歴史・時代 小説一覧
1,401
実朝暗殺!
感想数 0
文字数 5,343
最終更新日 2020.08.03
登録日 2020.08.03
1,402
蒼旗翻天 -彼方へ 高衡後記-
文治五年(一一八九)九月、源頼朝率いる鎌倉軍の侵略により、奥州藤原氏は滅亡。
その十余年後、生き残った者達は、再び新たな戦乱に身を投じようとしていた――
(※前作「彼方へ -皆鶴姫伝説異聞-」から10年後の物語を描いています)
感想数 0
文字数 70,646
最終更新日 2021.03.24
登録日 2021.03.23
1,403
夫婦元結岩咲花(めおともとゆい いわにさくはな)~もう一つの四谷怪談~
日本「最怖」の怪談話として、知らない人はいない鶴屋南北の「東海道四谷怪談」
文政八(1825)年、江戸中村座で初演されて以来、歌舞伎だけではなく、映画等で数え切れないくらいリメイクされた日本を代表する怪談です。
愛する夫・伊右衛門に騙され、毒を盛られ、非業の死を遂げた女性お岩さんの怨霊が伊右衛門や、彼に協力した者達を取り殺す!
この世で最も恐ろしいのは、欧米ホラーのような殺人鬼などではなく「人の念」・・・特に「怨念」である。
世界的にも人気の高い「Jホラー」の古典にして最高傑作・・・そう言い切って良いでしょう。
しかし、この四谷怪談には全く別の話があるというのです。
明治から昭和初期にかけて活躍した小説家、岡本綺堂(1872~1939)氏の短いエッセイ「四谷怪談異説」によると、伊右衛門とお岩さんは仲睦まじい夫婦で、お岩さんは貧困のためにやむを得ず夫婦別々に暮らしていた二人が再び元のように一緒に暮らせることを願って、奉公先のお稲荷様に毎日祈願していた貞女だというのです。
朝、皆が寝静まっている早朝に屋敷の庭先の稲荷に熱心に祈願しているお岩さんの姿を屋敷の主人が目撃し、彼女から事情を聞き、二人が一緒に暮らせるよう力添えをしてくれたため、伊右衛門・お岩夫婦は再び一緒に暮らせるようになったというハッピーエンドストーリー。
現存する「於岩稲荷」は、お岩さんが夫婦が再び一緒に暮らせることを願って祈願していた祠だと言います。
・・・恐ろしい怪談話とは真逆の物語です。
本作は、そんな「もう一つの四谷怪談」を短編にしてみました。
タイトルの「夫婦元結岩咲花」は昔の歌舞伎・浄瑠璃の演目風に「めおともとゆい いわにさくはな」と読みます。
「元結」(もとゆい)は男女問わず髪を結う時に使う紐・糸のことで、伊右衛門・お岩夫婦が再び「元」に「結ばれる」とかけています。
なお、「半七捕物帳」で日本の「捕物小説」の祖となった岡本綺堂氏のエッセイ「四谷怪談異説」は、著作権が消滅しているため、青空文庫等で気軽に読むことが出来ますので併せてお読み頂けると幸いです。
感想数 1
文字数 5,507
最終更新日 2021.06.03
登録日 2021.05.31
1,404
藤の花簪〜お井戸とオケと
格子の奥に、死んだ女房の姿を見た。
スッと血が引いた思いがして、頭の後ろのほうが重く痺れる。
なんだ、おめえは死んでからも廓から出られねぇのか。
年季はとっくの昔に明けただろう?どうしてまだそこに座って、客を取らなきゃならねぇんだ。
死んだ女房から逃げた男と、枯井戸から拾われた子のお話し。
文字数 9,370
最終更新日 2024.05.31
登録日 2024.05.31
1,405
黒潮の舳
感想数 0
文字数 8,186
最終更新日 2026.06.15
登録日 2026.05.21
1,406
ツァーリ・ナタリア!
