とうもろこし畑のダイヤモンド

大学の野球グラウンドの前で再会したのは、母方の祖父母に招かれ、田舎を訪れた春休みに一度だけ遊んだ、一つ年上の板倉大輔だった。

毎年選抜高校野球の時期になると思い出していた。ダムに沈むことが決まった村での、最後の六日間。下手くそな野球少年の大輔と、故郷を離れる間際の大人達との、何とも適当で楽しい空き地ベースボールをして過ごした日々のことを。

「大事なのはどこで何をするかじゃない。誰と好きなことをするかだ」

祖父の言葉と、とうもろこし畑の思い出を胸に、再会後の大輔との恋に戸惑いながらも、文緒は好きなことに向かって進む。


*「二週間のエール」に登場する、岸司の仲間・桂の、女子軟式野球同好会を作る原点となったお話です。
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