びる江戸時代に流行したジャパニーズタイプと、中国の「飛頭蛮」がオリジナルの首が抜けて飛ぶ中華タイプがありますが、本作に登場するのは、小泉八雲の「ろくろ首」同様、後者のようです。
短編読み切りです。
文字数 5,278
最終更新日 2020.05.01
登録日 2020.05.01
17世紀のある国での物語。
その国はスペインに占領され、植民地にされてから百年経っていた。そこでは先住民族ワクワクが最も劣った人間として蔑まれていた。
ワクワクの女性とコーカシコス(白人)の男性の間に生まれた少年ヨハネが主人公。
彼は父を知らず、幼くして母を亡くすが、親友のペテロやワクワクの人々、宣教師たちの助けを借りて成長する。
しかし、ワクワクの村で飢饉が起こり、ヨハネは、ペテロと共にやむを得ず自らの身を奴隷として売る。
売られた先は奴隷貿易で栄える町、エル・デルタにある奴隷売買業アギラ商会だった。その商会の経営者はトマス。隻腕の大物奴隷商人だった。
そこでヨハネは奉公人(六年間の期間限定奴隷)として働くことになった。
文字数 146,988
最終更新日 2019.05.25
登録日 2019.04.03
「人騒がせ一同心」と世間で唄われる父上を持つ京之介は、苦労多きお若衆。
さらに、女子(おなご)のように顔立ちをしている事を気にしている京之介は、剣術や学問に精進する事で立派な同心になろうと努力をしているが、空回りして余計に卑屈さが増してしまう日々を送っていた。
そんな、ある日。
唐突に、京之介に対して父上は「見合いをするぞ!」と言い放つと、無理矢理に紋付き袴を着させて家から追い出した。
常に「傍若無人」である父親に振り回されっぱなし京之介は、いつもの悪ふざけかと半信半疑で待ち合わせの料亭に向かったのだが…。
苦労人・京之介は更なる「苦労」を背負う事になる。
文字数 12,995
最終更新日 2019.04.14
登録日 2019.03.30
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