1980年代のソビエト連邦。全土にペレストロイカの改革の波が押し寄せる中で、それぞれ出身も民族も異なる七人の少女たちが停滞しきったソビエト経済を立て直すべく立ち上がる。
彼女たちは西側世界の象徴的な文化である自由な音楽を取り入れて政府の外貨獲得にも大きく貢献し、やがて国家労働英雄の勲章が授けられる。
しかしチェルノブイリ事故やベルリンの壁崩壊、東欧諸国の民主化が暗い影となって忍び寄り、彼女たちのもたらした西側文化によって愛するソビエト連邦の分断は加速し、徐々に崩壊していくのだった・・・。
感想数 0
文字数 149,665
最終更新日 2020.05.30
登録日 2020.05.30
1,407
小癪なり 宗茂~嗚呼、壮烈高鳥居城 落城秘話~
島津武士団の撤退。
その瞬間、三百余名の運命が定まった。
七月二七日。筑前の名将・高橋紹運とその郎党七六三名は、宝満城に籠もる事も適わず、岩屋の苔となった。
世間に出回る歴史書では、この壮烈な玉砕戦の後に太閤秀吉による九州平定が成されると記述があるが、その陰には、もう一つの壮烈な玉砕戦があった。
※この当時、立花宗茂は「統虎」と名乗っていましたが、わかりやすいよう「宗茂」にて統一しております。
感想数 0
文字数 4,777
最終更新日 2020.08.18
登録日 2020.08.18
1,408
慶安夜話 ~魔天の城~
慶安の江戸、人生に絶望した蘭丸は人知を越えた現象に遭遇し、そして魔性を斬る者となった。ねねと黒夜叉、二人の女に振り回されつつも、蘭丸は大奥の暗き噂を聞き、江戸城の闇に潜む魔性と対峙する……
感想数 0
文字数 33,268
最終更新日 2022.05.07
登録日 2022.05.07
1,409
【西南戦争】同胞(はらから)を喰う
「即興小説トレーニング」さんにて、お題「地獄の負傷」・1時間で書いたもの。西南戦争辺りを想定した短いお話ですが、あまりきちんと調べられていないため歴史的にも鹿児島弁的にもなんとなく読み流して頂けましたら幸いです。
感想数 0
文字数 645
最終更新日 2020.04.25
登録日 2020.04.25
1,410
神逐(かんやらい)
感想数 0
文字数 2,464
最終更新日 2021.05.31
登録日 2021.05.31
1,411
抄編 水滸伝
中国四大奇書のひとつ、『水滸伝』の抄編、抄訳になります。
水滸伝はそれこそ無数に翻訳、抄訳されておりますが、現在でも気軽に書店で手にはいるのは、講談社学術文庫(百回本:井波訳)と岩波少年文庫(百二十回本:松枝抄訳)ぐらいになってしまいました。
岩波の吉川訳、ちくまの駒田訳、角川の村上訳、青い鳥文庫の立間訳などは中古市場のものになりつつあります。たくさんあって自由に選べるのが理想ではあるのですが。
いまこの大変面白い物語をひろく読んでいただけるよう、入門的なテクストとして書くことにいたしました。再構成にあたっては、小学校高学年の子供さんから大人までを対象読者に、以下の方針ですすめてまいります。
・漢字表現をできるだけ平易なものに
・原文の尊重よりも会話の面白さを主体に
・暴力、性愛表現をあっさりと
・百八人ぜんいんの登場にこだわらない
・展開はスピーディに、エピソードもばんばんとばす
・ただし詩や当時の慣用句はたいせつに
・話しの腰を折らない程度の説明は入れる
……いちおう容與堂百回本および百二十回本をもとに組み立て/組み換えますが、上記のとおりですのでかなり端折ります(そのため“抄編”とタイトルしています)。原文はまじめに訳せば200万字は下るまいと思いますので、できればその一割、20万字以内に収められたらと考えています。どうかお付き合いください。
感想数 1
文字数 124,505
最終更新日 2024.02.26
登録日 2023.10.01
1,412
泥の中に咲く女
壇ノ浦の戦い、自らの子が海に沈みゆくところを見ていることしかできなかった。徳子も重いしを懐に忍ばせて、重い着物が水を吸って沈みゆく水の中へ死んでいくつもりだったのだ。海の底の竜宮城で徳子は安徳天皇と幸せに暮らすつもりだったのだ。
落ち行く平家の中で生き残った平家のプリンセス、徳子の人生の話。
『定められた人生が不幸だとは限りません、私は泥の中でも咲く花になりとうございます』
強く、美しく、賢い徳子の人生とは…
感想数 0
文字数 1,930
最終更新日 2024.05.24
登録日 2024.05.24
1,413
旅人ゴンジと神様の宿
時はいつとも知れぬ、場所も特定できぬ、どこか懐かしく、どこか不思議な町。
そんな町の片隅に、古びた看板を掲げた小さな宿屋がある。その名も「福の宿 こがね屋」。
一夜の雨をしのげればいい。
そんなつもりで立ち寄った旅人・ゴンジは、女将のおかみさんから湯をもらい、にぎり飯をいただき、縁側で月を眺めながら、ふと思う──「ここは、神様が見てた宿屋なのかね?」と。
この物語は、旅人・ゴンジと、彼を一夜迎えた「こがね屋」の人々が織りなす、人情噺である。
ゴンジは、どこから来たのか、どこへ向かうのか。それを誰も知らない。
けれど、町の人々は彼に聞いてしまう。「旅人さんかい? 旅の先では、なにが流行ってるの?」と。
ゴンジは毎回、まことしやかに語る。
ある町では、子どもたちのあいだで落語が流行っている。
ある村では、春になると桜餅を投げ合って遊ぶ祭りがある。
ある漁村では、海に願いごとを書いた貝殻を投げ込む風習がある……。
ゴンジの言葉は、嘘っぱちに聞こえる。
けれど、不思議なことに、彼の語った「流行りもの」が、後から本当にその地に広まっていく。
まるで、未来から来たようでもあり、神さまの口から洩れたようでもある。
「俺の言うことは、だいたい嘘です。でも、信じて動いた人の心が本当をつくるんですよ」
旅の先を見せるのではなく、心の奥にしまっていた願いや希望を引き出すように──
ゴンジは一夜かぎりの出逢いの中で、人の人生にそっと火を灯していく。
人を信じられなかった刺青男のケイジ。
夢をあきらめかけていた若者。
声を出せなくなった女の子。
頑なな老人。
町に根を張る女将さん──
彼らの心の扉が、ひとつ、またひとつと開いていく。
笑って泣けて、ちょっとあったかくなる。
人間っていいな。そう思える、情とユーモアが詰まった物語。
ゴンジは今日も、どこか遠くの町で誰かにこう聞かれている。
「旅人さんかい? 旅の先では、なにが流行ってるの?」
そしてまた、誰かの中に希望が芽吹く。
それが嘘でも、本当になるなら、悪くない。
感想数 0
文字数 2,940
最終更新日 2025.06.24
登録日 2025.06.23
1,414
化け猫亭~化け猫の手、お貸しします~
人は忙しくて手が回らないとき、思わず『猫の手も借りたい』という。そんな猫の手を提供しているのは、人間の姿をした化け猫お蘭。彼女は同じく化け猫族の猫又たちと、『化け猫亭』を経営。今日も店には、猫又たちの手を借りに、お客がやってくる。
感想数 0
文字数 30,449
最終更新日 2021.06.22
登録日 2021.05.09
1,415
影武者の花嫁
――戦乱の世、運命に引き寄せられるように出会った、二人の少女。その姿は、まるで鏡写しのように――。
貧しい村に暮らす娘・沙和(さわ)は、ある日突然、武士たちに連れ去られる。理由はただ一つ。病に伏せる姫君・紗姫(さひめ)と瓜二つの顔立ちだったから。
「今日からお前は、姫として生きよ」
望んだことのない華やかな衣、気の張る礼儀作法、言葉の裏に策を隠す城の人間たち。
“姫”として暮らすことを命じられた沙和は、次第に巻き込まれてゆく。
若き城主・晴親(はるちか)の鋭い視線、腹心の家臣・桐谷(きりたに)の無言の忠誠。
誰が味方で、誰が敵なのか――。
城には、触れてはならぬ秘密と、誰かの思惑が渦巻いていた。
影として生きるはずだった娘が、本物以上に輝きを放ち始めたとき、運命の歯車が静かに狂い出す。
「私が、姫の代わりを務めることに、意味があるのだとしたら――」
偽りの花嫁に託された、真実と未来。
運命に抗う影武者が、愛と誇りを胸に咲き誇る、戦国ロマンス開幕。
感想数 0
文字数 16,504
最終更新日 2025.05.25
登録日 2025.05.23
1,416
「遺された言葉と最も大切なもの」
牧帯刀は父が言い遺せずに逝った際のその先の言葉を、自宅をオ
ペレートするAIのフレデリックに解析せよと命じるが、その答を
夢で見せられる。
それが蛇蠍とマラリアを媒介するハマダラ蚊の夢で、悪夢だと怒
る牧にフレデリックはそれこそが見るべき夢だと諭す。
二千六十八年の現在AIは人工夢生成機器を駆使して夢を操り、
実年齢百五歳の牧は二十代の肉体を持つ。
ニューギニアの戦場で父に出会う夢の続きを見た牧は、父が言い
遺そうとした言葉と最も大切なものが何かを知り、子供を持つ為に
不老不死の権利を捨てる決心をする。
感想数 0
文字数 9,912
最終更新日 2019.12.14
登録日 2019.12.14
1,417
まつみ草の足跡
「地獄には、この兄が先に待っていてやる」
織田信長の側近として、若くして多忙を極める森乱丸。 そんな彼の前に、戦場に血の雨を降らせ「鬼武蔵」と恐れられる実兄・森長可が現れる。 新たな地への赴任を控えた二人は、酒を酌み交わし、幼き日の悪戯を笑い合う。 主君に捧げる命と、兄に
感想数 0
文字数 3,224
最終更新日 2026.01.01
登録日 2026.01.01
1,418
湖畔の城ー地獄の中で芽生えた戦国純愛物語
東海道の太守松川家の人質と戦利品の立場で出会った仙千代と佑三。
過酷な環境の中、お互いの存在が救いだった。
地獄のような環境で芽生えた純愛は、困難を乗り越え成就するのか……。
突如訪れた新興勢力による、松川家の大敗北は二人を地獄から解放するが……。
前半はかなり鬼畜な展開になりますのでご自衛下さい。
実在の人物、出来事を想定される部分もありますが、全て私の創作ですのでご承知おきください。
それでは戦国時代の過酷な環境の中芽生えた純愛物語。二人の愛の行方をお楽しみください。
感想数 0
文字数 122,538
最終更新日 2026.06.29
登録日 2026.05.18
1,419
呂布奉先、ローマを治める <序>
感想数 1
文字数 10,268
最終更新日 2021.08.22
登録日 2021.04.17
1,420
歴史小説 歴史以前の縄文文明
日ノ本の歴史は、1万2千年前の縄文土器文明に始まり、黒曜石を基軸通貨として、翡翠を貴重品とした文明圏を形成していた。
経済活動というのは、余分な商品があって、初めて始まる活動だと考えられる。自分で採取したものを、そのまま自分で使うだけであれば、そこに経済活動は発生しない。石器時代と呼ばれる時代から、縄文期に入っていった時、最初に商品となったのは、石であった。
石は、石器として最上級の品質であった、黒曜石である。
黒曜石は、石のままでは価値を持たない。
加工する知識・技術・技能があって始めて、鏃となり、釣り針となって、狩や漁の道具として使うことができる。
参考資料
CGS動画 「目からウロコの日本の歴史」 小名木善行&神谷宗幣
西田正規 著「人類のなかの定住革命」
安田喜憲 著「森と文明の物語」
鬼頭宏 著「人口から読む日本の歴史」
高木久史著「撰銭とビタ一文の戦国史」
松島義章著「貝が語る縄文海進」
水野正好著「縄文を語る」
日ノ本における、経済の始まりは、縄文期に遡ることができる。
感想数 0
文字数 38,563
最終更新日 2021.08.18
登録日 2021.07.20
1,421
戊辰の里・時を越えた想い
この作品は戊辰戦争のおおよそ10年前から一人の長岡藩士が激動の時代を生きぬいて妻とともに医師の道へと進む物語です。
人は偶然の出逢いによって結ばれます。ときに、その出逢いを縁と呼び、偶然の出逢いを必然と思うことがあります。また時代の節目にあたるような出来事にかかわると運命に翻弄されたと感じることがあります。でも、その縁は偶然であって運命ではありません。運命だと思いたいのは現実を受け入れようとするためではないでしょうか。
この作品が取り上げた新潟県の長岡市では地震や洪水による被害のほか戊辰戦争(ぼしんせんそう)と第二次大戦の空襲により市街地のほとんどが消失しています。それでも人々は優しく毎年の厳しい冬をのりこえて自然と向き合いながら暮らしています。その長岡のシンボルは毎年信濃川の河川敷で行われる大花火大会であることは広く知られています。そして長岡の山間部に位置する山古志地区は世界的に需要が高まる錦鯉(にしきごい)の発祥地でもあります。そんなことを思いながら書いた物語です。
感想数 0
文字数 76,860
最終更新日 2024.12.26
登録日 2024.12.26
1,422
ディルムッド悲恋譚
「なぜ裏切った、ディルムッドぉぉぉぉ!」
敬愛するフィン・マックールの怒声を聞きながら、かつて彼の部下だったディルムッド・オディナは死の際で笑った。
裏切ってなどいない。
自分はただ、貴方からあの魔女を遠ざけたかっただけだ――…。
ケルト神話のフィン物語群から着想を得た、ディルムッド・オディナの視点で回想されるワタクシ解釈の物語。
文字数 18,588
最終更新日 2020.07.12
登録日 2020.05.31
1,423
続、源太捕物帖。江戸元禄こぼれ話。
連続六回目。
感想数 0
文字数 529
最終更新日 2021.07.21
登録日 2021.07.21
1,424
『忍の証』
感想数 0
文字数 1,306
最終更新日 2024.03.24
登録日 2021.03.29
1,425
陰陽師ちゃんと時をかける式神
愉快な荒御霊だった俺は、なにがなんだか分からないまま平安時代にトリップ。陰陽師の女の子の式神になってました。京の都に跋扈する魑魅魍魎は、俺達が許さない!え?陰陽師ちゃん術使えないの?じゃあどうやってかっこよく悪霊退治するの?え?しないの?悪霊退治。暇だね式神って。
文字数 2,071
最終更新日 2017.11.30
登録日 2017.11.30
1,426
空海の青春 ― 消えた七年
千二百年前、出世を約束された一人の男が、全部捨てて、山に消えた。
身分も、未来も、恋も。何もかもを捨てて、誰にも行き先を告げずに。なぜ。
その男の名は、佐伯真魚《さえきのまお》。のちの空海。日本仏教の巨人になる男だ。
不思議なのは、ここから。二十四歳から三十一歳まで、その七年間だけ、どの史書にも彼の記録が一行も残っていない。何をしていたのか。どこにいたのか。誰も知らない。人はその空白を「神秘」と呼ぶ。
でも、人が何かを消すとき、それは自慢したいものじゃない。隠したいものだ。聖人が、自分の手で歴史から消した七年。そこに、何があったのか。
真魚は、讃岐で神童と呼ばれた男だった。一度聞いたことは、忘れない。お経も漢文も、耳に入れればそのまま覚えられた。だが、覚えたものは、覚えた瞬間に手からこぼれていく。何を覚えても、埋まらない。腹の底に、穴が空いていた。ずっと渇いていた。
一族の期待を背負って、都の大学に入った。役人としての出世は、もう約束されていた。それでも、渇きは消えなかった。
ある寺の前で、一人の女とすれ違う。何も期待していない目をした女だった。女は、すれ違いざま、ひとことだけ言った。真魚は、その言葉を、死ぬまで誰にも明かさなかった。
覚えたのに、掴めない。それでいて、消えもしない。暗記すれば、何だって手に入るはずだった。この女だけは、違った。生まれて初めて、覚えるだけでは手に入らないものに出会った。それは、真理じゃなかった。人間だった。
そして、ある日、彼は全部捨てた。身分を捨てた。約束された未来を捨てた。恋を捨てた。名前さえ捨てて、山に消えた。
なぜ、そこまでしたのか。
わかっているのは、山に入った真魚が、壮絶なまでに自分を追い込んだ、ということだけだ。真言を百万回唱えた。米を断った。滝に打たれた。眠らなかった。
苛烈な行の果て、室戸の洞窟で、明けの明星が口の中に飛び込んでくる。真魚は、空海になった。
海を渡り、長安まで行った。そこで、ありえないことが起きる。密教の正統を継ぐ高僧が、会ったばかりの、異国から来た若造に、教えのすべてを丸ごと授けた。まるで、この男が来るのを、ずっと待っていたかのように。
なぜ、日本から来た空海が、密教のすべてを受け継げたのか。
答えは、誰も知らない、あの七年の中にある。空海が、空海になった七年の中に。
「あの七年に、何があったのか。私はまだ、本当のことを一度も書いていない」
感想数 0
文字数 83,966
最終更新日 2026.07.20
登録日 2026.06.29
1,427
戦艦タナガーin太平洋
感想数 0
文字数 12,425
最終更新日 2025.01.10
登録日 2024.06.06
1,428
ダキニの亭主 ※アルファポリス歴史・時代小説大賞版
《あらすじ》
舞台は江戸の片隅。しがない四十男やもめの前に現れた妖艶な鬼・ダキニは夢うつつの男に囁いた。
「添い寝の代わりに、おまえさんの精を分けておくれでないか」
男が、苦し紛れに案じた一計とは……。
ノベルデイズ2000字歴史コンテスト佳作&7000PV達成作品に加筆したものです。
(規約やシステムをよくわかっていなかったので、ノベルデイズ版の方も間違えて投稿してしまいましたが、コンテンツを削除できなかったのでそのままにしておきます。すみません)
文字数 3,098
最終更新日 2021.05.31
登録日 2021.05.31
1,429
時代遅れたちが騒ぐ夜 ~怪男児岡定俊の生涯~
元祖札束風呂、もとい、小判を床に敷き、その上を全裸で転げまわるのを終生の楽しみとした守銭奴岡定俊。もはや老齢となった彼のもとを、弾圧から逃れてきた宣教師の一団が訪れる。彼らはある大きな秘密を抱えていた……。天下一の驕りものと呼ばれた大久保長安の隠し財宝と幕府転覆計画。そして財宝の秘密を探らんと伊賀忍者と伊達政宗配下の黒脛巾組が、定俊のおひざ元猪苗代を狙う。迎え撃つは定俊と愛する妻にして甲賀忍者おりく。人生最後の戦いに老いた定俊は戦人の血を滾らせる。 ※この物語はフィクションであり、あえて史実を無視、または都合よく解釈している部分があることをあらかじめご承知おきください。
感想数 6
文字数 225,634
最終更新日 2018.10.28
登録日 2018.10.28
1,430
希うは夜明けの道~幕末妖怪奇譚~
古来より人間と妖怪という二種が存在する国、「日ノ本」。その幕末、土佐の貧しい郷士の家に生まれた岡田以蔵は鬼の血を色濃く継いだ妖怪混じり。兼ねてより剣にあこがれていた以蔵は、ある朝家の近くの邸宅の庭で素振りをしていた青年を見かける。彼の名は武市半平太。その邸宅の主であり、剣術道場を営む剣士であった。彼の美しい剣に、以蔵は一目で見とれてしまう。そうして彼はその日から毎朝そっと、邸宅を囲む生垣の隙間から、半平太の素振りを見るようになった。
やがて半平太は土佐勤王党を結成し、以蔵をはじめ仲間を伴い倒幕を目指して京に上ることになる。彼らは京で、倒幕派と佐幕派、そして京都の鬼を中心勢力とする妖怪たちの戦いに巻き込まれてゆく。
これは武市半平太の陰で動く岡田以蔵の、闘いと葛藤、選択を描いた物語。
*これはpixivで連載しているものを修正したものです
感想数 2
文字数 33,530
最終更新日 2019.05.09
登録日 2018.12.04
1,431
ナナムの血
8世紀中頃のボェの国(チベット)
御家争いを恐れ、田舎の館に引きこもっていたナナム・ゲルツェン・ラナンは、ある日突然訪ねて来た異母兄ティ・スムジェによってナナム家の家長に祭り上げられる。
都に上り尚論(高官)となったラナンは、25歳になるまで屋敷の外に出たこともなかったため、まともに人と接することが出来なかった。
甥である王(ツェンポ)ティソン・デツェンや兄マシャンの親友ルコンに助けられ、次第に成長し、東方元帥、そして大相(筆頭尚論)となるまでのナナム・ゲルツェン・ラナン(シャン・ゲルツェン:尚結賛)の半生を書きました。
参考文献はWebに掲載しています。
感想数 0
文字数 143,260
最終更新日 2021.05.02
登録日 2021.01.11
1,432
水茶屋『せんり』の未亡人
感想数 0
文字数 134
最終更新日 2022.05.31
登録日 2022.05.31
1,433
鬼神一刀列伝 零
時は戦国。伊豆大島で穏やかに暮らす少年、前原弥五郎。だが、その日常は突如として破られる。
故郷を包む業火の中、瀕死の父から託されたのは、剣の極意と「命の重み」だった。
涙と共に父を介錯した少年は、名を「伊藤一刀斎」と改め、天下無双への道を歩み出す。
後に「一刀流」開祖として歴史に名を刻む伝説の剣聖。その知られざる原点と、孤独な旅立ちを描く剣豪時代小説。
感想数 0
文字数 4,504
最終更新日 2026.05.01
登録日 2026.05.01
1,434
蒼穹(そら)に紅~天翔る無敵皇女の冒険 二の巻 欧州道中記
日本がイギリスの位置にある、そんな架空戦記的な小説です。
一九四〇年七月、新米飛行士丹羽洋一は配属早々戦乱の欧州へと派遣される。戦況は不利だがそんなことでは隊長紅宮綺羅の暴走は止まらない!
主役機は零戦+スピットファイア!
敵は空冷のメッサーシュミット!
「小説家になろう」と同時公開。
第二巻全23話(年表入れて24話)
感想数 0
文字数 78,864
最終更新日 2021.02.06
登録日 2021.01.28
1,435
恵と凛の妄想幕末2 とある事件
★フィクションです。あくまで妄想話です。
★池田屋事件から数日後~事件の顛末までを話し言葉で書き連ねてます。
★R部分が存在します (性・残虐)共に一部分
★Rは必須なので無理は方は回避願います
★Rは基本表示致しません!!※郭のみ表示
☆時代背景の文章力のなさで小説のようには書けません。
いつかはチャレンジしたいとは思ってますがかなりの勉強不足で、
もし書けたとしても軽く数年は越えると思います。
☆方言は自分なりに調べたものなので間違ってるかもしれませんが
なんとなく雰囲気だけ汲み取って読んでいただければ……。陳謝。
感想数 3
文字数 82,058
最終更新日 2025.06.12
登録日 2019.01.04
1,436
時代一部性別転換、早見能力
もし女性も軍事専門家と軍人慣れる、一部性別転換、一部の人未来見えるの想像
感想数 0
文字数 554
最終更新日 2025.01.07
登録日 2024.12.16
1,437
桃寺のわらしゃんど
見事な桃が生るので桃寺と呼ばれた寺があった。邑の子供等には、鬼のような和尚の目
を盗んで桃を獲った者は剛の者として敬われるという噂が立っていた。その称号欲しさに
武家・百姓の別なく挑んだが、背中にも目があると言われる和尚にことごとく阻まれ、半
殺しにされた。今日もまた、性懲りも無く元服前の武家の子息が子分の百姓等を連れて桃
を盗みにやって来た。智恵があり俊敏な子息は、まんまと桃を手にした瞬間だった。
地獄耳で聞き付けた鬼神の如き荒法師が現れた。仲間の子分等を逃がすため、子息が一
人和尚と対峙した。その場を何とか逃れた子息を、翌日和尚が追い駆けて来た。子息の親
である領主に、和尚が盗人の引き渡しを要求した。領主と和尚との交渉の末、子息は寺に
修行に出される事となった。子分である六人の百姓の童達が密かに集まって、寺に預けら
れた子息の身の回りの手伝いをした。
感想数 0
文字数 61,889
最終更新日 2024.12.29
登録日 2024.12.29
1,438
街中妖怪
「通りゃんせ、通りゃんせ。逝くもの行くもの通りゃんせ」
街は、夜になるともう一つの【顔】を見せる
ここは昔懐かしの大江戸。
9時以降の夜の外出はご法度とされている。
何故ならこの大江戸は夜になると妖怪の世界になるから-
「さぁ通りゃんせ、通りゃんせ」
感想数 0
文字数 1,299
最終更新日 2017.05.09
登録日 2017.05.09
1,439
そらっこと吾妻語り
感想数 1
文字数 48,618
最終更新日 2022.10.06
登録日 2022.05.31
1,440
満腹繁盛記 将軍吉宗と大岡越前、城を出る
紀州から第6代将軍としてやって来た徳川吉宗公は、好奇心旺盛!
お供として一緒に来て江戸の治安を任された南町奉行大岡越前の守忠相は、そんな吉宗に振り回されてばかり。
或る日、吉宗がお忍びで町に出ると言い出し、大岡越前の守忠相はお供として一緒に出ることとなった。
庶民に成りきった吉宗はとにかくよく食べるが、ある女と出会い未来の食文化にも触れることに……。
このお話しは2人を通して江戸と現在の食についてコメディータッチで描いたタイムリーㇷ゚時代劇です。
感想数 0
文字数 37,507
最終更新日 2025.11.15
登録日 2025.10.02
アルファポリスの歴史・時代小説のご紹介
アルファポリスの歴史・時代小説の一覧ページです。
架空戦記から時代ものまで様々な歴史・時代小説が満載です。
人気のタグからお気に入りの小説を探すこともできます。ぜひお気に入りの小説を見つけてください。